遊びのブログ

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  『リバーズエッジ』

  田舎町の川辺りで実際に起きた殺人事件を映画化したものだという。この映画に出てくる川というのが、地元の烏川が台風の時に増水したような濁った川で、そのほとりで、太った高校生が同級生の女の子を絞め殺したあと、叫んでいる場面から映画が始まる。チョロQみたいな改造車が出てきたり、小学生のティムがBMXに乗って河原で同級生と遊ぶ様子や、ティムと高校生の兄貴の関係など、自分の小学生時代を思い出すような、古い時代の雰囲気が漂う映画だった。自分も烏側の中洲にあったモトクロスコースで、BMXではないただの自転車で走り回っていたことを思い出した。結局、いくら暇な田舎町に住んでいても、葉っぱを吸ってラリっていては良くないよ、という話のような気がした。それと、この映画では若き日のキアヌ・リーブスが出てきて、自身の正義感との葛藤の末、友だちを裏切るのだが、友だちの死体を目の前にしても悲しめなかったというあたり、葉っぱの影響というより、そういうこともあるだろうという感じがした。また、以前見た映画、『イルマーレ』でサンドラ・ブロックと共演していたキアヌ・リーブスを思い出し、やはり、キアヌ・リーブスは騎乗位で攻められるシーンが似合う男優だなという感想を持った。その他、引き篭もってラブドールと暮らしている中年オヤジを演じたデニス・ホッパーが格好良かった。「彼女が人形ということはわかっているよ」と、さらっと言うあたり。ビルとテッドの大冒険【Blu-ray】 [ キアヌ・リーヴス ]価格：1650円（税込、送料無料) (2021/8/14時点)楽天で購入

  2021.08.14

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  『バッド・ジーニアス　危険な天才たち』

  【送料無料】バッド・ジーニアス 危険な天才たち/チュティモン・ジョンジャルーンスックジン[DVD]【返品種別A】価格：3678円（税込、送料無料) (2021/8/14時点)楽天で購入最初に見た時、主人公の天才少女リンは、ノリックに顔が似ていると思った。だから、その天才ぶりに説得力があった。しかもスタイル抜群である。焦ってSTICの問題を解いている時の表情が非常に可愛いかった。主人公のリンを演じたチュティモンの本職はモデルということで、来日会見の映像を見ると、ノリックというより中国の大女優、チャン・ツィイーに似た美人だった。中国で大ヒットしたというのも頷ける。一方、リンの友達グレースを演じたイッサヤー・ホースワンは、典型的なタイ美人だと思った。最初はグレースの方がリンよりも美人に映ったが、後半はグレースのアホさ加減によって、リンの美しさが際立った。ジャケットでリンの顔を見た時、この映画は韓国映画だと勘違いしてしまったが、実際はタイ映画で、このタイ映画は現在のタイにおける学歴社会の闇を扱っているらしい。映画に出てくる若者たちの考え方はタイの仏教文化と関係しているのかわからないが（映画の中で彼女たちが手を合わせる対象はマリア様のようなのだが）、悪いことをするにも合掌し、まずは自分の中から沸き起こる罪悪感と戦っているように見えた。この映画は、天才的頭脳を持った少女が、資本主義に侵されているタイの教育界に対して、大人がやるのと同じ方法で対抗し、その矛盾や問題点をあぶり出すというもので、そのシステムに従って生きれば恩恵を受けられる立場にいる人間が、反旗を翻しているところが新鮮だった。奨学金をもらって進学校に通う天才少女リンによると、タイで金持ちの家に生まれなかった子供は生まれながらの負け犬なのだという。世間に騙されないためには、こっちが騙さなければならないと言うことらしい。それがタイの現実だとしても、日本や韓国だと、こういう展開よりむしろ、天才たちはその制度に乗っかって平穏に、うまい汁を吸う道を好むのではないかという気がした。彼女のやっていたことは、確かにイケないことなのだが、カネをもらってやってるというプロ意識がすごく高いようで、というか、大人の不正に対して同じ方法で対抗したいという正義感が強いのか、留学するという自分の夢はそっちのけで、仕事に没頭するところが純粋で微笑ましかった。阿部典史 〜流星伝説〜 Shooting Star ”NORICK” [DVD]価格：2541円（税込、送料別) (2021/8/14時点)楽天で購入

  2021.08.14

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  『酔拳2』

  酔拳2 [ ジャッキー・チェン[成龍] ]価格：1100円（税込、送料無料) (2021/8/14時点)楽天で購入この映画は、前作『酔拳』を遥かに凌ぐ面白さだった。『酔拳』も確かに面白かったが、半世紀も前の映画だけあって、流石に古さを感じる。だが、こちらは現代の映画と比べても引けを取らない。その理由は、アニタ・ムイが可愛かったからか、戸田恵子さんが吹き替えをやっていたからか、ジャッキー・チェンの吹き替えがお馴染みの石丸博也さんだったからか。それもあるが、物語としても面白い。中国の国宝が海外に流出する（イギリス人に持ち去られる）ことを防ぐために、ジャッキー・チェン演じるウォン・フェイ・フォンが仲間と共に戦うという点も良いし、イギリス人が拳銃とか飛び道具を持ち出して、これでもかと卑怯な手で中国人を虐めるのに対して、ウォン・フェイ・フォンは拳法だけを使い、決して卑怯な真似をしないところも潔かった。おまけに、敵のイギリス人に手を貸す中国人まで助けてやるという人の良さだった。ジャッキー・チェン演じるウォン・フェイフォンの酔拳が、酒に酔えば酔うほど強くなっていくというところも興味深い。酒に酔うと痛みに鈍感になり体にダメージを与えてしまうという点と、アル中になる危険があるため、酔拳は禁じられたのだという。別に、秘拳とか一子相伝というわけではないらしい。私が山スキーを始めた高校生の頃、私たち学生を車で山スキーに連れて行ってくれた社会人山岳会の人たちは、ものすごく酒が好きな人たちだった。その当時、山に登って酒を飲むというのは当たり前の楽しみだったような気がする。それも、半端ではない量を飲むので、下山時のスキーも酔っ払って滑っていたように見えたし、帰りの車を運転する時も、まだ酔いが残っていたような気がする。酔った本人たちは気づいていないようだったが、蛇行する車の後ろに乗っていた私達は、関越トンネルの側壁に車体が激突するのではないかと気が気でなかった。

  2021.08.14

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  『酔拳』

  酔拳 HDデジタル・リマスター版【Blu-ray】 [ ジャッキー・チェン[成龍] ]価格：1650円（税込、送料無料) (2021/8/14時点)楽天で購入『酔拳』はジャッキー・チェンの出世作らしい。リックマイヤーズの解説によると、ジャッキー・チェンはこの映画の主人公ウォン・フェイ・フォンと同様、孤児で、ウォン・フェイ・フォンと似た境遇にあったという。養父から幼くして京劇に預けられたジャッキー・チェンは、いつも人の倍努力するから、「ダブルボーイ」と仇名されていたというエピソードは印象的だった。この映画は、カンフーのアクションシーンも凄いが、物語としてはハチャメチャな感じだった。しかし、それがまた面白い。ジャッキー・チェン演じるカンフー道場のドラ息子ウォン・フェイフォンは、修行をサボったり、女の子にちょっかい出したり、少々悪いこともするが、口ばかり達者で弱い先輩をからかったり、翡翠を壊した街の荒くれ者を成敗したり、なんだか良いこともやっているようだった。しかし、ちょっかいを出した女の子が従兄弟だったことに気づかなかったらしく、その親からとっちめられ、父親から辛い修行を命じられた。その修行先が、『蛇拳』でも師匠の役を努めたユエン・シャオティエン演じる酔八仙拳の師匠、ソウ・ハッイーだった。この酔八仙拳というのは、酔えば酔うほど強くなるという、常識的にはまったく信じられない拳法で、見た目はアル中そのもののように見えるが、ソウ・ハッイーはヘベレケ老人なのにめっぽう強い。しかし、酒が切れるとアル中の典型的な症状のように手先が震えて、本領を発揮できないようだった。酒を得るためなら何でもやりそうな感じだった。実際、ウォン・フェイフォンの食い逃げの手助けをして、明らかにこちらが悪いはずなのに、その食堂の親子や店員が悪者扱いというのもわけが分からず面白い。ウォン・フェイフォンがこの師匠から課せられた修行というのも、逆さ吊りのまま、瓶の水をお茶碗でひたすら右から左に移したり、竹の棒で繋がった両腕を師匠と引っ張り合ったり、いったい、こんなことをやっていてカンフーが上手くなるのかと思えるようなことばかりだった。私も小学生の頃、『五福星』や『スパルタンＸ』を見て、似たようなことをやっていた。そして、小学生にしては並外れた筋肉量を手にいれたが、拳法は強くなれなかった。とにかく、全体としては非常に面白かった。当時の香港映画のカンフーコメディというのは、何を見ても面白い。ハリウッド映画のアクションシーンのような迫力はないが、俳優本人が実際に演じているカンフーは、生死をかけた戦いなのに、なんだか楽しそうなのだ。まるで踊っているかのようで、ミュージカル映画のようだった。ハッピー・ザ・ベスト!::五福星 [ ユン・ピョウ ]価格：1100円（税込、送料無料) (2021/8/14時点)楽天で購入

  2021.08.14

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  『軍隊をすてた国』

  平和ってなんだろう　「軍隊をすてた国」コスタリカから考える【電子書籍】[ 足立力也 ]価格：880円 (2021/8/13時点)楽天で購入中米のコスタリカ共和国は、半世紀以上前に憲法で軍隊を廃止したそうである。コスタリカ共和国では国家予算の四分の一を教育に注いでいるそうである。国民インタビューによると、概ね多くの国民はそのことを誇りに思っているようだった。日本と地理的条件や人口の違いも大きいだろうが、治安の悪そうな中米でそれを実現してしまったことが凄い。2003年時点の年間の国民所得の平均が3900ドルと日本に比べれば貧しい国ではあるが、国民は楽しそうに暮らしていた。その点、昨日の映画にあったキューバと同様たった。

  2021.08.13

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  『キューバの恋人』

  キューバの恋人 [ 津川雅彦 ]価格：3762円（税込、送料無料) (2021/8/13時点)楽天で購入津川雅彦さん演じるアキラは、キューバで見かけたラテン系美女に対して、今で言うストーカー行為を行い、どこまでもしつこくつきまとい、結婚を迫って相手の実家にまで押しかけようとしていた。そして、政治思想の違いを盾に断られていた。こんなことが当時は可能だったのかと思うと、昔は法律も緩かったというか、一見、国や社会制度で個人の自由が規制されていたように見えても、実際は人間が自由に振る舞う余地が大きかったのかもしれない。あるいは、その反発で、個人が自由に振る舞いたいという欲望が、今よりずっと強かったのかも知れない。この映画は、当時、チェ・ゲバラに憧れていた日本の若者たちに向けてつくられたのだろうか。自分が幸せじゃないのに、他人の幸せや国家などという抽象的なもののために犠牲になることの虚しさを伝えたいのかなという印象を受けた。その後、それぞれの国が進んだ道を思うと、日本はさらに経済発展して豊かになり、キューバはアメリカの制裁を受けた禁輸政策などで、いつまでも古い車や工業製品を使わざるを得ない状況というから、一見日本国民の方が幸せになったように見えなくもない。しかし、私はキューバに行ったこともないし、知り合いもいないので、どちらの国民がより幸せになったかというのは、一概には言えないような気もする。キューバでは教育費や医療費は無料だと言うし、貧富の差が少なく、特権意識を持った人間が少ないという。ジュリー・プラセンシアみたいな恋人がいれば、新しい車なんかいらないと思うかもしれないし、逆に、ジュリー・プラセンシアが、新しい車に乗りたいなんて言ったら、キューバではどうにもならないけど、日本にいれば可能かもしれない。要はそういうことを描いている映画のような気がした。

  2021.08.13

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  『タイガーランド』

  【中古】 タイガーランド ／コリン・ファレル 【中古】afb価格：300円（税込、送料別) (2021/8/13時点)楽天で購入ベトナム戦争に行く兵士を養成する最後の訓練地が、ルイジアナ州ホーク基地にある、タイガーランドといわれる場所だったらしい。「アメリカのベトナム戦争体験を描いたトップクラスの作品」と紹介されていたが、確かに実際にベトナム戦争自体を描いた『プラトーン』や『フルメタル・ジャケット』と比べても、見応えのある映画だったと思う。主人公のボズは、指揮官になれる才能を持つ新兵だったが、この戦争に心底反対していたので、規律違反を繰り返して懲罰を受け、上官に目を付けられていた。そして、ベトナム戦争に行きたくない新兵たちに、除隊できる悪知恵を貸したりしていた。彼自身も、常に脱走することばかり考えていたが、訓練が終わる最後の最後に、脱走できる機会を自ら放棄して、代わりに友人を救う。その様子は、自らの運命を受け入れたかに見えた。【中古】プラトーン 特別編 【DVD】／チャーリー・シーンDVD／洋画戦争価格：672円（税込、送料別) (2021/8/13時点)楽天で購入フルメタル・ジャケット【Blu-ray】 [ マシュー・モディン ]価格：1100円（税込、送料無料) (2021/8/13時点)楽天で購入

  2021.08.13

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  『マイ・ブラザー』

  【中古】 マイ・ブラザー（Blu−ray　Disc） ／トビー・マグワイア,ジェイク・ギレンホール,ナタリー・ポートマン,ジム・シェリダン（監督）,トーマス・ニューマ 【中古】afb価格：1180円（税込、送料別) (2021/8/13時点)楽天で購入トビー・マグワイア扮するサムは海兵隊員として派遣されたアフガニスタンでゲリラに捕まり、部下には情報を漏らすなと厳しく戒めておきながら、自分の命惜しさにその部下を殴り殺してしまう。その部下にも、自分と同じように奥さんと子どもがいたのに。サムは、戦地に派遣される前は、皆の憧れの対象になるような人物で、隊の中でもみんなが手本とする海兵隊員だったのに、実際に敵に捕まり拷問を受けると、自分の信念も倫理観も捨てて、保身に走ってしまった。拷問されてなお、信念を維持するのがいかに大変かということを示しているようだった。戦争で倫理観が崩れる映画は、戦争が終わったその先で、主人公が日常に戻った時に、どうやってそれを回復し、克服して行くのかに興味が湧く。予告編を見たときは、あまり期待していなかったが、トビー・マグワイアとジェイク・ギレンホールの兄弟役がハマっていた。HOMELAND ホームランド シーズン1 SEASONS ブルーレイ・ボックス 【Blu-ray】価格：3424円（税込、送料別) (2021/8/13時点)楽天で購入　　

  2021.08.13

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  『ビリー・リンの永遠の一日』

  ビリー・リンの永遠の一日【Blu-ray】 [ ジョー・アルウィン ]価格：4181円（税込、送料無料) (2021/8/13時点)楽天で購入2004年のイラク戦争で、仲間を助けるために勇敢に戦ったビリーとビリーの所属するブラボー隊の若者たちが一時帰国して、歓迎パーティーに招かれるが、実際は歓迎されていないように見える物語だった。彼らはみな若い。戦場で人を殺すにも殺されるにも若すぎて気の毒になる。彼らのほとんどは、地元でマシな働き口がないため、軍隊に入ったという。主人公のビリーも、地元で皿洗いをするよりはマシだと言って、軍隊に入ったようだ。しかし、それは本音だろうか。命を失うより、皿洗いの方がいいのではないかと思うのだが。ビリーや他の若者たちも、実際に戦場に出て、そのことに気付いたようだった。歓迎パーティーで出会ったチアガールのフェイソンが、ビリーがイラクに戻る時に示した態度は、実際に戦場に出る人間と国内でそれを応援する人たちの温度差を示しているようで、非常にショックだった。歓迎パーティーの席で、アメリカ国内でシェールガスの開発を行っている経営者がブラボー隊の若者たちに対して言っていた、「石油が自給できれば、あなた方をイラクに送る必要がなくなる」という話は、その後、現実になったようだ。ならば、イラク戦争の意味はなんだったんだろうと思えてくるが、意味が無いくらいならまだしも、アメリカの進軍によってイラク人がたくさん亡くなったことを思うと、とんでもない話だ。この映画に政治的な話題は出てこないが、アメリカの若者たちの犠牲を描くことで、政治と経済が若者たちに与える影響を問うているような映画だった。

  2021.08.13

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  『イミテーション・ゲーム』

  イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密【Blu-ray】 [ ベネディクト・カンバーバッチ ]価格：1650円（税込、送料無料) (2021/8/13時点)楽天で購入主人公アラン・チューリングの孤独な生き方に感動した。しかし、アランは好んで孤独を愛したわけではなく、時代と運命がそうさせたようだった。アランがエニグマ解読マシンを初恋の人と同じクリストファーと名付けて執着し、改良を重ねていく様子に涙を誘われた。エニグマ解読マシンを作った天才数学者のアラン・チューリングは同性愛者だったため、戦争終結から間もなく、わいせつ罪で捕まり、同性愛的嗜好を変えるため、強制的にホルモン治療を受け、その一年後に自殺したという。物語の大半を占めるエニグマ解読の件より、そちらの方がショックだった。欧米化された戦後、日本でも同性愛者が逮捕されていたような時代があったのだろうか？どちらかと言えば、伝統的に日本では暗黙の了解として許されていたような気がするのだが、どうなのだろう。あの時代、キリスト教の影響の強い欧米の方がそういった面では厳しかったのかも知れない。1885年から1967年までの間に英国では4万9000人の同棲愛者が、ただそのことを理由に、わいせつ罪で捕まったのだという。アラン・チューリングによって行われたエニグマの解読が、第二次世界大戦の戦争終結を2年以上早め、1400万人以上の命を救ったと言われているのに、その功労者が僅か41歳でこの世を去るような状況に追い詰められてしまったことが納得できず、悔しく思えた。良いことをすれば良いことが返ってくる世の中が正常だと、みんな思っているはずなのに、そして、アランは人の役に立つことをしたのに、正当な報酬を受けたようには思えなかった。2013年になってようやく、エリザベス女王はアランに死後恩赦を与えたという。しかし、死んでから恩赦を受けてもなんにもならないような気がする。人はなぜ暴力を好むの？気分が良くなるからだよ。暴力で心から満足を覚える。だが、ひとたび満足感が消えると、その行為は空虚なものとなる。暴力を振るうと気持ちいい。だから戦争は無くならない。（映画から抜粋）この映画は、暴力とは別の、戦争の側面を見せてくれたと思う。自由と平和が浸透している国においても、この問題には共通点があるように思わせるように描かれているところに感動した。

  2021.08.13

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  『アイ・イン・ザ・スカイ』

  アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場 スペシャル・プライス【Blu-ray】 [ ヘレン・ミレン ]価格：1650円（税込、送料無料) (2021/8/12時点)楽天で購入いまにも自爆テロを起こしそうなテロリストの犯行被害予測と、一人の少女の命を天秤にかけて、多くの人が決断を迫られるという映画で、見ていてハラハラした。政治家は自分で決断したがらず、次々と上の立場の人に意見を伺い、判断を先送りしていく。コブラに集まっていた政治家の一人、良心的な女性議員も同様に見えた。もし、あの女性議員が口を挟まなければ、ヘルファイアでの攻撃は迅速に行えて、少女の命は救われたように見えた。軍人のトップは任務の遂行を一番に考え、感情には流さず、決断が早い。しかし、軍人には決断する権利がない。結果的には、その道のプロである軍人の判断が一番被害を少なくする方法だったように思えた。政治家やドローンを操作する現場の軍人の良心を刺激した渦中の人である少女も、全くの無垢の少女とは思えない面もあった。一度人に売ったパンを、また他人に売ろうとした結果、この災難から逃れられなかったとも思える展開だったのである。しかも、そのパンは地面に落ちたパンであった。最初の買い主がテロリストの部下に追われていなくなってしまったため、少女はそのパンを他の人に売った。二重にお金が入った時、少女の顔がニンマリしているように見えた。少女の立場に立ってみると、死の間際、少女は自分の親たちが信じる宗教の掟に照らして、自分が犯した罪について、罪悪感を感じずにはいられなかったのではないかと思う。その罪悪感が、まだ意識のあった少女を死の方向へ引きずり込んでしまったのではないか。この少女の一家は狂信者ではなかったにしろ、その意味で、やはり宗教が彼女の命を規制していたように見えた。二重売買は日本でも罪に問われる。少女の罪についてなら、平和な日本で暮らす自分にも理解できる。これはモラルに欠けると。そしてもしそれが、狂信者によって規制されていたとしたら、命も奪われかねないという予測はできる。しかし、自爆テロを行うようなテロリストの心理はわからない。軍人トップや政治家たちに関しても同様で、彼らが担っている責任や、その判断が善か悪かとか、何が正義かなんてことは理解の範疇を超えている。そういう意味で、私にとってこの映画は、子供の良心を問うた部分しかリアリティがない。子供だからといって、たとえそれが小さな犯罪だからといって、許されるわけではない、と言っているように取れた。つまりこれは、狂信者側の思惑通り、ということだろうか。この映画は、そういう脅しの構成になっているのだろうか。宗教によって犯罪が規制されていない社会なら、少女の二重売買が死に値する行為だとは思えないのだが、盗みを行った手を切り落とすことも辞さないような社会なら、それも仕方がないのかと。その他、印象に残ったのは、アメリカはCDE（周辺被害予測）をすべて数値化し、判断を迅速化しているのに対し、イギリスの政治家は感情的に状況を眺めているうちに、結果的には状況を悪化させてしまったように見えたこと。アメリカの政治家がクールに見えたのは、実戦経験の数に関係しているのだろうか？ドローンを使った軍事作戦には、それに関わる人間の心理的負担を軽減させようとするかのように役割分担が決められていて、想像していたより多くの人が関わっているということも、まるでアウシュビッツの役人を見習っているかのように思えた。上空6000メートルに飛ぶドローンからの映像があんなに鮮明なら、山で立ちションしているのも丸見えだなと思った。また、カナブン程度の大きさのドローンがあるというのを始めて知った。

  2021.08.12

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  『ウォール』

  ウォール 絶体絶命 [ カラーム・ホッシン ]価格：1760円（税込、送料無料) (2021/8/12時点)楽天で購入2006年に起きたレバノン侵攻に関する映画。この映画ほど、紛争地域に住む一般市民の恐怖を実感できる映画は稀だと思う。レバノンとイスラエルの国境付近にある村が舞台なのだが、実際の戦闘シーンはほとんど無いのに、音だけで戦争の恐怖が伝わってくる。激しい戦闘シーンのある映画よりむしろ、音によってイメージが膨らんで、恐怖感が高まる気がする。戦闘機が通過する音や爆撃音、砲撃の着弾や機関銃の連射音、照明弾が燃えるモフッモフッという音など。また、頭上でイスラエル軍の兵士たちが無線で話している声も、何を話しているのか全くわからないのに、あるいは、わからないからこそ余計に恐ろしさがこみ上げてくる。唯一、戦闘シーンらしきものは、夜間に照明弾が輝いているシーンと、軍用犬が部屋に入ってくるシーン、父の友人カセルが庭に出て撃たれるシーンと最後にヘリが飛び立つシーンくらいだったが、実際自分がそこにいるような緊迫感に包まれた。DVDジャケットを見ただけでは、よくあるホラー寄りのアクションサスペンス映画なのかと勘違いしてしまうが、内容はドキュメンタリーに近いような気がした。下の写真は、ゴラン高原から見たシリアとレバノンとの国境付近にあるヘルモン山。シリアとの国境線も見える。ガリラヤ湖で釣りをする人漁をする人

