映画『パフューム　ある人殺しの物語』

　　　

　　製作年度　　　 2006年
　　製作国・地域 　ドイツ/フランス/スペイン
　　上映時間　　 　147分
　　監督 　　　　　トム・ティクヴァ
　　原作 　　　　　パトリック・ジュースキント
　　脚本 　　　　　トム・ティクヴァ 、アンドリュー・バーキン 、ベルント・アイヒンガー
　　出演　　　　　 ベン・ウィショー 、ダスティン・ホフマン 、アラン・リックマン 、レイチェル・ハード＝ウッド
　　　　　　　　　　アンドレス・エレーラ 、サイモン・チャンドラー 、デヴィッド・コールダー 、カロリーネ・ヘルフルト
　　音楽 　　　　　トム・ティクヴァ 、ジョニー・クリメック 、ラインホルト・ハイル


【あらすじ】
18世紀のパリ、悪臭のたちこめる魚市場で産み落とされたジャン＝バティスト・グルヌイユ（ベン・ウィショー）。驚異的な嗅覚を持つがゆえに、奇怪な青年として周囲に疎まれている彼は、ある晩、芳しい香りの少女に夢中になり、誤って殺してしまう。その後、彼は少女の香りを求めて調香師になり、香水作りに没頭するが……。 （シネマトゥデイより抜粋）

昨日、久々に映画を見て来ました♪
「パフューム」っていうからには、『香水』に関係した映画なんですよねぇ。
映画見る前から、「匂い」をどんな風に表現するんだろうか？って、とても興味深々で～。
だって、画面から匂いは出ないですもんね。

と、そんな心配はよそに、映画撮影の手法により、匂いの心配はなくなりました。
とにかく、主人公は鼻が利くんです。
それも、母親のお腹から生れ落ちた瞬間からね。

鼻が匂いを吸い込むと、目を閉じていてもそれがどこから来て、どこへ繋がってる匂いなのか映像が追っていくんです。
遠くの水の中の匂いまで判るっていうんだから、犬の臭覚なんて目じゃない！

腐った魚がテンコ盛りの酷い環境の地べたに産み落とされたジャン＝バティスト・グルヌイユ。
普通なら命を落としてるでしょうねぇ。
だって、生んだお母さんは、魚の臓物と一緒に捨てようと思ってたんだから。。
でも、匂いを嗅ぎ分ける類まれな才能で。。
臭い匂いだったんだろうねぇ。大声で泣いたんです。
それを道行く人が気付いて、お母さんは「子殺し」（過去にも数人の自分の子を殺している）で絞首台行きに。
その後、彼を売り払ったり手放したりする者には、必ず「死」が訪れる。。っていうのも不気味でした～。

究極の香水を作る為に、ドンドン美人を無造作に殺害していくグルヌイエ。
彼に罪悪感は全くない。
そして、性的欲求をも超越した香水作りへの執念と情熱。
そんな彼自身に「体臭がない」というのも皮肉な話です。
彼の存在がない。という事なんですね。
人は誰でも「その人の匂い」を持っています。
が、彼にはない。

自分の存在を認めて欲しい。。
そんな欲求が「究極の香水」へと傾倒していったんですね。

果たして、究極の香水は作られた。
13人の美女の犠牲をもって。

彼の罪が暴かれ、絞首台へと送られるとき、彼の香水は人々を魅了する。
誰もが彼に暖かい目を向け、慈悲を求め、許し、破廉恥になる。

でも、彼は。。最後まで孤独だった。

主人公のグルヌイエのセリフが極端に少ない。
匂いが友達ですから、人との会話は必要最小限。
だから、演技としては難しかったと思います。
でも、セリフがなくても。。いや、なかった方がグルヌイエの心情が伝わって来たと思う。

香水の先生は、ダスティン・ホフマンが演じてました。
さすが！だよね～。
見ていて安心出来る役者さんです。
香水の成分を調べる時の一連の手さばきが見事！でした。

そして、グルヌイエに娘を殺されるスネイプ先生。。
って、それはハリー・ポッターでの役名でした。
アラン・リックマンも映画を締めるのにいい味出してましたよ。

何人もの人が裸になって抱き合うシーンは、近年の映画にないエロさでした。
老いも若きも、男同士、女同士。。関係なく入り乱れてました。
ヘアーも見えてる～。凄いな～。シラフでは、撮影出来ないのでは？

そして！究極のラストシーン。
それでも、何も変わらず最低の生活をしている人々の普通さにビックリ！

「パフューム」というタイトルだけ聞くと、華やかなパリの貴族世界～♪
を想像してしまいますが、映画はそんな世界とは無縁でした。
華やかさの裏のダークさを見せ付けられた映画だったな～って思います。