大宮フレンド応援日記

私が中学三年生になりたての頃、
バッティングが不調でいろいろと悩んでいた。
当時は、自分なりの考えで、小学生時代にテレビで見ていた
大洋ホエールズの近藤和彦選手の“天秤打法”を参考に
バットを寝かせて構えるフォームで打っていた。
この打ち方なら早いボールを捉えられると思い込んでいた。

中学三年時の春の大会が終わった直後、
栃木県の作新学院野球部の山本監督が練習を見学にいらした。
当時の私の中学野球部の監督と作新学院の山本監督が
大学時代の野球部同期という関係で
忙しい合間を縫って表敬訪問に来てくれた。
山本監督は、現野球評論家の江川卓氏が
“怪物”と言われた作新学院時代の監督さんで
江川投手を育て作新学院の名前を全国に轟かせた名将だ。

この山本監督がバッティングゲージの後ろで
自分のフリーバッティングを見てくれている。
そう思うだけで緊張し、要らぬ力が入ってしまって
上手く打てない。ただでさえ不調なのに。
焦れば焦るほど上手く打てなかった。

自分の持ち時間が終わると山本監督に呼ばれ指示を受けた。

「その打ち方では低めのボールが打てないでしょ？
　バットを垂直に立てて構えて打つと
　低目のボールが打てるようになるよ。
　それと打つ準備をもっと早くした方がいいね。
　グリップを高く上げてね、
　最初からテイクバックのトップの位置で構えてごらん。」

このバッティングフォームに修正して実際に打ってみると
今までの不調がウソのように打てるようになった。
これまでは高めのストレートを右方向にしか打てなかったが
三遊間方向に強い打球を打てるようになり
苦手だった変化球にも対応できるようになった。
まさに“目から鱗”
この日以来苦痛だったバッティングが楽しくなり
まるで監督さんに魔法をかけられたような思いだった。

個々の特性を見極め、分かりやすくわずかな言葉で
選手の欠点に修正を施し技術を高めて行く。
これが指導者のあるべき姿だと思う。
どこをどうすれば良くなるのか？
指導者は見極める眼力を養わなければならない。
コーチの皆さん、頑張りましょう。