行け、野郎、撃て!
「マカロニ・ウエスタン傑作映画DVDコレクション」は昨年4月14日(木)に創刊号「荒野の用心棒」が発売されてちょうど1年が経ちました。 最新号の第27号は「キラー・キッド」と「行け、野郎、撃て!」の2作品。 DVDはこれで53枚になり、来年4月までの全51号予定なので、あと24号、48作品です。「行け、野郎、撃て!」(1972) ANDA MUCHACHO, SPARA!監督 アルド・フロリオ製作 エドゥアルド・マンザノス・ブロチェロ脚本 アルド・フロリオ、ブルーノ・ディ・ジェロニモ エドゥアルド・マンザノス・ブロチェロ撮影 エミリオ・フォリスコット音楽 ブルーノ・ニコライ出演 ファビオ・テスティ、ホセ・カルヴォ エドゥアルド・ファヤルド、チャロ・ロペス、フランシスコ・サンズ 本編99分 総天然色 シネマスコープサイズ 邦題の「行け、野郎、撃て!」は原題「ANDA MUCHACHO, SPARA!」の直訳とのことで、1971年イタリア・スペイン映画、日本劇場未公開作品。 監督は「五匹の用心棒」のアルド・フロリオ。主演のファビオ・テスティは「荒野の処刑」(75)と「悲しみの青春」(71)があるけれど、日本ではあまり知られていない俳優です。主人公を助ける老人役のホセ・カルヴォは「荒野の用心棒」(64)で酒場のオヤジに扮していて顔なじみ。悪役のエドゥアルド・ファヤルドは「続 荒野の用心棒」でジャクソン少佐役が印象に残っていますが、全体的にスター性の少ない地味な作品であり、日本に輸入されなかった理由もそんなところかと? 強制労働させられていた刑務所から脱獄した主人公ロイ・グリーンフィールド(ファビオ・テスティ)。鎖の足かせで繋がれている仲間といっしょに逃げるが、仲間は途中で力尽きて死に、主人公は出会った老坑夫(ホセ・カルヴォ)に助けられる。老坑夫は男に食事と衣服を与え、さらに「投資」だと云って隠していた金を与える。 ガンマン姿となった主人公は町の床屋を訪ね、「エミリアーノの紹介で来た」と云うと床屋はうろたえて発砲。主人公手練れの抜打撃ちで床屋を倒す。町は横暴な権力者レッドフィールド(エドゥアルド・ファヤルド)に牛耳られていて、坑夫たちを食い物にしている。主人公の早撃ちを伝え聞いて関心を示したレッドフィールドは、彼を雇う。 主人公が何をしようとしているのか、その目的がはっきりしないので、前半の展開が少しもたつく感じがするが、目的が少しずつ明らかになってくると盛り上がりを見せます。脱獄したあとのできごとがフラッシュバックで挿入され、途中で力尽きて死んだ仲間がエミリアーノという名前で、彼がレッドフィールド一味に陥れられて服役していたことがわかり、主人公の目的がその復讐であることが明かされていきます。 本作が制作された1971年は、マカロニ西部劇の世界的ブームは過ぎていて、その内容もアクション路線やコメディ路線が主流になっていたが、本作は「復讐」がテーマの王道を行くものになっている。出演俳優はジェンマやフランコ・ネロのようなスターではないけれども、出演者はイタリア人とスペイン人で占めて、ブルーノ・ニコライの正統派マカロニ西部劇的テーマ曲もあってか、純粋でまっとうなマカロニウエスタンになっています。 主人公が強制労働させられている冒頭シーン。囚人たちがハンマーやツルハシで岩石を割っているのですが、「星空の用心棒」などでも同様な場面があって、これは何をやっているのだろうか? 石を割っているのは何のため? ただの懲罰が目的とは思えないのですが。