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気管支喘息において、ステロイド薬の内服/筋注が発作の回数や重症度を低下させ、重症例においてステロイド大量静注が著効を示すことは、大昔から知られていた。
昭和の後半か平成に、その吸入薬が開発され、発作の回数や重症度を低下させるために、世界中の呼吸器内科医が投薬したのではないかと思われるほどであった。吸入なら、ステロイドの全身的副作用も回避できる。
ところが、なんと、ほとんど効果が認められないと言って過言ではないほどの評価が大勢を占めた。
ステロイド誘導体分子をラジオアイソトープで標識し、肺シンチで肺内の分布を撮影した。
β刺激剤と同じようなインヘラーの吸い口から吸入されたステロイドは、気管あたりまでに沈着していて、気管支喘息における気道収縮の首座である末梢気道まで達していないことが判明した。
これでは、ステロイドが効果を発揮できないわけである。
そこで、インヘラーの吸い口と口の間に、径10㎝以上ある、プラスチック製の、空気を入れたラグビーボールのようになっているスペーサーを置き、ステロイドをスペーサー内に広く分布させ、それを吸入すると肺内の末梢気道全般に分布することが知られた。
このスペーサーが、世界中に配布されたところで、気管支喘息における吸入ステロイド療法の明確な有効性は、ようやく確認された。
その後、スペーサーは、かなり小型のものでも有効であることが判明した。
その後、吸入薬が適切な微小粉末を固めたもので、それを潰して吸入するディスクヘイラーという吸入方式とすれば良いこととなって、スペーサーは不要となった。
また、タービュヘイラーというインヘラーも、スペーサー不要であった。
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