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カテゴリ:インプラント
この前まではインプラントからAdditive Veneer(付加ベニア)の話になりましたので、今回はインプラントとAdditive Veneerのコンビネーション症例の紹介です。
この歯列を見てどう思われるでしょう? どこが悪いのか一目瞭然ですが、明るくなっているところです。 上顎右側中切歯・下顎右側側切歯(明るくなっているところ)は補綴物ですが、歯頸部は明らかなる不適合です。 黒くなっていますが、削ったところに全く合っていないのです。 しかも上顎右側中切歯の歯茎は腫れていますが、これは咬合(噛み合わせ)の不備であることが考えられます。 この修復物はセラミックであり、自費診療であるにも関わらずこの有様です。 百歩譲って、色調が合っていない(難しい色調なので)のはまだいいとしても良い適合(削った部分にぴったり合わせること)や良い咬合(噛み合わせ)を与えるのはプロとして当然のことです! やはり現代において良質な歯科医療を提供するには、歯科医師・衛生士・技工士のチームワークが重要です。 もしかしたら、写真の補綴物を製作した技工士は口腔内でこのようになっていることを思ってもいなかったかもしれませんが(これだけ不適合だと技術の問題、メンタリティの問題など大いに考えられますが)、セットしてしまう歯科医師も問題ですし、印象もきっちり採れて(型採り)いなかったのかもしれません。 こういった状況を見ると歯科医療に関わるものとして悲しくなりますし、歴史上においても歯科医療従事者は自らが患者様(国民)の信用を失ってきた部分もあるのかもしれません。確かに社会が抱える色々な問題もあるのですが、医療とは本来「思いやり」で成り立っているものであるはずです。 患者:36歳男性 主訴:上顎右側中切歯がおかしい(歯根破折) 下顎右側側切歯の色調不和と歯頸部の黒さとギャップが気になりだし た 歯根破折したものは保存不可能です。はっきりとしたことは言えませんが、歯根破折に到った理由の一つに噛み合わせ(前歯なので強く突き上げてきないこと、下顎を誘導する面の与え方が重要!)を不適切に与えたこともある、つまり術者が歯の寿命を短くしたと言えるのかもしれません。 抜歯になる訳ですが、他の歯が治療をしていない天然歯であったため、インプラントの選択になった訳です。 今日はいささか厳しいことも書きましたが、歯科医療に情熱を傾ける臨床家も沢山います。単に上手い下手といったことではなく誠実であることが大切であると思います。 次回からはどのようにアプローチし、補綴をしていったのか技工を中心に話を進めていきます。 続く お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.04.15 06:50:48
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