  2021.08.12

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  『ザ・ウォール』

  【8月全品P10★要エントリー】【中古】Blu-ray▼ザ・ウォール ブルーレイディスク▽レンタル落ち ホラー価格：699円（税込、送料別) (2021/8/12時点)楽天で購入2007年、イラク戦争終結後にイラクに残って、伝説のイラク狙撃兵・ジューバの掃討作戦に当たる二人のアメリカ人狙撃兵、アイザックとマシューズの話。この映画を見ると、アメリカ兵はアホなんじゃないかと思ってしまう。どうしてアイザックはジューバを仕留めたと勘違いしてしまったのだろうか。持久戦の疲労と大量出血で意識が飛んでいたのだろうか。現役の狙撃手でもないのに、あんな長距離射撃を、たった一発で成功できる訳がない。ジューバの方が地理的にも有利な場所にいたし、狙撃の腕でも頭脳戦でも何枚も上手だったことがそれまでの経緯でわかっていたはずなのに、最後に運が味方してくれたとでも思ってしまったのだろうか。結果的に、味方のヘリを2台も落とし、被害を拡大することになってしまい、アメリカ軍は完敗の様相だった。ジューバの発言を聞いていると、この映画はアメリカのイラク戦争への反省が込められた映画のような気がした。この映画には、生きている人間は3人しか出て来ない。しかも一人は映画の中盤までに殺され、もう一人は姿さえ見せないという、一人芝居のような映画なのだが、同じく狙撃手が主人公だが様々な戦闘シーンが出てくる『アメリカン・スナイパー』とは違った面白さがあった。アメリカン・スナイパー【Blu-ray】 [ ブラッドリー・クーパー ]価格：1100円（税込、送料無料) (2021/8/12時点)楽天で購入

  2021.08.12

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  『ライフ・オブ・パイ』

  ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 【Blu-ray】 [ スラージ・シャルマ ]価格：1100円（税込、送料無料) (2021/8/11時点)楽天で購入この映画は現代のヨブ記のような話なのだが、最後まで見ると、更に恐ろしい内容だった。主人公のパイ・パテルは信仰深く、幼少期から神を身近に感じながら生きてきた。神の摂理を信じ、常に神と対話し、日常で自分が遭遇する全てに、何か意味があるはずだと考えていた。彼はヒンドゥー教を通してキリスト教の神を知り、更にアッラーの神に対して1日5回の祈りを捧げることで、信仰の意味を見出していたようだった。3300万のヒンドゥー教の神と親しみながら、カトリックの神の愛に出会って、なおかつアッラーの神にも関心を抱くなんて、一見するとなんでもありの不信仰な人間のような気もするが、盲信に陥ることなく、様々な信仰の形を模索しているようだった。その様子は、映画『PK』の主人公・pkと似ているような気がしたし、彼の言っていることには説得力があった。神は神秘的な方法で語りかけるといい、自然現象の中にも人格的な神の意志を感じ、神の存在を疑いたくなるような時にも、試練を受けて初めてその信仰の強さがわかるのだと言って、神の存在を否定することはなかった。「僕は家族も何もかも失ったのに、他に何をお望みなのですか？私は降参します。」と、死を覚悟した時、パテルは命を救われた。ヨブのように彼は試練を受けて、同じように物語の最後には幸せを手に入れたのだが、その受けた試練の内容というのがヨブ記以上の恐ろしさだった。大人になった主人公のパテルを、イルファン・カーンが演じていたため、余計にその体験談が恐ろしく感じたのかもしれない。

  2021.08.11

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  『太平洋ひとりぼっち』

  太平洋ひとりぼっち HDリマスター版 [ 石原裕次郎 ]価格：1782円（税込、送料無料) (2021/8/11時点)楽天で購入お気に入りのブログの過去の記事に紹介されていたので見た。石原裕次郎さん主演の映画を観たのは今回が初めてだった。石原裕次郎さんの演じる堀江謙一さんは、非常に大胆で楽天的な男で魅力的だった。堀江謙一さんが実際に石原裕次郎さんに似ているのかどうかは知らないが、映画の中でその魅力を醸し出していて、それは同時代を賑わせた陸の冒険家、植村直己さんに似た、単独行者特有の魅力のような気がした。それが、石原裕次郎さんの身体から自然に現れていたような気がした。小さな木造のヨットを使って、たった一人で太平洋横断をやろうと思う、その発想自体に驚いた。この航海の後も、堀江さんは単独無寄港世界一周や縦周り世界一周の冒険を行ったらしい。さらに、50歳を過ぎてからも、初代マーメイド号の約半分の長さしかない、わずか2.8メートルのヨットで、この映画とは逆の進路で、サンフランシスコから日本に向けて太平洋横断を行っている。傍から見たら一度で十分だと思うのだが、歳をとってもそれを繰り返すというのは、よほどヨットで海を渡るのが好きなのだろう。船内の広さは刑務所の独房より狭そうだ。懲役三ヶ月、しかも、そこから一歩も出られないのである。92日間も小さなヨットの上で過ごさなければならないことを考えただけで、私なら気が狂いそうになる。しかも船の下は底なしの、どこまでも続く海である。遭難したら絶対に助かりそうもない。この映画を見る前はヨットはプロが作ったものだし、現代の素材と最新機器を使った航海には予定調和の危険しかないものと勝手に思っていたが全く違った。この映画によると、独りぼっちの海の上で正気を保つために、堀江謙一さんは泣くことで精神衛生を保っていたらしい。泣くと気持ち良くて、存分に泣いたそうだ。また、この映画に描かれている堀江謙一さんの最初の冒険には、大きなスポンサーはなく、ほとんど自力で稼いたカネで行ったという点にも魅力を感じた。ヨットというと金持ちの趣味みたいなイメージがあって、堀江謙一さんも金持ちの息子だったのだろうと思っていたが、実家は自動車部品の工場で、冒険費用は自分で働いて賄っており、けっして金持ちの道楽で始めたわけではないようだった。その点でも、私が勝手に抱いていた海洋冒険家のイメージを改めさせてくれた映画だった。太平洋ひとりぼっち [ 堀江謙一 ]価格：1571円（税込、送料無料) (2021/8/11時点)楽天で購入

  2021.08.11

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  『デスゾーン』

  デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場 [ 河野 啓 ]価格：1760円（税込、送料無料) (2021/8/11時点)楽天で購入栗城史多さんが凍傷で指を失くし、その後エベレスト南西壁で亡くなったという事をニュースで知った時、彼は他人に囃し立てられて無謀な目標を掲げ、その代償として自分の命を捧げてしまったのではないかと思った。彼の掲げた夢の具体的な内容など知ろうとはせず、自分は安全な場所にいて、ただ夢を追う姿に共感して彼を応援し、彼の後押しをした人が、彼を殺したのだと思った。だから、彼を批判していた人たちよりも、むしろ彼を応援していた人たちの方が、むごいことをしているように感じた。それは、見ず知らずの誰かに対してそう思ったわけではなく、具体的に、私の友人に対してそう思った。しかし、この本を読んで、そうではなかったことが分かり、救われた気がした。彼は他人の期待に応えようとして命を失ったわけではなく、自分の意志で人生の幕を閉じたようだった。自分の意志で山で生きることを選び、誰かにそれを見てもらいたいと望み、その望み通り、最高の舞台でその幕を閉じたのだとわかった。学生時代のエピソードやその後の経歴をこの本で読んだ限り、彼は子供の頃から、根っからのエンターテイナーだったようだ。他人を笑わせ、他人が驚くようなことを画策するのが好きだったという。一般的な登山家のように山がどうしようもなく好きで登山家になり、莫大な費用をかけて何度もヒマラヤ遠征を行っていたわけではなく、自分の人生を演出する舞台として、山を選んだようだ。他人に強要されて無謀な挑戦を行っていたわけでもなく、表現者としての夢を叶えるために、自分の命を張ったのだと、この本を読んで初めて知った。栗城さんの掲げた夢は、彼の人生を他人に見せること自体にあり、それを演出し、主演したのが彼の一連のエベレスト劇場であったということが、この本には書かれていた。しかし、自分の意志ではあっても、そうせざるを得ない状況に、自分を追い込んでしまったというのも事実のようだった。この本では、その根本原因にも触れている。それは、普遍的に誰もが抱えうる問題であり、そういう意味で、誰もが陥りかねないデスゾーンだったように思えて、涙せずにはいられなかった。また、栗城さんが夢を追う人たちを応援しようとしていたのも事実であり、実際に彼の生き方に共感し、彼から勇気をもらい、人生を変えた人たちも確かにいたのだと知った。私の友人もその一人だったのかもしれない。

  2021.08.11

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  『蛇拳』

  蛇拳/酔拳【Blu-ray】 [ ジャッキー・チェン[成龍] ]価格：1980円（税込、送料無料) (2021/8/11時点)楽天で購入中国でも、子供に習い事をさせたがる親の気持ちは日本と同じらしい。自分はその方面に全く無知なのに、あるいはそれ故に、見た目が派手な方に子供を通わせて、怪しげな技を身につけさせてしまう。この映画を見ると、カンフーもスポーツと同じで、武井壮さんがユーチューブで言っていたように、いかに自分の身体を自分のイメージ通りにコントロールできるかに、その上達速度は左右されるらしい。イメージを身体で表現するという意味で、ジャッキー・チェンの身体能力がずば抜けているというのが、この古い映画を見るとよく分かる。ジャッキー・チェンは、人をおちょくるポーズで、ふざけているようにしか見えないのに、最後には自分より強そうな相手も負かしてしまう。その辺が爽快な映画だ。相手が剣を持ち出して来ても、自分の流儀に合わない場合は使わず、カンフーのルールから逸脱せずに対戦している潔さもある。どんなに窮地に陥っても笑顔を絶やさず、乞食みたいな爺さんでも自分の客は大事に扱うところなど、どんな教えに従っているのか知らないが、それは普遍性のある教育方法のようだった。また、主人公の人柄の良さも、その顔に現れているような気がした。また、ジャッキー・チェンと並んで、ユエン・シャオティエン演じる蛇拳の師匠パク・チョンティンの顔も良かった。負けているように見えても、背筋を伸ばして威厳を失わず、しれっとした顔で拳を出して、いつの間にか勝ってしまう。宣教師と一緒に乞食みたいな格好のチョンティンが民家の扉を叩き、宣教師は救いを説き、爺さんは施しを乞うていると、爺さんの方が受け入れられてしまったところも面白い。中国でも、宣教師の説く救いなんて、民衆にはピンと来なかったのだろうか。

  2021.08.11

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  『アウトロー』

  アウトロー(4K ULTRA HD＋ブルーレイ)【4K ULTRA HD】 [ トム・クルーズ ]価格：3294円（税込、送料無料) (2021/8/9時点)楽天で購入久々に面白いアクション・サスペンス映画を見た。狙撃のシーンから入って銃撃シーンで終わるのもよかった。続編『ジャック・リーチャー』より格段に面白いと思った原因は、物語もさることながら、登場人物の役柄に、魅力溢れる設定が多かったことも大きいと思う。ロザムンド・パイク演じるヘレン・ロディン始め、射撃場の店主マーティン・キャッシュを演じたロバート・デュヴァル、リーチャーの好敵手チャーリーを演じたジェイ・コトニー、悪の親玉ゼックを演じたヴェルナー・ヘルツォークなど、魅力的な俳優も多数出ていた。もちろん、主人公のジャック・リーチャーを演じたトム・クルーズは歳をとってもかっこいい。ロザムンド・パイクもすごくセクシーな金髪美女で、驚いた時の表情が特に魅力的だった。小さく整った顔立ちと、でかい胸、むっちりした足が最高だった。映画の中でジャック・リーチャーが話していたことで印象に残ったのは、軍隊に入る人間には4通りの人間がいるという話だ。まず、軍人の家系に生まれた人、二番目に愛国主義者、三番目は他に職が無い人。そして四番目が、合法的に人を殺せるから、というもの。この映画で、5人を射殺してジャック・リーチャーに捕まったジェームス・バーは、四番目に該当する人間だという。イラク戦争に狙撃兵として従軍し、2年間で一度も人を狙撃する機会を得られなかったことから欲求不満になり、イラク駐屯が終わる頃に4人を射殺してジャック・リーチャーに捕まったという。しかし、その射殺した4人が民間軍事会社の社員で現地の女性を28人以上もレイプした奴らだったので、軍はその事実を隠蔽するために、ジェームス・バーを不起訴にして、社会に放ってしまったのだという。実際の米軍内でも、入隊希望者に対して、そのような分析がなされているのかどうかわからないが、この映画の主人公ジャック・リーチャー自身はどうなのか、というのが気になる。複合的要素が絡んでいそうだった。では、自衛隊の場合はどうなのだろう？私が入隊した時代は、私を含めて3番目の人間が多かった。1や2も少数いたが、4番目の人間がいたかどうかはわからない。【ポイント10倍】ジャック・リーチャー　ベストバリューBlu−rayセット (期間限定スペシャルプライス版／本編248分)[PJXF-1142]【発売日】2018/6/6【Blu-rayDisc】価格：3025円（税込、送料別) (2021/8/9時点)楽天で購入

  2021.08.09

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  『闇金ウシジマくん　シーズン2　vol1から3』

  闇金ウシジマくん Season2 Blu-ray BOX【Blu-ray】 [ 山田孝之 ]価格：15510円（税込、送料無料) (2021/8/9時点)楽天で購入『闇金ウシジマくん』の主人公、ウシジマ社長は、夢を叶えようとする若者やギャンブルにハマる大人たちにカネを貸し、10日で五割という法外な利息の取り立てによって、ケツの毛まで毟り取るのを信条としているようだが、場合によっては最後の最後に情けをかけている。考えようによっては、知らない間に莫大な利息を掠め取り消費者を多重債務や自己破産に追い込む銀行のカードローンやリボ払いより良心的のような気がしなくもなかった。丑嶋社長は友情を信じているようだった。丑嶋社長がなぜこの仕事をしているのか、このシリーズを見て少し分かったような気がした。個人的には、35歳フリーター宇津井（永野宗典さん）の顔とパチスロ好きなところが、かつての会社の先輩にそっくりで、深く同情した。初めはパチスロで作った5万の借金が、ヤミ金によって100万以上に膨れ上がり、母親の株の失敗と重なり、実家を担保に取られ、親父の退職金まで失ってしまう。その失敗によって宇津井は、真面目に働くことを覚えたようだった。真面目に働くというのは、そこまでの代償を必要とする行為だったのかと考えさせられる。働くことを覚えるには、あまりにも大きな出費のように感じた。真面目に働くことでは、当分返せそうにない。そして、その仕事が訪問介護士というのも、宇津井の体調を考慮すると不安になる。果たして宇津井がこの仕事を続けられるのか、その後が心配でならなかった。なにしろ宇津井は腰が悪いのだ。腰痛持ちに、訪問介護の現場仕事は辛そうだ。また腰痛が再発しなければいいのだがと、他人事とは思えなかった。さらに資格を取って現場を離れ、腰痛持ちにも優しい仕事が出来ることを心底から願った。

  2021.08.09

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  スーパーカブ70　エンジン腰上をバラす。その2

  結論から言うと、C70の腰上を分解し、燃焼室とピストンのカーボンを落とし、バルブの摺り合わせとステムシール交換を行った結果、圧縮は復活しました。燃焼室の気密性が向上したことでキックの抵抗も戻って、始動もキック一発でかかるようになり、最高速は65キロから80キロ弱にまでアップしました。以下は実際に行った作業です。手元には『スーパーカブパーフェクトメンテ　エンジン編』はあるものの、C70のサービスマニュアルはないので、ピストンなどの摩耗部品の基準値は、『Cubのある生活』を参考にさせて頂きました。ありがとうございました。『Cubのある生活』によると、C70のピストンとピストンリング、シリンダー、バルブスプリングの使用限界値は以下の通りでした。・シリンダー直径　　　　使用限度47.05mm以下であること。・ピストン　　　　　　　使用限度46.90mm以上であること。（ピストンスカートから1ｃｍ上の部分で）・ピストンリング　　　　使用限度0.5mm以下であること。(オイルリング1.0mm)ピストンリングを外してシリンダーにセットし、合口を測定・バルブスプリング　　アウター既定値36.0mm 使用限度34.0mm 　　　　　　　　　　　インナー既定値32.0mm 使用限度31.2mm　　　　　ノギスとシックネスゲージで確認した限りでは、30年間使用したC70のピストン、シリンダーの摩耗は、予想より進んでおらず、使用限界に達した部品はありませんでした。一番気がかりだったコンロッド大端部と小端部のガタもなく、これなら腰下はまだまだ使えそうで、ひとまず安心しました。ピストンは、ピストンスカート部前後にテカリはあるもの、ノギスで測定できる最小単位0.05mmも摩耗しておらず、シリンダーに目に見える傷も確認できませんでした。（本来ならマイクロメーターで測るべき部品ですが、手元にはピストンピンの径を測れるマイクロメーターしかなかったので、ノギスで代用させてもらいました。）バルブスプリングの方も、若干錆が出ていたものの、アウタースプリングは、IN側、EX側共に既定値と使用限度の中間ぐらい、インナースプリングに関しては、共にほぼ既定値でした。（C70のヘッドはC50と違ってダブルスプリングが入っています。高回転時のバルブのバタつきを防ぐためらしいです。）総走行距離はわからないと冒頭で書きましたが、そのボロボロの外観から予想していたのとは違い、エンジン内部の部品は思ったより摩耗していませんでした。30年という月日は経過していますが、前オーナーと前々のオーナーはそれほど乗っていなかったのかもしれません。ピストン、シリンダーはもとより、ピストンリングの摩耗も少なく、張りもあったので、主要部品はそのまま使うことにしました。洗浄前のピストンを観察した限りでは、ピストン側面に、ピストンリングからの圧縮漏れを示す吹き抜け跡はほとんど見られなかったので、圧縮漏れが発生しているのは、バルブ側からのようです。ピストンとシリンダーとは対称的に、シリンダーヘッドの燃焼室とバルブのカーボンは、それなりに堆積していました。しかし、30年間そのまま使用したと考えると、思ったより酷くないなと思いました。ただ、肝心のバルブシートの当たり面は、目視で見てもわかるほどカーボンが堆積し、燃焼室の密閉を妨げているように見えました。いわゆる、カーボン噛みの状況です。特に、排気バルブのシート面は、熱のせいか、細かく虫食い状態でした。圧縮漏れの原因がバルブのカーボン噛みだったとすると、バルブすり合わせとバルブステムシールを交換しただけでも、性能の回復を実感できるかもしれないと、なんだかわくわくしてきました。燃焼室とバルブの洗浄にはガソリンを使用しました。分解皿に深さ2センチほど注いて、ヘッドをひっくり返し、2時間ほど浸したところ、真鍮ブラシでもよく落ちました。バルブ摺り合わせ作業を行うのは、20年以上前に自動車整備専門学校の実習でやって以来でした。今も手元にある2級3級整備士の教科書には細かい作業手順の説明はなかったので、ネット記事とYouTubeを参考にさせて頂きました。ドリル又はリューターとバルブステムをゴムチューブで繋いで行う方法も紹介されていましたが、たった2箇所だけなので、タコ棒でやってみました。摺り合わせ後のバルブと燃焼室の様子です。以下は、摺り合わせ後に光明丹で当たりを確認した写真です。光明丹を使う機会は、以前勤めていた会社でトラックのデフやミッションの組み換えを行った時に使いましたが、もう20年以上も前の話なので、光明丹をオイルで溶くということも忘れていました。最初はバルブに光明丹を塗って燃焼室に差し込んで当たりを見ましたが、『スーパーカブパーフェクトメンテナス』では、燃焼室側に光明丹を塗ってバルブを当てていたので、その方法でも確認してみました。排気側はムラがあるようです。光明丹を落として当たりの音を確認したところ、吸気側はパコパコと音がして、気密を保てているような音でしたが、排気側はカチカチ音で、当たりがいまいちのような感じでした。もう少し念入りにやった方がいいとは思いましたが、早く組んで結果が知りたいという気持ちが先走り、とりあえずこれで組んで見ることにしました。光明丹は工具のストレートで購入しました。ちょうどセール期間中で50gで450円でした。50gというと、私がカブのメンテに使うくらいでは一生使い切れない量です。他の店では1000円以上したので、ネットで購入できる光明丹としては最安だと思います。バルブ摺り合わせに使うタコ棒やコンパウンドはキタコのセットを、バルブスプリングコンプレッサーと共に、アマゾンで購入しました。バルブスプリングコンプレッサーは2000円ほどの安物です。バルブコッターを取り付ける時に、リテーナーの位置が僅かにズレて、入れづらいような気がしましたが、これは中心が合っていないというより、やり方の問題かもしれません。安い割にアタッチメントの種類も豊富で、その役割は十分に果たしてくれました。光明丹でバルブフェースの当たりを確認した後、仕上げはキャブクリーナーを使い、通路やヘッド内部の汚れを落とし、コンプレッサーのエアで吹いておきました。シリンダーやシリンダーヘッドのガスケット落としには、2種類のスクレーパーを使用しました。オルファとKTCです。値段は10倍以上違いますが、大きな面で使う分には、オルファの安いスクレーパーで十分だと思います。むしろ、こちらの方が刃が薄くて良く剥がせます。スタッドボルトの周辺など、細かい部分は刃の幅が10ミリ弱のKTCのスクレーパー小が活躍しました。シリンダー及びシリンダーヘッドガスケット、オイル通路のOリング類は、ヤフオクで購入しました。送料無料のセットで810円でした。バルブステムシールはホンダ純正部品を使用しようと、MonotaROでエアクリーナーなどと共に購入しましたが、結果的にはヤフオクで購入したガスケットセットに入っていたものを使用しました。若干、内側のステムガイドに接触する部分にスリット状の傷がありましたが、とりあえず使ってみることにしました。腰上のみならず、腰下のオーバーホールに必要なガスケットが全て入ったセットで、純正品のバルブステムシールより安いくらいの値段ですから、品質が劣るのは仕方ありません。ネットで検索すると、C70のバルブステムシールは、純正品としてNOK製とアライ製の2つの設定があるようでした。NOK製は12209-GB4-681、アライ製は12209-GB4-682で、隣接番号です。共にノーマルの直径5.5ミリのバルブステムに使うものです。最初はこの2つは別の車種用で、どちらがC70用なのか迷いましたが、パーツリストで確認すると、どちらも使えるようです。NOK製の方が若干安いので、こちらを注文しました。ネット通販では、MonotaROやWebike、楽天、ヤフーショッピングのサイトでも買えます。前述の通り今回のオーバーホールでは、バルブステムシールはガスケットセットに入っていた社外品を使用しましたが、純正品ほどの耐久性は期待できないので、純正品は補修部品としてストックしておくことにしました。部品の洗浄など、実際の作業の大半は、エンジンを車体から下ろして、実家の物置部屋の前で行いました。カブのエンジンは軽そうなので、ジャッキを使わなくても木っ端でも挟んでおけばいいだろうと思いましたが、実家の物置部屋を見たら、20年以上前にNSR250エンジン用に作った2連パンタグラフジャッキがあったので、それを使ったら、力もいらず快適に降ろせました。エンジンを置く作業台もNSR用に角材で作ったものがありましたが、単気筒横型エンジンを立てて作業するには座りが悪く、こちらは保管用のみに使いました。エンジンを下ろすために行う作業より、エンジン周りの汚れ落としが大変でした。このC70は、おととし一年間、千葉に住む友人に貸し出しており、あの洪水でエンジン下あたりまで水に浸かったらしく、フィン周りにドロが大量に付着していました。昨年春に手元に戻ってきた時には、車体回りの汚れも酷く、タイヤやフレーム、マフラーの汚れはすぐに洗ったのですが、レッグシールドを外さずに行ったため、エンジンまで手が回りませんでした。ケルヒャーでもあれば楽ですが持ってないので、濡れ雑巾とパーツクリーナーを使って、シコシコと落としました。エンジン下ろしと汚れ落としで2時間ほどかかってしまいました。その後、実家の2階にある物置部屋に持っていって、分解組み付けの作業を行いました。カブのエンジンオーバーホールやボアアップ作業の詳細については、あまたのサイトがあるので、カブのエンジンを初めてオーバーホールする人間が書き足すようなことはないと思います。私の場合は、前述のサイトと、『スーパーカブパーフェクトメンテ』の他、キタコの虎の巻など、以下の本を参考に行いました。オーバーホールが終わったエンジンは、リトルカブに乗せることにしました。そのため、もともとリトルカブに乗っていた85ccエンジンを下ろす作業が加わりました。なんでそんな面倒なことをやったかというと、リトルカブのエンジンも一度下ろして、見えない部分の汚れを落としたかったからです。そして、フレームの内側やステップ周りなどを再塗装したかったというのもあります。今回も、洗浄が大変でした。C70の場合と同じように、スプロケット周りとエンジン後部と下部、Lクランクケースカバー、エンジンを下ろした後のフレーム内の汚れに加えて、リトルカブだけに付いているエンジンのアンダーガードの内側に汚れが特に酷く、厚く堆積していたので、これらの洗浄に時間がかかりました。今回は、パーツクリーナーではなくガソリンを使用しました。ガソリンの方が洗浄力が高いし、ドロと油が堆積した部分にパーツクリーナーを吹きかけて使っていると、跳ね返りで服が汚れます。アンダーガードには油と泥が5ミリほど堆積していたので、ペンキ落とし用のなまくらのスクレーパーとマイナスドライバーで掻き落としながら、ガソリンを染み込またウエスで拭き落としました。エンジンを下ろしたピポット部付近のフレーム内の汚れも落とせて、スッキリしました。ついでに、リトルカブのエアクリーナーを外して、エアクリーナーボックスを綺麗なウエスで拭いて、エアクリーナーはコンプレッサーのエアで内側から吹いて清掃しました。エアクリーナーは思ったより汚れていてビックリしました。砂ぼこりの他、エアクリーナーボックス内には、蛾やカメムシの死骸まで混入していました。その後、リトルカブのエンジンを部屋に格納し、大きなビニール袋で包んだ後、交代でオーバーホールの済んだC70のエンジンを部屋から出してリトルカブに乗せました。キャブやエアクリーナーボックスはそのままです。スプロケットは、ボアアップキットが入ったリトルカブのエンジンでは16-30で使っていましたが、72では明らかにロングなので、ドライブスプロケットを15に交換し、15-30にしました。エンジンを車体に載せた後、オイルを規定量600ccより若干多く入れて、チェーンの張りを再調整してグリスアップし、各部の締め具合を再確認した後、いよいよエンジン始動です。まず、イグニッションスイッチOFFの状態で、キックを軽く下ろしてみると、明らかにオーバーホール前より抵抗がありました。きちんと圧縮している感じです。数回、軽くキックを下ろしてピストンを往復させた後、イグニッションスイッチをONにして、キックを下ろしてみると、最初の一発でエンジンが始動しました。これには感動しました。C70で、キック一発でエンジンがかかったのは初めてだったと思います。エンジン音も静かで、アイドリングも安定しているようです。最初、タペット音が少し大きいような気がしましたが、20分ほどアイドリングしていたら小さくなりました。エンジンを冷ました後、シリンダーの隙間などからオイル漏れがないことを確認し、キタコの『虎の巻』にある通り、シリンダーヘッドのナットとサイドカバーのボルト、マフラーのフランジナットを増し締めしました。僅か20分から30分エンジンを回しただけなのに、シリンダーヘッドのナットは随分回りました。予想より増し締めが必要だったので怖くなり、締め付けトルクを10N・mまでに抑えておきました。ガスケットの圧縮分だけでなく、スタッドボルトにオイルが付着していたことも増し締めの量に関係していたのでしょうか。再度、オイル量を確認した後、Lクランクケースカバーを外してTマークを合わせ、タペットクリアランスを測ってみると、EX側が0.05ミリ、IN側が0.07でした。IN側も0.05に合わせ、さらに10分ほどアイドリングした後、試走に出かけました。まず、走り出してすぐに違いが感じられました。1速から2速でトルクが向上している感じがしました。ノーマルのC70よりファイナルはロングですが、以前よりトルク感があります。主要部品は替えてないとはいえ、少しは慣らし運転が必要だろうと思っていたのですが、国道17号に出て、3速に入れると、ファイナルが純正よりロングなこともあり、スルスルとスピードが出て、70キロを超えてしまいました。我慢できず、そのままスロットルを開けると、80キロ弱まで伸びました。車体が違うとはいえ、オーバーホール前より走行性能が回復していることを確認できました。ノーマルエンジンを開けて、バルブの摺り合わせとバルブステムシールを交換しただけですが、やった甲斐がありました。今回のC70の圧縮漏れ改善及び、燃焼室とピストンのスラッジ除去にかかった部品代は、ガスケットとバルブステムシールの810円のみです。工具及びケミカル類は、スプリングコンプレッサーとタコ棒、コンパウンド、光明丹などで、3500円程度です。その他、シリコングリス、キャブクリーナーなどのケミカル類は常備品を使いました。今回、カブのエンジンを開けるのは初めてということもあり、練習も兼ねて、バルブステムシールとガスケット類は格安の社外品を使用しました。そのため、どの程度耐久性があるかわかりません。次回、明らかな性能低下が確認できた場合は、85ボアアップキットに交換することになるだろうと思います。それまで、何キロくらい走れるか、楽しみです。HONDAスーパーカブパーフェクトメンテ（エンジン編）価格：2090円（税込、送料無料) 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  2021.08.07

