(戦争と平和29)「トランペットとピアノのマチネーコンサート」の裏話について(ドイツから広島へ)
11月6日(土)に広島市のエリザベト音楽大学のセシリア・ホールでトランペット奏者ラインホルト・フリードリッヒとピアニスト竹沢絵里子(Eriko.Takezawa.Sischka)とで行われる「トランペットとピアノのマチネーコンサート」について、裏話をします「広島でのコンサート物語」第二次世界大戦まっただ中の1944年、イタリアのトスカーナ地方スタッツェーマ・セントアンナの教会で、生後3か月の女の子アンナが洗礼を受けましたその教会は、彼女の将来を祝福し、オルガンを奏でましたその年の8月、戦況危ういナチスは、町の人を教会前に集め、全員を銃殺したのですさらに、教会のオルガンも人が隠れているだろうという理由で壊されたのですアンナを祝福したのが、オルガンの最後の演奏だったのですそして、幼いアンナもこの時、殺されたと言い伝えられています2008年、このオルガンが修理・復元されました現在、平和祈念オルガンとしてセントアンナで大切に扱われ、定期的に演奏会が開かれているそうです復元に尽力・援助されたのはドイツ人の音楽家でしたご主人がトランペット奏者のヴェスターマン夫妻です今回、広島で演奏するラインホルト・フリードリッヒと竹沢絵里子は、イタリアのトスカーナで、近年、講習会を開いていますここで、ヴァカンスにやって来ていたヴェスターマン夫妻に会い、セントアンナのオルガンを知ることとなりましたヴェスターマン夫妻は、さらに竹沢絵里子が広島出身と知り、「広島にもドイツから贈られたパイプ・オルガンがある」と、広島世界平和記念聖堂の資料を彼女に渡したのです(この広島のパイプ・オルガンは、ヴィルヘルム・ケンプが1954年の除幕式で演奏した時にしようしたもので、ドイツのケルン市から寄贈されたものです)竹沢絵里子は、このたびラインホルト・フリードリッヒと共に広島を訪問する際に、そのオルガンを拝見したい旨を、聖堂に申し入れましたこの時、エリザベト音楽大学の川野学長に「ラインホルト・フリードリッヒ氏の来訪」と言う情報が入り、今回エリザベト音楽大学でのマスター・クラスのグループレッスン等、そしてセシリアホールでのコンサートが開催される運びになったのですまた、イタリア人作曲家:ルカ・ロンバルディーが、スタッツェーマ・セントアンナの村の殺りくの悲惨な歴史を悼んで、ラインホルト・フリードリッヒと竹沢絵里子のために<キル・グル>という曲を作りましたこの曲は、今年8月28日に初演されましたが、このたびの広島公演のアンコールに演奏されるかもしれません奇しくも約65年前にイタリアであった悲劇を、ドイツと日本の時空を越えて、その善意が今の我々に届けられるかもしれないのですまた、余談ですが、2008年公開、日本でも話題となった映画に「セントアンナの奇跡」がありますこの映画でオルガンは主役ではありませんが、今まであまり知られていなかった「セントアンナの大虐殺」を取り上げていますさらに、プログラムでエディソン・デニソフ(1929-1996)作曲の「トランペットとピアノのためのコン・ソルディーノ」と言う曲が演奏されますエディソン・デニソフはソビエト出身で、パリに亡命した作曲家です彼は、交通事故にあい、大手術を受けていますまた、経済的にも非常に困窮していた時期、ラインホルト・フリードリッヒは彼に曲を書いてもらうと言う名目で経済的な援助を申し出ております何年か経ち、忘れた頃、エディソン・デニソフから封書が届きましたその中に入っていたのが、この「コン・ソルディーノ」という曲でした*…*…*…*…*…*…*…*最後までお読み頂きありがとうございます♪*…*…*…*…*…*…*…*