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かすや国際行政法務事務所-業務日誌

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August 16, 2006
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カテゴリ:許認可
「HP見ました!」

先ほど(16日の正午12時半ごろ)女性の方から国籍についてのお問い合わせをいただきました。

7年ほど前にアメリカ人の男性と結婚してアメリカで暮らしていたが、現在は離婚調停中で日本に帰ってきている。結婚したとき日本に国籍離脱の届出をしなかったために現在アメリカの国籍と日本の国籍とを二重にもっている状態。パスポートもアメリカと日本両方持っているが、主にアメリカのパスポートを使っている。現在は「短期滞在」のビザで日本に入国している。子供はふたりいるが、ふたりとも出生のときに日本でも出生届けを出している。アメリカの弁護士さんの話によれば離婚はもうすぐ成立の見込み。離婚成立後は日本に帰ってきて子供も含めてきれいに日本国籍を取得したい。どうすればよいか?

このご相談のポイントは次のとおりです。
1.戸籍と国籍の関連性
⇒現在日本に戸籍(本籍)がある場合、それをもって日本国籍もあると言えるか?
2.元日本人(日本の国籍を有していた者)の帰化
⇒国籍を取得するには?
3.子供は二重国籍?
⇒子供は出生届けが受理されている。その場合二重国籍になるのか?
4.子供の国籍の扱い
⇒二重国籍児の場合、アメリカ国籍児の場合

以下順番にご説明します。
1.戸籍と国籍の関連性
一般に、日本の戸籍(本籍)が残っている場合でもそのことだけをもって「まだ日本の国籍がある」とは言えません。
国籍法11条1項は、「日本国民は、自己の志望によって外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う」と規定しております。つまり、もし仮に国際結婚に伴いアメリカに帰化申請をしてアメリカの国籍を取得した場合は、日本に国籍離脱の届けを出していなくても自動的にアメリカ国籍のみということになります。ただ「アメリカ人と結婚してアメリカに婚姻届を出した」といってもそのことのみで「アメリカ国籍を取得した」とは言えないことは言うまでもありません。
日本の国籍があるかどうかは、本籍地の市町村役場で調査しないとわかりません。
日本国籍がある場合、ない場合で次の行動が変わってきます。
また、「短期滞在のビザ」で日本に滞在中とのことですが、アメリカの場合、短期滞在の期間は90日以内です。したがいまして、もし日本国籍がないということになれば、長期の滞在が可能なビザに切り替える必要があります。

<ご参考まで>
現在の制度では、アメリカで婚姻届を出したり帰化が許可されたとしても日本にその旨の通知なり報告がくるようなシステムにはなっておりません。国籍の問題は法務大臣の広範な裁量が認められており微妙な問題も含みますので、あらゆる角度からの調査相談が必要になってきます。
また、「短期滞在のビザ」を取得したということは、「日本国籍がある者」であることがわかった時点でビザの発給はされないことになりますので、日本国籍を有していない可能性が高いです(もちろん日本国籍を有していることに気がつかずビザが発給されている可能性もあります)。

2.元日本人の帰化
外国人(もともと日本国籍を有しない者)の帰化の条件は国籍法5条に次のように規定されております。
(1)引き続き5年以上日本に住所があること
(2)20歳以上で日本の法律によってひとりで完全な法律行為(契約など)をする能力(行為能力)があること
(3)犯罪の前科・前歴がないなど行いが善良であること
(4)帰化申請をする人自身や同じ財布で生活するだんなさん(奥さん)その他の親族の財産や技能によって生活できること
(5)国籍がないか、日本の国籍を取得することによって外国籍を失うこと
(6)日本国憲法施行の日以後、日本国憲法またはその下に成立した政府を暴力で破壊することなどを企てるなどしたことがないこと
これに対し、元日本人で外国籍を取得したことにより日本国籍を離脱した人が帰化をする場合には要件が緩和されます。国籍法8条にはその要件について次のように規定されております。
(1)日本国民の子(養子をのぞく)で日本に住所を有するもの
(2)日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ、縁組時に日本の法律で未成年者だったもの
(3)日本の国籍を失ったもの(日本に帰化したあと日本の国籍を失ったものをのぞく)で日本に住所を有するもの
(4)日本で生まれ、かつ、出生のときから国籍を有しないものでその時から引き続き3年以上日本に住所を有するもの

3.子供は二重国籍? 4.子供の国籍の扱い
このご相談の方は日本でも出生届けを提出しそれが受理されています。
国籍法2条は次のように規定します。

(出生による国籍の取得)
第2条 子は、次の場合には、日本国民とする。
一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき

つまり先ほどの1の段階で、ご相談者の方がまだ日本国籍を有しており、出生時に引き続き日本国籍を有していたということであれば子供は日本国籍を取得します。同時にアメリカ国籍の取得要件も満たしていたというのであればアメリカ国籍も取得し、二重国籍の問題が生じてきます。
この場合は、国籍法14条1項の規定により22歳に達するまでに国籍選択の届けを提出することにより日本国籍のみになることができます。

一方、1の段階で、ご相談者が日本国籍を有していないということになれば、国籍法2条1号の規定には該当しないわけですから、子供も帰化申請をする必要があるということになります。
この場合の条件は国籍法5条ではなく6条になります。
国籍法6条は次のように規定します。

第6条 次の各号の一に該当する外国人で現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が前条第一項第一号に掲げる条件(筆者注・「引き続き5年以上日本に住所を有すること」という条件)を備えないときでも帰化を許可することができる。
一 日本国民であった者の子(養子を除く)で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有するもの

まずは日本国籍があるかどうか、それを調査するところからはじめましょう。戸籍があるからといって日本の国籍もあるとは限りませんので。

帰化申請のご相談、お見積、ご依頼はこちらから。







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Last updated  August 17, 2006 03:21:28 AM
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