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2008/03/12
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野村万作・萬斎 狂言公演 3/8びわ湖ホール


  ◆独・素狂言   「柑子」     野村萬斎


[あらすじ]
 主人から預かった貰い物の三つなりの柑子(みかんの一種)を持ってくるようにいいつかった太郎冠者。
 しかし、すでに食べてしまったので言い訳をはじめる。
 ひとつは槍に結んでおいたのが落ちたので食べ、もうひとつは懐にいれておいたら、
 潰れたので食べた。
 残りのひとつは、俊寛僧都の島流しの話を主人に聞かせ、三人で流されたのに一人だけ残された
 俊寛と一つ残った柑子の思いは同じだろうといって、主人をしんみりさせるが、
 最後のひとつも自分の「六波羅(腹)に納めた」と白状して、叱られる。



独・素狂言。。お座布団に座ったまま、噺家さんのようにひとりで狂言を演じる萬斎さん。
さっきまで、その同じスタイル(座布団に鎮座)で枕(解説)をしていた。
「主人が太郎冠者を呼びつける所から始まります。」
と、いうなり、急に声音が変わって。

「太郎冠者おるか」

始まった!あぁ。萬斎さんの狂言仕様の声の出し方だ。
柑子の登場人物は「主人」と「太郎冠者」の二人。
萬斎さんが右を向いたり、左を向いたりして二人を演じ分けていく。
(あ!目が合った!・・などと、時折、バカげたヲタFAN心理が働き、赤面せし)

お話はいたって簡単だけども、いつものように舞台上での動きがない分、
見ている側の想像力はいつも以上に働かさないといけないと思ったよ。

しかし。。舞台上には、萬斎さんひとり。。
萬斎さんだけを見ていればいいわけで。。(爆) ヲタには嬉しい「独・素狂言」也!
(おぅ!ちらりと見える白い腕がなんとも。。)

動きがないと言っても、柑子の皮を剥いて食べる仕草や、食べた後の舌鼓の音。
果ては、主人に悲しい物語を謡(ええ声~~でしたよ♪)で聞かせた後の「泣き」の型など、
見所は萬斎(満載ともいう)の独・素狂言でした。


柑子のオチの部分の補足をしますと。。
平家物語の中に俊寛僧都が島流しになったお話があります。
三人で流されて、その後、俊寛を除く二人は赦されたのに、俊寛はそのまま島に留め置かれたという、
悲しいお話。
その話と、ひとつ残った柑子とどういう関係があるのか?と主人が問うと、
「一つ残った柑子も俊寛と同じ無念の思いをするだろうと思って、自分の六波羅(腹)に納めた」
と言うのですが、六波羅(平家の邸宅)=平家物語とかけているという事です。


萬斎さんが深々とお辞儀をして、独・素狂言が終わった。
もちろん。会場は拍手喝采~~で萬斎さんを送る。
いやん。萬斎さん~。もうご退場なの~(泣) もっと、見ていたいなぁ。
しかし。。鞍馬天狗の「く」の字も感じないな~。ホントに同じ人なのか?


一瞬、舞台も会場も暗くなる。
その時に、上にあった提灯や「びわ湖狂言」と掲げられた物が天井に上がっていって、消える。
再び、岡さんが登場し、「めくり」(落語の式次第は“めくり”という名称なんですね。Wiki調べ)
をめくる(洒落みたいやね~)
めくりには「狂言 鏡男」の文字が。



  ◆狂言   「鏡男」
         夫:野村万之介   鏡売り:高野和憲    妻:石田幸雄
                               後見:深田博冶


[あらすじ]
 都での訴訟がやっと片付き、長い間在京していた男が故郷の越後国の松の山家へ帰れる事になった。
 長らく待たせた妻のために、都の土産にと高額の鏡を買い求めた。
 途中で鏡を取り出してみてみると、中に誰かが居る!
 驚きながらもいろいろ試しているうちに、ようやく自分の顔が映っていることを理解する。
 男が無事に家に帰りつくと、妻が大喜びで男を迎えたのだが、土産の鏡を渡されると。。


再び、舞台も会場も明るさを取り戻すと、左袖から夫の万之介さんが登場~~。
いや~。お元気そうだわ。歩いているだけなのに、飄々とした雰囲気が出てるぞ。
お役目が終わって、故郷に帰れるのが心底嬉しそうだ。

鏡売りのタカノンは、舞台中央奥の襖が開いての登場~~。
ひゃ~~。衣装は最近たくさん新調されたとどこかで聞きましたが、これがそうなのかな?
綺麗~~なレモンイエローの裃です。タカノンによく似合ってる。

鏡を手渡されて、鏡を見る万之介さん。
「ほぉ~。これまた、ええ細工ですな~」
(つきうさ現代訳です。それも関西弁で!落語会みたいなもんですからね)
「ちゃいますがな!それ裏でっせ!こっち、みるんや!」
鏡売りにそう言われて、表の鏡にうつる自分の顔にビックリ仰天の万之介さん。
初めて「鏡」なるものを見た人って、本当にこんなリアクションなのかもね。

