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「キングスマン」(原題:Kingsman: The Secret Service)は、2014年公開のイギリスのスパイ・アクション映画です。マーク・ミラー/デイヴ・ギボンズのコミック「キングスマン:ザ・シークレット・サービスを原作に、マシュー・ヴォーン監督、コリン・ファース、 サミュエル・L・ジャクソンら出演で、どの国にも属さない世界最強のスパイ機関「キングスマン」の活躍と亡き父の後を継いでキングスマンのスパイとなる道を選んだ青年の成長をユーモアを交えて描いています。
「キングスマン」のDVD(楽天市場) 【スタッフ・キャスト】 監督:マシュー・ヴォーン 脚本:ジェーン・ゴールドマン/マシュー・ヴォーン 原作:マーク・ミラー/デイヴ・ギボンズ「キングスマン:ザ・シークレット・サービス」 出演:タロン・エガートン(ゲイリー・“エグジー”・アンウィン、亡父を継ぐキングスマン候補生) コリン・ファース(ハリー・ハート、キングスマンのベテランスパイ) サミュエル・L・ジャクソン(リッチモンド・ヴァレンタイン、多発テロを計画するIT富豪) マーク・ストロング(マーリン、キングスマンの新人候補生を指導する教官) マイケル・ケイン(アーサー 、キングスマンのリーダー) ソフィ・クックソン(ロキシー・モートン 、キングスマン候補生、上流出身だが平等主義) ソフィア・ブテラ(ガゼル、ヴァレンタインの部下、両足が義足の殺し屋) サマンサ・ウォマック(ミシェル・アンウィン、エグジーの母親、夫を亡くし自堕落に) ジョノ・デイヴィース(リー・アンウィン、エグジーの父、元キングスマン候補生、殉職) ジェフ・ベル(ディーン・ベイカー、エグジーの義父、ミシェルにDVを働く、不良のボス) エドワード・ホルクロフト(チャーリー・ヘスケス、キングスマン候補生、差別的) マーク・ハミル(アーノルド教授、ガイア理論を提唱する学者、謎の一味に拉致される) ジャック・ダヴェンポート(ランスロット、キングスマンのベテランスパイ、リーと同期) ハンナ・アルストロム(ティルデ王女、スウェーデンの王女、ヴァレンタインが監禁する) JB(エグジーが訓練の一環として育てるパグ、名前の由来は「24」のジャック・バウアー) ほか 【あらすじ】
【レビュー・解説】 スマホ文化と格差社会をフックに、イギリス伝統のスタイリッシュなスパイ映画を面白おかしく描き、切れ味のあるアクションで新世代の若者を魅了する、マシュー・ヴォーン監督のスパイ・アクション・コメディです。 007シリーズを彷彿とさせるコリン・ファースのアクションは元より、高い身体能力を活かし義足を武器に戦うソフィア・ブテラのファイト、「希望と栄光の国」が流れる中での仕掛け花火を彷彿とさせるクライマックスと、アクション・シーンが際立つ本作ですが、背景となるストーリーもしっかりとした秀作です。「キック・アス」(2010年) 、「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」(2011年)の監督・脚本で知られるマシュー・ヴォーン監督が、マーク・ミラー/デイヴ・ギボンズの原作コミック「キングスマン:ザ・シークレット・サービス」の製作過程を見て絶対に自分で監督したいと思い立ち、既に決まっていた「X-MEN: フューチャー&パスト」の監督をプロデューサーのプライアン・ジンガーに頼み込んで、本作の制作にとりかかったこだわりの作品です。 コミック作家のマーク・ミラーとヴォーン監督はかねてから面白いスパイ物を作りたいと話し合う仲で、新旧の世代がミックスする現代スパイ劇を描いたらどうかという話から「キングスマン」が実現したと言います。マーク・ミラーは当初、アメリカを舞台に描くつもりでしたが、イギリスを舞台にすべきというヴォーン監督の意見を取り入れ、イギリスの階級社会を絵にすることができるイギリス人イラストレーターのデイヴ・ギボンズと組みました。コミック版には、共同プロッターとしてマシュー・ヴォーンの名がクレジットされています。 ヴォーン監督は、「スターダスト」(2007年)、「キック・アス:(2010年)、「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」(2011年)と、一緒に脚本を書いたジェーン・ゴールドマンと共にこのコミックを脚本にします。