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  スーパーカブ70　エンジン腰上をバラす。その1

  今年の3月、上州武尊山の奈女沢や平標山に山スキーツーリングに行く時に使ったスーパーカブ70は、1992年製造の車体で、エンジンはノーマルです。前オーナーも中古で購入しており、メーターも交換しているので正確な総走行距離はわかりませんが、およそ30年間、エンジンのオーバーホールは一度も行っていないようです。前オーナーはエンジンの異音が気になると言って譲ってくれたのですが、エンジンをかける前にオイル交換しようとオイルを抜いてみると、200ccほどしか入っておらず、オイル交換してからエンジンをかけたら、異音は聞き取れませんでした。エンジンよりもスイングアームピポット部のボルトが緩んでガタが出ていたり、チェーンが伸び切っていたり、ダンパーゴムの劣化などで走行がスムーズではなく、おまけにスピードメーターケーブルが破断し、メーターパネルが割れて中でガシャガシャいっていたので、そちらの音が気になりました。なんとなく、72ccにしてはパワーがないような気がしましたが、メーターケーブルとメーターを交換し、国道17号で最高速を確認してみると、65キロくらいは出ているようだし、榛名山や赤城山などの近場の山へハイキングに行く足に使った限りでは、燃費もリッター50キロ程度は走ったので、車体回りのメンテをした後、エンジンはそのまま放置していました。しかし、リトルカブに比べて始動性が悪いのは気になっていました。気温が零下になる冬ならキック一発でかからないのもしょうがないですが、夏でもしばらく乗らないとかかりが悪かったので、どこかに問題があるようでした。かけ方が悪く、プラグがかぶってしまうのかとプラグを確認したこともありましたが、プラグの焼けは良好でした。火花も正常に飛んでいるようです。キック時の抵抗がリトルカブと比べて軽い気がしたので、ネットで原因を調べて見ると、バルブステムシールの劣化やピストンリングやシリンダーの摩耗、あるいはバルブの隙間にカーボンが堆積するなどして、圧縮が抜けているため、そのような症状が出る場合もあるようでした。マフラーからの白煙は確認できませんが、オイルの消費量がリトルカブに比べて多く、1000キロ走って交換すると、200cc程度減っていることもありました。（この程度は許容内というネット記事もありましたが）圧縮漏れだとすると、改善するにはエンジンを開けなければならいので大変そうです。なので、ちょくちょくオイル量を点検しながら、その後もそのまま使用していました。もう一台、調子の良いリトルカブが手元にあったので、どうしてもC70の不具合を直す必要がなかったからでもあります。その後、気が向いた時に、右クランクケースカバーを開けてオイルストレーナーを清掃したり、オイルを抜いたついでにカムチェーンテンショナーをエアで吹いて詰まりがないかを点検したり、バルブクリアランスを調整したり、錆が出ていた鉄製のリヤフェンダーやハンドルカバーを塗装したり、ステンレス製の前カゴを付けるなど、手軽に出来る範囲でいじっているうちに、譲ってもらった時よりC70に対する愛着も湧いて来ました。そして、5月にリトルカブで鳥海山や白馬岳へ行った時、C70よりパワーがあるリトルカブ（85ccボアアップキットなどが入っている）の方が燃費が良かったことにショックを受け、70のエンジンを開けて見たくなってきました。30年間使用したスーパーカブのエンジン内部がどうなっているのか、燃焼室やピストンヘッドのカーボン堆積具合やシリンダーの摩耗具合を見てみたかったというのもあります。圧縮漏れに対処するだけでも始動性と燃費は改善されるかもしれないと思いましたが、エンジンを開けてバルブや燃焼室のカーボンを落とし、ステムシールとピストンリングを交換するだけでも、ヘッドカバーやシリンダーのガスケットは交換しなければならないし、シリンダーまで外せば、ピストンやシリンダーを交換してもしなくても、手間はほとんど同じようです。これまで通り、乗る頻度が月イチ程度だと、距離数も伸びないし、めったにシリンダーまで外すことはないと思うので、どうせならピストンやシリンダーも交換しようかという気持ちになり、それならば純正品でのオーバーホールより部品が安いボアアップキットを入れたくなってきました。そこで、燃費とパワーと耐久性は実体験済みの、リトルカブに入れているのと同じキタコの85ccボアアップキットを購入しました。キタコはスーパーカブ用に多くのボアアップキットを販売していますが、アルミシリンダーに鋳鉄スリーブが入った85ccライトボアアップキット（部番214-1134401）です。このボアアップキットはスーパーカブ50やリトルカブ、モンキー、ゴリラなど、50cc用に販売されているもので、適合車種にC70は含まれていません。70のヘッドには合わないというネット情報もあり、このキットを70で使っているレビューは見当たりませんでした。鋳鉄製シリンダーの75ccライトボアアップキット（部番212-1013480）は、C70で使ったレビューがいくつかあり、それを見ると、ノーマルの72ccよりパワーが落ちたという感想もありましたので、ちょっと不安になってきました。適合車種に入っていない理由は、シリンダーヘッド自体がC50とC70では異なるためのようです。C50とC70では燃焼室の形状や容積が違うので、当然、使われているピストンのピストンヘッドの形状も違います。C70純正ピストンのヘッドは若干膨らみのあるペントルーフ型です。膨らみの両側にバルブリセスが掘ってあります。一方、1958年から始まったスーパーカブの歴史について、C100からC50までシリンダーやピストンなどの写真で並べて紹介している『スーパーカブ・ファイル』によると、80年代以降、リッター180キロに達した希薄燃焼時代のスーパーカブC50のピストンは、それ以前の山形と違い、中央付近が窪んだ形状になっているようです。それに対して、80年代以降もC70のピストンが盛り上がった形状を維持しているのは、圧縮比をかせぐためらしいです。それでも、70の圧縮比は50に比べて低い9対1です。（C50は10対1）70とボアは同じでストロークが8.1ミリ長い90の場合は、ピストンヘッドは平らで、全長は70よりトップリングの上側とスカート部、共に1ミリから2ミリほど長く、圧縮比は9.1対1とあります。90のピストンを70に使うとピストンが飛び出てしまうそうです。実際に70カブのピストンを外してみると、確かにキタコの85ccボアアップキットのピストンに比べて、ピストンピンからヘッド上端まで2ミリほど余分に厚みがあります。ピストンピンの穴上端からピストンヘッド上端までの長さを測ってみると、70ピストンは約13ミリ、85ccボアアップキットのピストンは11ミリでした。さらにキットのピストンはヘッド中央付近が1ミリほど窪んでいるので、合計3ミリは低いように見えます。果たして、適合車種に入っていないC70に、このキットは使えるのでしょうか？C70のノーマルヘッドで、このピストンを使った場合、圧縮比はどの程度になるのか？目測で約3ミリ低いということは、85と70のボア面積の差から単純に計算すると、ノーマルに比べて、およそ1ccほど燃焼室容積がアップすることになります。燃焼室にオイルを入れて燃焼室容積を測る方法もあるようですが、実際にキットを組み込まなければ測れませんし、組み込みは簡単でも、オイルをプラグ穴からスポイトで入れて再度取り出したりと、実際に正確に燃焼室容積を測るのは大変そうです。ヘッドだけを使って、ひっくり返して燃焼室にオイルを注ぎ、すり切りで測る方法では、ボア増加分とピストン形状の変化による増減分は測れないので、後で説明するように正確な値は出ないようです。そこで、ノーマルC50とC70、それにボアアップキットで公表されているデータから予測してみることにしました。まず、50のノーマルヘッドに85ボアアップキットを組み込んだ場合の圧縮比について、このキットのメーカーHPにある商品説明及び、キットに付いていたマニュアルに記載はありませんが、メーカーに確認したところ、11.1対1とのことでした。純正C50の排気量は、19.5×19.5×π×41.4≒49430.979立方ミリ圧縮比は10対1なので、燃焼室容積は約5.49ccです。85ボアアップキットの排気量は、25.5×25.5×π×41.4≒84529.899立方ミリ圧縮比は11.1対1とのことなので、燃焼室容積は、約8.36ccになると考えられます。（※あるサイトでは、ボアアップキットの圧縮比を計算する時に、ボアアップキットの排気量にノーマルC50の燃焼室容積を足して、C50の燃焼室容積で割って出していましたが、それは間違いではないかと思います。なぜなら、キットに交換すればボア面積だけでなくピストンの高さや形状も変わってくるので、燃焼室容積がC50のノーマルと一緒ということはありえません。燃焼室容積はボア面積の増大とピストン形状（ピストンヘッドの形状が大きく窪んでいるのとピストンの長さが短くなる（ピストンピンの位置がC50と比べて相対的に上になること）によって大きく増えるからです。そのサイトの方法でこのキットの圧縮比を計算すれば、（84.53＋5.49）÷5.49≒16.4という非現実的な値になり、メーカーが発表する圧縮比と5以上も異なることになります。）上で出た値から、C50に85ボアアップキットを組み込んだ場合の燃焼室容積の増大は、約2.87ccです。この差分は、ボアアップと、ノーマルC50のピストンヘッドと85キットのピストンヘッドの高さと形状の違いにより発生すると考えられます。実際にC50のノーマルピストンがあれば比べることができますが、手元にはないので、燃焼室容積の差からピストンの高さの差を予想することにします。50のピストンヘッドの面積は85に比べて約847.8平方ミリ小さいので、50のノーマルヘッドに85ボアアップキットを使った場合、ピストンの高さが1ミリ変化するごとに、0.8ccほど燃焼室容積が変化することになります。増加分は2.87ccなので、0.8で割ると3.58mmです。C50のノーマルヘッドに85ccボアアップキットを組み込んだ場合、3.58ミリもヘッドの高さが低くわけです。というか、そうなるように設計されているわけです。それでも圧縮比はノーマルに比べて1.1高い11.1です。それでは、このキットをC70の純正ヘッドに付けた場合はどうなるのでしょうか？純正C70の排気量は、23.5×23.5×π×41.4≒71790.291立方ミリ圧縮比は9対1なので、燃焼室容積は、約8.975ccです。C50と同じストロークのC70にこのキットを使用した場合でも、ノーマルピストンより3.58ミリほどピストンヘッドが低くなると仮定すると（実際でも目測で3ミリほど低い）、72と85のピストンヘッド面積の差が306.72平方ミリですから、約1.098ccほど燃焼室容積が増大することになり、これを元にC70に85ccボアアップキットを組み込んだ時の圧縮比を計算すると、（84.529＋8.975＋1.098）÷10.069≒9.39約9.4となります。C50に使った場合の11.1と比べれば、ノーマル並みに圧縮比が低くなってしまいます。しかし、ノーマルのC50とC70の間くらいですから、レギュラーガソリンが使えて、パワーもC70よりは出るのではないかと思いました。※この算出方法が正しいかどうかはわかりませんのであしからず。実際ピストンヘッドの長さをノギスで測った場合でも、前述の通りピストンピンから上の長さが3ミリくらい違うわけですから、公表データから推測した場合と目測で、だいたい同じような値となったわけで、自分的には納得しました。レビューはありませんでしたが、とりあえず、85ccボアアップキットの適合車種に含まれていないC70に使っても、圧縮比が低くなり過ぎて使えないということはなさそうです。ただ、このボアアップキットはC70のノーマル燃焼室に合わせて設計されたシリンダーとピストンではないので、メーカーの指定通りC50の燃焼室に使った時ほどの性能を発揮できない可能性が高いです。ボアの増加とピストンの高さが下がったことでスキッシュエリアが広がり、そこがクエンチエリアになり、正常な燃焼を妨げてしまうかもしれません。そのへんは、ボアアップキットの開発と実績では定評のあるメーカーが適合車種に入れていないなりの理由があるのだろうと思います。図書館で借りてきた本、『スーパーカブ・ファイル』に載っていた元・本田技研研究所第一設計ブロックチーフエンジニアで、80年代のスーパーカブの希薄燃焼エンジンの開発に携わった恩田隆雅氏によると、（以下抜粋）「（50のスキッシュエリアの幅と70や90そして100ｃcとそれぞれ違いますが、それは排気量に応じたスキッシュエリアの角度とか長さとか幅が非常に重要）だからです。逆に言うとスキッシュエリアは最適なら良いのですが、マイナス面もあります。例えばピストンの上死点に入った時に、隙間が急に狭くなりガスが噴出しますから、それがたまたまプラグの部分にかかりますと火を吹き消してしまう。だからそう簡単に何でもかんでも付けてしまうわかにはいかないのです。要はいかにしてあの小さな燃焼室の中に混合気がかき混ざるか、そこの問題なのですね。」「基本的にピストンの頭図形状は燃焼室に対する圧縮比で決まるのですね。平らにしても圧縮比が取り切れない場合があるのです。そうすると圧縮比を上げたい時はそこを上げればいいし、高い時はそこを下げるしかないのです。」「エアクリーナーから燃焼室まで、通常はピストンの作用で吸入されるのですが、実際には吸入されたり止まったり、なんです。その断続したガスを急に止められると、ガスというのはバルブの上側に集まります。そのガスをそのまま燃焼室に入れると、高い圧力のガスは充填効率が高いのです。このように充填効率を上げるためには吸気系の慣性力を利用したい。吸気系の設計ではある一定の長さ、大きさというのが設計的に要求されるのです。カブの場合はせっかく整流はしたんだけどまた絞ってますからあまり意味がない。それよりはエアクリーナーの方できちんとガスの慣性効果をうまく利用できるような状態にしておいて、それからキャブに入れて燃焼室に流し込む。慣性効果をうまく利用したいのです。」　p138以上は恩田隆雅氏のインタビューから抜粋。「長く細い一定の径のマニホールドや空燃比精度が見直された新PBキャブレター、コネクティングチューブ形状等が考えられる。またエキゾーストバルブ径に近い径のまま1メートルはあるエキゾーストバルブや新エアクリーナーとそのケース形状等、78年C50と比べても違いが多く見られた。それは吸入側も排気側も十分なバックプレッシャーが掛かり、吸入排気行程でできるだけ脈流を乱さずに慣性吸気によってその精密な燃焼を手で足助けする方向に考えられる。カムシャフトはリフト量をOHC前期モデルに比べて大幅に少なくすると共にバルブ小径化も図り、そこを通過する混合気や排気ガスの流速を上げ、慣性力をより一層つける努力がされている。故に管内予圧も重要なポイントだ。掛け過ぎるのも良い方向へはいかず、抜きすぎるのもいけない。だから一定の穴径のマニホールドやコネクティングチューブ先端のエアファンネル形状の場所とエアクリーナー本体内部の壁までの距離、それに吸気音や容積と吸入パイプ形状の新エアクリーナーケースの研究開発成果が製品に出ているのだ。だから、カブを修理する時に、年代と燃焼方法の作り込みの理解は非常に大切だ。例えばOHC後期のそっと精密に吸いたがるエンジンに、前期的なガバっと吸う太くて短いマニホールドやビッグキャブを付けても安定しにくいのはその組み合わせによるものだ。」「希薄燃焼はいかに流速を上げて予圧を管内に掛けるかで決まってくる」p103また、家にあったバイクのエンジンに関する入門書『図解　バイクエンジン入門』によると、「慣性吸気効果を最大限に利用するには、まずバルブタイミングが適切であるのと同時に、吸気ポートやマニホールドという空気の経路の、長さや太さが大きく影響する。長く、あるいは細くなるほど、低いエンジン回転で慣性効果が働く」p117とあります。まったく同じキットがC50リトルカブに入っているので、その辺の差を確認できるのも楽しみではありますが、その前に、ノーマルC70の正常な状態でのエンジン性能を確認してみたいという気持ちも湧いてきました。上の本にあるように、カブのノーマルエンジンはメーカーが長年培った経験と技術を投入し、燃費とパワーを最大限発揮できる絶妙なバランスで開発されているわけですから、まず、その状態を取り戻してみたいという気がします。私が譲ってもらった時のC70の最高速は冒頭で書いた通り時速65キロ程度で、燃費はリッター50キロくらいでした。本来の性能を発揮しているとは思えません。今回のエンジンバラしに先立って参考にさせて頂いたサイト『Cubのある生活』によると、私のより少し新しい、23000キロほど走った同型のC70DXで、リッター60～64キロ走るとありました。それを見て、C70のノーマル部品をオーバーホールし、圧縮漏れを改善すると、最高速と燃費はどの程度改善されるのか知りたくなったのです。別の理由は、実際やってみると、カブのシリンダー取り外し作業は、大した手間ではなかったからです。これなら、一度ノーマルで組んでみて、圧縮漏れを改善した状態でのC70の走りを体験した後で、ボアアップキットを組むのも悪くありません。ノーマルエンジンのオーバーホールの効果を体験できるし、ボアアップキットを組む前のいい練習にもなるので、二倍楽しめそうです。そこで、まずは、30年間使用したノーマルピストンとシリンダーの摩耗具合を確認してみることにしました。摩耗が酷ければ、ノーマルに戻すにもボアアップより高くついてしまうので、そのままボアアップキットを組むことにします。実際の作業については、その2以降に載せることにします。【在庫あり】キタコ KITACO 214-1133401 ライトボアアップキット 85cc ホンダ モンキー ゴリラ JAZZ マグナ50 シャリー リトルカブ他 旧品番：214-1133400価格：11550円（税込、送料別) (2021/8/4時点)楽天で購入

