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profile:山本ふみこ
随筆家。1958年北海道生まれ。つれあいと娘3人との5人暮らし。ふだんの生活をさりげなく描いたエッセイで読者の支持を集める。著書に『片づけたがり』 『おいしい くふう たのしい くふう 』、『こぎれい、こざっぱり』、『人づきあい学習帖』、『親がしてやれることなんて、ほんの少し』(ともにオレンジページ)、『家族のさじかげん』(家の光協会)など。

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2009/04/28
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カテゴリ:生活

◆ 八十八夜



 立春から数えて「八十八日め」にあたる日、これが八十八夜だ。ことしは5月2 日。春から夏にうつりかわる節目、夏の準備をはじめる日という意味もある。
 気候も安定して、霜の心配もなくなるから、茶摘みや苗代(なわしろ)のもみまきができる、という目安の日でもある。
 しかしその一方で、「八十八夜の忘れ霜」、「さつき寒」ということばもあるそうだ。急に気温が下がることだってないとは限らない、まだまだ油断はできない、という戒めも含む節目。



  夏も近づく八十八夜 〜♪



 というこの歌が、茶摘みと八十八夜とを、ぎゅっと結びつけたともいえそうだけれども、年に一度こんな日を、お茶に思いを寄せ感謝する日にしたい。こころからそう想う。
 どれほど、日日お茶によって和ませてもらい、ことを区切って———うまくいかなさや、失敗や、疲弊(ひへい)感から———もらってきたかを想いたい、と。
 だけど、どうすれば、お茶を労(ねぎら)い、感謝をあらわせるのか。
 ———お茶にお茶を……、いれてあげる?



◆ 端午の節句



 正月。七草。鏡開き。節分。ひな祭り。そうして新学期の準備。
 年が明けるや、引きも切らずに……。やっとひと息つけそうだ。



 ひと息つけそうだ、などと呑気なことが言えるのも、うちに男の子がいないからだ。端午の節句ばかりは、ちょっと呑気にかまえている。
 鯉のぼりを上げたこともない。
 ———鯉のぼりかあ。
 などと、わざとのんびりつぶやき、つぶやき、端午の節句へのあこがれを募(つの)らせている。よその家の庭や、マンションのベランダに鯉のぼりをみつけるたび、こころのなかで叫ぶ。
 ———おーい、君。いい男になっておくれ〜。
 ———好きなように生きていいんだよぉ〜。
 大きなお世話である、まったくのところ。
 けれども、ほら。
 いい男っていうのがどういうものかと、好きなように生きるというのがどういうことかと考えながら生きていくのはいいでしょう? 勉強のことでもなく、学校(幼稚園、保育園)生活のことでもなく、習い事やスポーツのことでもなく、ひとの軸のことをさ、言ってあげたくって。



 さて。
 とはいえ、わたしたちも、5月5日に、たのしみにしていることがふたつある。
 ひとつは菖蒲湯。
 菖蒲の葉には、ほんとうに浄められる。これを忘れると、あわてる。ある年、菖蒲の葉をもとめ忘れて、当日の夕方、あちらの店、こちらの店でさがすもすでに売り切れ、手にすることができなかったことがある。にらを手にして、しょんぼりつぶやく。
 ———これじゃ、だめ、だ、よ、ね。



 もうひとつは、ちまき。
 これは、元は男の子だったつれあいに供する気持ちでこしらえる。辛党だから、笹の葉のなかみは中華おこわだ。この中華ちまきを食卓にならべておくと、
 ———おつ、うれし。
 と、おじさんの目が、一瞬、男の子のものになる。



〈中華ちまき〉 
材料( もち米3合分)
 もち米……………………………………………………………3カップ
 豚うす切り肉(細切り)…………………………………………150g
 干しえび(みじん切り)…………………………………………適宜
 茹でたけのこ(細かくきざむ)…………………………………100g
 れんこん(うすい半月切りを、さらに細くきざむ)…………100g
 干ししいたけ(もどして細かくきざむ。もどし汁も使う)…4枚
 長ねぎ(小口切り)………………………………………………1本
 サラダ油………………………………………………………大さじ3
 調味料(A)
  酒……………………………………………………………大さじ2
     みりん………………………………………………………大さじ1
     しょうゆ……………………………………………………大さじ3
    塩……………………………………………………………小さじ1
   紹興酒、五香粉(ともに、あれば)…………それぞれ、少しずつ 
 笹の葉(アルミ箔でも、竹の皮でも)…………………………適宜



準備   
・もち米を洗ってカップ1杯の水につけておく(2時間はつけたい)。
・干ししいたけを水でもどしておく(2時間はつけたい)。
・笹の葉を水につけておく(ひと晩つけておく)。



つくり方
① フライパンにサラダ油を熱し、豚肉を入れて炒める。つづいて、ねぎ以外の具を入れて炒める。
② しいたけのもどし汁と、調味料(A)を加えて、さっと煮る。
③さいごに紹興酒と五香粉と長ねぎを加えて、煮る。
④全体が煮えたら火を止め、さましてざるに上げる。煮汁はボウルに受ける。
⑤準備しておいたもち米を鍋に入れ、ボウルに受けておいた煮汁を加えて、水加減する(いつものご飯と同じか、やや少なめの水加減)。
⑥鍋を中火にかけ、煮立ったら素早く具を入れて、弱火で12〜13分炊き上げる。
⑦これを、笹の葉で包む。このたびばかりは、ちまきを意識して、なるべく細長く包む。笹に場合は60〜70gのご飯を包む。



※ いろいろなつくり方があると思いますが、わたしは、これ一辺倒です。先輩編集者からおそわってから、25年間ずっと。冷凍にも向きます。朝、これを冷凍庫からとり出すと、昼までには、自然解凍されています。



1
中華ちまき用に、笹の葉を常備しています。
いい香り、いい手触り。
200枚2,000円ちょっと+送料というくらいで、
もとめることができます。




2
中華おこわが炊きあがりました。
簡単に、おいしく炊けます。




3
中華おこわを、笹の葉で包みました。
おこわ、1個60〜70gくらいです。
葉の先を、葉を縦にさいたものをひもにして、しばります。
おむすびを包む竹の皮を細めに切って包んでもいいのです。







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最終更新日  2009/04/28 10:00:00 AM
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