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2005.12.06
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カテゴリ:過去ログ
『戦争論3』(小林よしのり)は読みましたか?ここに、「文藝春秋」1980(昭和55)年3月号の、宮沢喜一元首相と田原総一朗の対談での、宮沢発言が掲載されています。(p302)

これこそが、宮沢土下座外交の真相でありましょう。

『実はわたくしは、外務大臣のときに、次官以下の幹部の諸君に宿題を出したのですよ。まず、こう問いました。

日本は憲法によって戦争の放棄を宣言し、どこの国とも仲良くすると言うことを外交の方針にしていると、わたくしは考えているのだが、間違いないか、とね。

みんな、間違いない、その通りだと答えました。そこでわたくしは、言ったのです。

もしも、どこの国とも仲良くする、ということを実際に行うと、これは大変にモラリティ(道徳)のない外交にならざるを得ない、とね。そうでしょ。

どこの国とも仲良くするということは、たとえ、どんなひどい、不正や非人間的なことが行われていても、その国に対して、制裁行動は起こさないで仲良くするということでしょう。

これはモラリティのない外交ではないですか。

抗議して、やめてくれればいいのですが、もしも改めなかったらどうするのですか?口先でいうくらいじゃ抗議にもならない。まるで効果はない。

といって、日本は武力行使はダメ、威圧もダメ、十字軍を出すこともできない。一体、どうすればいいのです。

結局、日本は、モラリティのない外交しかできない。また、国民も、本心では、それを望んでいるのではないですか。

一切の価値判断をしない外交。しかし、これは、ごまかし外交でしてね。価値判断といえば、損得勘定だけでしょうな。

価値判断がないのだから、何も言えない。言うべきことがない。ただ頭を叩かれれば引っ込める。世界の空気を眺めて、体勢に従う。

日本は、これまで、それでやってきたのですよ。

念のために言っておきますが、日本の外交、いかにあるべきか、という宿題の回答は、外務省の諸君から、今に至るももらっていません。』



どうですか?宮沢さんは、分かっていたのですね。分かっていながら、何もしなかったのですね。やはり、政治家になってはいけない人だったようです。

しかも、こんな発言を許されるでしょうか。こんな国辱的発言を。その責任を、すべて世論や外務省に押し付けながら、他人事のように。何が宿題だ!政治家の仕事は「学校ゴッコ」じゃない!

国の頭脳である外務省の無能も問題だが、政治家は理念のもとにそれを束ね、熟成させ、国民を啓蒙し、国家の進路を決断する、指導者なのではないのですか?リーダーシップを持たない政治家は、国家を迷走させるだけではないですか。事実その通りになっている。

国家理念や目的という海図を持たぬまま、この思想・主義・宗教の異なる荒波を、安全に航海することは不可能ではないか。自滅するだけである。


小泉首相はどうだろうか。金権政治の功罪を残した田中角栄以降の迷走を、見事にぶち壊しましたね。時代の後押しもあったのでしょうが、小泉首相のリーダーシップはものすごいものがあります。

全体主義を危惧させるような、強烈な強引さはありますが、これまでの日本の赤錆を、強い信念でこそぎ落とそうとしているように見えます。確かに、複数の不安材料(皇室典範問題・人権擁護法案問題他)もありますが・・。

それは、彼の歴史認識についての心配なのですが、脇に阿部官房長官・麻生外務大臣を固めたことが、何よりの希望ではないかと思えます。ご自分の認識の甘さに、うすうすは気づいているのではないでしょうか。

明治・大正・昭和の歴史の真相が、数十年かかって明らかになってきたように、小泉首相の真価が問われるのは、まだ先のことなのでしょう。少なくとも、戦後型の日本国家を、大きく変革させる起点を打ち立てた首相には違いないと思う。


この、宮沢喜一の発言をみて、強く強く思いました。














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Last updated  2005.12.07 01:11:03
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