|
カテゴリ:BOOKS
![]() 英語圏のホラー小説の翻訳を少しまとめて読みました。アルジャーノン・ブラックウッド(1869-1951)は以前、傑作集のようなものを読み、そのアニミスティックな怪異談はけっこう怖かったです。「いにしえの魔術」という短篇から、萩原朔太郎があの傑作の「猫町」を発想したことはよく知られていますね。 ブラックウッドのほかに、M.R.ジェイムズ(1862-1936)とアーサー・マッケン(1863-1947)とを合わせて、英国の恐怖小説の御三家と呼ぶようです。彼らに加えて、米国のH.P.ラヴクラフト(1890-1937)も読んでみたのですが、ブラックウッド以外の3人の作品には、化け物というか妖怪というか、そんなものがよく出て来るようで、それらの作品は私には?でした。日本の幽霊になじんでいると、西洋の悪魔はいま一つピンと来ない気がしますね。 いちばん発見だったのは、ウォルター・デ・ラ・メア(1873-1956)の作品で、長篇の『死者の誘い』(原題は『帰還(The Return)』)も短篇の「シートンの叔母さん」も、怖いのみならず、恐怖小説の枠を越えるものが感じられました。教えて下さったTMさんに感謝です。 平井呈一によると、デ・ラ・メアには、文豪ヘンリー・ジェイムズ(1843-1916)の恐怖小説を継承する一面があるそうです。確かに「シートンの叔母さん」は、ジェイムズの「ねじの回転」(私は結局これがいちばんコワイ!ように思います)を思い起こさせずにはいないでしょう。「ねじの回転」は、1961年に英国のジャック・クレイトン監督により映画化されています。その原題は the Innocents(ストーリィから訳すと「無垢の子ら」でしょうか)ですが、邦題は「回転」です。デボラ・カー主演のこの映画もコワイです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年06月08日 07時27分44秒
コメント(0) | コメントを書く
[BOOKS] カテゴリの最新記事
|