確かに力強くなってきた。
前節は,まあつば九郎さんには失礼だが負けちゃいけないカードだと思っていたし,たとえどんなにいい勝ち方をしても,まあよくがんばりましたというところだった。たとえ3タテしたとしても。しかし,今日の試合をみるに,やっぱり昨年とは,いや「失われた20年」の野球とは,確かに何かが違う。何せジャイアンツ相手に堂々と打ち勝ったのだ。しかも一度序盤で2点勝ち越されながらである。その直後に丸のホームランで追いつくあたり,ジャイアンツに与えたダメージはかなり大きなものだっただろう。その後のジャイアンツの攻撃がランナーは出してもちぐはぐなものに終わったことが何よりの証明だ。もちろん,篠田がよく粘り抜き,逆に杉内の出来があまりにも悪すぎたということがあったにせよ。かつて,カープとジャイアンツが優勝を争うのが当たり前だった時代は,対ジャイアンツ戦というのは必ずこういう野球をやって勝っていたのである。まさに走攻守に渡って力と力の勝負,ジャイアンツがそのどこかしらからでも隙を見せたらそれにつけ込んで一気に寄り切ってしまうというのが(もちろん逆もまた真なり),カープの野球だったのである。それに少しずつ近づきつつあることは,認めなければならないだろう。もちろんまだあと100試合以上残っているのだから,まだ買いかぶることはできない。しかし,あくまで私の皮膚感覚として,それに近づきつつあることが認められるのである。もう一つ挙げておくなら,今日の試合,まさに全員で勝ち取った勝利であるということを指摘しておかねばならないだろう。投げては篠田の粘りのピッチング,中田廉の安定感,一岡は出来が少々悪かったが今日の試合の流れに乗って切り抜け,最後は永川勝浩が3人斬りで締め。攻撃では先制と決勝点を挙げたエルドレッドの勝負強さが光り,それをお膳立てする油断ならないチャンスメイカーとなっている菊池と丸。オープン戦ではこりゃ使い物に並んだろうと高をくくっていたロサリオのヒットにホームラン。そして堂林である。なんかよく分からないがいい一番バッターとしてはまってきた。確かに打率は低い。しかし,必ず得点に絡むところでそのヒットが出る。しかもまず塁に出るということを覚えたのか,四死球をよく取っている。昨年までならバットがくるくる回っていたコースをよく見極められるようになっている。いうまでもなく当たれば右方向にでもスタンドに入れるパワーがあるのだから,案外相手投手にはやっかいなバッターになってきているのかもしれない。問題は打てる日と打てない日の差が激しすぎることだが。はっきり言ってこのオーダーを初めて見たときには現場監督さんが遂に発狂したかと思ったのだが,それすらもいい方向に回っているというのが今のカープの強さの源泉というべきだろう。けだし,選手が目の前の一投一打によく集中している上に,自発的に自分の役割を果たすプレイをしているのである。そのひとつの象徴が,キャッチャーがマウンドに行って野手がピッチャーの下に集まるタイミングが今年は抜群によい。去年までなら,素人から見てもこのタイミングではよ間を取ってやれよ,なにを考えてるんやこのスカタンどもがと思うことが多々あり,それに輪をかけて山内がマウンドに行くタイミングがことごとく妙なものだから,余計にピッチングのバイオリズムが崩れという負のスパイラルに陥っている姿を見せつけられたものである。しかし,今年はそれがない。何か危険を察知したら速やかにキャッチャーがマウンドに行って野手を集めている。これは石原だけでなく白濱もそうであるから,ベンチからの指示があってのものとも言えないわけでもないが,それすら昨年はなかったのだからそれだけでも大きな進歩である。加えていうなら,今年の白濱,決して悪くはない。通年で扇の要を任せるにはまだまだ力不足と思わざるを得ないが,なに,かの達川だって正捕手に手がかかったのが大卒6年目だから,年齢的にはさほどの径庭はないのだ。今からでも遅くない。チームの勢いに乗って攻守に結果を出し続けていれば,何かをつかめるのではないかと私は勝手に思っている。また,本当にチームに勢いがあるときはこういう選手が必ず出てくるものだ。その意味では,今年いきなり頭角を現した,あるいは急に伸びた選手というのが今のカープには多く見受けられる。昨日ホームランを打った田中広輔,今日ホームランを打ってカアイフエの代役とまでは行かずともそこそこ結果を残しているロサリオ。前述の白濱。中東もなくてはならないバイプレイヤーに成長した。投手ではもちろん大瀬良,久里に中田廉,一岡である。ある意味篠田もこの中に入れてもよいかもしれない。こういう選手がたくさん出てくれば出てくるほど,そのチームは強い。かつてのカープの黄金時代。とみに古葉監督の時代はそうだった。さて,これでカープは4連勝。貯金も11に伸ばし,ジャイアンツとの差を3にまで広げた。しかし,これだけで終わってしまったら何の意味もない。最低でも明日明後日を1勝1敗,今の勢いであれば一気にスイープするくらいのものを見せないと,まだまだ本当に強いとは言えないだろう。それを占う明日は,カープは久里亜蓮がジャイアンツと対峙し,逆にカープは遂に大竹寛をホームで迎え撃つのである。当然ジャイアンツはルーキーなにするものぞとばかりに全力で立ち向かってくるだろうし,カープも当然対大竹ということとなると絶対に負けられないという意地があるだろう。この意地と意地とがぶつかり合う好ゲームになることは必至だ。しかし,カープにとってはいい試合をして負けてもなにも得るものはないのである。それならば中身が何にもないけどとりあえず勝ったという方が何倍もいい。とにかく,ここ数年ジャイアンツには飽きるほど負けているのであるから,今年こそそれを何十倍返しにもしなければならないはずだ。とにかく,勝つしかない。もちろん,大竹をKOして勝てばなおよい。もっともっと頑張れ。まだまだやれるぞ。BlogPeopleSIGMA People