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テーマ:癌(3518)
カテゴリ:抗がん剤治療
先日参加した大腸がんシンポジウムはとても勉強になりました
そこで学んだ内容を少しおさらいしようと思います (講演を聴きながらメモった内容なので少し勘違いしている事もあるかもです) 大腸がんの病期により治療方針は異なる Stage0・1・2 ・・内視鏡or手術により病巣を切除 Stage3 ・・・・・手術 + 術後補助化学療法 Stage4 ・・・・・全身化学療法(可能であれば 原発巣・転移巣の切除) 参考)がんナビに載っていた病期分類 化学療法について 日本で使用できる大腸がんのキードラッグとしては L-OHP・・オキサリプラチン(商品名:エルプラット) CTP-11・・イリノテカン(商品名:カンプト、トポテシン) 5-FU ・・フルオロウラシル(商品名:5-FU) ※5-FUは単剤ではなくLV(ホリナート)と併用する ホリナートは葉酸の活性型誘導体で5-FUの抗腫瘍効果を増強 実際にはホリナートの光学活性体(l体)であるレボホリナートが 効果を示す。欧米ではLV(ホリナート)が使用されるが、日本では l-LV(レボホリナート 商品名:アイソボリン)が使用されている ◎ LV200mg が l-LV100mg と同等です の3剤であり、この3剤をすべて使用することで生存期間の延長が期待できる 主な使用方法(プロトコール) ※使用薬剤は略号と商品名を記載しています ・FOLFOX L-OHP・・エルプラット 5-FU ・・5-FU l-LV ・・アイソボリン の3剤を併用し、2週間に1回 48時間かけて行う 日本では主にFOLFOX4とmFOLFOX6が行われている (外来では簡便なmFOLFOX6が行われる事が多い) ・FOLFIRI CPT-11・・カンプト、トポテシン 5-FU ・・5-FU l-LV ・・アイソボリン の3剤を併用し、2週間に1回 48時間かけて行う 参考)消化器癌の広場 FOLFOX4 FOLFOX6 FOLFIRI 【注意】 リンク先に載っている使用方法は欧米での方法であり 日本で行われている方法とは少し異なります [異なる所] ・日本ではLVではなく、l-LVを使用 l-LVはLVの半量で同等の薬効 ・FOLFOX6が 日本では mFOLFOX6(L-OHPの投与量が 85mg/m2) ・FOLFIRIのCPT-11の投与量は150mg/m2 上記2方法が大腸がんにおける化学療法のメインの方法となります その他には ・IFL CPT-11・5-FU・l-LV の併用 使用する薬剤はFOLFIRIと同じだが、5-FUの持続注射がない 効果としては FOLFIRIの方が高い(5-FUは持続注射した方が良い) (しかし、FOLFIRIの方が5-FUを持続注射するので手足症候群が多い) ※手足症候群とは 手のひらや足の裏に痛みや赤斑などの症状がでる ・LV5FU2 FOLFOX4のL-OHPがないもの 効果はFOLFIRI・FOLFOXより落ちる ・UFT/LV 内服薬での併用療法 ユーエフティ(UFT)とユーゼル(LV)を1日3回服用 4週服用し1週休薬 内服だが、注射のLV5FU2との同等性が示されている ○FOLFOXとFOLFIRIを両方行う事で 生存期間の延長が期待できる ・どちらを先に行っても 同等のである(両方行う事が大切) ・米国では多くの場合FOLFOXを先に行っている FOLFOXで使用するl-OHPの主な副作用は末梢神経毒性なので 生命を左右しない。そのため、FOLFOXを先に行って、下痢の副作用の おきるCTP-11を含むFOLFIRIを後に行った方が体力的に両方実施しやすい のだろうか? 演者の米国医師はFOLFIRIを先に行っている。その理由は、FOLFOXを 先に行うと末梢神経障害(しびれ等)を持ったまま残りの生活を送らないといけない からだそうだ(生活の質の向上) L-OHP(オキサリプラチン)の末梢神経毒性(しびれ等)について ○FOLFOXを行う時にL-OHPの神経毒性が問題となる その神経毒性を軽減するために 少しL-OHPを休む方法もある(OPTIMOX 1) FOLFOX → LV5FU2 → FOLFOX のように L-OHPの神経毒性が現れたら L-OHPを含まない LV5FU2に変更し PD(腫瘍の進行)となった段階で FOLFOXに戻す方法で この方法を行っても ずっとFOLFOXを続けるのと同等の効果がえられた また、L-OHPをしばらく使用しないため、神経毒性が軽減した この方法は、神経毒性(しびれ等)を抑えることで患者のQOL(生活の質)を向上 を目指している。 しかし、いったん中止したL-OHPを再開する事が非常に大切である 今年のASCOでは LV5FU2ではなく 完全に休薬してしまう OPTIMOX2の報告があった ○L-OHPの副作用である神経毒性は L-OHPの投与前後にカルシウムとマグネシウムを 投与することで予防効果が期待できる(現在臨床試験中) ○L-OHPの神経毒性はFOLFOXを10クールほど実施すると グレード2・3程度の症状が約半数ほどにおこる ○L-OHPはアレルギー反応も起きることがある アレルギー反応は初回だけでなくいつでも起こす可能性があるので注意が必要 皮疹、かゆみ、浮腫、顔面紅潮 ・・3.2% ショック、呼吸困難 ・・・・・・・1.1% 実際はもっと多いようにおもわれる 分子標的薬について 米国で標準治療とされている bevacizumab と cetuximab が日本ではまだ未承認である そのため、日本ではFOLFOX・FOLFIRIの治療が終わってしまうと 次に行うものが無い状態である bevacizumab と cetuximab が承認されれば、日本の治療もようやく世界と同レベルに なる事が出来る ≪bevacizumab≫ 米国のガイドラインでは 第一選択の薬剤としてFOLFOXやFOLFIRIと 併用する事を推奨している ≪cetuximab≫ 米国のガイドラインでは 第二・三選択として CPT-11(イリノテカン)との 併用を推奨している 副作用としてニキビのような皮疹がある。この皮疹の発現と薬剤の効果には相関性がある 皮疹ができる=癌にも効いている 参考)NCCN 大腸がんガイドライン お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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