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2021/07/03
テーマ：創作童話(818)
カテゴリ：カテゴリ未分類
「マザー、あなたの立場は十分に尊重します。私も人類の存亡に係わる重要な
場合は、人類の命を第一優先で考え行動を起こします。こうやっている時間に も洗脳する指令電波は流れ、ボントスのシンパサイザー（共鳴者）の人数は 増えているわけですね。すでに洗脳された者は無理としても、その発信電波を 妨害して遮断するのは可能ですか」 「理屈の上では高層ビルやタワーの屋上から、同じ周波数を常に流し、かくはん すれば人間の脳には届かなくなる。電波を出力、発信させる装置と、それを集約 してビルの上に送信させるプロジェクトを早急に立ち上げられるのか、トマソン」 「既存の電波塔や施設を利用すれば、大幅な時間の節約になります。さっそく チームを作って実行しますよ」 「送信が開始されたら、私が他の塔からチェックして周波数の調整を行って やるよ。そうすれば海底王国から発信された電波は、意味をなさない。 そのプロジェクトが完成するまで、直接耳に取り付けるヘッドホンは禁止 すればいいだろう」 「そうか、耳や脳に悪影響をもたらすとのニュースを大量に流せば、かなりの 人が外すな。マザー、洗脳する指令電波以外にボントスは、次に何をするのか 分かりますか」 「地底人、赤膚族のブッチャーは、人類を支配するとき空気感染する殺人 ウイルスをサンプルとしてホワイトハウスに持ってきた。人間は細菌や ウイルスの感染に敏感だから、核爆弾以上の効果はあった。当然だがボントスも 研究所で開発、製造しているが・・実は、海底人もそういうものに弱いのだ。 地表や地底と違い、海水から守るためにコップを逆さにして上から被せたような ドーム基地内では、外気との接触がないので雑菌に触れる機会もなく、免疫力が 弱い体になっているのだ。ひょっとして人間よりも弱いかもな」 「そんな種族がウイルスの研究をしているなんて、矛盾していませんか」 「細菌もそうだが、自分に弱い部分を防御する研究をしないと、万が一、敵側に そこを突かれると崩壊するからな。海底人がウイルスや細菌の研究を培養、研究 するのは、当然だと思うよ」 「なるほど、確かにそうですね。その点、人類は原子力を開発しても有効利用する だけでなく事故を起こすと、制御が効かなくなるなどマイナス面での研究開発を 怠ったのが大失敗でした。エリーゼさん、マザーとこうやって長時間話すのは 有意義なだけでなく楽しかったです。 そうだ、私だけがペラペラ話す場では なかったのに・・失礼しました。ここでクリサーラをご紹介します。どうぞ お話ください」 長いテーブルの中央付近に座っていたクリサーラが、モニター画面が見づらい のか30㎝ほど宙に浮かび上がりました。 「エリーゼさん、私は地下王国にあるヒスイ宮殿女王のクリサーラです。 あなたが今回私たちの味方になってくれたのは、人間の言葉でいうと、百人力 いや1万力ですので心強く思います」 「白肌族の女王、クリサーラさま、私がカスマヨル公国、皇女エリーゼです。 あなたが地下帝国の暴君、ブッチャ―を倒すために人間と協力して闘ったのは、 知っています。偶然かもしれませんが、海底にあるコルビース王国の国王ボントス が無理難題を人間に突きつけ、それに従わないと人類制圧を企むことは、
ブッチャー同様に地表を手の内に収める第一のステップです。 私もボントスの野望を止めるため、マザーと共に立ち上がりました」 つづく お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
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