円高にメリットも
着物に使う生糸が高騰しているのはご存知だと思います。二、三ヶ月前で丁度倍になったそうです。一反の反物に使う生糸は約1キロ、それが織り上がって精錬されると700gを越えた辺りになります。ずっと1キロ3,000円を維持していたの6,000となっている訳です。染に使う白生地はそのまま3,000円の値上がりとなっています。工房でも、新規の仕入れからは同じく3,000円上がっています。一時ガソリンも安定した価格になっていましたが、ここ暫く値上がりしています。「円高なのになんでや」という感じですね。小麦粉も凄い値上がりだそうで、相場に興味ある人から聞きました。世界的に不況で投資家がこれらの先物取引に金を集中しているからだそうです。それに輪をかけているのが、中国のインフレ。自国の景気向上によって需要が高まり、輸出に回せないのが値上がりを助長している様です。我らは生糸に付いては敏感ですが、綿糸に付いても同じ事で、国内需要で輸出が制限まではしていないけれど、可成り減ってきた様です。綿布ではハンカチ用に仕入れていた品質が高く日本製ながら割安だった生地も生産が中止になりました。手ぬぐい用の生地もこれから仕入れるのは二回目の値上がりになります。一回目は販売価格を抑えていましたが、二度目の今回は販売価格に転嫁せざるを得ない様です。ところがです。よく考えると、円高だからこそこの値上がりで済んでいるんですね。普通だったら凄い値上がりになります。助かっているんですね。メリットもある訳なんですが、だれもその事を言いませんね。不思議です。ヨーロッパの不況も言わば産業の空洞化が招いたとも言えます。ドルをばらまいて物を買いあさったアメリカも落日模様。安い工賃を求めて、今や中国に産業が移転してしまったのだから。中国の繁栄とリンクしている様です。