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2005年06月14日
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テーマ:ニュース(100222)
カテゴリ:歴史と教育

和


 とうとう読売新聞までが・・・

青山学院高等部、元ひめゆり学徒に「退屈」問題を謝罪(読売新聞 2005年6月13日20時32分)
 私立青山学院高等部(東京都渋谷区)が今春の入試で沖縄戦の元ひめゆり学徒の証言を「退屈」とする英文を出題した問題で、高等部の大村修文(ただふみ)部長は13日、問題作成にかかわった教諭らとともに沖縄県糸満市のひめゆり平和祈念資料館を訪れ、元学徒らに謝罪した。

 面談は非公開で、本村つる館長(80)によると、大村部長らは「歴史を語り継ぐことの大切さと難しさを表したかった。元学徒を侮辱するつもりはなく、認識が浅かったことをおわびします」と頭を下げた。

 元学徒たちからは「言葉にならないほどショックを受けた」「反響がなければ気づかなかったのか」との感想や質問が出た。教諭の1人は「平和を教えようと教師になったが、本当は何もわかっていなかった」と涙を流したという。

 本村館長は「次世代に戦争体験をどう語り継ぐのか、見つめ直すきっかけになった。今回のことを前向きにとらえたい」と話した。

 問題の英文は、修学旅行で沖縄を訪れた生徒の感想文という形で、「正直に言うと彼女の証言は退屈で、私は飽きてしまった。彼女が話せば話すほど、洞窟で受けた強い印象を忘れてしまった」などとしていた。
 試験問題の和訳まで作って歪曲報道が広がらないようにしようと思っていた私としては、この記事を読んでとても“いや~な気分”になった。

 「歴史を語り継ぐことの大切さと難しさを表したかった。」あの試験問題は、まさにそう読めた。そうでなく読む人は、少なくとも戦後世代では少ないと思う。

 「元学徒を侮辱するつもりはなく、」私もその明確な意図はなかったと思う。少なくとも悪意で書いたのではない。

 「認識が浅かったことをおわびします。」おそらく高度成長期以降に生れた世代に“深い認識”は不可能である。ほぼ昭和40年代前半を境にして、生活様式も精神構造もがらっと違う日本になってしまった。あの前後で“違う国”だと言ってもいいくらいである。時代はそれほど変わってしまった。元ひめゆり学徒を、日本人の顔をした外国人が見ているというのが現実である。

 「言葉にならないほどショックを受けた。」たぶん新聞の歪曲報道を見たときはひどいショックだったと思う。私はあの歪曲記事をみて、「くだらねぇ、60年も経っているのにババアがまだ昔のことほざいてるぜ。」みたいな不良少年が登場しているのかと思った。 失礼!m(_ _)m

 「反響がなければ気づかなかったのか。」この内容の文章なら、戦後に生れた本土育ちの人間は気づかないだろうと思う。それだけ時代も環境も違っているのである。ひめゆり入試問題の歪曲報道で指摘したように、あの試験問題は彼女たちの活動の正しさにそれなりに配慮した文章になっている。(それでも不足ということなのだろうが。)

 実際の面談の雰囲気は不明なので確言するわけにはいかないのだが、なぜ元ひめゆり学徒たちは教諭の1人(たぶん問題作成者ではないかと思うが) 泣かせなければならないの? これって中国人の洗脳教育ですか? よかったですね、魂の脱けた虚ろな目をした平和主義者がもう一人増えて。。。もちろん事情は全く違うのだろうが、この記事を読んで私はそんな気分にさせられた。

 私は、元ひめゆり学徒からみれば事情は全く違うのを百も承知でこう書いているわけだが、このような面談の形(あるいは新聞記事でそう思えただけ?)になると、戦後生まれの本土育ちの人間からはそういう反応が出てくることもあり得るのだということをここに記しておきたい。

 本村館長は「次世代に戦争体験をどう語り継ぐのか、見つめ直すきっかけになった。今回のことを前向きにとらえたい」ということだから、彼女たちの行動が無駄にならないために敢えて書かせていただいた。彼女たちの必死の異議申し立てが、彼女たちの意図とはまったく関係なしに、まったく別のメッセージになってしまう可能性があるのだ。我々はこの面談について真実を知らず、新聞記事を通してセカンドハンドの情報を得ているにすぎないのである。これは、件の入試問題が問いかけていることでもある。


 私は彼女たちのショック反応もある程度は理解できるので、それについては容認したい。自分の隣で自分の友達が殺されていくのを経験しているのだから、その思いは尋常ではない。少しでも「退屈だ」などと書かれていたら自分たちの行為が、さらに言えば自分たちの人生が無に帰してしまったようでひどいショックだろう。だが、戦後生まれの沖縄人(つまり完全な実体験をしたのではない人々)は、できるだけ彼らを責めないでほしい。青山学院高等部の人々は彼らなりに真面目に伝え方を考えていたのである。彼らの善意をできるだけ汲み取ってやってほしい。

 ましてや何の関係もない人が正義づらをして彼らを責めることには大反対である。おそらくろくに原文も読まない正義づらをした連中から青山学院高等部に膨大な量の非難やいやがらせの電話・手紙・FAXが届いているのであろうが、この責任は朝日新聞と毎日新聞の歪曲報道にある。私をいや~な気分にさせた諸悪の根源は、ここにある。わざわざ一部をあげつらって無用な騒動を起こすとは。尻馬に乗ってしまう読売新聞も情けないが。(;´д`)


 きっと関係者の何人かはストレスで病気になるだろう。

ペンは人を殺すこともあるのだ。


新聞社はそういうことをちゃんと自覚しているのだろうか? こんな小さなブログで騒いでいるのとは桁違いの、巨大な社会的影響力が新聞社にはあるのだ。私が新聞社だったら、入試問題の原文と訳文を新聞に掲載して、真実を広く世間に周知してやりたいくらいだ。

〔追記〕
 これを書いて一晩寝て、読売新聞朝刊の掲載されていた記事をみると、もう慣れてしまったのか、最後の一段落(これだけだとほとんど歪曲報道としかいえない部分)が脱けていたせいか、あるいは紙面で読んだせいか、あまり悪意があるようには感じなかった。じつに微妙な問題である。





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〔関連ブログ記事〕
沖縄戦(SILENT FLEET 2005年6月13日)
ひめゆり学徒の体験談(七詩さんのHP 2005年06月14日)

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最終更新日  2005年06月14日 16時13分30秒
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