「好気的な環境」による堆肥づくり
放線菌を含め、「好気性菌」(分子状酸素で有機物を酸化分解してエネルギーを獲得する)を主体とした発酵分解(堆肥化)を行う時、当たり前のことですが、堆肥舎全体、もしくは堆肥の培地全体が常に通気性を確保した「好気的な環境」であることが絶対条件です。しかし、自分のかかわってきた大多数の堆肥舎は壁面・床面ともコンクリート構造で通気設備・廃水処理設備はありません。もしくは機能していません。せっかく、うまく発酵しかけた堆肥物の蒸発水分は床や壁のコンクリートの界面で、結露反応を起こし、再び液体に戻ります。そのときついでに空気中の水分も取り込み、水分が更に増加します。培地底部は排水が不備であれば、徐々に水溜りとなってしまいます。従って、培地の各所で「嫌気環境」が生じ病原菌なども含む嫌気性菌の温床となってしまいます。その結果、嫌気性菌の作用により、アンモニア臭などの、悪臭の発生が顕著になります。もちろん、発酵物の分解の遅れも発生します。その他、牛糞〔水分)と副資材〔チップ・バーク)の配合が悪くゲル状になって、通気しないなど、色々な嫌気環境を作り出す原因がある。つまり、如何に堆肥舎全体、そして培地全体を「好気的な環境」に整えるかが堆肥作りの明暗を分けると言ってもよいと考えます。逆に私達、人間には目的とする微生物の環境整備しかやれる事はないみたいです。(それが難しいのですが。) つづく写真は嫌気的堆肥舎の例です。