「ああ息子」西原理恵子著
先に読んだレヴューで「うちの息子はまだましなんだと安心した」とあったのでどんなすごい息子の話が勢ぞろいしているんだろう、と、楽しみにして買った。この本は、読者からの88編の投稿を収録されているとか…。読んでびっくり!それは…そりは…ああ…うちの息子って…いったい、どれだけすごかったか!親として、今までずっと認識不足だったと気がついた!私は、ずっと、うちの息子はわりとおとなしい。と、思っていたのだーー。この本の投稿者の「すごい息子」たちって、まだまだおとなしいじゃないの。学校帰りに虫を捕まえてくることが、ネタになるとは!うちの息子は朝ごはん前にやっていた。朝、誰より早く目を覚まし、虫やトカゲやかえるを捕まえてきていたっけ。(猫か?)…きっと、投稿者たちは都会の人なんだろう。学校帰りにバッタを捕まえてくるぐらいでキャーキャー言ってるから。うちの息子が学校帰りに捕まえてきたのは、カヤネズミやヒヨドリのヒナだった。(やっぱり猫か?)バッタを取りに行って、トカゲも一緒に捕まえてきたし、じいちゃんの畑でミミズを採取して、ザリガニを取りに行っていた。ザリガニは誰が一番大きいのを取るかの競争で、毎日、学校から帰ると友達数人でザリガニ取りに行くのが日課だった。それでも絶滅しないザリガニにも感心するが。ある時はザリガニの赤ちゃんを採ってきて、育てたこともある。でも、飼われているザリガニは脱皮に失敗して死んでしまうことが多い。我が家の庭は、そんな大小のザリガニさんやらなんやらかんやら皆さんのお墓だらけだったっけ。とんぼもヤゴから育てた。ザリガニを取っていて偶然捕まえたものだった。餌は、庭のナメクジやミミズだった。見事にとんぼに育ったっけ。(何トンボか確認する前に飛んでった)カブトムシは幼虫からプラケースで育てていて、毎日土の中から出して一匹一匹の健康チェックを怠らなかった。もちろん、幼虫は採取したり、親をオスメス数匹で飼っていたやつが生んだ卵から孵したものたちだ。こんな姿を当たり前だと見てきたので、それが本のネタになるようなことだとは露ほどにも思わなかった!ああ驚いた。でも、「すごいすごい」って騒ぐほど、誰もがたいしたことないってこともわかったわ。なんでも、どんなことでも、そうなんだよねー。ああ息子娘さんだけ、または、物静かな息子さんをお持ちの方は、他人事としてひたすら笑えます。腕白坊主をお持ちの方は、私のように「自己の認識不足」を反省できます。今、私は、うちの息子よりすごい息子さんのお話がもっとたくさん聞きたい…。私はこの本に期待しすぎたので、ちょっと物足りなかったの。