ろー・ふぁーむ・かるぴお by pridegreen

このところ，ちょっとばかし精神的に疲れてきたのかもしれない。

自分で言うのもなんだが，病気が出てきた。といってもお医者さんの力を借りるような病気でも投薬が必要な病ではない。もちろん，恋の病でもない。

それは，京都に行きたい病である。今でこそだからすぐに実行ということにはならないが，独身のころは，本当にさしたる目的もないのに京都に出奔していたのである。京都に言って何をするというのではない。敢えて言うなら「イノダコーヒ」でコーヒーを傾けつつぼんやりとした時間を過ごすこと，くらいなのだが，それでいいというのが病膏肓に入っている証拠である。

もっとも，私は別に「イノダコーヒ」一辺倒ではなく，京大の北にある「進々堂」で少しばかりアカデミックな空気に身を浸らせての一杯もいいし，京都のコーヒー店としては後発に属する「からふね屋」もそれなりに捨てがたい魅力がある。惜しむらくは，数年前に今出川の名店で私も贔屓にしていた「ほんやら洞」が焼失してしまったことである。

コーヒーとくると，決してコーヒー原理主義者ではない私は何かつまみたいところであるが，やはり思い出すのは「イノダコーヒ」の名物，皿一杯に広がっている特大シュークリームである。若かりしころは府庁前にあった洋食の名店「グリル・アローン」の特大オムライスを平らげた後に別腹とばかりにそのシュークリームを平らげていたものだが，要するにそのくらい魅力的だったのである。そのほかオーソドックスに行けばやはりパンなのだが，これはやはり「進々堂」がいい。いや，前述の「ほんやら洞」で供されていた「シゲのパン」は本当に秀逸だったのだが，残念ながらもう十数年前に過去帳入りしてしまった。これまた懐かしい味である。

こうやって書いているだけで，本当に京都に行きたくてたまらなくなってしまう。本当に京都の空気に身をさらしたいという理由だけである。それ以上でも以下でもない。

え？カープの日南キャンプ？知らん。

イノダの本店でぼんやり時を過ごしたい。

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