ヴォーン監督の本作への思いをゴールドマンは次の様に語っています。 マシューはボンド映画をとても愛しているの。「キングスマン」は、そんなボンド映画を慈しみながら、新しいことも取り入れた映画だわ。彼はスパイ映画を作るってもう何年も話しているの。「スターダスト」(2007年)の脚本を書いている頃からね。(ジェーン・ゴールドマン)スティーブン・スピルバーグ監督が子供の頃を見た映画を時代に合った、わかりやすく新鮮なもの作り変えたのが彼の「レイダース/失われたアーク」(1981年)ですが、ヴォーン監督が子供の頃に見たボンド映画を時代に合った、わかりやすく新鮮なもの作り変えたのが本作です。 かつてボンド映画は東西の冷戦構造を背景にしましたが、1989年のベルリンの壁崩壊以降、スパイ映画は、中東紛争や対テロ戦争、巨大企業の陰謀などを題材にするようになります。本作でエグジーの父が就いた特殊任務は中東戦争を想定したものと思われます。IT富豪のヴァレンタインに特定のモデルはいませんが、彼は強いて言えばアップルのスティーブ・ジョブズのようにカリスマ性を持ち、大衆に影響力を持つ人物という設定です。通信料がタダになるSIMカードを無料配布するという、ありそうなビジネスモデルの陰に隠れた陰謀を、地球温暖化や人口過密を絡めて描くなど、冷戦を知らない若い世代にもわかりやすいスパイ映画にしています。 ヴォーンとゴールドマンはこうした世代からより共感が得れるよう、
イギリスはテイラード・スーツで有名ですが、「キングスマン」のメンバーがロンドンの仕立て屋に集うなど、プロット上、重要な役割を果たすだけでなく、次世代の「キングスマン」を育成する中でスーツが男を作ることが示されており、ヴォーン監督はこの映画の為にコンセプチャル・スーツを作るほど入れ込んでいます。また、秘密兵器として使われる傘も、イギリス紳士の必須アイテムと言われるものです。傘と言えば婦人用の日傘だったものを、男性が使う雨傘として広めたのは18世紀のイギリスの旅行家、著述家、商人ジョナス・ハンウェーで、19世紀に同じくイギリスのサミュエル・フォックスが鋼鉄製のU字型溝骨の発明、傘が飛躍的に広まりました。また、クライマックスに流れる「希望と栄光の国」は、エルガー作曲による「威風堂々」第1番のメロディに歌詞をつけたイギリスの愛国歌で、戦時下でも暗くならずに生きる人々の逞しさと祖国への誇りを重ねたものです。夏のロンドンの風物詩、BBCプロムス最終夜のクライマックスに聴衆が国旗を振りながら歌うなど、現代のイギリス人にも馴染みの深い曲ですが、本作でこの曲をバックに仕掛け花火のように次々と爆発が起きていく様は圧巻です。 イギリス紳士の必須アイテムである雨傘がボンド映画のようなスパイの小道具に 「希望と栄光の国」が流れる中、仕掛け花火のように爆発が起きるシーン 圧巻と言えば、高い身体能力を活かし義足を武器に戦うソフィア・ブテラのファイト・シーンも圧巻です。彼女が演じるガゼルは両足が義足でそのバネが鋭い刃物の武器となっています。このキャラクタは、007シリーズの「私を愛したスパイ」(1977年)に登場した鋼鉄の歯の持つ不死身な大男「ジョーズ」顔負けの特徴的キャラクターです。「ジョーズ」が巨大人喰鮫に因んだキャラクターであるのに対し、「ガゼル」は跳ね上がるように走る動作で知られている草食動物で、好対照をなしています。原作では男性でしたが、映画でこれを女性に変えたヴォーン監督のセンスは素晴らしいです。さらにガゼルを演じたソフィア・ブテラが出色です。彼女はアルジェリア出身のフランス人のダンサー、モデル、女優で、5歳からクラシックバレエを始め、10歳でフランスに移住、新体操のフランス代表チームに所属するほどの高い身体能力を有しています。彼女は、この役に為にタイ式ボクシング、テコンドーなどでキックの仕方を学び、さらにスタントの為のワイヤーの扱い方を習得、非常に見応えのあるパフォーマンスを見せています。 ボンド映画の「ジョーズ」顔負けの特徴的キャラクター、ガゼルのファイト・シーン 007シリーズ同様、本作もお色気シーンで幕を閉じます。エンドクレジットには、ヴォーン監督の愛する亡き母であり女優のキャシー・シートンへの献辞が捧げられています。彼女はキングスマンたるものどう有るべきかをヴォーン監督に教えてくれたと言います。マシュー・ヴォーン監督が生まれた時、シートンはアメリカの俳優ロバート・ヴォーンと交際しており、ロバートは子供がヴォーン姓を名乗ることを求めたと言います。