障がい児の兄弟に対する嫌がらせについて(4-2)※メーリングリストからのアドバイス
※前回の続きです■返信-2 岩元さん、返事が遅くなりました。 さて、相談内容ですが、私がやったことは相変わらず作文です。 自閉症の翔ちゃんという生徒が障害児学級に入学してからというもの、シンショウという言葉がはやりました。明らかに翔ちゃんに向けられたものでした。ちょうど三年生にお兄さんがいたので、そのことを相談して、お兄ちゃんに「弟」という作文を書いてもらいました。 書かれた作文は弟思いにあふれたもので、私でさえ、読んでいて涙が流れるほどでした。それを全学年といっても三つのクラスですが読み上げました。みんな涙ぐんで聞いてくれ、身体障害者を意味するシンショウという言葉は消えました。そのあと、翔ちゃんのがんばりを称える詩がいくつか生まれ、学校全体がなごんで行きました。 私はちーちゃんの胸の中には様々な思いがあふれていて、家族のために我慢しているものもあるかと思います。そのすべてをありのままにちーちゃんに書いてもらい、それをその学級で読みあげたらどうでしょうか。 書くことはちーちゃん自身を強くし、読み上げることは、学校全体にちーちゃんの思いを伝えることになり、伝えられた思いは学校全体に穏やかなやさしさを生みます。次はたまたま書かれた学生の文章です。要約のみ。○お母さんのことば。= 「あんたたちのクラスは、一番の問題児学級だったのに、高学年になるにつれて一番おとなしい学年になったね」。○荒れた中身。= 「小1では授業中暴れて、イスを投げつける子がいて、担任の先生は保健室に閉じこもった」。「小2では、ハサミを投げつける子もいた」。○そこへダウン症の子が転入。= 「その子が来てから、クラスみんながその子につきっきりとなり、クラスに団結が生まれ、今まで目立っていた問題児も、その子が来て以来目立たなくなってやさしさがひろがった」。障害を持つ子は学校全体にやさしを生みだします。それを育てるのが学校です。教師です。■返信ー3岩元昭雄さん 中学生のちーちゃんと、弟でダウン症のひろ君の、お父様のホームページ記事からの問題提起、どうもありがとうございました。 「しょうがい児のきょうだい」問題と位置づけて、メールのやりとりを一覧にし、私も考えてみました。私自身も亡父の弟に障害があり、幼少時から現在にいたるまで、擬似きょうだい的に悩まされてきた立場です。1)日本でも、「しょうがい児のきょうだい」問題については、すでに当事者および全障研関係者による本も出ています。例えば―・『きょうだいは親にはなれない・・・けれど』 (全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会東京支部編、 ぶどう社)・『おれは世界でニ番目か』 (広川律子編、クリエイツかもがわ)・『障害児のきょうだいたちのホントの気持ち』 (近藤直子編、Hon'sペンギン)2)ちいちゃんに対して、および、ちいちゃんのクラスに対するとりくみとしては、岩元さん、Nさんのご提案は正論かと思います。3)その上で、小学校時代からしつこく意地悪な言葉を投げかけ続ける、しかも音楽の時間にはやらない生徒さんについても、特別なニーズをかかえた子どもではないか? と推測します。 相手の立場に立って考えることが苦手な未熟な子どもではないでしょうか。 クラス全体に向けての正攻法のとりくみと同時に、その子に対しても注意深い指導が求められます。自分が十分に認められていない状況の下で、より「弱者」(と、本人が思っている)ひろ君への中傷、そして心優しく自制的なちいちゃんに対するからかいが続くのではないのでしょうか。 直接お目にかかったことがない方達に、的外れの部分があるかもしれませんが、また確認してみてください。家族間、家庭―学校、保護者間、信頼関係を大切にして率直な話し合いができればいいですね。どの子も育つという見通しを持って。■私の感想など私が感動し、ありがたく思いましたのは、今回のような私的な問題に、貴重な時間を費やして、たくさんの方が取組んで下さったことでした。ご本の紹介(早速『チャーリー・ブラウンなぜなんだい?』を買いました)や作文を書くなどの具体的なアドバイス、また、いじめる側の生徒のことを考えてみることなど、私が知らなかった対応策ばかりでしたので、とても勉強になりました。専門の教育者からのお話は、やはり説得力があり、今後何があっても対策はきっとあるはずだという安心感が一層強くなりました。(今のところまだそう酷くはなっていないのですが)それにしても今回のこの内容、私だけに留めておくのはとてももったいないこと間違いありませんので、この度岩元さんにお願いしまして、こちらに掲載させて頂けることになりました。岩元さん、そしてメーリングリストで貴重なお話を頂きました先生方、本当にありがとうございました。この件をこちらに書いた初日はいつもの2倍以上のアクセス数がありました。今でも同じテーマの日記をUPした時は同じようになっているのですが、恐らくダウン症以外の障がいを持つ子の親の方からのアクセスも多いのではないかと想像しています。今回のアドバイスは障がいを持つ子に関わる全ての方にきっと参考になる内容だと思います。今後ちーちゃんに対してまた問題が起こるようなことがありましたら、今回頂きましたいくつかのアドバイスを実際に試してみようと思います。今できる事を考えてみますと、紹介された本を読んでみることと、出来れば早いうちにちーちゃんに、作文を書かせてみたいなと思います。でも今は土日も部活が入っているので、なかなか書く時間は持てそうにありません^^;最後になりますが、このような貴重なご意見を頂けたこと、本当に想像もしていませんでした。岩元さんのご厚意に、家内共々厚く感謝しています。対応策が思った以上にあることにとても目が開かれる思いが致しました。と共に、私自身もっと勉強が必要だと実感しています。また勉強させて頂きますm(_ _)m◆鹿児島子ども研究センターHP◆今回のテーマの一連の記事はこちらにまとめていますかごしま子ども白書新版追伸今回の事を書いてから同じテーマでメールが私宛に多く届いています。兄弟に関する悩みやまた、それを乗り越えての喜びなど、生きた経験からのお話はとても感銘を受けることが多く、励まされ、私の今後の育児にもきっと糧になっていくだろうと思います。今回の事では書くことで自分が整理出来ることを知りました。メール頂いた方々に大変感謝していますm(_ _)m