しろうと自然科学者の自然観察日記

2019/05/20(月)05:04

タチツボスミレの花[スミレNO.9]。【春(3月下旬・4月初旬)の高尾山での自然観察・その9】

山野草(1865)

☆3月30日と4月2日、東京都八王子市の高尾山に植物観察(3回目・4回目)に行きました。その内容を順次紹介しています。タチツボスミレの花です。(2019年3月30日・4月2日撮影)。なお、説明のために、一部に3月19日撮影の写真を利用しました。 ☆タチツボスミレは、北海道から本州・四国・九州・沖縄まで広く分布し、海岸近くの道端から亜高山帯まで生えるスミレ科スミレ属の多年草です。日本の代表的なスミレで、環境への適応の幅が広く、人家付近の藪や道ばたから山地まで、広く見られます。 ☆タチツボスミレの根出葉は、細い葉柄があり、葉身は心形ないし扁心形、低い鋸歯があります。基部は心形で、先は下方の葉では鈍く、上方の葉では急に尖ります。写真でも、下に見える下方の葉は先が丸く、上に見える上方の葉では先が急に尖っているのがわかります。花期の葉は長さ2~4センチの心形ですが、花後の茎葉は長三角形になる傾向が強いそうです。 ☆葉柄から両側に伸びる托葉は、櫛の歯のように深い切れ込みがあるのが特徴です。 ☆タチツボスミレの花期は3~5月で、花の頃の茎は高さ10センチほどですが、花茎には小苞葉があります。 ☆タチツボスミレの花は直径1.5~2センチの淡紫色で、5個の萼片、5個の花弁は上弁2個と側弁2個と唇弁(下弁)1個で、唇弁の基部は膨らんで後ろに突き出して距を作っています。タチツボスミレの距は、細長く紫色を帯びています。 ☆披針形の5個の萼片が見えます。萼片は、披針形の付け根から花茎方向に張り出しています。なお、披針形とは、植物の葉の形についていう言葉で、先がとがって基部が広い笹の葉のような形のことです。 ☆花の中央に雌蕊花柱、それを取り囲むように5個の雄蕊があります。橙色に見えるのは雄蕊の付属体で、付属体の下に葯があります。唇弁には、紫色のスジが見えます。 ☆タチツボスミレ(立坪菫)の名は、身近な道端や庭(坪)で見られることと、花後に茎が伸びて立ち上がってくることに由来します。 ☆タチツボスミレの花言葉は、「悲しみ」「慈愛」「つつましい幸福」「誠実」などです。 ☆スミレ類の記事作成にあたっては、次の資料を参考にしました。 (1)『増補改訂日本のスミレ』(写真・解説/いがりまさし、山と渓谷社、2004年) (2)『スミレハンドブック』(山田隆彦著、文一総合出版、2010年) (3)『高尾山全植物 草・木・シダ1500種』(山田隆彦著、文一総合出版、2018年)

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