「至福のとき」 社会は厳しい・・・。
こちらも‘莫言’の原作を映画化したもの。ただ、盲目の少女はこの映画のために作り出されたものだとか。とすると、原作とはまるきり違うストーリーなのでは・・・?作品については見てからちょっと経ってしまったので記憶が鮮明ではないのですが、今でも強く残っているものといえば、なんともスッキリしない重い後味。中国映画らしい、存在感の有る作品でした。そもそも情けない男の浅はかさから作り出された嘘、そこからズルズル嘘が嘘を作り出し、多くの人々の善意のこもった嘘になる。その嘘が、盲目の少女のおかれた辛く厳しい現実の中に、ふっと訪れた至福のときだという。その嘘で塗り固められたものが、ほんと幸薄い彼女の人生に射したほんの僅かな光、生涯で一番の至福のときだしたら・・・余計胸を締め付けられます。世の中は厳しい・・・。だらしない主人公の男のどうしようもなさ。その中に有る真心。一見矛盾しているようなその行いが・・・人とはそういうものなのでしょうね。そして、ピュアな盲目のヒロインの大きな存在感。この役のために、1年間もの苦しいダイエットに励んだのだとか。1日3回、朝昼晩に水泳とランニングをし、食事は少量の野菜のみで、ダイエットをした1年間、米は一切口にしなかったそうだ。彼女の凛とした存在感は、そのプロ根性のなせるものなのでしょう。 ←ブログランキング