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桐まみれの日々 by さきさん

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2006年07月03日
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カテゴリ:ひとりごと
 10時の休憩をとって、旦那が配達に出掛けた。チョコチョコした用事をしていると、バラバラと異様な音。窓の外が急に薄暗くなり、大粒の雨が落ち始めたのだった。工場の中に湿気が入らないように、シャッターを閉めなければならない。箱詰めした盆をトラックに積み込むために開閉するシャッターを閉めに行くと、屋外に高い屋根を設けた材料置き場に見たことのない年配の男性が一人立っていた。私と目が合ってお辞儀をし、「雨がやむまで、しばらく、軒をお借りします。」とおっしゃった。見ると、カブがすぐ傍らに停めてあった。

 「どうぞ、どうぞ。」とだけ言って、私は事務所に入り仕事を続けた。少しして、ボンドを届けに業者の方がおい出た。立ち上がって窓越しに外を見ると、さっきのおじいちゃんは、まだじっと立って、雨が上がるのを待っていた。

 私は事務所から出て「悪いですね。どうぞ事務所にお入りになって下さい。」と促した。しかし、おじいちゃんは遠慮され入って来ようとはなさらない。雨は当分止みそうにもないので、もう一度、遠慮は要りませんよ、どうぞ、と言うと、「すみませんねぇ。」と言いながら、入っておい出た。
 お湯飲みにお茶を注ぎながら、私は尋ねた。

「どちらへおい出る途中ですか?」
「いや、私は本村で、府中の町にちょっと用事があって出かける途中だったのですが、このひどい降りで立ち往生したのですよ。ここは、あの豊田さんがずっとやってらっしゃるのですか?」
「えっ?あの豊田さんって言うと・・・?」
「いや、御調病院へ入院されてた。」
「ご存知なんですか?圭三は夫の父親で、今、夫が社長でここをやっているんですよ。でも、何で、ご存知なんですか?」
「いや、お義母さんとうちのが同級生なんです。」
「そうですか。お父さん、お名前、どうおっしゃるのですか?」
「Hと申します。お義母さんのご実家とも懇意にさせて頂いているのですよ。」

 思いも寄らないお客様と話が弾んだひと時。最近は便利なものが出来て体を使わなくなったから、皆、一様に体が弱ってしまいましたね、とおじいちゃんは嘆いていらっしゃった。確かに、自分のことを考えると、返す言葉もない。せめて、少しずつ体を動かして、元気で長生きできるように、頑張らなくては!!昭和一桁のおじいちゃんたちに負けないように!!





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最終更新日  2006年07月03日 15時24分56秒
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