山田維史の遊卵画廊

2009/07/18(土)18:37

オラが家の裏山

博物学・歴史(77)

 過日、TVでイノシシによる農作物被害を報じていた。それで思い出した。  一昨年のことだが、山の上の我家から自転車で道を下っていると、下の方から黒っぽい犬が小走りに上がってきて擦れ違った。脚の短い、ずんぐりしたヘンな犬だなと思って、自転車のスピードを落しながら振り返った。  「ウン?」  私は目を疑った。それは犬ではなくて、イノシシだった。いや、まちがいない。とがった顔と豚のような鼻!   いつもなら、好奇心旺盛な私としては引返して確認するのだが、あいにくその時は何かの用事のために急いでいた。・・・山へ帰るところなのだろうか? そう思いながら坂道を下って・・・そのうちに忘れてしまったのだった。そのころ私は自治会役員をしていたけれど、イノシシの被害が話題になったことはなかった。  ところがこの遭遇を再び思い出すことになった。イノシシに出会った場所よりもっと下で、石垣に寄り添うように横たわっている動物をみかけた。この時も自転車に乗って急ぎの用足しにでかけたのだった。私は不意にイノシシのことを思い出したので、このたびもスピードをゆるめて横目で見やった。  なんと、それはタヌキだった。しかも死んでいた。  このまま放置してはおけないとは思ったが、あいにく人通りもなく、「帰りに・・・」と考えて通り過ぎた。2時間ばかり後、帰宅途中にふたたびそこへ行った。・・・しかし、タヌキの死骸はなかった。近所の住人が保健所へ連絡したのだろう。まさかあれはタヌキ寝入りだったのではあるまい。私はなんとなく釈然としないで、キツネにつままれたような気持だった。いや、タヌキに化かされたような、というべきか。  山の上に居をかまえるようになったとはいえ、イノシシやタヌキに遭遇したのはこの2度きりだ。しかし古くから住んでいる人の話によると(それは何気なくふと口をついて出たのだが)、「昔はねー、裏山に猿もいた」という。たしかに山に添うようにはしる街道は野猿街道といのだ。また裏山一帯は鳥類保護区や都立公園になっているが、起伏のある公園の窪地には小さな池があり、現在の水量は乏しいが昔は湧水が豊かだったかもしれず猿渡り池という名がついている。  私は年に1,2度、このあたりの山道を散策する。「マムシに注意!」という立札はところどころに立っているが、いまだにマムシにも猿にも遭遇していない。 

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