  2021.08.04

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  『邂逅の森』

  邂逅の森 （文春文庫） [ 熊谷 達也 ]価格：902円（税込、送料無料) (2021/6/22時点)楽天で購入以前、ヤマケイオンラインで紹介された時、手にとって読んだ記憶があるが、その時は3ページほど読んで読むのをやめた。おじさんが雪山でカモシカを獲っているシーンに、どうにも興味が持てなかったからだった。今回は、美熟女に勧められたので、モチベーション上がって読まずにはいられなかった。読み進むと面白くなってきて、途中から夢中になった。エロシーン満載で、高揚すること半端ない。ロシアなど寒い国の人たちはエロいという話を、佐藤優さんの本で読んだような気がする。この小説においても、寒さとエロさは関連するのではないかと思うほど、秋田県出身の富治は若い頃から自分の性欲に純粋に従い、老年まで精力旺盛だった。しかし、これは単なるエロ小説ではなった。この物語は人間のエネルギーがどこから出てくるのか、その源泉を教えてくれるような話だった。現代人はネットワークを駆使して、自分自身のエネルギーを何らかの目的のために回生充電しているように見えるが、明治から大正時代の東北に生きる富治は、そんなものはなくても、人生を満喫し、十分エネルギーを満たして幸せに暮らしているようだった。現代と比べれば、貧しい生活を強いられた部分もあるだろうが、富治は心身ともに豊かに生きているように見えた。富治が持っていたもので、欲しいと思ったものがいくつかある。その一つが小長柄（こながい）である。小長柄とはヘラマタギに使うもので、イタヤ材を削り出して作る。使い道は、１．アオシシを撲殺する。２．雪洞を掘る。３．杖の代わりに使う。現代でも冬山登山に使えそうである。なお、この小説に登場する地名は実在するもので、富治がスカリとして活躍した八久和の村は、現在は八久和ダムの下に眠っているという。

  2021.06.22

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  『ワンス・アポン・ア・タイム・インハリウッド』

  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド ブルーレイ＆DVDセット [Blu-ray]価格：3928円（税込、送料別) (2021/6/21時点)楽天で購入北野武監督の『監督・ばんざい！』を観た後にこの映画を見たためか、2つの映画の共通点に目が行った。まず、監督と俳優の生活という、映画を作る側の事情について描かれている点。次に、暴力シーンが多いのに、時々とぼけたナレーションが入って、コミカルに描かれている点。また、それぞれの国を代表する一流俳優が出ている点も似ていると思った。この映画の舞台は1960年代なのだが、ディカプリオ扮する西部劇のTV俳優リック・ダルトンが演じる1800年代の西部劇の中のアメリカ同様、1960年代に生きる彼らも充分暴力的で、かといって、ベトナム戦争に反対しているヒッピーの若者たちが非暴力的かというと、そうでもなく、結局、暴力は人間に備わる本性なのかと思い知らされるような話だった。しかし、この映画の最後でディカプリオとブラビに殺されるヒッピーの若者たちが言っていたことは一理あるような気がした。「ハリウッド映画が暴力を若者たちに教えた」という点である。普通に暮らしていて、一般人が殺人の現場に居合わせる機会などは、めったにないような気がする。しかし、テレビや映画の中ではそれが日常茶飯事のように起きる。そうでなければつまらないと感じたりする。その感性自体を、映画やTVが培っているというヒッピーたちの言い分も、あながち間違いではないように思えた。ただ、ヒッピーの若者たちは生産活動に携わっておらず、社会のおこぼれに与って生きているみたいだった。豊かで揺るぎないアメリカという体制があって初めて存在できる階級のようで、彼らの主張が正論と言われることはなさそうに思えた。その他、ブラッド・ピットの肉体美が素晴らしかった。その見た目が完璧なブラッド・ピットが、劇中、元妻になじられる映像が、すごく良かった。

  2021.06.21

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  『ウシジマくん2』

  映画「闇金ウシジマくん 2」 [ 山田孝之 ]価格：3344円（税込、送料無料) (2021/6/20時点)楽天で購入先日見た『ウシジマくん』は、若手起業家の資金作りが話題の中心だったような気がしたが、今回はホストとヤンキーと暴走族の出世欲とカネに纏わる問題を中心に描いていたようだった。その中でも、ホストについては何も知らなかったので興味深かった。ホストクラブの客には、金持ちの令嬢とかダンナが金持ちでカネが有り余っていそうな女性客もいたが、大久保佳代子さんやキムラ緑子さんが演じた太客は、自分で稼いたカネで若い男と遊ぶ時間を買っていた。彼女たちの言葉と行動には、いちいち含蓄があり、ホストを教育しているのは彼女たちのように見えた。その点について、ウシジマ社長とカウカウファイナンス社員の高田が語っていた内容が印象的だった。一つは、やべきょうすけさん演じる柄崎の「ホストってのは女を騙すのが仕事だよな？」という問いに対し、元ホストの高田が、「女ってのは後ろ向きな真実よりも、前向きな嘘が好きな生き物ですから」と答えていた部分。2つ目は、映画のラストで丑嶋社長が言っていた「ホストは女のために嘘をつく。女に一瞬のキラメキを与える仕事だ。だがそのキラメキも、いつかは女の闇に飲み込まれる。ホストの命が儚いのは、ホストがいくら嘘で光り輝いても、それより女の闇が深くて暗いからだ。」という言葉。なんだか台本を読んでいるようで長過ぎる気もしたが、世間知らずの私には、綺羅びやかに見える世界の大変さが感じられる言葉だった。映画では、それと同じくらいの時間を使って菅田将暉さん演じるヤンキー少年と中尾明慶さん演じる暴走族のヘッドが、借金苦に陥っていく様子を描いていた。ホストの世界と違い、地元には金属バット振り回す暴走族は沢山いたので、こちらはリアリティを感じた。彼らが少年法を盾に12歳の少年に殺人を犯させる様子など、映画の描写は少し間が抜けていたが、現実にもこんな場面では、間が抜けた感じになるのかもしれないと思えた。恐ろしい話だが、この映画に出てきたヤンキー少年や暴走族のヘッド愛沢は、自分たちのやっていることの良し悪しが分かっているようで、罪悪感によって自分の行動を多少は抑制し、自分のやったことを後悔しているようだった。むしろ、それ以上に恐ろしかったのは、柳楽優弥さんが演じたストーカーのエビヌマと高橋メアリージュンさんが演じた女闇金だった。彼らは完全に箍が外れていた。しかし、それでも高橋メアリージュンさんのドSぶりにはときめいた。債務者の指をドアの蝶番に挟んで切り落とし、それを集めるのが趣味らしいこの女性に、マキタスポーツさんは奴隷のように扱われていた。メアリージュンさんに虐められているマキタスポーツさんを見ていると、マキタスポーツさんはメアリージュンさんに虐められたくて、わざとメアリージュンさんの嫌いな洋梨味のガムを混ぜているように思えた。マキタスポーツさんのように、メアリージュンさんくらいの美人にバカでかい声で罵られてみたいものだと思ったが、そういった欲望を増長して行くと、こういった結果になってしまうのだろうと、自分に教訓を与えてくれる映画だった。

  2021.06.20

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  『闇金ウシジマくん』

  映画「闇金ウシジマくん」 [ 山田孝之 ]価格：3344円（税込、送料無料) (2021/6/19時点)楽天で購入この映画は、かわいいニートは救われる、という話なのか?大島優子さん演じる鈴木未來は母子家庭に育ち、母親の苦労を間近で見ているはずなのに、高校を卒業しても定職につかず、母親の住むアパートで幼い弟と一緒に母親に養ってもらうというニート暮らしを続けていた。その母親はスナックで働いて子供2人を養っているのだが、浪費癖があり、食事も外食や店屋物で済まそうとするから稼ぎが追いつかず、最近は売春によって家計の不足を補っているようだった。おまけに、売春で得たお金をパチンコで増やそうとするから、金がいくらあっても足りず、ついに闇金にも手を出してしまう。娘の未來も遊ぶカネ欲しさから出会い系カフェでバイトするようになり、そこで思ったより大金が手に入ったことで、金銭感覚が狂い始めているらしかった。しかし、母親が闇金で借りたカネの利息を肩代わりする羽目になり、稼ぐそばから闇金に取り立てられたことで借金の怖さを知り、自分がそのバイトの代償で失ったものの価値と、労働の意味を考え始めたのだという。未來に出会い系のバイトを紹介した友だちは、おじさんとお茶しただけでは未來と同等の収入が得られず、売春して毛じらみを移され、その不満を未來にぶつけていた。その友だちが言うには、未來は見た目がかわいいから売春しなくてもおじさんからカネがもらえるのだという。その後、未來は出会系のバイトを辞め、地元の日常にささやかな幸せを見つけたというようなラストだった。それを見たウシジマ社長は、なんだか満足げだった。しかし、私には彼らが出会系のバイトや違法行為で簡単にお金を稼いでいるようには見えなかったので、ウシジマ社長が言うように、「その仕事が正常な金銭感覚を代償にしている」とも思えなかった。問題になるとしたら、継続性のなさと罪悪感ではないかという気がした。金銭感覚が変わろうと、それを維持していけるなら問題にならないし、罪悪感がなければ精神の健康を損なうこともない。そして、その罪悪感こそが、彼女たちが仕事の代償として社会から押し付けられたもののように思えた。実際のところ彼女らの仕事は、この映画の中においても、他人に幸せを与えていたような気がする。幸せという言葉に語弊があるなら、人間に生きる喜びと活力を与えていたように見えた。受け取る賃金の量は他人に与えた幸せの大きに比例するという理論が正しければ、彼女たちは何ら罪悪感を感じる必要はないだろうし、そうして得たお金を何に使おうが個人の勝手だと思う。問題は、彼女たちの多くが社会から守られることもなく個人として働かざるを得ないか、組織に属していても福利厚生を受けられないため、その仕事を続けるのが難しい点にあるのではないだろうか。また、どんな仕事にしろ、ほとんどの仕事が何かしら自分の身体を消耗せずにはいられないわけで、払った代償と概ね等価と思えるから、あるいは、そこにやり甲斐を感じるからこそ、人は同じ仕事を続けるのだと思う。慣れた人なら簡単でも、一から学んで結果を出すには、それ相当の努力と投資が必要になるのはどんな仕事でも同じで、せっかく身についた技術を、社会制度が整っていないために続けられないというのは、非常に残念のような気がした。歳を取ったらそれらの仕事を続けるのは難しいと言われた時代もあったのかもしれないが、現代は嗜好が多様化しているから様々な活躍の場があると、その方面に詳しい友人から聞いたことがある。ならば、未來より容姿が劣ると自分で言っていたその友人だって、努力次第で継続することが可能なのではないか。ウシジマ社長の言葉から教訓を得て、それを活かすということは、ウシジマ社長の言葉をそのまま受け取り、カネの代償として失ったものを振り返ることより、見た目が影響すると言われるその仕事を、おばあさんになるまで継続することだって可能であることを示すことではないか。映画を観終わった後、未來よりそのお母さんや友だちの方が気になってしかたなかった。

  2021.06.19

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  湯檜曽川沿いを散歩して、一ノ倉沢出合へ

  毎年この時期に帰郷する高校時代の同級生と一緒に、湯檜曽川沿いを散歩してきました。当初は西黒尾根から谷川岳へ登る予定でしたが、午前中用があったのと、もう一人の友人が2週間前にぎっくり腰をやって、まだ本調子ではなかったので、昼からでも行ける軽いハイキングに変更しました。湯檜曽川の新道からの景色は、しばらく通らないうちに、様子が変わっていました。まずびっくりしたのは、土合橋のところにある砂防ダムの湖が、ものすごく小さくなっていたことです。中学二年の夏休みに同級生と自転車でキャンプに来た時には、この湖はサッカー場くらいの広さがありました。今時期は雪解けで水量が多いと思っていたのに、水たまりのような大きさになってしまいました。以前は深いところは3メーター以上の深さがありましたが、そばで見た感じだと、もう50センチくらいしかありませんでした。湖は土砂で埋まる寸前といった感じでした。次に驚いたのは、山スキーで3月にこの新道を通る時には、広葉樹の葉は落ち、背丈の低い木々は埋まっていて、遠くまで見通せる雪原ですが、この時期だとジャングルのように鬱蒼とした森になっていたことです。これは単純に季節の違いによるものですが、春山しか知らないというのは、山の一面しか見ていないのだなと実感しました。アラフォーのおっさん3人は、新道を歩いているうちはまだみんな元気で、おしゃべりをしているうちにあっという間に一ノ倉沢出合に着きました。せっかくだから景色の良い旧道まで上がってお昼を食べようということで、そこから20分ほどの登りに差し掛かったところで、日頃の習慣の差というか、体力の差が出てきました。高校山岳部時代、同級生部員4人の中で最も体力のあったTは今も変わらずそれを維持していて、結構急斜面なのに平地を歩くようにスタスタと登って行ってしまいました。最初私はTの後ろについて登っていましたが、普段そんなペースで登ったことがないので、すぐに息が上がってしまいました。たった15分ほどの登りなのに、旧道に登り上げた時には、ひどく疲れてしまいました。しかし、旧道の一ノ倉沢出合からの景色を見たら、疲れも癒えるようでした。一ノ倉の大岸壁はいつ見ても迫力があり、昼めしを食べながら、1時間ほど景色に見入ってしまいました。帰りは舗装された旧道を歩いて白毛門駐車場まで戻りました。舗装された道というのは膝には悪いのかもしれませんが、プラプラ歩いても石に躓くこともないので、疲れた足には快適です。帰りに、いつものように笛木で「生クリームどら焼きイチゴ味」を買って食べ、月夜野の三峰の湯に寄って温泉に入ってから家に戻りました。10時に家を出て、一ノ倉沢出合のベンチでお昼を食べて、帰りに月夜野の温泉、三峰の湯に入って夕方の6時には家に帰って来るという、移動時間を入れても僅か8時間ほどの旅行でしたが、帰ってきた時には、なんだか、遥か遠くへ行ってきたような気分になりました。一ノ倉沢出合は、つい一ヶ月ほど前にも芝倉沢へ山スキーに行った時に通ったわけですが、その時の旅の感触とも違った感じでした。旅で味わう非日常性は、一緒に行く人の影響も非常に大きいことを実感しました。

  2021.06.13

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  『ヤング≒アダルト』

  ヤング≒アダルト [ シャーリーズ・セロン ]価格：1100円（税込、送料無料) (2021/6/11時点)楽天で購入高校時代のスクールカースト最上位の女と最下位の男がアラフォーになって再会し、セックスする話だった。女は心を癒やすために男を利用し、男の方も高校時代の憧れの女とヤれて、良かっただろうなと思った。シャーリズ・セロンは白人女性を代表するような美人女優だが、この映画では身勝手で汚いアラフォー女性を演じていて、そのギャップが見どころだったような気がする。そこそこ高そうな自宅マンションの部屋は散らかし放題で、洗面所も汚くて、美人にそぐわない感じがするのだが、リアリティーは感じる。1.5リットル入りペットボトルのコーラをラッパ飲みしてゲップする姿は、まるでおっさんで、それでいて、いつも同じハローキティのトレーナーを着ているところなど、セレブに憧れて都会に出てきた女性にしては、何かチグハグな感じだ。その憧れと現実とのズレが肥大し、思い込みが激しくなるに従い、シャーリズ・セロン演じるメイビス・ゲイリーの顔が酷く醜くなっていった。その表情の変化が素晴らしかった。一方、高校時代にゲイに間違われて同級生からリンチを受けて障害者になってしまったスクールカースト最下位の男マット・フリーハウフを演じたパットン・オズワルトの演技も良かった。役柄にハマっていて、彼の言葉には真実味があり、共感した。ただ、彼はそんな境遇にあったからこそ、酒の密造など、大人になってから一人でも楽しめる趣味を持つことが出来たような気もする。スクールカーストという言葉は、私が高校時代を送った1990年代にはなかったような気がするが、実際はあったのかもしれない。というか、そういう状況は変わらずあった。映画の設定としての彼らの高校時代も私が高校時代を送ったのと同じ1990年代で、その時代でもアメリカでは映画のような酷い性差別やイジメがあったのだとすると、私がその頃のアメリカに抱いていた自由の国というイメージとは大きくズレていて、意外というか残念だった。最初に見た時は、田舎町に住む平和な住民の生活を混乱に貶めようとする高飛車女メイビスの行動にまったく共感できなかった。しかし二回目に見た時には、あの田舎町の人間関係と閉塞感に息詰まるのは当然のような気がして、メイビスに同情してしまった。と同時に、メイビスは小説のネタにするために、わざとこの状況を作ったのかもしれないと思えてきた。平和に見える田舎町の人間関係にも、田舎特有の過干渉があるようだし、彼らの狭い価値観にそぐわない者を排除し、あるいは異質な者を自分たちの価値観に変えようとする圧力に対抗し、批判するかのような小説を、メイビスは書いていたようだ。そういった意味でメイビスもマットも、田舎町の価値観に染まった人たちの被害者だったのかもしれない。だから、最後にメイビスが自分のそれまでの生き方を肯定し、都会に帰って行った時には、なんだかスッキりした。

  2021.06.11

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  『イングリッシュ・ペイシェント』

  イングリッシュ・ペイシェント【Blu-ray】 [ レイフ・ファインズ ]価格：1650円（税込、送料無料) (2021/6/10時点)楽天で購入『サラの鍵』主演のクリスティン・スコット・トーマスが出てくるというので借りて見た。キャサリンを演じたクリスティン・スコット・トーマスは、教育ママみたいな真面目そうな顔をしているのに、ちょっとエロいところがいい。そのヌードシーンに欲情した。また、この映画には『存在の耐えられない軽さ』でかわいい女の子を演じたジュリエット・ビノシュが出てきて、こちらもまた、そのキレイな乳首を見れて、すごく得した気分になった。物語としても面白かったというより、怖かった。レイフ・ファインズ演じるアルマシは、キャサリンと不倫したために、ああなってしまったように思えてならなかった。キャサリンも同様で、アルマシと会わなければ、あんな暗くて寒い洞窟の中でひとりで最後を迎えずに済んだのだろうと思うと、真面目に生きなければと思うと同時に、彼らは自業自得だったのだろうと思った。しかし、彼ら自身の立場に立ってみると、情熱的な恋に生きられて幸せだったのかもしれない。一方、もう一人の女性、ジュリエット・ビノシュ演じるハナもまた恋多き女性であるが、彼女の愛は倫理的だったため、最後は比較的ハッピーエンドに終われたような気がした。しかも、非常に情熱的ではある。それと関連して、私がこの映画で一番ドキドキしたシーンは、ハナの恋人で爆弾処理の任務で来ていたインド人将校が橋の下で不発弾を処理していた時に、米軍の戦車部隊が通りかかった時だ。あの時は、ハナが自分の思い込み通りのサゲマンだと証明されるのではないかとドキドキした。しかし、そうはならなかったのは、やはりハナが倫理的な女性だったからだと思わせるような映画の設定になっていて、そのへんは、やっぱりキリスト教の影響なのかどうかはわからないが、この二人の女性の生き方を比較することで、良いことをやれば良い報いを受ける、ということを言いたげではあった。

