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患部が膵臓だと聞いた時から、もうグインは未完だなと思っていた。
でも、多分、もう20年書けたとしてもやっぱり未完じゃないかと思う。 人生の中で、実は片が付くことなんて、わずかなのではないか。 片づくことの大概は、その人にとっては他愛もないことで、愛や執着があるものは、結局墓場まで抱えこんで持っていくんじゃないかと。 片づけが下手な自分は、よくそう思う。 そういう意味では、ここ数年のグインはもはや読者のために創作されているのではなくて、作者が生きる糧としてのみ存在価値があったのではないか。 自分は、あまり親切なファンではなかったので、ナリスが死んだところで、この話は終わってしまった。そのあと何巻かはおつきあいで買ったけど、読み手としての興味はなくなってしまって戦線を離脱してしまった。多分、今、こんなに突き放した物の言い方ができるのも、作者がひとまずナリスを冥府に送ってくれたからこそ。あの巻の一つ前の巻か何かが絶筆だったら、さぞ喪失感に苛まれたことだろう。 彼女の幸せだったところは(不幸であったところかもしれないが)、非常に親切なファンに囲まれていたというところだ。盲目的に崇拝して、この物語の暴走に一役かった取り巻き達も当然いるだろうが、面白いのは某巨大掲示板での愛憎ひっくるめて関わらずにはいられない面々。そして毎回新刊で絶望し、それでも次巻にわずかな望みを託してアマゾンのレビューを書く面々。 「もう、読むの止めます」の絶縁宣言も多かったけど、本当に愛想が尽きたなら、そんな事を書き込む手間すら無駄に思えるはずだ。 そういう意味では、彼女は本当にファンに恵まれていたと思う。 一方彼女はというと、そんなファンの気持ちはあまり汲んでくれないようで、健康的には最悪の事態の連続だったかもしれないが(彼女は乳ガンの既往もあるので)、創作では妄想の彼岸で幸せに暮らしていたようにも見える。 話は重複するが、とにかく最近のグインは、話が進まない、展開がグダグダと悪評高かった。けれども、作者が読者を喜ばそうとして書いた作品として見れば腹が立つのであって、作者の勝手で書いている作品、ついてこれない奴は文句言うなのスタンスであれば、まったく何の問題も無い。 ただ一般的には、そうなってしまった自慰的な作品には、発表の場がなくなっていくのが、商業としての出版業界である。しかし彼女が今まで早川にもたらしてきた利益と配偶者と親切なファンの支えもあってか、グダグダの内容であろうと定期的に刊行できた。 いまの時点で未完だが惜しまれての幕引きというのは、(もちろん作者は生き延びてもっと書きたかったであろうが)この作品にとっては、決して悪いものではないのではないか。 グインは彼女の作品の中では、本当に愛した、溺愛した子供のようなものだったのかもしれない。盲愛のあまりディティールの整合性は失われ、広げた風呂敷は回収不可能になった。まあ、それはそれでいいのではないかと思う。子育ては、いつだって執着と愛憎で成りたっていて、親も子も理詰めで動くはずはないのだから。そして親子の縁は決して切れない。未完であって当然だ。 自分が、多少なりとも妄想と駄文書きに足をつっこむようになってから、しみじみ思うのだが、未完の夢でも抱えていなければ、この辛い日々をやり過ごすことはできない。物書きを生業としてたら、確かに読者という誰かのために、物語を完結してあげることは大事かもしれないが、そのあたりのなりふりをかまわなくなってしまったら、物語は終わらない方がいい。 最近、何を思ったのか「ポーの一族」を再度読み始めた。 「グレンスミスの日記」で、「生きて行くことはあんまりにもつらいことだから、不死の一族の村を思って、そんな夢を抱かなければ生きてゆけない」みたいなフレーズがあって、大人になって日々の暮らしに消耗している自分は、えらく共感してしまった。(大人になって読み返すべき漫画だよな、これ。でもこれを彼女が20代で描いたんだからスゴい) そして、この物語の最終話でエドガーの消息が曖昧になってエンドマークというのは、物語を抱いてつらい浮き世を生きて行こうとする読者にとっては、実にいたわりのある美しいエンディングなのだ。 栗本御大は、また萩尾氏とは全然タイプが違うので比較は難しいのかもしれないが、ことグインについてはその愛のあまり、彼女が長く書けば書くほど小説としての体を失っていき老醜をさらすおそれも多々あったのでは。 よって、才能ある作家の早すぎる死という切なく悲しい今回のなりゆきだが、それはそれとして。 とにかく自分は、この長大な物語が美しい伝説になることには納得しているし、ある種の安らぎさえ覚えている。 萌えネタはあの世まで。 栗本先生お疲れさまでした。 やっぱりこんなにグダグダ書いてしまうなんて。 グイン、ホントに好きだったんだな。自分。 (自分で切りのいいところで勝手に完結させましたが) 追記1 アニメ、一応見てます。 なんか日曜の11時半に主題歌聴くと、ちょっとサザエさん症候群になりますw。 また、展開が鬱。 ってゆーか、脚本・演出、ちゃんと原作読んでるの? それともこれがN○Kフィルター? でも、この話は基本、三国志なんだから。 ノスフェラスの谷底で、青騎士一個中隊、油かけて焼き殺すんじゃなかったのか? そうじゃなきゃ紅の傭兵のトラウマにゃならないよ! というわけで、昨日の回で非常に雲行き怪しいよ。 今後のことは、ひとまずヒロシのヴァレリウス登場を見てからだ。 (う~ん。これもめっちゃ不安) それから、余命幾ばくもない彼女への手向けの花のような今回のアニメ化ですが、 (それは確かに美談かもしれませんが…N○K、彼女には優しいぜ) 単純に今後どうすんの? まかれたネタは回収できないだろ。 って長文を真夜中に久々に描きながら、楔をつべでみてましたが。 関リキ「も…う…勘弁してくれよ……!」 塩沢イアソン「まだ…足りない」 うう…エロい。 囁きに耳から犯られる…… お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.06.01 23:12:41
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