2つの甲子園のこと。特に俳句甲子園について
苫小牧高校の問題が決着してみんなホッとしたのではないだろうか。優勝旗返還になったら可哀想と思っていた。しかし、明徳義塾高校のことを考えると少し甘いかも…スポーツ有名校はすべてがスポーツ優先になり、日常に生活も寮生活になるそうだ。一つのことに打ち込むのは将来生きてゆくために有意義な面もあろう。反面、青年期を1つの価値観で縛られて自分が育たない気もする。しかし、放課後の部活動ぐらいでは甲子園には行けない現状なのだろう。ところでもう一つの甲子園がある。松山市青年会議所主催の俳句甲子園である。松岡子規にゆかりの土地での開催は意義がある。今年で8回目。8月19,20,21日に開催された。団体戦は地方予選で優勝、準優勝したチーム(1チーム同一高校5名)36チームで闘われた。決勝第一次の兼題は薄、第二次は南風。決勝は開成高校と茨城の下館第一高校で行われた。各校の先鋒、次鋒、中将、副将、大将の句を審査員が判定して勝敗を決める。今回は開成高校が3対2で優勝した。月並みな句でなく、若者らしい新鮮な句である。現代人の息吹がする。若者の俳句離れが叫ばれているが彼らがこのまま俳句を続ければ凄い戦力になるだろう。開成高校の大将の句「寒月や標本の鮫牙を剥く」着眼点が素晴らしい。現代詩のような感覚だ。団体戦のほか個人の句も選ばれる。最優秀賞は「土星より薄に届く着信音」これまた現代そのものも句で感服。優秀賞「じりじりとぜんぶ夏野になってゆく」「風死して岡本太郎の塔歪む」「廃棄図書印押して紙魚つぶしけり」など鋭い感覚だ。今回の選者は新しい俳句を選ぶ方のようだ。いわゆる俳句~花鳥諷詠の句が俳句と思っている方には難しいかもしれない。今は江戸時代とは違う。新しい感覚の句の良さを味わっては如何かな!