2013/09/21(土)04:45
コース 汲古 ~折り目を正して・和室での直角椅子ずわり~ 【移転】
それっぽいしつらえが店名板一枚という仕様。住宅街のなかに完璧に埋もれていて、最初に迷うことくらいは覚悟したほうがよい。
マスコミに取りあげられてもおかしくないような一軒家割烹。民家そのものの利用かつ完全予約制なので、敷居としてはかなり高いものがある。
和装のおかみが迎えてくれた。しめやかに水を打った玄関口で、靴を脱いであがる。
真っ先に鼻をついたのは、ゆるく焚かれたお香のかおり。いやが上にも「いかにも感」が増して、いつもより自然にテンション高めとなる。
小間と大広間の2間が客用スペースとしてあてられていた。普通の和室なのだが、そこに何でもない顔をして、ダイニングテーブルが普通に置かれていた。
部屋のすみには火鉢がおかれ、そこにかかった鉄瓶がチンチン静かな音を立てていた。音としてはそれのみ。ほかに一切の装飾的、人工的な効果音は皆無。
これ以上は望めない抜群のプライベート空間にて、会席コースが静々と出されていく。腕のたしかさは折紙がつけられる。古雅で精良な品々たちをじっくり味わいつくすことができる。(ちなみに今回は片手のコース)
この種の「お忍び系」が好きな人には、たまらないお店といえるだろう。
ただし。今年の3月には、海浜幕張のパティオスに引っ越すということなので、この最強的個人的風情を楽しめるのも、あとわずかしか残ってない。
このあとどうやって伸長していくのか。もっと融通系&パブリックに開かれるのか。いい意味で孤高に行くのか。とりあえず、温かく見守っていこうと思う。
* * *
「先付」
(えび芋の揚げ物。添えられたブロッコリーとともに淡い揚げあがり。ジェントルかつ奥深い塩味で、口中はたちまち魅了されてしまう)
「椀」
(蟹しんじょうの潮仕立て)
「造り」
(お造りは「まぐろのかいわれ巻」。漬けの薄切りでシャキシャキの菜を巻く新発想。食感がおもしろくて、最後の一瞬まで飽きがこない)
「焼物」
(鮭の柚庵焼)
「焚合せ」
(がんも、つくね、さやいんげんの煮物。変なくせなどまったく感じられない。頑強なる京風で、あっさりよく炊けている)
「ご飯、汁、香物」
(鯛飯、赤出し、香の物という食事の3品。ご飯は、お櫃で運ばれたものを、その場で一杯ずつよそってくれる。炊いた白身が内包しているほろ甘さを最大限に生かした仕上がり。微細な塩気がとても嬉しい。どんな不機嫌な人でも、思わず微笑ませてしまうくらいの秀逸品。このあと3種盛りの甘味が出て、コースとしてはフィニッシュする)
日本料理・懐石「汲古」(きゅうこ)
住 所:千葉市稲毛区宮野木町1652-7
アクセス:地図参照 P(4台)
電話番号:043-246-2387
営業時間:11:30-15:00(LO14:00)/
17:30-21:00/(LO20:30)
定 休:月曜日(祝日の場合翌日)
客 席:個室2部屋/完全予約制/
利用種別:少人数向き/グループ向き/茶会向き/
料金支払:あと払い/
メニュー:【昼】
ミニ会席1875/穴子コース2100/昼会席3675/
【夜】
会席コース5250/7350/10500/その他応談/
【飲物】
エビス小瓶630/レーベンブロイ500/冷酒580/
波の種580/薩摩の薫525/グラスワイン600/
リンゴジュース350/梅ジュース350/冷茶350/
抹茶350/
【その他】
茶懐石10500~/自家製気まぐれお菓子200/
評 価:☆☆☆☆☆
(味4.5/量3/サービス4/雰囲気4.5/CP4/駐車場3.5)