氷雪の門、36年ぶりに上映開始
北方領土がなぜソ連領になったのかあまり知られていません。今から36年前の昭和49年、ソ連からの圧力で上映が中止された映画「氷雪の門」が、本格的に映画館で上映されることになりました。戦争当時の実話をもとに製作された問題作「氷雪の門」が醸成されることになったのは、横浜市中区の映画館、「シネマ・ジャック&ベティ」です。日本が無条件降伏をおこなった後に、不可侵条約を結んでいたソ連は一方的に条約を破棄して、北方領土へ侵攻してきました。この事実は、時間の経過とともに日本人の記憶のなかから消え去りつつありますが、その当時、ソ連軍の侵攻によって自ら命を絶った、若い9人の女性電話交換手の実話を描いた映画が「氷雪の門」です。映画の舞台となるのは昭和20年8月の樺太西岸の真岡町です。同町の郵便局で働く電話交換手の女性たちが、ソ連軍が進行してきているにもかかわらず郵便局に残り、非難する人々に避難経路を知らせるために業務を続け、最後には自ら命を絶ってしまうという壮絶な実話をもとに、この映画は製作されています。当時としては破格の予算といっていい、5億数千万円の製作実行費をかけて製作された大作映画「氷雪の門」は、8月15日に終戦を迎えた日本に対し、不可侵条約を一方的に破棄したソ連軍が北方領土への侵攻を続けたという事実を見事に活写しています。ソ連軍の戦車が北方領土へ侵攻するシーンなどは、当時の陸上自衛隊の協力を得て撮影されているそうです。当時、公開に踏み切れなかった日本の弱腰には恨めしさを感じますが、今回のチャンスに、是非とも足を運んで「氷雪の門」を見ておきたいと思います。