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November 12, 2008
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テーマ:本日の1冊(3696)
カテゴリ:本・映画
 




読書メモ
()内は、私のコメント。
他は全て著者の文章引用。



かつて、日本企業の人材採用に関する考え方は、「新卒・一括・ところてん」の三語で表現する事ができた。

サラリーマンとビジネスマンの違い
30代で年棒3000万を稼ぎ出す人の話。
「日本企業でのキャリアなんて我々は全く評価しない。あれは本質的にはマックのバイトと同じだから。そういう仕事を自分の意思で何十年も続けてきた人間は、同情はしても評価は出来ない」

3年で辞める若者に対し「それでも今の若者は忍耐力が足りない」と言う人間は、こう考えてみるといい。
自身がせっかくいい大学を出て、有名企業に正社員として入社して、いざ配属先が「マックの店内でポテトを揚げる仕事を向こう30年間」だとしたら、どういう気持ちになるか。

技術者達は何故裁判を起こすのか
生え抜き技術者による会社相手の訴訟が相次いでいる。半導体からテレビのブラウン管までジャンルは幅広いものがあるが、彼らの主張を要約すれば以下の一文になる。「過去の貢献に相応しい報酬を支払え」要するに彼ららは皆、空手形を掴まされた被害者なのだ。

30代が壊れていく
企業の中でも社会全体でも、30代に最も鬱が多い件について。
何故彼らは壊れてしまうのか。よく言われる理由に、成果主義の普及がある。厳しく成果を問われるプレッシャーで、心のバランスを崩してしまうというものだ。(中略:しかしこれは違うと続く)(理由は)一言で言えばモチベーションの消失だ。・・・中略・・・いわば、列車からレールの上に放り捨てられてしまうようなものだ。
何れにせよ、現在の年功序列キャリアパスの維持が既に限界に達しているのは間違いない。増加するメンタルトラブルは、一つの警鐘といえるだろう。

若者にツケを回す国
未来をリストラした企業
「労働組合が強い国は若者が失業する」
(労働組合こそ、年功序列だって事)

派遣について
企業にとって彼らは実に便利な存在だ。彼ら日正規労働者には、賞与も社会保険の企業負担分も、退職金の積み立ても必要ない。(中略)だが、何と言っても経営者を魅力してやまないメリットは、その多くが組合すら加入していない彼ら日正規労働者は、不要になったらいつでも切れるという点にある。バブルの宴とその後の悪酔いを嫌と言う程味わってきた経営者達は、投資も採用も腹八分という考えだ。

彼らを安月給でこき使うことで浮いた分は、企業の利益となり、最終的には上の世代に彼らのレールを進ませる燃料となる。

民間記号が人件費に回せる原資は有限であり、そういう意味では、最後は結局パイの奪い合いとなるのはしょうがない面もある。

(政治家も!「公務員改革」において)
公務員も2006年の時点で今後四年間で人数5%削減、
「今後4年間、新卒採用を二割以上減らし、自然減で対応する」
公務員こそ完全な年功序列、つまり一番給与の安い下っ端を減らしたからといって、浮いた人件費などたかが知れている。
(与党はこう。では野党は?)
「新規採用を三分の一に抑制し、給与、諸手当の見直しを行う事で、三年間で約一兆円削減」なんと民主も全く同じ。しかも採用抑制の幅は自民よりも大きい。どうやら彼らは若者を切り捨てる事で一兆円の帳尻をあわせるつもりらしい。
(新規採用をやめることだけで一兆円減らすとは書いてないがw)

(でも新卒、若者を採用しないとどうなるか。結局企業が痛手を負う。以下は若者を採用せず中国で安い人件費を使い帳尻を合わせてきたある技術系企業の話)
「でも非正規の労働者は平均すれば二年にも満たない勤続年数しかない。だから決して技術の継承は出来ないし、彼ら自身にもその気はない。いつの間にか、企業としての技術蓄積が完全にストップしていたわけです。」

一本のキャリアパスを維持するためには、組織が拡大するしかない。それが無理な場合、往々にして組織内に無駄なポストが増える。そしてそれは、人件費を圧迫し、現場力の低下となって若手の負担を増やしてしまう。

誰かのために労働基準法無視の激務に耐える姿は、さながら蟹工船のようでもある。

「わが社では賃下げやリストラは一切していません。従業員は家族ですから」だが蓋を開けてみれば「ここ三年間正社員採用ゼロ」というようなケースは珍しくもない。それでいて、現場に言ってみれば疲れきった顔の派遣社員がこき使われていたりする。勿論皆20代。少なくとも、年長者から見れば、彼ら派遣社員は家族とするには値しない生き物らしい。

(少子化について。この本では現在問題視されている少子化も、年功序列が生んだとしている)
確かに賃下げやリストラをすれば非難轟々なのは間違いない。された本人は路頭に迷うかもしれないし、破産して首をつる人間も出てくるかも知れない。だが、将来生まれるべきであった命もまた、同等の価値を持っていたのは間違いない。彼らは決して非難もしないし、化けて出る事もない。ただただ、存在の可能性を失っただけなのだ。

老人と共に沈む国、ニッポン
なぜ誰もそれをしなかったのだろう。完了は勿論、政治かも学者も、そしてメディアさえも、この問題を真剣に取り上げる事はしなかった。それは彼らが年功序列のレールの上で生きてきたからだ。自分達が血を流すより、将来の世代に問題を先送りする事で、既得権を守る事が出来る。にっちもさっちもいかなくなったら、そこで手を打てばよい。そしてそれは数十年先の話だ。「大丈夫!何も心配する事などないから、安心して保険料を納めてくれ」と若者にいいつつ、請求書の宛名は若者に書き換えられているわけだ。社会は雇用だけでなく、年金においても若者を踏み台にしたのだ。どうやら彼らは、若者が心底にくくてたまらないらしい。この考えは国政全般に見て取れる。

