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やさしい法律・行政手続入門

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2006.08.30
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正解は(1)

(1)合理性の基準

とは、立法目的および立法目的達成手段の双方について、一般人を基準として合理性が認められるかどうかを審査するものです。

 立法府の下した判断に合理性があるという事を前提にしている(合理性推定の原則)ので、比較的緩やかな審査の基準ということが出来ます。

 経済的自由としての職業選択の自由の規制に関する違憲審査基準は、先ず、二重の基準の理論から精神的自由の規制を審査するときよりも緩やかな審査基準を使う事になります。

 これが一般に合理性の基準といわれるもので、当該規制立法には合理性があり、合憲であろうという推定のもとに裁判所が審査することになります。

 二重の基準の理論では、憲法の措定する価値体系においては、言論の自由などの精神的自由権は、いわゆる経済的自由権に比して、優越的な地位を占めると考えています。

(2)事前抑制の基準

 事前抑制の理論とは、表現行為が為されるのに先立ち、公権力が何らかの方法で、これを抑制する事、および実質的にこれと同視し得るような影響を表現行為に及ぼす規制方法は原則として排除されるべきだという理論を言います。

 簡単に言うと、表現活動を事前に抑制する事は許されないという、理論をいいます。

(3)明白かつ現在の危険の基準

 この基準は、アメリカの憲法判例で用いられてきた基準です。
すなわち、

(a)ある表現行為が近い将来、ある実質的害悪を引き起こす事が明白である事

(b)その実質的害悪が極めて重大であり、その重大な害悪の発生が時間的に切迫している事

(c)当該規制手段が右害悪を避けるのに必要不可欠であること

の三つの要件の存在が論証された時にはじめて、当該表現行為を規制する事が出来るとするものです。

 この基準は、表現行為を直接的に規制する場合に限定して用いるべきだと考えられている、最も厳格な審査基準といっても良いと思われます。煽動罪の合憲性の判断などに有効です。

(4)より制限的でない他に採り得る手段の基準

LRAの基準とも呼ばれています。

 この基準は、立法目的は表現内容に直接かかわりのない正当なものとして是認できるが、規制手段が広汎である点に問題がある法令について、立法目的を達成する為、規制の程度のより少ない手段が存在するかどうかを具体的・実質的に審査し、それがありうると解される場合には当該規制立法を違憲であるとする基準のことを言います。

 公権力側に規制手段の正当性(より制限的でない他の選び得る手段を利用できない事)を証明する重い責任が負わされます。

 精神的自由の優越的地位に鑑み、精神的自由の規制立法に対して適用される審査基準です。

 なお、最判昭和50.4.30では経済的自由の消極的、警察的制限に対して同様の基準を採っていますが、これはLRAとは区別される基準(規制目的と規制手段の合理的関連性の原則)を述べたものと考えられています。


(5)法文の不明瞭(漠然性)ゆえに無効の理論

 精神的自由を規制する立法は、明確でなければならない、とするのが明確性の基準です。

 罪刑法定主義によれば、(あ)刑罰法規は、国民に法規の内容を明確にして、違法行為を公平に処罰するのに必要な事前の「公正な告知」を与える事、(い)法規の執行者たる行政の恣意的な裁量権を制限するものである事、が必要だからです。

 しかし、刑罰法規でも、それが表現の自由を制約するものである場合には、その漠然不明瞭さは(あ)、(い)の問題にとどまらず、(う)表現行為に対して萎縮的効果を引き起こします。

 そこで、合理的な限定解釈によって法文の漠然不明確性が除去されない限り、仮に当該法規の合憲的適用の範囲内にあると解される行為が争われる場合でも、原則として法規そのものが違憲無効(文面上無効)となります。

 この理論を「漠然性ゆえに無効の理論」といいます。

※ このように、経済的自由の規制立法に対して使われる基準は、「合理性の基準」であり、正解は(1)となります。

※ 記述式対策として、このような用語は定義とその意味(使われる場面)をしっかり把握しておく必要があります。


 司法試験 昭和53年問題35

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最終更新日  2006.08.30 07:15:21
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