  2021.06.10

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  スーパーカブで白馬岳へ

  2021シーズンも終わりに近づいてきました。この時期に群馬から原付バイクで行けてスキーが楽しめる場所はいくつかありますが、今回は白馬大雪渓に行くことにしました。理由は、日帰りが可能だと思ったからです。自宅から白馬岳の登山口猿倉までは約170kmです。車で行っていた時は前日の夜に出て車中泊がほとんどで、日帰りで行ったことはありません。先月、テレマークレッスンを受けに白馬五竜スキー場へ行った時も、師匠の家に前泊させてもらいました。当日の朝早く出るより泊まった方が身体的に楽なのは事実ですが、先月バイクで訪れた時の感じだと、バイクならこの時期に限っては日帰りでも白馬で滑ることは可能だと感じました。可能というのは、一日そこそこ滑れて、翌日の生活に影響ないという意味です。当たり前のことですが、日帰りから一泊になるだけで持ち物が多くなり、準備にも時間がかかります。また、気分的にも大きく変わります。一般的には、非日常性を味わうために旅行へ行く場合が多いのかもしれませんが、私の場合は、日常生活の近くで楽しみたいという思いが強いです。手軽な娯楽を求めているということかもしれません。その非日常性の度合いは単純に、旅行へ行っていた時間や目的地までの距離に比例するのか、まったく関係ないのか、時間は短くても距離が遠ければ非日常的感覚は増すような気もするし、そこへ行くまでの手段も影響しそうで、そのへんも気になりました。高校時代、山岳部の夏合宿で飯豊連邦に5泊6日のテント泊で行った時、自分の意識が身体についてきていない感覚を味わいました。魂を家に置いてきたような、心ここにあらずといった感じを一週間、山の中で味わいました。非日常的な感じではありましたが、それはあまり楽しいものではありませんでした。あの時は確か、快速ムーンライトで新発田まで行って、そこから胎内までタクシーで行ったと記憶しています。帰りは磐越西線で会津若松に出て、そこから只見線で帰ってきました。帰りの磐越西線の電車の中で、女子高校生といちゃついている自分と同年代の男を見た時、ようやく魂が戻ってきたような感じがしました。当時、その感じを山岳部の同級生に話したところ、「オレは違う」と言ってました。「逆に意識が先行する」と言っていたのが強く印象に残りました。それは、私の方は嫌々ながら山に行っているから意識が着いてこないのに対し、彼は山が好きだから常に意識が先を行っていて、山を二重に楽しんでいるのだろうと羨ましく思いました。果たしてバイクで少し離れた場所に日帰りスキーへ行くと、私の魂は原付バイクのスピードについてこれるのか、そして、どんな気分になるのか、それを体験したいと思いました。朝、家を出て夜帰って来れるとなると、県内で滑るような気分で行けます。それが良いことなのかどうかはともかく、今まで日帰りで白馬岳に登ったことがなかったので、泊まりで行った時とは違った気分を味わえるのではないかと期待しました。そして、実際やってみると、ちょっとおかしな気分になりました。おかしな気分というのは、おなじみの身体が疲れてハイテンションになるのとは違い、日常より正気を取り戻したような気分になったのです。私は日常生活を正気で送れていないからなのか。どっちも正気でない可能性もありますが、日帰りで白馬大雪渓へ行って帰ってきた時には、正気に戻ったような気分になり、心安らかでした。やりたくないことをやっている時の自分は本当の自分ではないと思いたい気持ちが、そう感じさせたのかもしれません。それはさておき、原付バイクを使って白馬大雪渓で日帰りするために、早朝にバイクで走るのは、とにかく気持ち良かったです。この時期に使う交通手段としては、一番楽しいのではないかと思いました。また、道がすいていたので、トラックの流れに合わせて走っていたら、深夜に車で行った時よりも早く白馬まで行くことができました。そしてもう一つ、今回のツーリングの目的としてあげられるのは、前回と前々回のツーリングで気になった、スロットル全開エンジン高負荷時に出る金属的な連続音を、碓氷峠で確認することでした。リザーブ状態からハイオクを入れて碓氷峠の登りで確認したところ、異音は出ませんでした。やはりあれは、指定通りハイオクを使わなかったことにより発生したノッキングだったようです。気になっていた問題が解決してスッキリしました。ノッキングが出ないことで、エンジンパワーも少し上がったような感じを受けました。原付バイクでのツーリングとは別に、シーズン終了間近に白馬を選んだ理由として大きいのは、現在はまっているBCクロカンで、大雪渓から葱平への登りをステップソールで登りきれるかどうかを確認したかったからです。数年前に杓子沢を滑った時以来、白馬大雪渓は登っておらず、GWに行った芝倉沢の稜線間近の最後の登りと、葱平手前の急斜面とどちらが急か、記憶が不明瞭でした。いずれにしても、ステップソールで登るには微妙な斜度だと思ったので、実際登って確認したいと思いました。結果、葱平までステップソールで上がることができました。斜度は芝倉沢の稜線手前の最後の登りの方が若干きついような気がしました。葱平を登りきった頃に少しガスが出てきて、気分的にもういいやという感じになってしまい、山頂までは行けませんでしたが、小雪渓の雪質は上質なザラメで、滑りは楽しめました。大雪渓は相変わらず石ころは多かったですが、10年くらい前に毎年のように山スキーで来ていた頃と比べて、この時期にしては雪面がきれいで、滑りやすかったと思います。また、シーズン最後の山スキーを、BCクロカンを始めるきっかけを作ってくれたテレマークの師匠たちと一緒に滑れたことも、来シーズンに繋がりそうで、満足度を上げてくれたと思います。

  2021.06.09

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  リトルカブで鳥海山へ

  山スキーだけを目的に、車で遠くへ行く気にはならないし、ツーリングだけのために、お気に入りのリトルカブを1000キロも走らせるのはもったいないような気がします。そんな時、バイクで山スキーに行くというのは最高の方法のような気がします。そこで、いつもは軒先に置く都合で小さいリアボックスがついたリトルカブのスキーキャリア・バージョン3を、新しく作ったバージョン4に乗せ替えて、鳥海山へ行ってきました。鳥海山は最も近い山形県の登山口でも自宅から400キロ以上あるので、原付きバイクで日帰り、というわけにはいきません。そのため、荷物はそれなりの量になります。ただ、今回はBCクロカンの練習がしたかったので、ブーツは履いたまま行けるため、プラブーツを持たないだけで、冬用シュラフ分の余裕ができます。当初の予定としては、何度か行ったことのある南面の滝ノ小屋周辺で滑りたいと思いました。標高1300メートル付近にある滝ノ小屋だと、この時期でも夜は寒いだろうからと、2月の北大雪スキー場でマイナス25度まで下がった時にも使った厳冬期用の化繊シュラフを持って行きました。なぜ化繊シュラフかというと、背負って登るわけではないし、ダウンは汚れると洗うのが面倒だからです。また、ヘタリも気になります。結果的には滝ノ小屋には泊まらず、1日目は海岸線に近い標高20メートル付近に泊まり、2日目と3日目は標高1150ｍ付近で泊まったため、夜は暑いくらいでした。まずは、鳥海山までのツーリングについてです。高崎を朝7時頃出発し、途中、新潟の小千谷にあるベイシアで食料の買い出しをし、山形県遊佐に着いたのが午後6時半頃でした。ガソリンの給油に関しては、行きは余裕を見て、長岡と新発田と酒田で、合計3回入れました。帰りはスタンドの場所と燃費が把握できたので、出発時に秋田県にかほ市で給油した他は、長岡で1回給油しただけで高崎まで帰って来れました。帰りは矢島口の祓川駐車場を朝8時に出発し、高崎の自宅に着いたのが午後6時半でした。途中、山形県と新潟県の堺にある鼠ヶ関海岸で30分ほど昼飯休憩し、その後、小千谷のコンビニでも休憩したので、帰りの方が早かったようです。4日間の総走行距離は1095キロ、給油したガソリンは15.9リッターということで、燃費はリッター68キロほどでした。前回の白馬ツーリングの時はリッター71キロほど、今回は68キロだった理由に関しては、白馬ツーリングの場合は1000メートル近い登りは碓氷峠以外なかったのに対して、今回は三国峠の他に、湯ノ台口と吹浦口と矢島口と、3日間で3回、海岸沿いから標高1000メートル以上の登山口まで登り降りさせ、しかも湯ノ台口に関しては、雪の残る林道を強引に登らせたことが影響しているのかもしれません。また、国道7号線は新潟から秋田県まで、高速道路のように車の流れが速いので、それに合わせて走ったせいもあるかもしれません。それにしても、今回は燃費走行を心がけたわけでもないのにリッター70キロ近く走ってしまうのですから、ハイブリッド車全盛の今でも、カブは十分エコな移動手段と言えるのではないかと思います。それに、前回白馬ツーリングの時にも書きましたが、個人的にはバイクで走るのは気持ちいいし、車の運転よりも疲労感が少ないです。車で行った時も村上市から国道7号線を北上し、旧山北町の海岸線に出た時には毎回感動したのですが、今回は特に景色が良かったので、大崎山トンネルの手前にバイクを止めて、しばしの間、景色に見入ってしまいました。その後も、海岸線の路肩駐車スペースに何度もバイクを止めて、風景を楽しみました。バイクの場合、気兼ねなく停めて、景色を眺められるところもいいです。疲労感についても、以前書いた通り、バイクで峠道を走る場合、特にステアリング操作をする必要はなく、自動運転のように無意識に曲がってくれるので、個人的には明らかに車より楽だと、今回の1100キロ近いツーリングで確信しました。非力なので、ワインディングロードの登りは車にどんどん追い抜かれて行きますが、下りは一般車より速いです。しかし、バイクをスキーの移動手段として使う場合の欠点は、荷物の搭載量に限りがあるということです。家での生活と同じような快適性を求めると、バイクでのテント泊ツーリングは楽しめないのかもしれません。かといって、今回は登山のように軽量化と少量化にこだわったわけでもなく、登山では使わないような惜しげなく使える道具を持って行き、そこそこ快適なテント泊ができました。宿泊道具に関しては、15年前にホームセンターで3980円で買ったテント、厳冬期用の化繊シュラフ、銀マット、エアマット、ガスコンロ、ラーメン用の大きいコッフェル、ガス缶3個（225gの標準缶2個と460gのロング缶1個の使い残り）、ザックに入れてある緊急用のヘッデン以外のテント泊用の明るいヘッデン一個といった感じです。ガスはミニ缶でも足りると思いましたが、ごく少量残った缶が3つあったので、それらをすべて持っていきました。結果的にはショート缶2個の残りで十分足りました。コッフェルは、ラーメンやうどんを食べるには、でかい器に入れた方が気分的に美味しく感じるため、直径18センチのコッフェルを2個持って行きました。一度に2個は使いませんが、2個セットなので、嵩に違いはなく、一個を下に敷いて作業すると、水を注いだりする時にテント内に水がこぼれるのを防げて便利です。日用品に関しては、歯ブラシ、歯間ブラシ、デンタルリンス、石鹸、シャンプー、泡立ちナイロンタオル、T字ひげそりの他、電動髭剃りも持って行きました。最近使い始めて大変気に入っているブラウンの電動歯ブラシを持っていくか迷いましたが、落として壊したら悲しいので止めました。着替えに関しては、夜寝る時、昼間使った服でシュラフに入るのはなんとなく嫌だったので、テント内着用にジャージを持って行きました。下着の着替えは、当初は1日しか滑る予定がなかったので、1着しか持って行きませんでした。その他、ハンカチ3枚とハンドタオル1枚と普通の大きさのタオル2本です。靴下は一番重要だと考えているので、予備も含めて4足持って行きました。グローブは皮革製の薄手一個と防寒テムレス1個の他、作業用に軍手1個とゴム手袋を1個持って行きました。他に、帽子2個（ハットとビーニー）、バラクラバ、紙製マスク4枚と布製マスク3枚、クロックスのサンダル、スマホ用予備バッテリーなどです。バイクの工具に関しては、今回はパンク修理までは自分でできるようにと、以下のような工具を搭載して行きました。これらの工具セットが、携行品の中で一番重いアイテムでした。食料に関しては、基本的には現地で買い出しすることにして、水だけは自宅から4リットル持って行きました。2リットルのペットボトル1本と500ccのペットボトル2本と、1リットルのプラティパス1個です。ここまで書き出してみると、持っていくものを選別したわけでもないことが分かります。実際、私の場合はテント泊が家にいる時と比べて著しく不便だったわけでもなく、しいて言えば、食事中に映画が見れなかったことくらいですが、やろうと思えばスマホで見れたかもしれません。しかし、それよりも、夕焼けや夜空を見ていたほうが快適だったといえます。キャンプの件はここまでにして、もう一つの目的、鳥海山でのBCクロカンの練習に関しては、大平駐車場でお会いしたBCクロカンスキーヤーのTさんと一緒に矢島口から北面ルートは滑れなかったものの、当初の予定より1日多く滑れて、おおむね満足できました。以下は1日目と2日目のルートです。1日目は南面の湯ノ台から登りました。林道は、ところどころ出てくる残雪を突破して、のぞき付近までバイクで上がりました。バイクを出たのが午前8時頃です。そこからステップソールで薊坂まで登り、薊坂から伏拝岳、外輪山を新山の山頂までハイクアップし、山頂から千蛇谷を七五三掛まで滑りました。千蛇谷を滑走中、文珠岳付近から千蛇谷に滑り込んだシュプールがあり、下から見たらBCクロカンでも行けそうだったので、途中まで登ってみましたが、実際上がってみると高度感と斜度があり、とても滑れそうにないと諦めました。七五三掛まで滑って外輪山に戻り、御苗代から文殊岳の一段下までステップソールで斜めにトラバースして上がり、小雪渓から貝型雪渓を滑って林道に合流しました。ここまで雪切れはありませんでした。その後、ところどころ林道をショートカットし、下部は林道の雪が切れて数箇所板を外したものの、バイクのすぐ横までスキーで戻って来れました。下の写真は下山した時に撮影した鳥海山南面です。その後、コンビニで買い出しし、鳥海ブルーラインで鉾立へ向かいました。2日目は西面の吹浦口から登りました。路肩スペースを出発したのは7時20分頃でした。大平駐車場の上にある路肩スペースから御浜小屋まで雪は繋がっていましたが、下部はステップソールが効かず、板を担ぎました。まずは御浜小屋横から鳥海湖に滑り込み、そこから鍋森との間をステップソールでトラバースして笙ヶ岳へ向かいました。笙ヶ岳山頂には雪がなく、カメラマンが酒田方面の景色を撮影していました。笙ヶ岳からまた御浜小屋に戻り、今度は御浜小屋の北側斜面を滑りました。この北斜面が一番雪が良かったです。その後、また御浜小屋の下まで登り返して、登ってきたルートを滑ってバイクに戻りました。下部は片斜面になってきたので、滑りやすい方へと右に行った結果、鉾立寄りの路肩に出てしまいました。バイクを停めた駐車場から300メートルほど鉾立寄りでした。道路を歩いて戻る途中、山から道路の側溝に水が溢れていたので板の汚れを流し落としました。春スキーはどうしても板が汚れるので、こういった場所があるとありがたいです。駐車場に戻って、すぐに板とザックをバイクに搭載し、鳥海ブルーラインを秋田側に降りて、前日、鉾立駐車場でTさんから教えて頂いた象潟道の駅4階にある温泉、展望風呂に入って景色を堪能しました。その後、象潟駅の南側にあるマックスバリューで買い出しをし、祓川へ移動しました。象潟から祓川へ向かう道路から見える鳥海山北面の景色が非常に良かったです。写真はありませんが、特に、林道に入ってからの、新緑のブナ原生林は感動的でした。3日目は、BCクロカンスキーヤーのTさんたちと一緒に矢島口から山頂を往復する予定でしたが、前日、笙ヶ岳から戻る斜面で大ゴケして左足首を捻ったせいで、外踝が痛かったのと、朝はガスが出ていて、出発しようと思った時刻には雨が降ってきたので、滑るのは止めて、帰宅しました。帰りのツーリングが意外と楽しかったのは、前述の通りです。今回の鳥海山BCクロカン練習ツアーで、BCクロカンの腕が上がったかどうかは分かりませんが、経験値は少し上がったような気がします。具体的には、この時期に気温が上がると鳥海山の南面や東向きの斜面は雪がグサグサになり、午後は特に、細板でBCクロカンで滑るのはあまり快適ではないということと、笙ヶ岳東面のような急斜面は、BCクロカンには向かないということです。また、今までは、どんな状況でもテレマークターンで切り抜けることに拘っていましたが、それを諦めてアルペンターンも織り交ぜて滑れば、BCクロカンでも楽しめる斜面は多いということです。鳥海山に来る前に、へんなこだわりを捨てていれば、もう少し楽しめるコース選択ができたのかもしれません。

  2021.05.17

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  リトルカブ　タペットクリアランス調整など。

  先日、白馬へ行く途中、碓氷峠の登りでエンジン高回転時に金属的な音が出ているのが気になりました。平地で80キロくらいで走っている時や、下りで90キロ以上出しても音は出ないようです。アクセル全開で、高回転高負荷時に限るような気がします。耳があまり良くないのと、4サイクルエンジンの故障探求の経験がないので、異音の違いとその原因が判断できません。ノッキング音のような気もしましたが、カチカチ音も出ているようだったので、取り敢えず、手っ取り早くできることからやろうと、タペットクリアランスを確認してみました。ノーマルカブの場合、タペットクリアランスは吸気側、排気側共に0.05ミリですが、このリトルカブにはキタコのライトビッグボアキットとSPLカムシャフトが入っているので、排気側は0.08ミリだと付属の説明書に記されていました。予めそれを確認せず、ノーマルと同じと勘違いして調整してしまったため、最初は両側とも0.05ミリに調整してしまいました。もっとも、吸気側は調整前の値が0.05ミリ、排気側が0.08ミリだったので、そもそもタペットクリアランスは狂っておらず、調整の必要はなかったのですが、上記の理由で、一度ロックナットを緩めて再調整してしまいました。ネットには、「カチカチ音が出たのでタペットクリアランスを調整したら音が消えた」という記事がいくつかありましたが、調整前の値がどれくらいだったのかも示してもらえると、より参考になるのになと思いました。マニュアルによるとプライスマイナス0.02ミリまでの許容範囲があるので、許容範囲内ならタペット音は出ないということでしょうか。エンジンによっても違いがあるのでしょうが、カブの場合は基準値からどのくらいズレたらタペット音が出るのか知りたいところです。一部のネット記事によると、一般的には使用に伴い、バルブシートが摩耗し、タペットクリアランスは狭まる方向に変化するとあります。なのに、経年劣化でタペットクリアランスが広がってカチカチ音が出るというのは、実際はバルブシートより、カムシャフトやロッカーアームやアジャストスクリューとバルブステムの接点が摩耗して、タペットクリアランスが広がるということなのでしょうか？今回、タペットクリアランスは全く狂っておらず、調整する必要はありませんでした。しかし、6年ほど前にこのリトルカブを譲り受けて以来、タペットクリアランスは一度も確認していなかったので、点検は無駄ではなかったと思います。実際の調整作業については、思ったよりシビアで、神経を使いました。アジャスターの回転角度10度の違いで、クリアランスは一気に0.02ミリくらい変化するようでした。10度と言っても実際測ったわけではなく体感的なものなので、気持ち動かしたかどうかという程度でも、0.01ミリは変わってしまうようでした。どうしてもぴったりに合わせたくて、一つ上と下のサイズのシックネスゲージを入れたり出したりして、シックネスゲージの引き抜き加減の違いを何度も体感してみました。ロックナットの締め付けトルクに関しても、ビックボアキットのマニュアルに記載されている0.7～0.8kgf･mという値がしっくりこないので、何度も締め直してしまいました。オイルドレンボルトとかアクスルシャフトとか、20N･ｍ以上のトルクしか締めた記憶がないので、小さなトルクを求められるボルトやナットをどの程度締めたらいいのか、悩んでしまいます。このくらいかなと思って締めた後、トルクレンチで確認してみたら、角度にして45度以上、締め付け不足でした。オイルに浸っているからなのか、グングン回ってしまいそうで怖いです。ロックナット締め付け後、クランクシャフトを2回転させ、もう一度クリアランスを測って変化がないことを確認し、キャップを閉めて、クランクケースカバーやレッグシールドなどを元に戻して、一応作業完了です。なお、カブ純正のロッカーアームのタペットアジャスターのサイズは3ミリ、ロックナットのサイズは9ミリです。私が使用した工具は、手持ちの9ミリメガネレンチと、アストロの景品で頂いたミニモンキーレンチです。（トルクレンチで確認する時のみ、ビルティマのセットに入っていたボックスレンチを使用しました）以前、70カブのタペットクリアランスを調整した時は、タペットアジャスターはプライヤーかラジオペンチで回したような気がします。ロックナットを完全に緩めれば手でも回りますので、なんでも良さそうですが、微妙な調整をするにはタペットアジャストレンチがあった方が良さそうです。タペットアジャストレンチなら、ロックナットも必要なトルクで締められる長さになっているものと思います。排気側のタペットクリアランスを調整する時、かなり屈まなければならないので、下の写真のようにセンタースタンドの下にブロックを一個置いてフロントを持ち上げた状態で作業すると楽だというネット記事があったので真似をしました。このようにフロントを上げることで、排気側のタペットホールからのオイル垂れも防止できます。タペットクリアランス調整に要した時間は1時間ほどでした。外したレッグシールド裏側の汚れやフレームのほこり、クランクケースカバーの裏側のチェーンオイルの酷い汚れ落とし、シリンダーヘッド周りの清掃を入れなければ、準備も入れて40分ほどでできそうです。調整前と何も変えていませんから音に変化はないはずですが、一応確認のため、自宅から実家までの国道17号を時速80キロから85キロで試走してみました。やはり、金属音は確認できませんでした。冒頭に書いた通り、平地では高回転まで回しても音は出ていないようです。碓氷峠のような長い登りでアクセル全開時、つまり、エンジンオーバーヒート気味で高負荷がかかった時に出るようなので、次回の鳥海山へツーリング時に確認してみたところ、やはり、三国峠や鳥海ブルーラインでの長い登りでその音が確認できました。どうやらノッキング音だったようです。なお、このリトルカブの改造点は以下の通りです。エンジン周りはキタコのライトビッグボアキット85ccと、SPLカムシャフト、ウルトラオイルポンプキット、デイトナの強化カムチェーン、武川の強化遠心クラッチが入っています。また、キャブも純正16ミリから口径を上げています。ビッグボアキットの説明書を見ると、「圧縮比が上がっているためハイオクガソリンを使用して下さい」との注意書きがありました。兄から譲ってもらった当初は言われた通りハイオクガソリンを使用していましたが、一度レギュラーガソリンを入れたときに特に問題はないようだったので、その後はずっとレギュラーを使ってました。長い間、その異音が気にならなかった理由として、爆音マフラーが影響していたような気がします。現在はスーパーカブ70の純正を使用していますが、4月までずっとウイルズウィンのロイヤルマフラー・スポーツタイプを使っていました。バッフルを外しているため、音が物凄くデカく、長時間乗ると耳が痛くなるほどだったため、ノッキング音に気づかなかったのかもしれません。ロイヤルマフラーの方がパワー感があって高回転までよく回ったような気がしましたが、それも音のせいでそう感じただけかもしれません。その他、足回りは、リアだけ武川のリアショックアブソーバーに交換してあります。また、先日、スピードメーターを武川の120キロメーターに交換しました。ずっとリトルカブ純正のノーマルメーターで乗っていましたが、先日の白馬ツーリング前に、中古の120キロスピードメーターをバラしてパネルに出ていた錆を落として白く再塗装してきれいになったので、武川の120キロメーターに交換してみました。以前は車のスピードに合わせて走るだけで、実際何キロ出ているのか分かりませんでしたが、この120キロメーターに交換して浅間サンラインや長野市内の国道18号を車の流れに合わせて走った感じだと、メーター読みでは平地で85キロ、少し下り坂だと95キロくらいは出るようでした。先日の鳥海山へのツーリング時には、新潟市内や鶴岡市内の国道7号バイパスで車の流れに合わせて80キロ前後で走行していましたが、平地だとそこからアクセルを開けて、5キロほどは加速できるようでした。なお、スプロケットはドライブ16、ドリブン30と、3速リトルカブにしてはかなりロングです。燃費は、先日の白馬までの往復346キロ走った場合で、リッター71.7キロ、今回の鳥海山ツーリングでは約68キロでした。二速から三速の間がだいぶ離れているため、碓氷峠のような長い上りで失速すると、二速に下げたときにかなりエンジン回転上がり、オーバーレブさせてしまいそうになります。二速では50キロ以上出さないように気をつけなければなりません。碓氷峠のような長い登り坂だと、どうしても二速で引っ張り過ぎてオーバーヒート気味になり、しかも、ライトボアアップキットの指定通りハイオクガソリンを使っていないため、ノッキングが出ているのかもしれません。それから、ライトボアアップキットによる圧縮比の変化とSPLカムシャフトへの交換に伴い、点火時期の変更も必要なのかもしれません。対策としてはまず、ビックボアキットの説明書通り、ハイオクガソリンを使う必要がありそうです。先週の日曜日にオイル交換しましたが、鳥海山ツーリングで1100キロ走ってしまったので、今週またオイル交換して、次回のツーリング時にハイオクを入れてノッキングが出るかどうか確認してみたいと思います。KITACO キタコ 88cc NEW スタンダード ボアアップキット価格：33489円（税込、送料別) (2021/5/16時点)楽天で購入AP タペットアジャスターツール CR-010【工具 DIY】【アストロプロダクツ】価格：1738円（税込、送料別) (2021/5/16時点)楽天で購入

