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2014/08/23(土)16:51

「今日も怒ってしまいました」 益田ミリ

エッセイ(34)

益田ミリさんのイラストは、おとなしくて不器用で、 その割には心の核心をついてきますねえ。 この人の絵と初めて出会ったのがいつかってことが、よくわからない。 いつのまにかよく知っていて、 なんか久しぶりね、元気~?って言いたくなる友達気分であったりします。 この本も、偶然図書館で手に取って、なんか旧友に会ったみたいなうれしい気持ちになりました。 「怒り」についての経験を書いた小さいエッセイ集です。 その「怒り」も、だれでもちらっと経験したことあるような身近なものばかりです。 ところで、「怒る」ってことを、この頃全然やってないような気がします。 子育てもとっくに終わった50代主婦の私は、うちでも職場でもあまり怒らない。 職場の若い同僚たちには、ぱぐらさんは優しい人だって誤解されているみたい。 それはもちろん、大きな誤解です。 学生の頃や結婚前の会社員だったころは、腹の立つことがたくさんあったし、 同級生とか上司とか先輩とか、怒る対象に事欠かなかったような気がします。 子育て中だってそう。 子どもや姑に対しても、そんなに腹を立てなくても・・・ と今なら思えることもたくさんありました。 つまり年を取って、怒るだけの体力がなくなったんですね。 年を取って人間が丸くなるっていうのは、こういうことなのかもしれません。 とはいえ、今の私は腹の立つことが皆無かというと、そんなことはありません。 今の職場にも感じの悪い同僚ってのもちゃんといて、 彼女には不快な思いを、たくさんさせられました。 彼女の失敗がいつのまにか私のせいにされていたり、 私の工夫したことがいつのまにか彼女の手柄になっていたり・・・ 彼女は要するに、ものすごく口がうまいんです。 そして、そのちょっと可愛い容姿とよく回る口に、周囲の人はすっかりだまされるんです。 そんなとき怒ったかというと、私は怒らなかったんですよね。 腹は立つけれど、怒るのはめんどくさい。 それよりも、私は彼女と距離をおいて、仕事上必要最小限の接触だけすることにしました。 毎日、挨拶だけは普通に交わしますが、それ以外はよほどの用事がない限り声をかけません。 話がそれてしまいましたね。 益田ミリさんの「怒り」のエッセイは、本気で怒るというほどの大きいものでもなく、 でも素通りできるほど小さいものでもない。 あーそうそう、そんなときあるよねえ、腹が立つよねえ と同感しながら読めるエッセイでした。 そして、益田さんは若いなあ~と、怒れる彼女に一抹のうらやましさも感じたりしたのでした。

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