|
カテゴリ:カテゴリ未分類
予定通り朝一番のオペ。 ストレッチャーで運ばれていった遠い記憶しかない私。 何回かオペしてるはずだけど、確か処置室で点滴を挿してからストレッチャーに乗せて…あれって乳児だったからなのかな… 歩ける患者は自分の足で手術室に向かう…常識なのか… 手術室の前はスゴイ混み様で、入り口でオペ用のキャップを被らされるのが大きくて、思わず笑っちゃったけど、手を振って離れて、奥に消えていった時は、きっと彼も不安だったに違いない。
手術室入り口まで付き添う患者の家族の声が、 あんなにちっちゃいのにね~ って遠くから聞こえたけれど、それが彼の生きる道なのだと もう一度、間違ってはいないと、言いたかった。
ドラマのようにオペ室の前で待つことはなく、病棟前のベンチスペースで呼ばれるのを待つ。予定は1時間半くらい。 窓からドクターヘリが見えた。今から飛ぶところなのかは分からなかったが、朝日に照らされてヘリポートの門が開いている。
そもそもどうしても必要な手術なのかと聞かれると、したほうが良いだけであって、したからと言って無呼吸が改善されるとか、そこまで期待はできない状態だった。 そしてオペでアデノイドを取ったからといっても、再び増殖する可能性もあるわけで、一時しのぎの対処として切除することにしたようなものだ。 とにかくやらないで無呼吸状態でいることは良くないから、やってみましょう、そんな感じなのだ。麻酔科は麻酔科で非常に稀なケースなので、オペ前の麻酔の段階で、麻酔の方法が変わるかもしれない、気管切開もありうる、そう言った。 ヘリが飛んでいった。 そうしている間に大きな荷物を持った、今日入院の子が何組か病棟に入っていく。そんなに予定のオペをする子どもがいるなんて、健康ってありがたいとしみじみと思う。1時間半経ったがまだ呼ばれない。あとからオペ室に入った乳児が先にベッドで戻ってくる。お腹を開いたりするオペじゃないから簡単だろうな…って思っていたから余計に挿管できなくて気切したかな~…と不安にもなり…。
2時間半近くたってようやく呼ばれ、手術室で迎えると、ベッドの上で横になって麻酔から覚めて、声にならない声で泣いているいっちゃんねるがいた。執刀医は、思ったよりも大きくて時間がかかりましたが、全部とりました、予定通り、挿管して呼吸管理し、呼吸も安定している、後でまた病室にいきます、と言った。
良かった、悪いことになっていなくて。
病室に戻るとまた患者が増えていた。 看護士は携帯酸素を付け替え、酸素を3リットル流すと言った。他に何もない。サチュレーションとか、いらないんですか?って聞いたら、普通の患者さんはつけないんですよ、って言いながら、しぶしぶどこかから持ってきてつけたけど、ふと見ると、彼の左手に点滴が入っている…すかさず、利き手が左だと言うと、点滴の予定は三日間だけど、今日は絶食、明日から重湯程度になる、食事の時は介助すると言った。 こちらから言わないとあえて余計なことはしないような印象だった。 何はともあれ、わが子は無事乗り切ったわけで、それだけでも十分だった。ただ、のど渇いた、頭が痛い、と訴えるのを見るのは辛かった。頭が痛くなるのは個人差があるらしいが、放散痛と言って、今まであったものがなくなったわけで、どこかがすっきりとして空間が出来たときに響いたり痛いと感じるらしい。高い山に登った時に気圧の関係で耳や頭が痛くなるような感じの痛みらしい。 泣くので鼻水が出る。それに血が混じる。それが次第に鼻血に変わり、本人がびびって余計に泣く。悪循環。見兼ねて看護士を呼ぶと、鼻にティッシュを詰めておけ、と。 隣のベッドの子の母親が見えた。酸素してるし、点滴してるし、ぐったりしたいっちゃんねるを見て、どうしたのと聞く。昨日までピンピンして、飛んで跳ね回っていたのだから無理もない。 こうなることは私は分かっていた、が、そんなの見るのが初めての人は、ビックリもするだろう。 その日のおやつはアイスクリームで、周りの子がアイスを食べているのを見たら、また悲しくなってしまったようだ。小さな声で泣きながら眠ってしまった。お騒がせしてすみません。きっと明日には良くなるでしょうから、今日のところは本当に許してくださいと頭を下げた。 日が暮れて目を覚まし、我に返った彼はまだ自分の置かれている状況に納得できずに泣いている。頭痛いよ、のど渇いたよ、その繰り返し。よだれが飲み込めずに垂れ流しになる。トイレはサチュレーションを外し、点滴を引いて行く。
あんまり泣いて誤嚥したのか、気切孔から血が出てきた。
気切孔に流れ込んだ血がそこで固まって呼吸困難で亡くなった、というニュースがパーッと頭を巡り、慌ててナースコール。吸引機を用意してもらうが、本人が拒否る。痛がるので痛み止めの坐薬を入れてもらうことにした。
しばらくして執刀医がやってきて、24時間以内の出血は通常のものだと説明し(それは聞いていたからこちらは心配はしていなかったが、)気管は大丈夫だが挿管したので腫れがあるかもしれないと言った。 その夜は時間いっぱいいてあげた。夕食の時間はカーテンを引いて周りが見えないようにしておいた。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
January 2, 2010 12:31:07 AM
コメント(0) | コメントを書く |
|