  2021.05.16

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  2021シーズン17回目 　BCクロカンで芝倉沢

  テレマークを始める前から続いているGWの芝倉沢ツアーへ、今年はBCクロカンで行ってきました。最高の天気の中、極上のザラメ滑走を楽しめました。数年前にBCクロカンで来た時には、旧国道から少し登った屈曲部のデブリ地帯以外はステップソールだけで一ノ倉岳山頂まで登れたので、今回もそのつもりでシールは持参せず、塩ビ管で作ったヒールリフターだけを持って行きました。あの時と同様、ステップソールのみで稜線までの登り上げるつもりでしたが、山で同じ状況などありえず、今年は下部の屈曲部から中間部のノドまで、笹平方面からのデブリで埋まっていて、そのデブリ地帯と稜線に出る最上部だけはステップソールで登りきれませんでした。最上部の急斜面は、稜線まであと一歩のところまでステップソールで行けましたが、そこで滑落すると、急斜面下部の露出した岩にぶつかりそうだったので、弱気になってスキーを脱ぎました。標高差にしてほんの10メートルほどですが、なんだかしっくりこないので、一度山頂まで行った後、相方を待つ間に試走も兼ねてその位置まで滑って戻り、またステップソールで登り返したので、実質は、デブリ地帯以外はステップソールで登れたと言えるのではないかと思います。出発前は前日の降雪や気温上昇や雪面に開いたクラックのことなど色々心配で、堅炭沢からの雪崩で崩落した林道通過や、助けられるかどうかわからないけど、相方がクラックに落ちた時のために20ｍロープなどを持ったりして、BCクロカンで滑るには装備が重くなり、あまり乗り気ではありませんでした。芝倉沢は下部から中間部は両側が切り立った谷で雪崩や落石も多く、この時期は雪面にクラックが入って奈落の底が見えたりして、まかり間違って落ちたりしたら、はるか下に流れる谷川の水で水死しかねないので、個人的にはあまり行きたくないのですが、相方はこの谷が気に入っているらしく、誘われるとつい応じてしまいます。しかし、実際来てみると、私も毎回その景色に圧倒され感動し、来て良かったと思ってしまいます。途中の旧国道（清水街道）をサイクリングするだけでも気持ちよく、行けるところまでと言っているうちに、今回も稜線まで出てしまいました。そして、この時期の芝倉沢は3月より雪質が良く、下手なテレマーカーでも満足できる滑りを楽しませてくれます。今シーズンの締めくくりと言ってもいいような、BCクロカンでのツアーが堪能できました。この時期の芝倉沢は、BCクロカンとの相性が良いルートだと思います。さらに、一ノ倉岳では、茂倉岳方面から歩いてきた、大きなザックを背負った単独の青年に会って話が聞けて、そのキラキラした顔を見れただけで、行った甲斐があったような気がしました。彼は翌日（今日）、谷川岳からさらに国境稜線を歩いて万太郎、平標へ抜ける予定らしかったのですが、今日は天気が悪そうなので、昨夜は熊穴沢避難小屋あたりで泊まって、すでに下山していることでしょう。なお、今回は折りたたみ式の前後サス付きのMTBを、土合から旧国道芝倉沢出合いまでのアプローチに使用しました。この、ホームセンターで売っているような、よく分からないメーカーのMTBが、この時期に土合から清水街道を芝倉沢出合まで行くにはピッタリで、今までこのアプローチにはロードタイヤを履かせたMTBやママチャリなど、4種類の自転車を持ち込みましたが、その中で一番快適なサイクリングが楽しめました。一ノ倉沢出合までならロードバイクやママチャリでも差し支えなく、芝倉沢出合より先に進むなら、メーカー品の軽いMTBの方が良さそうですが、担ぎの必要のない芝倉沢出合までなら折りたたみ式の重いMTBでも十分です。また、一ノ倉沢出合から未舗装路が続くので、至仏山アプローチに使う自転車とも、快適サイクリングに求められる性能が違うような気がしました。相方は今回、このツアー用に自転車の荷台を自作して、スノーボードをザックと一緒に縦積みできるキャリアを付けて来ましたが、一ノ倉沢出合から先は倒木が多く、それを乗り越えるのに荷台にくくりつけた荷物は負担になるようで、一ノ倉沢出合から先は、荷物を背負った方が機動力が上がるようでした。その様子は下の動画で確認できます。今年は幽ノ沢先のつづら折りの手前に自転車をデポしました。私は折りたたみ式自転車がジャストフィットしたおかげで、林道を自転車で戻る間も例年より楽しめて、大満足のツアーでした。

  2021.05.05

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  スーパーカブで白馬五竜スキー場へ行き、テレマークレッスンを受ける

  何かで伸び悩んでいる時、自分よりじょうずな人から指導を受けるというのは、最も効率的な解決方法です。伸び悩んでいる理由すら分からない時でも、その道のプロなら問題点を指摘できる場合が多いです。今回のテレマークレッスンがまさにそうでした。動画を撮って頂き、説明を受けることで、2つの課題が明確になりました。同じ練習を繰り返すことで、左右のターンで感覚的な違いが出る理由を体感できました。来シーズンに繋がる充実したレッスンを受けることができました。しかし、私のテレマークの個人的な課題なんて誰も関心ないでしょうから、ここでは具体的なレッスン内容については触れないことにして、もう一つ、別の関心ごとについて取り上げたいと思います。趣味であれ何であれ、伸び悩んでいる状況はモチベーションを下げる原因になります。最初のうちはどんどん上達して楽しかったのに、ある部分から上達スピードが遅くなり、投入したエネルギーに対して見返りの変化が微妙になって、やる気を失ったりすることもあります。そんな時でも趣味であれば、その状況に留まっていても誰からも文句を言われるわけではないし、その趣味に費やすエネルギーを縮小して他の趣味を始めるとか、しばらく時間を置いてやれば、また新鮮さを取り戻したりして、気晴らしという趣味の目的としては、その機能を果たしてくれるので、何ら問題はありません。趣味というのは効率を求めるものではないし、楽しければいいやと思ったりします。私の場合もそんな感じでここ数年はスキーに行く回数が減ってきたということで、今シーズンから原付バイクにスキーを付けて行くことにしました。これは私にとって非常に新鮮な体験で、スキーをバイクに取り付けて運ぶ方法を考え、そのスキーキャリアを自分で作ることからして楽しかったのです。以前はスキーをするという目的のための手段として、しょうがなく車を運転していたためか、スキーの行き帰りの運転が苦痛に感じたこともありました。しかし、バイクでスキーに行くというのは、その手段からして楽しめそうでした。手段が目的になってしまったのですから、楽しいのは当然です。そして実際、陽気の良くなったこの時期に、バイクに乗って遠くへ行くことは想像以上に楽しかったのです。車の運転というのは、オープンカー以外は囲まれた箱に入ってするものですから、直接風を体に受けることはないし、フロントピラーやルーフパネルなどが視界に入ってくるから開放感はほとんどないです。狭い部屋に何時間もいると、それだけで苦痛に感じることもありますが、バイクにはそれがありません。年をとってもバイクに乗り続ける人が多い理由は、この開放感ではないかと私は思います。この感じは自転車に近いです。だから私も、理想を言えば自転車でスキーに行けたらと思います。実際に中学1年の冬休み、自転車で水上の大穴スキー場までスキーに行ったことはあります。しかし、その当時は自分のスキーは持っていなかったので、レンタルスキーでした。今月始めに片品で見かけた青年のように、自分のスキーを自転車に付けて行くことはできませんでした。自分のスキーを持った今も、自転車でスキーに行くというのは、体力的にも精神面でも難しいような気がします。しかし、バイクなら可能です。若かりし頃の夢を、年をとった今、違った形で実行しているという感じが、このわくわく感につながっているのかもしれません。今回、高崎の自宅から白馬まで、片道173キロ、往復で346キロ、かかった時間は休憩も入れて、行きは5時間半、帰りは4時間半ほどでした。時間的には車で下道を使って行っていた時とほぼ同じですが、気分的には車より早かったような気がしました。車で行くと途中で眠くなったり、帰宅するとぐったりしたこともありましたが、今回はそうはなりませんでした。翌日に嫌な疲労感が残ることもありませんでした。初めて原付きバイクで白馬へ行ったということで緊張していたせいもあると思いますが、別の理由もありそうです。日曜から今週始めにかけては気温が下がり、バイクでの移動は非常に寒く、帰りの夜の浅間サンラインでの走行は、指先が冷え切って痛いほどでした。しかし、その痛さが不快ではありませんでした。むしろ、寒さと暗さの中でバイクに乗り続けるという行為は、最近感じたことのない感覚を呼び覚ましてくれたような気がします。中型二輪の免許を取った18歳の冬に、買ったばかりの中古のGSX-R250で深夜の国道50号を東に向かって走り、太平洋の海岸沿いを南下して房総半島を一周した時を思い出しました。今回の白馬行きは、そんなしばらく味わったことのない、独特の感情を呼び覚ませてくれるツーリングでした。なお今回、白馬に向かうために使ったスキーキャリアはバージョン4です。改良後の初使用でした。そのスキーキャリアについても触れておきたいです。スキーの取り付け位置と荷物の積みやすさ改善のため、スキーキャリアのベースとリアボックスを一新しました。バージョン4は、バージョン3を作る際に予定していた当初のプランに、60リットルサイズのリアボックスを追加したものになります。スキーキャリアのベースはバージョン3のパソコンデスクのフレーム金属に代わって12ミリのコンパネに変更し、リアボックス底面の強度確保のためにコンパネを後ろに伸ばし、リアキャリアへは下からUボルトで止めることにしました。なお、バージョン3は8ミリボルト5本で直接リヤキャリヤに固定していました。使用したリアボックスはアイリスオーヤマのWY540というケースで、倉賀野のMrMAXで1757円でした。ほぼ同じ大きさで金属バックル、鍵付き、密封型のKB540を使う予定でしたが、MrMAXを含む高崎市内のホームセンター4つを周っても見つからなかったのでWY540にしました。ベースになるコンパネのサイズは、厚さ12ミリ、幅600ミリ、長さ450です。法規に従い、キャリア幅から左右150ミリまで出し、キャリア幅と合わせてギリギリの600ミリ、長さはボックス下への雨の染み込みを防ぐため、ボックス長さに合わせて450ミリとしました。Uボルトは6ミリ径で長さ60ミリ、内幅23ミリのものを4本使用しました。ケース底面を止めるUボルトは、強度的にもう少し幅広でネジ径の太いものを使った方が良さそうでしたが、ちょうどケース底面の補強リブの多い足部分の穴が6ミリ径で、ケース前部分の固定に使えそうな内幅だったので上のサイズのUボルトを使用しました。また、そのサイズのUボルトだと、カブの純正リアキャリアのパイプ径に合うアールではないかと思います。後部の固定はケースの底のリブの隙間を100均のまな板で埋めて、Uボルトを締めてもケース底面が歪まないようにしました。ボルトを止める際はUボルトペアの留め金の下に幅広のステーを入れて力を分散しました。スキーの固定に関しては、最低地上高を確保するため、コンパネの上に高さ80ミリの角材をタッピングビスで固定し、その上には100均のEVA樹脂製、つながるマットを張りました。ヒールピースの傷防止と滑り止めのためです。このつながるマットはボックスの中にも敷きました。スキーを通す穴のサイズは、幅が18ミリ、長さが左側が110ミリ、右側が130ミリです。右側はポンツーンも入るサイズにしました。ビンディングのトゥーピース下を固定する部分は、バージョン3と同じく、G3タルガのワイヤーを使用しました。固定は片方はダブルナットで外側にロックナット、調整側はダブルナットで外側は蝶ナットです。ケースと接する部分はプラスチック製の幅広ワッシャーとステンの幅広ワッシャーを重ねて、ケースの穴への負担を軽減しました。また、もしこのワイヤー取付部が破損してもスキーが落下しないようバックアップとして、ワイヤーに加えて荷造り用のゴムバンドをボックス全周に渡して、ビンディング部分を固定することにしました。左側はスキーを通す穴をギリギリのサイズにして角材で挟んだだめ、ビンディング下部の穴だけでもスキーが固定されて振れにくい構造になっています。実際、350キロほど走行しての感想は、60リットルのリアボックスと共に、スキーキャリアバージョン4の使い心地はまずまずでした。改良すべき点は2点ほどあると思いますが決定的なものではないので、このバージョン4の形をベースにして改良できそうです。【ポイント5倍】収納ボックス 収納ケース ワイドストッカー 約60L WY-540 屋外収納 アウトドア アウトドア用品 整理 車 倉庫 灯油タンク ポリタンク ゴミ収納 宅配ボックス 大容量 ガーデニング おもちゃ 食料品ストッカー アイリスオーヤマ価格：1628円（税込、送料別) (2021/4/29時点)楽天で購入IRIS　201782　多目的屋外収納　密閉バックルストッカー548×470×498　青 KB-540-B ▼325-6405 アイリスオーヤマ（株）楽天で購入

  2021.04.29

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  リトルカブ、フロントタイヤの傾き

  私のリトルカブを前から見ると、何か違和感があります。いい年したおじさんがリトルカブに乗っているから、という理由はさておき、フロントタイヤが斜めに付いているから変なのです。前から見ると、タイヤ上部が右に傾いています。定規で測ってみると、前から見て右側のサイドウォールとフロントフォークのクリアランスが7ミリに対して、左側は22ミリです。右側のクリアランスが7ミリだと、フロントタイヤを2.5インチから2.75インチに変えると接触しかねません。これは、フロントフォークが曲がっているからではなく、どのカブも経年劣化でフロントタイヤが右に傾いてしまうらしいのです。事故ったわけでもないのに、なぜどのカブも普通に使い続けているだけでタイヤが傾いてしまうのでしょうか？それも左ではなく、常に右に傾くのでしょうか？『はじめてのスーパーカブカスタム』という本の巻末に付いているパーツリストの分解図と、実物のボトムリンク式サスの構造を見て、原因をイメージしてみました。※なお、ここから示す左右は、すべてバイクを前から見た状態での左右となります。まず分解図を見た限りでは、フロントタイヤの整列にはピポットアームとフロントメンバを繋ぐ部分しか関係しないように見えます。クッションユニット取付部がピポットアームとアクスルシャフト取付部の中心にあるため、この部分も関係しているように見えなくもないですが、クッションユニットはフロントメンバ上部から垂れてピポットアームを吊っているだけです。とすると、タイヤ傾きの原因は、ピポットアーム取付部が何らかの原因で傾いてしまっているからのようです。イメージした結論から言うと、ブレーキング時に右ピボット部にアクスルシャフトを通して拗じるような力が加わるからだろうと予想しました。アクスルシャフトを通して拗じられると、なぜ右に傾くのでしょうか？右に傾むいているということは、アクスルシャフトの左側が右側に対して高い位置にある状態です。あるいは、その方向の力に常に晒された結果、ブッシュが変形し、曲がりが常態化したと思われます。ピポット部のブッシュは、金属製のカラーとボルトを通してフロントメンバ（フロントフォーク）に固定されています。右にタイヤが傾いた状態で右ピポット部のブッシュに起きている現象を想像すると、タイヤが右側に傾いた状態はアクスルシャフトの左端（ドラムブレーキ側）が右端と比べて持ち上げられている状況ですから、右ピポット部の細長い円筒形のブッシュの右上側と左下側が圧縮され、逆に左上側と右下側が伸ばされるような形になっているはずです。ブッシュがその状態で変形し、それが常態化すると、前から見てタイヤは右に傾いてしまうのではないかと思いました。（分解図を見た想像にすぎませんが）では、なぜ、右ピポット部のブッシュがそんな状態に変形してしまうのか？前述の通り、ボトムリンク型のサスの場合、フロントタイヤを支える強度的な要はアクスルシャフトとフロントメンバをつなぐピポット部分になります。見た目ではクッションユニットが車体を支えているように見えますが、クッションユニットは車体を浮かせているだけで、緩衝機能に特化しています。そのため、アクスルシャフトとオフセットされたピボットアームには、バイクのピッチング運動に伴う軸を回転させる方向だけでなく、コーナリング時に遠心力に対抗する求心力を発生させるためのローリング運動に伴う軸方向のモーメントや、ヨーイングに伴う軸を捻るような力も加わります。しかし、それらのバイクの動きに伴うモーメントは、オーバルコースのようにいつも特定の方向のコーナーばかり曲がっている場合以外は左右均等にかかるわけで、通常の走行でブッシュが偏摩耗してしまう原因とは考えられません。そこで思い当たるのは、前から見て左側に付いているドラムブレーキです。カブに使われているボトムリンク式のサスは、普通のバイクに使われているテレスコピックフォークと違い、ブレーキング時に車体がピョコッと上がります。その理由は、制動時、左ピポットアームにはフロントメンバとピポットを繋ぐボルトを支点にして、ドラムの回転方向と同じ方向の力（ピポットアームを下に押し下げる方向の力）が加わるからです。ドラムブレーキの制動力はアウタードラムの溝を通してクッションユニット下部付近で受け止められるため、アームの押し下げに伴ってクッションユニットには伸ばす方向の力が加わり、それより外側に取り付けられているアクスルシャフトは大きく押し下げられるわけです。その結果、減速時にはクッションユニットを圧縮するようなフロント荷重が加わっているにも関わらず、フロントのクッションユニットは伸ばされ、車体がピョコッと上がるわけです。一方、ドラムブレーキの付いていない右側は、制動力がピポット部に直接伝えられるのではなく、アクスルシャフトを介して左側から伝えられるものと思われます。つまり、右ピポット部には、クッションユニットを伸ばすような力がホイールから直接伝わるのではなく、オフセットされたアクスルシャフトの左端から伝わることになります。ドラムが付いている左側は、ドラム本体の制動力がクッションユニット取付部付近からピポット部に直接伝えられるため、ピポット取付部とほぼ一直線上で力を受け止めるので、軸を捻るようなモーメントは小さく、ブッシュを偏摩耗させるような力は少ないと思われます。一方、右側のピポット部には車体の慣性重量と左側よりアクスルシャフトを通してオフセット分だけテコの力によって倍加された制動力がアクスルシャフトを下げるような方向に加わり、右ピポット部のブッシュの左上側と右下側に圧縮されるような力が加わり、その部分が摩耗してしまうのではないかと思いました。制動時、右側のピポット部には、車体の慣性モーメントによって右側のクッションユニットを縮めようとする力と、アクスルシャフトから伝わるクッションユニットを伸ばそうとする反対方向の力がぶつかり合っていることになります。その結果、アクスルシャフトから伝わる制動力が勝るため、右側のピポット部も左側にわずかに遅れて持ち上げられるわけです。右ピポット部のブッシュの左上側と右下側が摩耗すると、1G空車状態ではクッションユニットによってピポットを下げるような力が常に加わっているため、偏摩耗した方向に軸が傾いてしまうのではないかと思いました。常に左手でシコっていると左に曲がるという理屈と一緒で、自分で書いていて、なんだか論理に飛躍があるような気もしますが、とりあえずバラして現物を見てみました。実際バラして確認してみたところ、予想とは違い、左右両方ともブッシュは偏摩耗しているように見えました。左右共にピポットブッシュ内側に接するカラーに螺旋状の摩耗痕が見られました。となると、実際は両側のピポットブッシュに拗じられるような力が加わっていることになりそうです。まあ、片側に捻るような力が加われば、反対側にもその反力が加わるわけですから、当然なのかもしれません。結果的に、関係ないように見えたクッションユニット下部取付部のブッシュも変形してしまっているようです。どんな理由にしても、ブッシュを180度回転させてやるか、左右のブッシュを入れ替えてやれば、少しは傾きが修正されるのではないかと、新品に替える前に、ものは試しにと左右のブッシュを入れ替えて組み付けてみました。その際、パーツクリーナーを使った部品洗浄の後、手持ちのモリブデングリスをブッシュとカラーの間に封入しました。その結果、傾きは概ね直ってしまいました。ブッシュとカラーを左右で入れ換え後は、右側のクリアランスが13ミリ、左側が17ミリになりました。4ミリの差がありますが、見た目はほぼ、タイヤの垂直が保たれているように見えます。もともと、左右のクリアランスがぴったり同じだったかどうかは、新車を購入したわけではないのでわかりません。捻じれの修正に加えて、グリスアップの効果なのか、サスの動きが非常にスムーズになり、ブレーキングすると前より気持ちよく、ピョコッピョコッと上がってくれます。実作業にかかった時間は、ボルトを5本緩めるだけなので、ブッシュやカラーなどの洗浄も入れて1時間ほどです。一方、故障探求のイメージにかかった時間はその倍以上です。しかも、詰めが甘く、イメージ通りではありませんでした。それでも充実感はありました。何か不具合が出た時、ネットで調べて該当箇所を新品に交換するだけでも目的は達成できるわけですが、ネットで調べる前に、なぜそうなってしまったのか、構造を見て予測し、実際バラして自分の予想通りの状態にあるのかないのか確認するというのも、趣味としては面白いような気がしました。偏摩耗したブッシュを見て思ったのは、なぜこの部分にベアリングが使われていないのかという疑問です。ベアリングなら動きがスムーズで良さそうですが、テーパーローラーベアリングで両側から挟むと締め付け時にプレロード調整が必要になるし、単純にボルト締め付けで固定したラジアルボールベアリングでは拗じられるような力に耐えられそうもありません。ブッシュなら5万キロ以上走ってこの程度の摩耗で、走行にさほど影響ないのですから、ブッシュを使うべき場所ということなのでしょう。しかも、ブッシュは一個300円程度です。ブッシュはピポットアームに圧入されていますが、ベアリングのように金属ではないので、シロウトでも12ミリのソケットをあてがって簡単に外すことが出来ます。自分でやるのが心配な人は、バイク屋さんに頼んだとしても、バイク業界のレバーレートは6000円前後ということで、ピポットアームブッシュとカラーに加えて、クッションユニットのブッシュとカラーも交換してくれて、7500円以内でタイヤの傾きの修正を行ってくれそうです。カブを扱っている自転車さんでは、右側にワッシャをかませることで、クリアランス確保の対応をしてくれるところもあるようです。それなら数百円で済みそうです。【即納】 ホンダ純正 スーパーカブ ブッシュ フロントアームピポット 51312-GK4-971 HD店価格：330円（税込、送料別) (2021/4/13時点)楽天で購入

