ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

2017/12/30(土)22:34

映画:君の名前で僕を呼んで Call Me By Your Name(2017年イタリア/アメリカ)

映画、テレビ(660)

「なーつが過ーぎー風あざみぃー」(評価 ★★★☆☆ 三つ星)  こちらアメリカでは映画賞の季節が到来。てか、ゴールデングローブ賞の発表がすぐ年明けに迫っており。  本命と(一部で)噂されてるらしいのがこのCall Me By Your Name。1983年の北イタリアの田舎が舞台。主人公17歳男子が、同世代のフランス人美女とイチャイチャしつつも、父(大学教授)の助手としてアメリカからやってきた大学院生に惹かれていく。 <感想>  日本では来春4月の公開が決まったらしい。うまぁく宣伝すれば、ほかならぬ日本でこそ思いっきり売れるはず。何かとお疲れな日々を過ごす平成末期のニッポン人、特にご婦人たちはこうゆう映画をお好みになると思われ。一方、アメリカ人にとってはあまりに繊細過ぎてわかりづらい作品なので、どこまで映画賞を獲るかはビミョー。  耽美系。ゆっくりと物語が進行していく。口論とか暴力とか拳銃とかの場面も皆無だし、当然ながらインターネットとかスマホとかも登場しない。人々は紙で本を読み、湖で泳ぎ、庭でとれた桃を喰らい、葡萄酒を呑み、踊り、語らう。  ちなみに脚本はジェームズ・アイボリーさん。そのため2時間超える長い映画になっちゃってる。  よくできた映画と一瞬思ったけど、ふと冷静に考えてみると内容は深くない。てか、こうゆう「少年時代」系、「ひと夏の想ひ出」系の映画なんていくらでもあるよーな。一番気になったのは、少年少女らを翻弄/悩殺するアメリカ人青年役のキャラ設定が弱い点。彼の心情が丁寧には描かれてないもんだから、いったい何考えてる奴なのかわからずじまいだった。ただのツンデレ男子? そもそも、いい歳こいた成人が未成年者相手にあんなことやこんなことをして戯れるのって、道徳的/法律的にどーよ。しかもこの子たちもまた、お若いのに喫煙したり飲酒したりしまくってて、よゐこのみんなには奨められない映画。  彼らがユダヤ人であるというのも、おそらくかなり重要な伏線になってるはずだけど、なんだかよくわからず。  ま、この映画の素晴らしいところは、ずばり撮影力/演出力、そして主演の思春期男子役ティモテ(ティモシー)・シャラメさんの演技力。彼は非常に難しい役どころを見事に表現なさっていた。オトナなものごとに興味のあるお年頃、自分探しに忙しい。そのくせ、まだまだパパやママには甘えたいわけで。

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