piyotaの【ちぇブラで行こう】

2006/05/11(木)19:59

細胞におけるいろんなシステムのrobustさについて

生命科学(919)

今日は,K君の博士論文発表会でした. 結果そのものはクリアなのだが,解釈のしかたやモデルの立て方,その表現の仕方など,いろいろ問題点が浮き彫りになり,それが議論を重ねる過程でどんどん浮き彫りになっていく様子が,興味深かった・・・と書くだけに,ここではとどめておくことにします.詳しく書いちゃうとイロイロあるからね★ さて,それが終わったあと,そこそこ夜が遅かったのですがお疲れ様ということで一緒に晩飯を食いにいって,そのとき話していたことが面白かったので,ここに書きとめておきます. それは生物のもついろいろなシステムの多重性とロバストさについての議論でした. いろいろ話しているうちに,たとえばある生物(今日の話に関連付けるならば出芽酵母)のあるシステムで,そのシステムがその生物の生存にとって結構重要な役割を持つ場合には,たいていそのシステムには二重三重の安全策というか別経路とかバイパス経路があらかじめ備わっていて,一つの因子が壊れたり変異したくらいでは,表現型に影響がでなかったりします. で,ある因子をノックアウトして,明確な表現型が観測されないことを根拠に,その因子がそのシステムに対して「重要な役割を果たしていない」という結論づけてしまうという考え方に対して,そもそも「重要な役割」というとらえ方自体が主観的であんまり科学的じゃないじゃん,って思うっていう話をしたのでした.でも,たとえば学術論文を投稿して,受理してもらうためには,その論文のどこかに「~は~において重要である」みたいな記述をいれなければならない,そういう暗黙のルールみたいなものがある.でも,進化的観点から眺めると,あるいはシステム工学とかリスク管理とかまで考えると,「本当に重要なものはあらかじめロバストなしくみになっている」みたいな逆説もなりたつような気がするなあ,でもって,どっちが本当に重要なのかは程度の問題みたいな気もするなあ,という気分になってきたのでした. つづきます. 【今日の教訓】夕方から学位審査会を始めると,お腹が空く.

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