  2021.04.13

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  ボレー　スイッチバック　グリスアップ

  昨シーズンは6回しかスキーに行かなかったので、スキー道具のメンテはシーズン後にまとめて板のワックスがけをしただけでしたが、今シーズンはすでに10回以上行ったので、道具に対する愛着も湧き、何かメンテしてあげたくなりました。そこで、しばらくしていなかったスイッチバックのグリスアップと、ウロコ板2本を液体フッ素系ワックス「ノットワックス」でコーティングしました。まずはスイッチバックのグリスアップに関してです。スイッチバックは私が最も気に入っているビンディングで、X2を含めると3台持っています。その中の1台はインビス化した6台の板で使い回しているので、私が持っているビンディングの中で最も使用頻度が高いビンディングと言えます。先々週、前武尊へ行った時、ゲレンデ内の滑走で板がかなり汚れたので、板の洗浄も兼ねてアナムからビンディングを取り外したついでに、スイッチバックをバラしてグリスアップしました。といってもスイッチバックのグリスアップは簡単で、ビンディングを板から取り外し、裏蓋のビス4本を緩めるだけでバラすことができます。こんなに簡単にバラせるのですから、グリスアップの必要がなくても、蓋を開けて見たくなります。蓋を開けてみると、内部には水滴が残っていて、それを拭いてあげるだけでも良いことをしたような気分になりました。そして、ツアーモードと滑走モードを切り替える部品の摺動部分にシリコングリスを薄く塗ってあげました。ハードワイヤーの接続部にもグリスを塗っておきました。もともと入っているのは緑色のリチウムグリスのようですが、リチウムグリスは自転車いじりのために実家に置いてあったので、取りに行くのが面倒で、今回は手元にあったニチモリのシリコングリスを使いました。耐水性や密着性の面で、粘ついているリチウムグリスの方が良いと思いましたが、ニチモリのシリコングリスは白くてキレイで、プラスチックとの接触面には安心だろうと自分で自分を納得させました。まあ、流れやすくても、時々開ければ問題ないでしょう。バラす時の注意点として、ビスを外して裏蓋を開ける前に、ビンディングを滑走モードにしておいた方が良さそうです。ツアーモードで裏蓋を開けると、スプリングが勢いよく外れ、レバーが飛んでしまうことがあるからです。スイッチバックの裏蓋を開けると、そのシンプルな構造に惚れ惚れしてしまいます。主要部品はレバーとスプリング、滑走モードに固定するフック、フックとレバーを繋ぐシャフトしかありません。こんな少ない部品数で滑走モードとツアーモードの切り替えができて、しかもほとんど故障しないのですから、感動すら覚えます。タルガアッセントのように雪詰まりもありません。ハードワイヤーが破損したという話は時々聞ききますが、ワイヤー切れはソフトワイヤーのタルガも同じで、直径僅か5ミリほどのワイヤーでビンディングとブーツを繋いで瞬間的に体重の何倍もの荷重を支えているのですから、定期交換部品の一つと考えるべきなのでしょう。まあ、機能的にも単純だから構造もシンプルで故障しないわけですが、それを形にして製品化するというのは凄いです。スイッチバックはテレマークビンディングの逸品だと思います。普段は何気なく使っていましたが、中身を見ると、これを作ってくれた人に感謝の念が湧いてしまいました。ウロコ板のアナムは、先日のオグナほたかスキー場で、ゲレンデに落ちていたワイヤー用のグリスか何かのオイリーな汚れがウロコに入り込んでしまったので、ソールクリーナーとつま楊枝を使ってチマチマとウロコの隙間の掃除をした後、ノットワックスをかけておきました。シールを使わないウロコ板に関しては、最近はノットワックスばかり使用しています。15gで2000円前後と、少し高いような気もしますが、その使い勝手の良さを知ると、つい、ノットワックスにしてしまいます。ノットワックスで30秒コーティングすると、表面が濡れたようにツルンツルンになって、板を合わせるだけで磁石が反発するみたいに板同士が自然に動いてしまいます。マズシャスの安い板はソールの質が悪いのか、使っているとすぐに毛羽立ってしまいますが、ノットワックスをかけると新品時のようなウロコのツヤが復活するので見ていて楽しいです。一日程度ならワックス切れを感じることはなく、春雪の汚れ付きも少ないのでお気に入りです。20-21 ザードス ノットワックス　ポケットパックG PNW001 純度100％の液体フッ素 zardoz NOTwaxPocketPackG スキー・スノーボード@価格：1500円（税込、送料別) (2021/4/12時点)楽天で購入

  2021.04.12

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  2021シーズン15回目　至仏山

  この時期、近場で滑れるお手軽な大斜面といったら至仏山です。先日、丸沼高原スキー場の標高2000メートルの展望台から見た至仏山が真っ白できれいだったので、戸倉から自転車を漕いで至仏山へ行ってきました。前日は高崎でも気温が下がって家が飛びそうなほどの強風が吹いたので、森林限界より上の小至仏山のトラバース斜面はクラストしているだろうと、全面シールが使える板と良く効くクトーを持って行きましたが、当日は風もピタリと止み、昼頃には気温も上がって雪は緩み、ゴールデンウィーク頃のような陽気になり、快適なハイクアップが楽しめました。至仏山山頂からワル沢へ落ちる大斜面も、適度な硬さのザラメ雪でした。私たちおじさんコンビが山頂に着いたのは、当日至仏山に入った10数パーティーの中で最後でしたが、至仏山のワル沢斜面は広大なのでノートラックの斜面が多数あり、私たちは高天ヶ原方面から南向きに落ちる斜面にトラバースして、ワル沢左岸の大地に滑り込みました。少し茶色くなった雪は非常に滑りやすく、ゲレンデのような快適さでした。左岸大地に乗るとストップスノーで、日陰はクラストしており、慎重に川上川まで降りました。川上川右岸に渡るスノーブリッジはバッチリで、そこから20分ほどで鳩待峠に着きました。この川上川から鳩待峠への最後の登りが私は好きです。適度な勾配のシラカバ林を登っていると整理運動をしているようで、非常に心地良かったです。鳩待峠からの自転車も、朝は凍っている箇所がいくつかありましたが、帰りはすべて溶けて、快適なダウンヒルが楽しめました。この時期の至仏山には山スキーを始めたころから何度か来ていますが、今回は最高の天気と雪に恵まれて大満足のツアーでした。

  2021.04.11

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  スーパーカブで丸沼高原スキー場へ

  前々回のオグナほたかスキー場での試乗会の後に、BCクロカンの練習をしようと板とブーツを持っていきましたが、体力的な都合で出来なかったので、BCクロカンの練習をするために丸沼高原スキー場へ行ってきました。それに加えて、カブの自作スキーキャリア・バージョン3にBCクロカン板を乗せた時の使い心地を確認するためです。前回、テレマークビンディングでは使いにくいことが確認できましたが、バージョン3はBCクロカンのビンディングにワンタッチで固定出来るので、細板を搭載した状態で走行中の安定性など長距離を走って確認したいと思いました。もし問題がなければ、バージョン3はリアキャリアごと残して、別のキャリアに容量アップしたボックスと、バージョン4のスキーキャリアを乗せるつもりです。カブのリアキャリアはリアサスとフェンダーのボルト計4本を緩めるだけで交換できるので、スキーの用途に合わせてキャリアとボックスを使い分けできれば便利です。リアボックスが大きければボックス内に日帰りツアー用のザックを入れることができ、ザックをボックスにくくりつける手間が省けるので、バージョン4のボックスは、60リットルサイズを付ける予定です。結果から言うと、バージョン3は165センチのBCクロカンの板ならば、まあ使えないことはないものの、やはり改良の必要があることが分かりました。自宅から丸沼高原スキー場まで往復170キロほど走り、途中、荒れた路面なども走行してみましたが、スキーの固定に関しては問題ないようです。しかし、ワイヤーをビンディングに止めて使用すると最低地上高が不足し、コーナーを攻めたり、逆バンクの狭いコーナーを曲がるとバンク角が足りず、スキーのテールを路面に擦ってしまうのです。そのため、スキーを裏返し、取り付け位置を上げ、ビンディングのトゥー部分をリアケースの蓋に乗せるような形で走行しました。それでも、調子に乗ってくるとバンク角が深くなり、テールを擦ってしまいました。もともとカブはステップが低いので、タイヤに余裕があってもあまりバイクを寝かせられません。バンク角が深い乗り方は出来ないのです。マフラーと同じくらいの高さなら先にステップが接地するから問題ないだろうと思っていましたが、横幅が出た分、バンク角が浅くなってしまうようです。帰りはブーツをバンクセンサー代わりに使用したところ、ブーツのソール小指側が少し減ってしまいました。これでは、安心して山道をツーリングできません。できればもう少しスキーを上げて取り付けたいところですが、今のリアケースの高さでは、安定性を考えるとこれ以上スキーの取り付け位置を上げることは難しいです。バージョン3はBCクロカンより短い板、バンディットB2やブルーモリス用に取り敢えず残して、バージョン4で、どうにかこの不具合を改善したいところです。スキーキャリアの件はさておき、BCクロカンの方は、晴天の中、春のザラメ雪を堪能出来ました。朝イチのゲレンデは部分的にアイシーで、気を抜くとエッジが外れ、流されてしまいました。ゲレンデでもこうですから、それより標高の高い山では、まだBCクロカンで快適に楽しむという状況ではないことが分かりました。練習の感触次第で、今週末のツアーはBCクロカンで行こうかと思っていましたが、私の腕ではまだ早いようです。日が当たってくると、ゲレンデトップから下までなかなか良いザラメで滑りやすかったのですが、昼前になると水分を含んだ重い雪の塊が、シュプールによってゲレンデ上のあちこちに寄せられて、細板では足を取られることが度々ありました。こういった重雪に対処するには、前後の足を開き過ぎず、後ろ足もあまり上げずに足首を曲げて素早く外足荷重に移行する方が良さそうでした。そのような乗り方に変えると、そこそこスピードを出してターンしても安定していることが分かりました。コツを掴むと無駄な力も入らず、ポジションが自由な分、プラブーツで滑るより疲労も少ない感じでした。春はゲレンデでもいろいろな雪が滑れて楽しいです。そうはいっても、12時過ぎまで滑ったら疲れてしまったので、ロープウェイで山頂駅まで行って、展望台で上州武尊から至仏山に至る山並みを眺めながら、お昼を食べて帰途につきました。

  2021.04.08

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  スーパーカブで前武尊山

  法律に適合するように改造したカブ用スキーキャリアの使い心地を確認するために、この時期恒例の前武尊山に、リトルカブで行って来ました。前回、バージョン2まではスキーを横にして搭載していましたが、バージョン3からは縦に積む形です。横にした方が風の抵抗やスキーの固定方法などいろいろな面で安定するのですが、法律に合わせるには立てるしかないようです。方式としては、ビンディングのヒールピースでスキーの自重を支え、トゥーピース付近でスキーが振れないようワイヤーやスリングなどで止めるというものです。当初考えていたのは、リアケースとキャリアの間にそれより横幅の広いコンパネを挟んでUボルトで固定し、板にスキーが差し込めるような細長い穴を2つ開けて、そこでヒールピースを支えるというものでした。しかし、バージョン2に使ったパソコンデスクの骨組みパイプを横にして挟めば板と同じような感じで止められそうだったので、わざわざ板を買いに行くのはやめて、バージョン2の鉄製のパイプを流用しました。上部の固定はU字ボルトやスリングではなく、G3タルガアッセントの余ったワイヤーを使うことにしました。ワイヤーの一端はワッシャーを挟んでケースにナットで固定し、もう一方は板とビンディングの種類に合わせて固定ワイヤーの長さが調整出来るよう、間に3センチくらいのスペーサーを数個入れてタルガのシリンダーで止めることにしました。蝶ナットでもいいのですが、ビンディングのシリンダーは手で素早く回せるので便利です。このタルガのワイヤーがBCクロカンの板を固定するにはピッタリで、ちょうどワイヤーの径がブーツのピンの太さと近いので、ビンディングにワンタッチで固定出来ます。通常のテレマークビンディングを固定する時には、エッジでワイヤーの被覆が傷つかないよう、バイクのオイルキャッチタンクに使用していたメッシュホースをワイヤーに被せて使うことにしました。（写真ではケースにエッジが当たるようビンディングが外向きで止められていますが、ヒールピースが直接パイプに当たった状態でスキーテールの地上高を確保するには、エッジを外向きにして固定せざるを得ず、当初はエッジを外向きにして止めていたので、ワイヤーのカバーが必要でした。）このメッシュホースは強度があるので3センチくらいの長さに切って長さ調整用のスペーサーの代わりにもできそうです。（写真では固定ワイヤーをビンディングワイヤーの外側に通していますが、実際は内側にして使用しました。）肝心の使い心地に関しては、いまいちです。今回の山スキーにはスイッチバックを乗せたマジシャスのアナム175センチを持って行きました。自宅から上州武尊まで往復140キロほど走行してみましたが、安定性やバイクに搭載する時の手間など、あらゆる面でバージョン2の方が勝っていると思いました。しかし、法律通り横幅が荷台幅から15センチ以内、後方30センチ以内に収めるにはバージョン3のように縦に積むしかないので仕方ありません。もう少し利便性と安定性を増すために、現在バージョン4を製作中です。山の方は、相方の天気予報を信じて山頂まで行ってみましたが、ガスで視界がなく、山の中はスッキリしない滑走になりました。しかし、雪質の方は意外と良く、ゲレンデ内はけっこう楽しめました。行く途中、前橋あたりで雨が降ってきた時は帰ろうかと思いましたが、行って良かったです。それと今回一番印象に残ったのは、朝、上州武尊に向かう途中、吹割の滝付近で大きな荷物とスノーボードを持ってサイクリングしている若者とすれ違ったことです。あの若者の笑顔を見られただけで、今回は行った甲斐がありました。

  2021.04.04

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  2021シーズン12回目　「22DESIGNS リンクス」と、「B＆D TLTテックビンディングtoテレマーク」の試乗

  22DESIGNSのリンクスと、B＆D TLTテックビンディングtoテレマークというアダプターを使ったTTS系ビンディングを試乗する機会を頂いたので、クローズ間近のオグナほたかスキー場へ行ってきました。試乗の後は前武尊山に登って、西俣沢から十二沢に戻る時に、家ノ串東尾根と前武尊東尾根をトラバースする最適なラインをモリチャンに教えてもらいました。その後、十二沢の左の方を滑ってゲレンデに戻りました。今年は残雪が豊富で、まだ当分遊べそうです。B＆DのTLTテックビンディングtoテレマークというビンディングアダプターは、クロイツシュピッツェのテレアルプと同じコンセプトの製品で、TLTテックビンディングのトゥーピースとボレースイッチバックのハードワイヤーを流用することで、手軽にTTSと同じような軽量ツアービンディングを実現出来るというものです。穴はG3規格なので、TTSのように新たな穴を開けなくても、75ミリビンディングと付替え出来る点も良いと思います。乗らせてもらった感想は、ビンディングの足上げが自然で、TTSより若干硬いと思ったものの、普段75ミリを使っている私にも違和感なく乗れるビンディングだと思いました。私が良いと感じた点は、気に入っているスイッチバックのような足上げ感なのに、TTS同様つま先の遊びがないのでダイレクトに反応してくれる点です。板がK2のワークスティンクスという名機だったことも、乗りやすさを感じた理由の一つかもしれません。TTSより硬いと感じた理由は、前回お借りしたTTSは赤カートリッジを使っていたのに対して、今回のB＆DのTLTテックビンディングtoテレマークは黒シリンダーだったこと、また今回ブーツは4バックルのスカルパTX-Proをお借りしたので、前回の3バックルのTXとの違いかもしれません。なお、TTSもB＆DのTLTテックビンディングtoテレマークも、ワイヤーの取り付け位置やヒールレバーの予圧などのセッティング次第でNTNに近い硬い足上げになってしまうらしいです。ちなみに、「B＆DのTLTテックビンディングtoテレマーク」はヤフオクでvalueone23さんが出品されていましたが、先週末で売れてしまったようです。22デザイン テレマークビンディング NTNビンディング　lynx リンクス 22desings価格：70400円（税込、送料無料) (2021/3/29時点)楽天で購入22DESIGNSのリンクスは、アウトローより軽量で、アウトローと違ってつま先がTLTテックトゥー仕様なので、ツアーモードでの足上げが楽という利点があるようです。また、トゥーピースにはブーツストッパーが付いているので、ステップインしやすいと感じました。アウトローとの違いは、板バネとコイルスプリングを兼用して前半は弱めの反発、後半にフレックスが高まるようなセッティングになっているらしく、モリチャンによると足上げの感覚がアウトローより自然で乗りやすいということでした。そのあたりはアウトローに乗ったことがない自分には分かりません。自分の感想としては、オグナのスラロームコースを3回滑らせてもらったものの、うまく乗れませんでした。直前に乗った「B＆DのTLTテックビンディングtoテレマーク」とワークスティングスのような感覚で後ろ足荷重できず、左右のスキーが細かくブレてしまうのです。センタリングが「B＆DのTLTテックビンディングtoテレマーク」より難しく、ラフに乗れない感じでした。リンクスが乗っている板がG3のカーボンハイブリットというワークスティンクスより太く、反発が強い板だったことも関係していたのかもしれません。私が持っている75ミリビンディングでいうと、スイッチバックからスイッチバックX2に乗り換えた時に受けた感覚と似ているような気がしました。足上げが重く、足首を曲げて強く踏み込むと、インナーの中で踵が浮いてしまいます。今回お借りしたブーツ、スカルパのTXproは、インナーだけ自分のT2用を使用しました。サイズは同じですが、T2も自分の好みで1センチ大きいサイズを履いているので、足首のバックルは最強にしても緩く、タングの下に厚さ8ミリほどのスポンジを貼り付けて対応しています。なお、今回、TX-proのスネのバックル2つは最弱の位置で使用しました。理由は、20数年前に右足の踝を骨折した後遺症と昨年末に自転車でペダルをぶつけた影響で、足首からスネの下部がスネのバックルを締めると痛いからです。理由の二つ目は、スネのバックルを締めると窮屈だからです。まるでバッファローマンの鋼鉄製レッグウォーマーを嵌められたような感じで、こんな状態では一日中遊べません。臨機応変に緩めればいいのですが、それも面倒です。普段T2でもスネのバックルは緩めて滑っているので、普段の道具の使い方で比較したかったからです。その代り、普段から足首のバックルはしっかりと固定しています。しかし、T2と違って、リンクスに使ったTXproは足首のバックルを最強にしても、インナーの中で踵が浮いてしまいました。前回、TXをお借りした時はインナーの中で踵が浮くような感じはしなかったので、もし自分がTX-proを買うとしたら、足首のバックルワイヤーは短いものに交換する必要がありそうです。その前に、TXproよりTXの方が自分の好みに近いので、そちらにすると思います。しかし、TXも自分が乗り慣れているT2エコと比べるとタングが固く、踏み込み時に右足のスネに痛みが出て違和感があるので、カフの高さは同じで、もっと柔らかいブーツが欲しいところです。（その後、自分で買ったTXはT2エコより柔らかいです。）最近流行りのバックルが多くて硬いブーツは、スネに傷のある身には辛いです。私がテレマークを始めた時に知り合いから買ったガルモントのエナジーは、今回お借りしたTX-proと同じ4バックルですが、シェルやタングはエナジーの方が柔らかいと感じました。あまり滑ると疲れ切ってしまうので、少し気力を残したところで試乗を終え、昼から前武尊山に登りました。山は穏やかで、山頂でゆっくりお弁当でも食べて、昼寝をしたいような陽気でした。

  2021.03.29

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  スーパーカブで平標山

  スーパーで買い物をしている時、固まっている老人を見かけることがあります。狭い通路に長い間立ち止まっているので人の流れが遮られ、老人のところで渋滞しているのですが、当人は自分が通行のじゃまになっていることに気づいていないようです。そんなのはボケかけた老人だけだと思っていたら、つい最近、自分も同じことをやっていました。袋越しに根っ子の汚れが少ない小松菜を選んでいたら、後ろにおばんさんが待っていたのです。早くしろよと言わんばかりの顔をしたおばさんがそこにいるとは、全く気が付きませんでした。なぜそういう事態に陥ってしまったのか、自分なりに考えてみると、年を取ると視野が狭くなったり感覚が鈍くなって、周りの状況に目が届き難くなるということもあるでしょうが、その他の理由として、よく言われているように、年をとってくると相対的に時間の流れが早くなってくるからではないかという気もしました。つまり、年を取ると一日が早く過ぎるということと、関係しているようなのです。自分としては一瞬で判断して小松菜を手に取っていると思っても、実際は結構な時間、そこに立ち止まって小松菜を選んでいたようなのです。それを踏まえて、今回の山スキーを振り返ってみました。平標の山スキーの登りに使う定番ルートはヤカイ沢の左岸尾根ですが、今回は夏道の平元新道の左側にある尾根から登ってみました。平元新道も山スキーの登りに使ったことがあり、この近辺から登るのは3回目でしたが、数年前に、まだ雪の少ない年末年始の山スキーに使った時に登りやすい尾根だと思ったからです。実際、尾根の雰囲気もいいし、主稜線まであっという間に着いた気がしました。しかし、実際に山頂に着いたのは13時半でした。登山口の駐車場を出たのは9時頃だったので、4時間半かかったことになります。体感的な時間の経過とずいぶんズレていたのです。このまま時間感覚がズレていくと、けっこう早かったなと思ったら、すでに夕方だったなんてことになるかもしれないと、心配になりました。山の方は、春のヤカイ沢を滑るのは山スキーを始めた2008年頃に滑って以来でしたが、なかなか良いザラメ雪が滑れて楽しかったです。ところで、今回の山行のメインテーマは、改良したカブ用スキーキャリアのバージョン2に180センチの板を乗せて長距離ツーリングを試すことでした。バージョン1は、リアキャリアとアンダーパイプ上部のレッグシールド取り付けボルトからステーを伸ばして前後でスキーを釣るような形のキャリアでしたが、ステアリングの干渉を避けるために、ラーメン屋のおかもちみたいにステーを外側に大きく張り出さなければならないため、家に駐車時、スペースを取りすぎるという欠点と、アンダーパイプ取り付けボルトが6ミリの穴を共用したため、強度的に不安がありました。そこでバージョン2では、リアキャリアに2本のステーを固定し、ビンディングを挟んでスキーを固定することにしました。これなら強度的には安心ですし、リトルカブにもボルトオンで移動可能です。完成した時は、良いものが出来たと自己満足に浸っていました。今回の試走でも、舗装状況の悪い道路の段差を超えても荷は安定していたし、三国峠を超えてワインディングを走ってもバランスに不安を覚えるようなこともなく、快適なツーリングが出来たのですが、重大な欠点がありました。欠点というより、欠陥です。道路交通法に適合しないのです。道路交通法では、積載物はバイク後方30センチ、左右に15センチしか出せません。バージョン2では、板によっては後方に大きくテールがはみ出てしまいます。自分の中では、車と同じように赤旗をつければ問題ないと思っていたのですが、一緒に行った友達に指摘され、帰ってきてから調べて気づきました。そうかといって、これ以上前に持ってくることもできません。ステアリングに干渉してしまうからです。そこで、今はバージョン3を制作中です。完成したら、試走も兼ねて、また山スキーに行ってみたいと思います。