あれこれ説明を受けて、鏡とはどういうものなのかをようやく理解して、「こりゃ妻も喜ぶだろう」と土産に買います。

タカノンが退場したのをきっかけに、襖と壁が舞台上部に上がっていって、スクリーンが登場~~。
青空に雲がフワリフワリと浮いて流れている柔らかい映像が映ってた。
松の山家が近づくと山がそのスクリーンに現れるという演出。
色合いも夕暮れになったりして、なかなかの懲りようでした。


夫が家に到着すると、妻(石田さん)が暖かく出迎えてくれます。
そして、スクリーンには格子の丸窓が現れました。
夫は早速、妻に鏡を渡すのですが。。

妻のリアクションは、最初、夫が鏡売りに対してしたのと同じ。
まずは裏の細工を褒める褒める(笑)

んでもって、夫はシタリ顔で「それは裏やがな~~」と教えてやるんですねぇ。
さっきまで、自分も同じ事してたのに、偉そう~~に言うところが面白い♪

そして!妻が鏡を表に向けて覗くと。。
スクリーンに映ってた格子の丸窓が!
突如、鏡に変身し、妻役の石田さんの顔が大映りにぃ~~!
うは~~。なんと!こんな演出ありでっか?!
おもろいやんか~。(まんちゃんなら、なお良し!と、一瞬想う)

我が顔を見た時の妻の反応とは。。
「女がいる! さては、女を連れ帰ったか~~。」
と、半狂乱~(爆笑~)

「落ち着け~~。それはお前の顔やがな~。ほれ、こうしてワシも一緒に映るやろ~?」
と、夫が並んで鏡に映る。

今度は、万之介氏も石田さんに並んで、後ろのスクリーンに映るけれど。。
鏡に付いたアンテナの調子が悪いのか。。キャッチする映像の方が悪いのか。。
スクリーンの丸窓がガーガーになってますよ~。

夫と並んだ自分の顔を見ても、「憎らしや~。お前さまとこんなにくっついてーー!」
と、再激怒!
もう、こうなったら、どうにもこうにもなりませんな。

夫が「ほんな事言うんやったら、他の奴にやるわ!」と、鏡を取り上げたら、
「女をどこに連れていくんや~~!」と、夫の後を追いかけて終わりました。

ってか、あの後、どうなるんやろな~。なんて、変な心配しちゃったわ。
石田さんのマジな怒りっぷりも笑えますけど、夫の万之介さんの必死の説明も面白かった。

今でも通じる話ですよね。
「よかれ」と思ってした事が、全て裏目に出てしまう。
「喜ぶだろうな~」と思ったのに、いらぬ詮索をされてしまう。

お互い、愛があるのに交わらないでクロスするだけ。う~む。考えさせられるな~~。
演出がね。良かったよ。劇場ならではの狂言ですね。
演者の所作やセリフだけでも充分に楽しめる狂言ですが、視覚的に飛び込んでくる演出によって、
より深い印象を与えてくれる。
狂言って本当に面白いよね~。って、スッと素直に思う。

でもでも。「能楽堂で狂言や能を楽しみたい」そんな気持ちも芽生えるワタクシでした。

タカノンには、レモンイエローが良く似合う♪
万之介さんは、お元気で闊達だった。
石田さんは。。安心して見ていられる。

みなさん。いい狂言師です。(偉そうに、すみません。。)


ここで、20分の休憩が。。
再び、岡さんが登場され、「めくり」をめくる(爆)
すると、赤文字で「中入り」の文字が!
あはは~~。確かに!休憩は「中入り」と申しますな。

舞台には、再び提灯と「びわ湖狂言」の文字と襖が降りて来ました。
がっ!この時、途中で襖2枚が落下!
「ガタン。。ガタタン!」

おいおい。。なんや、なんや。落ちたんかいな~。
トイレ休憩に立つ観客たちから、さざ波のような笑いが広がる。。

うふふ。。とんだアクシデントだけど、落語風狂言会には相応しいかも。。
しかし。。狂言の途中で落ちなくて良かったね~~。
演者に当たりでもしたら大変だよ~。

っていうか、今日、万作家は新潟で同じ内容の狂言を公演されてるんだけども。。
地震ありましたよね。6時ごろ。。
襖。。落ちてなかったらいいんだけど。。。

もうひとつの「狂言 骨皮」のレポは明日にでもUPさせてもらいます。
イカン。。記憶が薄れていく~~~。
このレポも一緒に行った娘に確認しながらの作業でやんす。。
娘よ、ありがとう~。そなたの記憶力だけが頼りでござるよ。






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最終更新日  2008/03/12 09:07:08 PM
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