1分で通り抜ける世界史-9
『け』玄奘(げんじょう)。三蔵法師とも呼ばれる。唐代の中国の訳経僧。唯識の『瑜伽師地論』等の仏典の研究には原典による他ないとし、また、同時に仏跡の巡礼を志し、貞観3年(629年)に国禁を犯して出国した。天竺(現在のインド)に至り、ナーランダ寺で戒賢より唯識を学び、また各地の仏跡を巡拝した後、帰国の途につき、貞観19年(645年)1月、657部という膨大な経典を長安に持ち帰った。旅の記録は『大唐西域記』として残されている。帰国した彼は、持ち帰った膨大な梵経の翻訳に専念した。弘福寺の翻経院で太宗の勅命によって始まった玄奘の翻訳は、『大般若経』600巻等、76部1,347巻に及んだ。仏教の正しい経典を求め苦難の旅を耐え、インドで勉学し帰国後は経典を訳し、母国に貢献した。その精神力と、向上心と、体力は驚異的だ。日本人は西遊記でその名を知っているが、現実はもっと逞しい人物だったかもしれない。西遊記は桃太郎のお話のルーツだとも言われている。