  2021.03.26

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  2021シーズン10回目　BCクロカン練習

  BCクロカンを楽しむのに最適な季節になってきたので、BCクロカンの練習に行ってきました。BCクロカンに良い季節はテレマークだろうと山スキーには良い季節ですが、なぜBCクロカンなのかというと、BCクロカンは装備が軽くて持ち運びが楽だからです。また、細いウロコ板にはBCクロカンが合っているのではないかと思います。楽な装備で楽なところに行くというのが私の今の遊び方です。というわけで今回の課題は、今シーズンの始めに師匠に送って頂いた基礎練習動画の中にあった「捻り戻し切り替え」の練習です。要点は、ズレからの立ち上がりでエッジを外し、先落としによるターン始動です。以前にも書きましたが、私のテレマークターンの傾向は始めに上半身を入れることによる振り子ターンの要素が大きいので、そこから離れ、徐々に先落とし主導によるターン始動に切り替えるための練習です。以前の私のテレマークの目標は、登山道幅の雪質の悪い急斜面をテレマークショートターンで一気に滑り降りることだったので、ストックワークは制動のための軸にするものと考えていました。しかし、ここ数年、その目標とする遊び場に雪が降らないので、別の目標に変えた方が良いかもと思い始めました。プロペラターンのようなショートターンでも腰から下の捻り戻しによるターンの意識はありましたが、単一のターンで考えた場合、ショートターンもロングターンも基本的に上半身のターン方向への重心移動によるターン始動を主眼に練習していたような気がします。それに対して、先落としによるターン始動は、主に下半身の関節による上下動しか使わないので、その方がテレマークターンが楽に行え、BCクロカンとも相性の良い滑り方のような気がします。上半身が安定しているので、「フラット→踵キャッチ→次の小指」という連続ターンの一連の動作の中で、センタリングに集中できる利点もあるようです。今回の練習の結果、足場がしっかりしたゲレンデのような雪の上では有利な乗り方だと確認できました。テレマークターンの基本と言われている意味がわかったような気がしました。ただ、板が細いと悪雪時には浮力が得られず、ズレによるタメが作り難いような気がしました。タメが作れないとエッジが外せず、フラットから先落としに持っていくエネルギーが得にくいようです。それ以前に私の場合、以下の動画のようにズレのコントロールが上手く出来ていないため、フラットが作れていないようです。ブーツのホールド感が弱いBCクロカンの場合、両足のスタンスを狭くすると軸が作りやすくて楽に滑れますが、細板での狭いスタンスはシャバシャバの悪雪急斜面には弱いのかなと思いました。映像後半のように板が深く潜り込んでコケています。この場面でも、前後のスタンスもう少し広げて均等荷重できていたら、切り抜けられたのだろうかと、帰ってから考えていました。この場所は下に融解水が通っていて空洞が出来ているようで、朝方登っている時も他の場所は雪が硬かったのに、ここだけストンと板が沈んでしまうような感じでした。降りてきた時間帯には陽が当たって余計にシャバシャバになり、長さ165センチ、幅60ミリの短い細板は全体が足首まで沈み込んでしまいました。このような雪でも、ポンツーン級の太板なら楽しめただろうかと、あっちを取ればこっちが立たんという感じで、遊ぶのも大変です。

  2021.03.18

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  『ローマ法王の休日』

  ローマ法王の休日 [ ミシェル・ピッコリ ]価格：1100円（税込、送料無料) (2021/3/15時点)楽天で購入まず、冒頭のコンクラーベのシーンからして意外だった。世界各国のカトリック信者を代表する枢機卿なら当然、誰もがカトリック信者の頂点である法王になることを望んでいるのかと思いきや、コンクラーベに集まった枢機卿のほとんどが、自分が選ばれないようにと、神に祈っていたのだ。一回目の投票では決まらず、二回目の投票で法王に選ばれたのは、事前に最有力候補とされていた首席枢機卿のグレゴーリやアギラールやビキラではなく、ブックメーカーの下馬評ではオッズ90倍のメルヴェル枢機卿だった。1回目の投票では名前も上がらなかったメルヴェルが、2回目の投票でいきなり連続して名前が読まれた時の様子は、まるで小学生の頃の学級委員長を決めるシーンのようだった。あの時代、だいたい嫌な奴から無難な名前を書いて投票したものだった。それはまるで、自分は絶対やりたくないと思った枢機卿たちが、結託してメルヴェルを貶めたのかと疑うほどだった。この映画の場合は、皆が自分と利害関係の無い人間を選んだように見えた。しかし、その決まり方がまるで神の意思であるかのように見えなくもなかった。その結果、最も自信なさげなメルヴェル枢機卿に法王という重責を担わせることになったようだった。見る前は、『ローマの休日』のパロディかと思ったら、実際は全く違ったシリアスな内容だった。法王に選ばれて困惑し、果てはうつ病のような症状を発症してしまったメルヴェルに対して、首席枢機卿のグレゴーリは、「神はこの使命を全うするために助けて下さいます。重責とは存じますが、耐える力をも与えて下さいます。」などと、無責任なことを言って勇気づけていたが、結果から言えば、メルヴェルにその能力はなかったようだ。果たして能力がなかったのか、信仰が足りなかったのか。これは、法王というカトリックの頂点に立つ人間の問題というより、キリスト教信者だれもが持つ葛藤を描いているように思えた。一介の信徒なら尚更、何か人生で重大な岐路に立たされた時、上のようなアドバイスをもらっても、乗り越えられない場合もあると思う。いきなり小さな問題に置きかえて恐縮だが、私も中学生の頃、陸上の練習が嫌で嫌で堪らなった時、「神は真実である。あなたがたを耐えられないような試練に会わせることはないばかりか、試練と同時に、それに耐えられるように、のがれる道も備えて下さるのである」などと、新約聖書の言葉を引用して諭されたことがあったが、結果から言えば、私の助けにはならなかった。おまけに旧約聖書の言葉まで引用して、「主を待ち望む者は新たなる力を得、鷲のように翼をはって、のぼることができる。走っても疲れることなく、歩いても弱ることはない」などと、むちゃくちゃな事を言って走らせようとする人もいた。結果的に私は非常に疲れてしまった。心身ともに衰弱してしまったのだった。まだ素直だった私はあの時、自分の不信仰を嘆いたが、この映画を見て、他に適切な言葉をかけてくれる人はいなかったのだろうかと、30年以上も前のことながら、キリスト教というのは自分にとってはあまり役に立たない宗教だったなと思い出したのだった。映画のラストでメルヴェル法王が、「私は導くのではなく、導かれるべき人間の一人なのだと思います。」と言って、サン・ピエトロ大聖堂のバルコニーから立ち去る場面が印象的だった。上の新約聖書の聖句は、自分が直面している問題を神から与えられた試練と捉え、その意味を理解する場面で引用されるようである。逆に、望んでも与えられない状況を、自分に納得させるために引用されることもある。神が与えないのだから、自分にその能力がなかったのだと。それらを状況によって使い分けられたら、神の助けなど必要ないのかもしれない。この映画とは全く関係ないが、その資格を得ていることを証明するために、そして、その世界観を実現することがより良き世界を形作ると信じている人の怖さを感じたのは、『ボルケーノ』という映画を見た時だった。なお、『ローマ法王の休日』では、ナンニ・モレッティ監督がメルヴェルを診察する精神科医役として出ている。

  2021.03.15

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  『サラの鍵』

  サラの鍵 [ クリスティン・スコット・トーマス ]価格：1100円（税込、送料無料) (2021/3/14時点)楽天で購入ひさびさに感動的な映画を続けて見て疲れた。一本目は『pk』という映画で、もう一本がこれである。いつもは食事中だけ映画を見るので、一本の映画を観終わるのに3日ほどかかることが多い。しかし今回は、夕食時に観始めて、そのまま終わりまで見てしまった。それほど目が離せない内容だった。おまけに夢にまで出てきて、翌朝目覚めた時にはひどく疲れた。何が夢に出てきたかというと、ヴェルディヴ競輪場に閉じ込められたユダヤ人たちが遭遇した酷い生活環境と似たような場所に送られる旅を、自分が友達としている夢だった。自分がした糞が地面に転がっているのに、一緒に旅行に行った友人は平気で地べたに寝転んでいた。私もその環境に慣れなければ生き残れないと思いつつ、なかなか寝つけない旅だった。それはともかく、この映画に感動した理由の第一は、サラが礼儀正しい金髪美少女だったからだと思う。だからか、サラの行動が健気に見えて、ひどく同情してしまった。ただ弟を助けようと思っただけなのに、両親からは「なんで鍵なんか掛けたんだ」と叱られるし、結果的に弟に酷いことをしてしまって、結局、その思いをサラは死ぬまで拭いきれなかったようだった。一方で、真っ暗な納戸に閉じ込められて、姉が来てくれるのをひたすら待ち続けた弟のことを思うと、こちらも胸が張り裂けそうになる。私も4、5歳の頃、歯医者で騒いで、この納戸のように真っ暗な押入れに何度も閉じ込められたことがある。その恐怖は今でも覚えている。布団を被せられ、簀巻きにされ、息が出来なかったこともある。だから、サラが死ぬほど後悔しても、弟の気持ちになると、許せない思いも湧くのである。感動した理由の二つ目は、この映画が、ホロコーストに真面目に向き合うフランス人の姿を描いているからだ。シラク大統領のように、ホロコーストの責任を未来永劫覚えておこうというのがフランス人全体の考えなのかどうかは知らないが、占領されて仕方なくやったことだとしても、自分たちが過去に行った行為の責任を負うという姿勢がこの映画には現われていた。

  2021.03.14

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  『ダンケルク』

  ダンケルク【Blu-ray】 [ フィオン・ホワイトヘッド ]価格：1100円（税込、送料無料) (2021/3/13時点)楽天で購入第二次世界大戦のヨーロッパ戦線において、史上最大の撤退作戦と言われたダンケルクの戦いについて描かれた映画。ダンケルクの海岸埠頭での爆撃シーンや、沈没する船や戦闘機の空中戦のシーンは迫力満点だった。戦闘シーン満載なのに、グロいシーンがないのも良かった。スピットファイアとメッサーシュミットの空中戦を見ていると、自分ならもっとうまくやれそうな気がしてくる。しかし、相手の飛行機にも人が乗っているわけで、人が乗った飛行機を撃ち落とすというのはどういう心境なんだろうかと、そこが気になる。第二次世界大戦では世界中で人と人が殺し合ったわけで、人が人を殺すというのはそれ相当の理由がなければ、できそうもない。その理由が他国民に対する憎しみの感情や闘争心のようなものだったとしたら、当時の人間は今の人間より、かなり闘争心が強かったということだろうか。あるいは、戦争になると、人が人を殺すための心理的なハードルが下がってしまうのだろうか。もしくは、人間の本質というのは100年くらいで大して変わるものではなく、今の人間は戦争のない時代に闘争心を別の行動によって昇華しているということなのだろうか？仕事やスポーツや浪費によって。冒頭でフィオン・ホワイトヘッド演じるトミーが、アナイリン・バーナード演じるフランス兵のギブソンと一緒に負傷兵を担架に乗せて傷病船に入り込むシーンは、あの負傷兵のその後の運命を知ると、酷く残酷な行為のように思える。と同時に、何が何でも生き残りたいという、戦争の状況に置かれた人間の生命力の強さも感じた。その他、この映画では戦闘機のエンジン音や船の機関音など、戦争に使われる機械が発する音が、臨場感と独特の緊張感を映画にもたらしているように感じた。特に、スピットファイアのロールスロイス社製エンジンの音が心地よく聞こえた。

  2021.03.13

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  『アイガー北壁』

  アイガー北壁【Blu-ray】 [ ベンノ・フュルマン ]価格：4136円（税込、送料無料) (2021/3/12時点)楽天で購入これこそ冒険と思えるような分かりやすい冒険物語だった。その理由は、当時まだ未踏だったアイガー北壁に挑んだということが第一だろうが、それに加えて主人公のトニーとアンディが、自分たちの住む村からアイガーまでの700キロものアプローチを自転車で行ったということも大きな要素だと思う。そして、当時はそれが普通だったのかもしれないが、彼らが使う登攀道具、ハーケンやザイルなども自作していたという点も、惹き込まれた理由の一つだった。つまり、アイガー北壁の完登を実現するまでに必要な過程も含めて、彼らの挑戦の多くの部分が自分たちの手に握られていたという点に、冒険的要素を大きく感じたのだと思う。それは、商業的価値と個人的冒険心が融合した現代の冒険物語とは違う種類の冒険のようだった。それはともかく、この遭難の直接の原因は明らかにオーストリア隊のアンゲラーとライナーの二人にあるように見えた。しかし、ドイツに征服されたオーストリアで、しかもナチ党の党員で、党から支援を受けて登山していた彼らの立場としては、引き返す選択肢はなかったのだろうことを思うと、彼らにも同情を禁じ得なかった。オーストリア隊の二人は、アイガーという自然からだけでなく、社会的にも大きなプレッシャーを受けていた。それに比べて、トニーとアンディーは自由に登山を楽しんでいるように見えた。結局あの結末を迎えるのなら、第二雪田に出たところでトニーはオーストリア隊を残して山頂を目指すべきだったように思えるのだが、それが出来ないトニーの人柄にもまた、魅力を感じてしまった。ドイツ人のトニーとアンディがオーストリア隊を置いて初登頂したとしても、登山家として祖国で栄光を受けることはあっても、批判されることはなかっただろうが、トニーにその選択はできなかったのだろうか。後半のクライマックスでトニーを助けに行った救助隊の行動には、不可解な部分があった。あれが戦前の救助隊の常識だったのだろうか。救助隊とは名ばかりで、自分たちに救助する義務はないとも言っていたし、実際、登山をやるということは、あの時代、救助など求めてはいけない行為だったのかもしれない。初日の救助活動でトニーの位置を概ね掴み、ザイル2本分の距離だと言っていたのに、ようやく天気が回復して救助活動が再開された時に、わざわざ長さの足りないザイルを送って、しかも途中に結び目を作るとは、その間に何をやっていたのかと思うだけでなく、トニーに対する嫌がらせとしか思えなかった。三日間のビバークを経て肉体的に瀕死の状態だったトニーは、あの瞬間、精神的にも死んでしまったように見えた。当日の救助活動でも、トニーが自分のザイルを解いて補助ロープを作っている時に、タバコなんてくゆらせている暇があったら、なぜザイルの点検をするとか、他の救助方法を考えるとか、坑道までザイルを取りに行かなかったのか。そこにはドイツ人に対するスイス人の国民的感情も含まれていたのだろうか。声が届く距離にありながら、悪天候のため初日の救助活動が打ち切られた時も、そして懸垂下降のために引き上げたザイルに結び目があったことを知った時の、あの瞬間のトニーの絶望感を思うと、やりきれなかった。

  2021.03.12

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  『亜人』

  亜人 豪華版【Blu-ray】 [ 佐藤健 ]価格：7480円（税込、送料無料) (2021/3/10時点)楽天で購入死んでも蘇る人を亜人というらしい。死なないならどんな危険なことにも挑戦できるし、死に対する恐怖もないと思うが、死ななくても肉体や精神が損傷した時に感じる痛みは普通の人間と同じというから、気の小さい人は同じかも知れない。綾野剛さん演じる佐藤は、実験台にされた20年間の恨みが鬱積し、それを晴らすために色々企んでいた。でも、死なないなら許してやってもいいじゃないの、という気がしなくもなかった。それに、生き還った瞬間の顔が、やけに気持ち良さそうだった。毎回完璧に蘇るのに、何を失ったというのだろう？そもそも、肉体が損傷しても復活できるのなら、その痛みは何のために存在するのだろうか？キリストも亜人だったのだろうか。蘇るなら死の価値も下がるというか、意味がないのでは、という疑問をこの映画でも感じざるを得なかった。この繰り返される痛みは、何かのアナロジーなのだろうか？そう考えると、何かに似ているような気がする。終わりなき日常、クソつまらない定常作業をやらされていることか。いずれにしても、この“生殺し”感覚が、人間の精神にひどい損傷を与えるということを伝えたいのかと思うのような映画であった。

  2021.03.10

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  スーパーカブで川場スキー場へ

  モリチャンんと一緒に、川場スキー場から奈女沢へ行ってきました。1時間ほどゲレンデで足慣らしてから、西峰経由で奈女沢源頭に向かいました。「山と高原地図」にも書いてありますが、ここは景色がすごくいいです。今回私はBCクロカンで来たので、朝のゲレンデの雪の硬さだと私のテクでは難しい滑降になるだろうと内心不安でしたが、10時頃には陽が出てきて気温が上がり始め、通称なめピークから奈女沢源頭に移動する頃には雪が緩んでいい感じになりました。前回来た時はモナカミックスであまり滑りは楽しめませんでしたが、今回は日当たりの良い源頭部や南向き斜面はBCクロカンでも楽しめました。しかし、樹木の影など少しでも日陰に入ると一気に雪が固くなり、足元を攫われました。単なるトラバースでも、日陰斜面に入るとエッジがいきなり外れ、流されました。そして、日向になると雪が緩んで、場所によってはグズグズで、BCクロカンの細板は沈み込んでしまいました。普段、いかに道具に頼って滑っていたかが分かるミニツアーでした。今回、高崎の自宅からスーパーカブで川場スキー場まで行ってみました。『スーパーカブの歴史』という本を見たら、1960年代に発売されたCT50というカブのカタログが載っていて、当時スーパーカブがどんな使われ方をしていたのか知って、無性にスーパーカブで山スキーに行きたくなってしまったからです。当然のことですが、原チャリと車とでは視線の位置が違うため、普段見ていたスキー場までの景色が新鮮でした。車で行くより道中が楽しく快適だったような気がしました。普段車で行く場合、大概窓は閉めきりですが、バイクだとその場所の匂いを直に感じることができる点も影響していたのかもしれません。渋川から子持村あたりに入ると、目を閉じてもそれと分かるような感じですし、川沿いに出ると川の匂いがします。それから、車より原チャリで行った方が、同じ距離を走っているのに運転の疲労が少ないような気がします。田舎町でカーブが多い道路を走る場合、車だと当然、ハンドルを回さなければ曲がれないわけですが、バイクだと視線の方向に体重移動すると勝手に曲がってくれます。まるで自動運転みたいです。おまけにカブは左手がフリーなので、運転中に前カゴに入れたお茶まで飲むことが出来ます。町中の信号の多い道路だと違ってくるのだろと思いますが、田舎の曲がりくねった道路はバイクの方が快適なのだと、改めて実感した次第です。まあそれも、3月になり暖かくなったからこそ、言えることですが。[書籍のゆうメール同梱は2冊まで]/スーパーカブの歴史 ロングセラーモデルの変遷1952-2012[本/雑誌] (単行本・ムック) / 小林謙一/責任編集価格：2640円（税込、送料別) (2021/3/9時点)楽天で購入

  2021.03.09

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  2021年シーズン8回目　HK牧場

  モリチャンとHK牧場へ行ってきました。駐車場から1時間くらい歩くと、三合平に着きました。ここは白樺とダケカンバの混合林で、散歩するには最高の場所です。天気も回復してきて、白樺の向こうに至仏山が見えました。ガリガリの硬い雪の上に軽い新雪が10センチほど乗っていて、なかなか良く滑る雪でした。かつてゲレンデだったコースの途中には、蓋のない水路の穴が2つあるので注意が必要です。3時間弱の気持ち良い散歩でした。

  2021.03.04

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  『少年メリケンサック』

  少年メリケンサック [ 佐藤浩市 ]価格：3344円（税込、送料無料) (2021/3/3時点)楽天で購入爆笑映画だった。プラスして感動もあり、最近見た映画の中では特に良かった。一時は大ブレイクした少年メリケンサックだったが、年を取った少年メリケンサックの元メンバーたちは、普通のおじさんになっていた。佐藤浩市さん演じるリーダーのアキオは重度のアル中だった。田口トモロヲさん演じるボーカルのジミーは、ライブ中の怪我の後遺症で車椅子生活になってしまい、広岡由里子さん演じる奥さんに介護されながら余生を送っていた。映画はそこからの再起物語だった。より下品になり、暴力的なままの彼らのパワーが、人間の生きる活力がどこから来るのかを示しているようで、感動した。パンクは反社会的な音楽だからこそ魅力を感じるのかもしれない。その他、映画の中に地元の町が出てきたところも親しみが持てた。宮崎あおいさん演じる主人公のかんなが少年メリケンサックの広島公演を前に仕事を放棄して彼氏の弾き語りコンサートを見に行き、思い直して広島に戻る際、タクシーを見つけようと走っていた通りは、高崎のスズランデパート横のお堀端の歩道だった。あそこは桜の見所である。一方、かんなが逃走したため、広島のライブ会場を探していたメリケンサックメンバーたちが走り回っていたのもまた、そのお堀端通りから歩いてすぐの、銀座通りの中だった。劇中に出ていた花のハットリは、高崎中央銀座通りそばにある。エンディングがまた感動的だった。

  2021.03.03

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  『ジェーン・エア』

  ジェーン・エア【Blu-ray】 [ ミア・ワシコウスカ ]価格：1650円（税込、送料無料) (2021/3/2時点)楽天で購入前半の寄宿舎のシーンは、宗教が強い力を持っていた時代の暗黒面を現しているようで、以前見た映画『マグダレンの祈り』との共通点を連想させた。その寄宿舎では、酷いイジメが公然と行なわれているのだが、それが宗教の教えによって正当化されていて、主人公の少女、ジェーン・エアは魔女扱いされる。明らかに理不尽な指摘なのだが、曲がった根性を悪魔の仕業とする考え方は、当時は多くの人を納得させるに足る考え方だったのかもしれないと、この映画を見ていると自然に思えてきた。寄宿舎のシーンを見ると暗い気持ちになるのだが、そこで子どもたちに暗唱させていた言葉には笑えた。「運があれば、僅かな知恵で道は開ける」「持っている人は更に与えられ、持っていない人は持っているものまで取り上げられる」その言葉通り、この映画のラストでは、ジェーン・エアはその出自に見合った財産と地位と幸福を手に入れたようだった。もとは裕福な家に生まれたのに幼くして両親を亡くし、預けられた養母には捨てられ、苦労を重ねて大人になったジェーンは、経済的にも精神的にも自立した女性になっていった。しかし同時に、長年自分を守ってくれる人を求めていたようだ。その願いが最後には叶ったようで、概ねハッピーエンドな物語で、見終わった後はスッキリした。この映画に出てくる女性たちはジェーンにしろジュディ・デンチ演じるお手伝いさんにしろ、子供の頃ジェーンをイジメたおばさんにしろ、信念を貫く人が多い。それに比べて出てくる男たちは、金持ちのロチェスターも含めて、なんだか、いい加減な男ばかりだった。ロチェスターの口説き文句、「感じるんだ。我々には同じ魂が宿っている」という決めセリフは、後にジェーンを助けて家族として迎え入れたジェイミー・ベル演じる宣教師のセント・ジョンも使っており、これは当時の男たちが女性を口説く定番の言葉だったのだろうかと、なんだか説得力のある言葉のように思えたのだが、ジェーンの苦悩と比べると白々しかった。

  2021.03.02

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