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Pero's Kingdom の植民地

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2005.06.23
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カテゴリ:旅行記
 このカフェバーは、名前は忘れたが場所はすぐに分かる。

 前回でも述べたように、R・Dゲストハウスから北に二十メートルの西側に位置しており、店の入口には電飾看板がかかり、夜になると暗い町に一際目立って見える。

 カフェバーの店内は二部屋に分かれており、いずれも四人~六人掛けのテーブル席が六卓程度設置され、その奥にカウンターがあり、陽気なバーテンダーがたくさんの洋酒を背に客を待っている。客層は殆ど欧米人で、僕達が入った時は七分程度の入りだったが、店内にはロマンティックなクラッシックが静かに流れ、落ち着いた雰囲気を感じた。

 この夜はベトナム料理を既に食べていたので、フードはサラダとサンドイッチだけを取り、Y子さんはホットコーヒーでおとなしくしていたが、僕はメニューの中で最も安いスコッチであるブラックアンドホワイトのダブルを注文した。

 バーテンダーがウイスキーグラスをわざわざ席まで持ってきて、「ごゆっくり」といった感じで一言笑みを浮かべて語り掛け、そして戻って行った。このような何気ない動作が、僕のような旅人には何とも気分が良いものだ。

 一泊2ドルの格安ドミトリーに泊まり、陸路中心の経済旅行を続けていても、時にはこのようなしゃれたカフェバーでウイスキーを傾けながら、旅の感慨に浸るのも格別な気持ちになる。ましてや今夜のように美女と過ごしている時などは、このままメコン川に飛び込んで世界平和を叫びたい衝動に駆られてしまう。そんな単純な僕だった。

 結局、ウイスキーダブルを二杯飲み、Y子さんはコーヒーの他アイスクリームを食べ、サラダとサンドイッチとの会計は七万Kip(七百円程度)だったと記憶する。日本でこれだけ飲食すれば、少なくとも五千円程にはなるだろう。

 部屋に戻ると、旅人はそれぞれのベッドで思い思いに過ごしている。
 入ってすぐのベッドに寝ている黒人は、僕達が夕方到着した時からずっとそのままのような気がする。

 自分のベッドに戻ると、近くの韓国人青年のベッドに彼はいなかった。きっと屋上のミーティングルームだと思うとY子さんが言うので、僕達も階段を上がって行った。

 案の定、韓国人青年は屋上の板の間で仰向けになって、CDウオークマンを聞きながら本を読んでいた。器用な奴だと思いながら声をかけたら、びっくりするような声で彼は「おかえりなさい!」と言うのだった。

 しばらく三人で遠くに見えるメコン川を眺めたり、ヴィエンチャンの綺麗な夜空を見上げながら雑談を交わした。ミーティングルームの白壁には、過去に宿泊した旅人の落書きが、もはや書くスペースがないくらいたくさん書かれていた。

 ふと一つの落書きに目が留まった。

 「帰る場所があるから、旅に出るんだ 長渕 剛」

 フォーク歌手の長渕 剛がこのGHに立寄ったとは思えないから、長渕ファンが彼の何かの歌詞を引用して書いたものだろう。

 この言葉に特別感動したわけではないが、逆に言えば「帰る場所がなければ、旅にはならないのだ」と思った。帰る場所がなければ、それは生活味を帯び、人間の生きる術そのものに繋がることとなる。

 旅とはそのように生活の土台が確実性のあるものの上に存在するということなのか。





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Last updated  2005.06.23 23:28:20
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