2010/01/14(木)22:07
【鉄コン筋クリート】 2006年 ソコカラ、ナニガ、ミエル?
松本大洋のコミックを映像化したアニメーション。原作は未読です。
『鉄筋コンクリート』ではなく、てっこんきんくりーと。なんてユニークなタイトルだろう。
近未来の日本“宝町”を舞台に、そこに生きる親を知らない2人の悪童少年クロ・シロが、不穏な再開発計画に反逆する姿を描く―――。
クロがシロの保護者となり、かつあげやかっぱらいをしながら、助け合って生きてきたふたり。
ある日、昔なじみのヤクザ “ネズミ”が街に戻ってきて、ずっと変わらなくみえた宝町に、再開発という名目の不穏な動きが見え始める。
背後にチラつく謎の男“蛇”の影。
やがて、自分たちの街を守ろうと抵抗を始めたクロとシロにも、冷酷な“蛇”の魔の手が迫るのだった。
『スワロウテイル』や『千と千尋の神隠し』『CASSHERN』『イノセンス』『オネアミスの翼』、日本が近未来や異次元を描くと、猥雑で混沌としたものが多い気がする。
その五月蠅い街並みや、世界観が好きな方には、“宝町”はきっと魅力的な舞台。
ちょっと癖のある絵で描かれた、奇抜な登場人物たち。ありえなさの数々も、意外とダークなところもおもしろい。
子ども騙しに見えて、じつは子どもの彼らが、命がけで悪と闘ったり、自分自身のもうひとつの人格と闘ったりしている、過酷な物語なのだ。
忠誠心とか信頼とか、大事なものをしっかり描いていたりするところも好印象。
ヨゴレと無垢と、並べて描く作品はいい。本編では無垢の代名詞であるシロと、闇の側面を持つクロの、魂からの叫びがともにせめぎ合っている感じがとっても良かった。
クロはシロの為に存在(い)て、シロはクロの為に存在(い)る―――。
切なくもぬるまゆい気持ちになる、異色の良質アニメーションだと思う。
声優さんは有名どころが勢揃い。素人ぽさが、この作品には意外と良かったりする。
平目みたいなシロが、蒼井優の超脱力な声を受けて、すっごく可愛くなってしまうところもグッドなのだ。
シロはずっと女の子だと思って見てたけれど男の子だった! どっちにしろかわいさに変わりなしか。
大人も子どもも楽しめる作品だった。
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監督 マイケル・アリアス
アニメーション制作 STUDIO4℃
原作 松本大洋 『鉄コン筋クリート』
脚本 アンソニー・ワイントラーブ
音楽 Plaid
声 二宮和也 蒼井優 伊勢谷友介 宮藤官九郎 大森南朋
(カラー/111分)