山田維史の遊卵画廊

2009/01/31(土)01:34

雨は急流となって

 終日の雨。強く降り込める冷たい雨である。  そんな中を、夕方になってから4時間ばかり外出。雨は坂道を急流となって下る。私は道の途中でかがんで、ズボンの裾を少しばかり折上げた。みっともないが、出先でグショ濡れの姿を見せるよりはよかろう。  駅のプラットホームに、スピーカーで小鳥の声を流している。「ピーピークゥイック・クゥイック、ピーピークゥイック」と、ほぼ20秒間隔で流れる。そのうるさいこと。大きい音ではないのだが、単調さが神経を苛つかせるのだ。日本の都市部ではとかく無駄な音のたれながしが多い。サービスのつもりらしいが、ずいぶん粗雑な神経のひとたちの企画だ。こういうのは公害とは言わないのかしら。  この小鳥の声が気になるのか、私の目の先で、本物の小鳥が雨のなかを右往左往飛び回っていた。腹が白く、背と尾が黒い。ホームに降り立ち、また飛び立って屋根に止る。「ピーピークゥイック・クゥイック、ピーピークゥイック」という声の出ている小さなスピーカーの周辺を付かず離れず、去るに去れない。  「可哀想に、罪作りな音だことなー」と、私は、篠つく雨のなかの小鳥の飛翔を見つづけていた。

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