しろうと自然科学者の自然観察日記

2018/12/10(月)06:11

中禅寺の庭に見立てた戦場ヶ原に咲くので禅庭花と名付けられたゼンテイカの花。【自然観察の振返り[14]ススキノキ科ワスレグサ属の植物・第2回】

山野草(1865)

☆自然観察ブログ「しろうと自然科学者の自然観察日記」を始めて6年9カ月、連載は連続2,400回を超えました。そこで、「自然観察の振返り」を随時掲載しています。【自然観察の振返り[14]】はススキノキ科ワスレグサ属の植物です。ワスレグサ属は、従来の分類(新エングラー体系、クロンキスト体系等)ではユリ科に含められていました。第2回は、ゼンテイカの花です。(2018年7月3日撮影)。 ☆ゼンテイカは、北海道や本州中部以北の山地または亜高原に自生し、海岸近くでも見られるススキノキ科ワスレグサ属の多年草です。各地で別々に同定されたため、和名・学名ともに混乱が見られるそうです。写真は、群馬県の谷川岳・天神平で観察したゼンテイカです。(2014年7月15日撮影)。 ☆従来、北海道から本州島北部のものをエゾゼンテイカとし、本州中部のものをゼンテイカ(ニッコウキスゲ)として区別し、別種や変種としましたが、地理的には分けられますが形態的には連続して分けられるのが難しいので、一緒にしてヒメカンゾウ(Hemerocallis dumortieri var. dumortieri)の変種とすることにしたそうです。こちらの写真は、東京都の奥多摩・鳩ノ巣渓谷で観察したゼンテイカです。この地域に咲くものを愛称で「多摩川キスゲ」と呼んでいるそうです。(2015年5月30日撮影)。 ☆こちらの写真は、福島県の裏磐梯・五色沼周辺で観察したゼンテイカです。(2018年7月3日撮影)。 ☆ゼンテイカの葉は、長さ60~70センチ、幅16~20ミリです。(2014年7月153日撮影)。 ☆ゼンテイカの花期は7~8月(奥多摩・鳩ノ巣渓谷は5月末~6月)で、花茎は高さ60~80センチ、花序には3~10個の花がつきます。(2015年5月30日撮影)。 ☆ゼンテイカの花は、花柄がごく短いものから3センチ位のものまで様々です。(2015年5月30日撮影)。 ☆ゼンテイカの花は、花筒の長さが15~20ミリ、6枚の花被片の長さが6.5~8センチです。花筒があるのが、ユリ科の花と異なるワスレグサ属の特徴です。(2018年7月3日撮影)。 ☆ゼンテイカの花のつくりは、花被片が6枚(外花被片3枚と内花被片3枚)、雄蕊が6本、雌蕊が1本です。(2015年5月30日撮影)。 ☆ゼンテイカ(禅庭花)の名は、日光の戦場ヶ原を中禅寺の庭に見立て、そこに咲く花ということで禅庭花と名付けられたそうです。ニッコウキスゲ(日光黄菅)の名は、栃木県日光に多く、黄色い花を咲かせ、葉がカヤツリグサ科のスゲ(菅)に似ていることに由来するそうです。(2014年7月15日撮影)。 ☆ゼンテイカの花言葉は、「日々あらたに」「夏美人」「元気溌剌」「単純」だそうです。なお、ニッコウキスゲの花言葉は、「晴れた日の喜び」「心安らぐ人」だそうです。 ☆なお、ゼンテイカは、APG分類体系第4版(2016年)では、ススキノキ科ワスレグサ属からツルボラン科ワスレグサ属に改められたそうです。

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