テーマ:本のある暮らし(3315)
カテゴリ:よもやま
意外と思われるでしょうが、私は故後藤田 正晴氏が好きです。
自分は保守政治家だと言いつつ、時代に流されること無く日本の行く末を気にし、晩年はカミソリ後藤田=政権与党の立場ではなく、一市民として発した行動や言葉に傾倒してました。 破防法の持つ危険性について、自らが知りえる”破防法の適応”の恐怖に警鐘を鳴らし、いたる所で反対し、イラク戦争における自衛隊派遣には「過去の戦争を知るものとして思想信条を超えて反対するのが普通の人間だ。」と歯に衣を着せぬ発言を繰り返し、「保守や革新と言う枠で政治を語るべきでない」とも言い「1993年、村山(自民、社会連立)内閣が出来た時は、「自衛隊について社会党と意見の違いはあるけど、自衛隊が武装して海外に出ていくことには反対しなければならない。その点は同じ考えです」と、はっきりした意思表示をしたからです。そして晩年は、著書や講演会で「自衛隊の海外派遣や集団自衛権の行使など、憲法が認めないことがなし崩しになることに危惧を抱いてる」小泉政権を批判し、小泉内閣に対しては「過度のポピュリズム(私も最初はわからなかった)が目立ち、危険だ」と批判した言葉を最後に人生の表舞台から去ってゆきました。今こそ、自民党に必要な大久保 彦左衛門だと思います。 晩年は、数々の発言などに対する右派からの批判に対し、自分は保守的な政治家であると言い「自分が左派扱いされるのは、日本が右傾化し過ぎているのではないのか」と反発したと言われてます。私はカミソリ後藤田は保守政治家であると同時に、平和を愛する「憲法擁護」の人権政治家であったと思います。 (合掌) 以下は、生前最後のインタビューの内容です。 「ぼくはしょっちゅう言うんです。なにかが流れ出したときに、おいちょっと待てよという空気が生まれない。一瀉千里に流れてしまう。異議申し立てをすると、変わり者だとか、けしからんとなる。これはおかしいと思っても、反対だといわない。いまの日本の空気のなかにそれがある。非常に心配な傾向になってきたと思っている。日本の国民性の一番の欠点は付和雷同だ」 「21世紀に入って世界は大きく変わりつつあるんですよ。しかもスピードが非常に速いんですが残念ながら日本は立ち後れてしまっている。世界の先行きをどう見るか。日本をどのような国につくっていくか。国のかたちの基本が定まっていない。だからいろんな混乱が起きている」 インタビューはちょうど衆院の解散・総選挙が決まった時をはさんだ時期でした。突然の総選挙について「日本の将来を分ける重要な選挙」と繰り返し指摘し、その選挙の争点をも含めて、日本の国のあり方や生き方から政治家の基本的な心構えまで、問題を正面から見据え、掘り下げ、論じることの大事さを繰り返し強調されたことが今改めて印象深く思い起こされます。 内外に直面する問題はともに、構造改革を必要としていることはもちろんではあるが、それが競争原理を大義名分として、「強者の論理一本槍」に陥っているのではないかとの警告も繰り返し発せられた点でした。 「競争についていけない落ちこぼれの人をどう手当てするのか。格差が広がる社会への不満はうっかりすると爆発する危険性がある。弱者を切り捨てるような社会ではあってほしくない」 「強大な軍事力や経済力を持っている国がしからざる国を思い通りについて来させようとし、自分の国の価値観を認めない国は排除するといった行き方は行き過ぎではないのか。互いに生き方を認め合い助け合っていく国際秩序をつくることが一番大事ではないか」 笑みを絶やさず語られた言葉は日本と世界の状況に対する厳しい危機意識に貫かれていたように思います。 そして、戦後日本が保ち続けた平和の大事さについても幾度も強調されました。「戦(いくさ)をすれば勝者も敗者もない。廃墟だけが残る。核兵器や生物兵器など大量破壊兵器を駆使するような争いは絶対やめなくてはいけない。話し合い、相互の共通点を発見して妥協する以外には解決の方法はないのではないか」と。 日本が目指すべき国のあり方として3つのキーワードを上げられました。 「第一に平和の国 日本」「第二は自主の国 日本」「第三に共生の国 日本」。 それぞれの国々や民族が歴史なり文化なり伝統なりを持っている。それらを尊重し合い支え合って共に生きていくことが最も大事だ。戦前から戦後にかけての激動の歴史を見続けてきた後藤田さんは、ご自身の体験を踏まえて、今後の日本がそういう世界の実現に向けて少しずつでも前進するようリードしていってほしいという願いを込めておられたと、私たちは受け止めています。 残された言葉をかみしめていきたい。かみしめていかなくてはいけないと思っています。 インアタビュー@大和修:栗原猛 後藤田五訓 一、省益を忘れ、国益を想え 二、悪い本当の事実を報告せよ 三、勇気を以て意見具申せよ 四、自分の仕事でないと言う勿れ 五、決定が下ったら従い、命令は実行せよこの人の好感材料 がある、今、我々が公務員に求める基本的な事柄です。 法務大臣時代、死刑執行を再開して物議をかもしとのも事実です。警察官出身の氏にとして、五訓に書かれた=五=の信条が大きな要因と推測されます。 以下、国会答弁 1993年3月29日 裁判官に重い役割を担わせているのに、行政側の法相が執行しないということでは国の秩序は保てるか。法秩序、国家の基本がゆらぐ。個人的な思想、信条、宗教観で判を押さないのなら大臣に就任したのが間違いであり、分からなかったのなら分かった段階で職を辞するのが当然だ。 最後に、 氏は小選挙区制導入推進論者の筆頭でした。その制度に最後まで反対していた小泉、その制度で自民党圧勝をもたらしたのは皮肉ですね。氏のぶれない信念、どこかの総理大臣の言葉遊びとの違いを垣間見れます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.09.03 20:12:45
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