ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

2020/06/25(木)08:52

映画:男と女 Un homme et une femme(1966年/1986年/2019年フランス)

映画、テレビ(660)

「髪は長~い友だち」(評価 ★★★☆☆ 三つ星)  引きこもり時間を使って、ついにクロード・ルルーシュ監督「男と女」三部作全てを鑑賞。てか、もともとぼくは第一作すら観てなかったのだけれど、フランシス・レイの主題歌「ダバダバダ」は有名だし、続編、続々編が存在することを知り、それなら全三作とも鑑賞しちゃえという前提で順番どおりに観始めた。それぞれの題名と公開年は以下。  1966年「男と女」Un homme et une femme  1986年「男と女II」Un homme et une femme, 20 ans déjà  2019年「男と女 人生最良の日々」Les plus belles années d'une vie  結論から言うと、第二作1986年版はイマイチ。観なくてもいいぐらい。2019年版なんて、あたかも1986年版がなかったことになってるかのような筋書き。  老男のほうが老女よりも昔の恋にしがみついている、というお話。極言するなら、男は「あの時あの人と結びついていたら……」と後悔/妄想しつづけていたのに対し、女のほうは、短くも美しく燃えた日々を永遠に美化して心の糧としながら前向きに人生を送ってる。  そして、老い、痴呆、介護という現実問題にも目を背けてはいけない。  ま、映画としてあーだこーだ言うより、やっぱし半世紀以上も昔の映画の続編を、同じ監督や役者で観られるということは文句なしに素晴らしい。第一作ではお若いアラサー男女だった彼らも、最新作では後期高齢者。彼らの子どもを演じた当時の子役たちもまた同役を演じていらっしゃってるのが嬉しい。  主演女優アヌーク・エーメ様はさすがの美貌。アラサー時に魅せた美しさには誰もが悩殺されたはずで、特に髪をかき上げる仕草がたぶん有名。そして高齢女子となった今でも髪が豊かなのにはびっくり。かつらなのかも。  彼らの想い出の町ドービル、そして都パリ。こうゆう映画はフランスじゃなきゃ撮れないと思わせる映像美。  2019年版の最後に映し出されるパリの街並み(←撮影自体は1970年代らしい)なんて、観てるだけで涙ぐむほどに感動してしまった。実はぼく、数か月前に真冬のパリに行ってきたのだけれども、街並みはこの映像と全然変わってない。  あと、今回改めて感じたこと。ぼくの場合、スペイン語とかの映画を観るときは日本語字幕ではなく英語字幕で観るのが普通。日本語だとどうも非現実的でわざとらしい言い回しがいちいち気になってしまうけど、母国語ではない英語だと細かいアラが気にならないから。でも、フランス語の映画を観るなら英語字幕より日本語で観るほうがなぜかしっくりくるから不思議。歯の浮くような甘い台詞も、原語がフランスだから仕方ないと割り切れるためか。

続きを読む

このブログでよく読まれている記事

もっと見る

総合記事ランキング

もっと見る