その後、マシューの実父はイギリス貴族であることが分かりましたが、仕事ではヴォーン姓を名乗り続けています。ロバート・ヴォーンはアメリカのスパイアクションTVドラマシリーズ「0011 ナポレオン・ソロ」で有名な俳優で、ヴォーン監督はここでもスパイものに縁があったことになります。本作はアメリカでもヒットしましたが、主人公がイギリス英語を話し、悪役がアメリカ英語を話す映画としては異例です。新旧、米英双方のセンスを併せ持つ、ヴォーン監督ならではかもしれません。続編「キングスマン:ゴールデン・サークル」も製作中で、2017年9月にアメリカで公開予定です。 コリン・ファース(ハリー・ハート、キングスマンのベテランスパイ、エグジーの亡父に救われた) タロン・エガートン(右、ゲイリー・“エグジー”・アンウィン、亡父を継ぐキングスマン候補生) マーク・ストロング(マーリン、キングスマンの新人候補生を指導する教官) サミュエル・L・ジャクソン(リッチモンド・ヴァレンタイン、世界的なロ計画を進めるIT富豪) ソフィア・ブテラ(ガゼル、ヴァレンタインの部下、両足が義足の殺し屋) マイケル・ケイン(アーサー 、キングスマンのリーダー、上流階級こそキングスマンと考えている) ソフィ・クックソン(ロキシー・モートン 、キングスマン候補生、上流階級出身だが平等主義) 「キングスマン」のポスター(左)と「007 ユア・アイズ・オンリー」のポスター(右) 【サウンドトラック】 ボンド映画を思わせるサウンドトラックと言われています。
なお、スコアのみで挿入歌は含まれていません。 【撮影地(グーグルマップ)】
「キングスマン」のDVD(楽天市場) 【関連作品】 「キングスマン」の原作コミック(楽天市場) Mark Millar/Dave Gibbons"The Secret Service: Kingsman" マシュー・ヴォーン監督・脚本作品のDVD(楽天市場) 「レイヤー・ケーキ」(2004年) 監督 「X-MEN: ファースト・ジェネレーション」(2011年) 監督・脚本 「X-MEN: フューチャー&パスト」(2014年) 原案 コリン・ファース x マーク・ストロング共演作品のDVD(楽天市場) 「裏切りのサーカス」(2011年) コリン・ファース出演作品のDVD(楽天市場) 「イングリッシュ・ペイシェント」(1996年) 「恋におちたシェイクスピア」(1998年) 「ブリジット・ジョーンズの日記」(2001年) 「シングルマン」(2009年) 「英国王のスピーチ」(2010年) タロン・エガートン出演作品のDVD(楽天市場) 「戦場からのラブレター」(2014年) 「イーグル・ジャンプ」(2015年) サミュエル・L・ジャクソン出演作品のDVD(楽天市場) 「ドゥ・ザ・ライト・シング」(1989年) 「グッドフェローズ」(1990年) 「ジャングル・フィーバー」(1991年) 「トゥルー・ロマンス」(1993年) 「ジュラシック・パーク」(1993年) 「パルプ・フィクション」(1994年) 「プレイヤー/死の祈り」(1997年) 「ジャッキー・ブラウン」(1997年) 「キル・ビル Vol.2」(2004年) 「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」(2011年) 「アベンジャーズ」(2012年) 「ジャンゴ 繋がれざる者」(2012年) 「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」(2014年) マーク・ストロング出演作品のDVD(楽天市場) 「ザ・ガード〜西部の相棒〜」(2011年) 「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012年) 「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」(2014年) ソフィア・ブテラ出演作品のDVD(楽天市場) 「スター・トレック BEYOND 」(2016年) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2017年06月25日 05時00分05秒
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