「高齢者が生きていけない」という主張には何の根拠もない。60代平均貯蓄残高は30代の3.5倍ほどあり、譜代残高は4分の1未満だ。

かつての若者達は昔を懐かしむ。「年功序列の頃は、皆幸せだった」だがちょっと待って欲しい。本当にそうだろうか。

(東大法学部卒でも既卒だと50社に送っても不採用。既卒というだけで就職できない話)
年功序列制度においては、人の価値は年齢で決まる。つまり、費用対効果を考え、償却すべき年齢があるという事だ。

(お肌だけじゃなく仕事にも「曲がり角」があるのか!)

年功序列はねずみ講

「若いうちは我慢して働け」という上司は、いわば若者をそそのかして人生を出資させているようなものだ。だが、若者の貢献の多くは、年金同様、自分達の将来受け取る待遇のために積み立てられるのではなく、先輩方を養うために使われるのだ。

「大丈夫、今はきついけど、将来は楽になるから」と騙してこき使い、人生の折り返し地点を過ぎたあたりで「ああ、自分は騙されたのか」と思い知らせるようなシステムは、一度ぶち壊したほうがマシだろう。

年功序列こそが格差を生み出している!
格差を認めない人々にとって、自体は必ずしもそうは移らないらしい。彼らはあくまで、「同じ年齢間で格差の少ない年功序列制度こそ、公平な制度である」と考える。(中略)若者にとっては、それは全く持って希望の持ちようのない世界だ。

昭和的価値観
(著者は年功時列をはじめ、いい大学を出、いい企業に就職して、勤勉に務めれば将来安泰、というような思考を、昭和的価値観と言う)

こう考えると日本型教育システムというものは、年功序列的考えと非常に相性が良いことに気付く。小学校入学から高校大学までの間に、正答ひとつの課題を与え続け、疑問を抱かずに効率よくこなせる人間だけ上に引き上げる。そして社会に出る頃には「与えられるものは何でもやれるが、特にやりたいことのない空っぽの人間」を量産できるシステムだ。

奉公構いと終身雇用
(秀吉が作った奉公構い。つまり家臣を囲い込むシステム。これはつい最近までの日本と同じだと著者は言う)

体育会系が好まれる理由
(びっくり!部活動は学歴や専攻以上に重要視される。体育会系であれば、偏差値10プラス!?ほんと~?!)
勿論体力があるから、などという単純な理由ではない。彼らの(企業から見た)最大のセールスポイントは、一言で言えば「主体性のなさ」だ。


年功序列的価値観の中で生きる日本人にとって、仕事とは何だろう。おsもそも、人間は何のために働くのだろう。普通は働く事自体に意味はない。その人にとって特別な意味を持つ仕事もなくはないが、そんな人は一部の芸術家や宗教家、革命家くらいで、現実問題、普通に暮らしていれば、まずお目にかかることはない。それでも「労働には意味がある」という考えは、何らかの必要性から作られたモラルでしかないだろう。つまり人が働くのは別の明確な動機があるのだ。最も切実勝つ共通な動機はお金だろう。食事をし、家賃を払い、そして家族を養うには誰しもお金が必要だ。勿論その強弱はある。普通の暮らしが出来れば良い意と言う人もいれば、六本木ヒルズにすまないと気が済まないという人もいる。他にも動機は色々ある。実現すべき理想がある人、自己の内部に表現したい何かを抱え込んだ人。中には社会貢献という人もいるはずだ。要するに本来はそういった諸々の動機があるためにやむを得ず、我々は満員電車でもみくちゃにされながら通勤し、有給休暇を塩漬けにしつつ、殺風景なオフィスで夜遅くまで働くわけだ。
仕事自体が楽しくてしょうがないという幸運な人は滅多にいないだろう。
(いる。ここにいるし!)

リヴァイアサン
(ホッブズが書いた古代の怪物。もともと旧約聖書に登場する。
ホッブズは王権の正当化のためにこれを書いたため、怪物が自らのエゴのために暴走したらどうなるかについては触れていないが、著者曰く、年功序列制度(と国)こそが、現代のリヴァイアサンだという)

「日本も移民を大量に受け入れるべき」との発言について
なるほど、実に分かりやすい。国産の若い羊はどうやら最近元気がなく、年功序列のレールからすぐに逃げ出す。おまけに繁殖力も弱いときている。外国産の元気な羊を入れたほうが効率的には違いない。

(ひえ~言い過ぎ?)

(対極にある二つの企業の言葉)
(日本企業)「自分の職場を見ると今後の自分の人生がよくわかる。ああ、10年後には主任になってあそこの席で、15年後は課長で、という具合に。大体の年収までわかるんですよ。」
↑↓
(外資系)「この会社が必要とするのは、会社を利用して自分の価値を高められる人間。だからどんどん会社を利用しろ」


だが少なくとも、それだけで一定の物質暦、精神的充足が得られた時代は、15年以上昔に終わったのだ。その証拠に、満員電車に乗る人達の顔を見るといい。そこにいくばくかの充足感や生の喜びが見えるだろうか?そこにあるのは、それが幸福だと無邪気に信じ込んでいる哀れな羊か、途中で気付いたにしてももう後戻りできないまま、与えられる草を食む事に決めた老いた羊達の姿だ。


念のために言っておくが、本書は全ての若者に「年功序列への反乱」を促すものではない。




bana



 
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Last updated  November 15, 2008 11:44:13 PM
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