3.3.4 油燃焼とその装置
3.3.4 油燃焼とその装置<油圧式バーナー>燃料油自体を加熱して細孔から噴出させて霧化する。普通、噴出前に渦巻室内で油に旋回を与えてから霧化する。火炎の形状は、広角で長さは空気の供給によって変化するが、比較的短い。*非戻り油形大型ボイラーやセメントキルン用バーナーとして用いられる。油量の調節比は1:1.5程度である。* 戻り油形供給圧力はほぼ一定にしておき、戻り油の圧力を変化させて噴射油量を変化させることが出来る。最近はパッケージボイラーに多く用いられる。油量の調節比は1:3程度である。<回転式(ロータリー)バーナー>回転する霧化筒の端を遠心力で飛散させ、さらに高速の空気流によって微粒化する。比較的小型のボイラー用バーナーとして多く用いられる。油量の調節比は1:5程度である。火炎の形状は、比較的広角になり、長さは空気の供給によって変化できる。<高速気流式バーナー>内部混合形と外部混合形があり、いずれも、高圧かつ少量の噴霧媒体で十分な噴霧が出来る。噴霧角度は20~30°程度の狭角で炎は長炎である。内部混合形の方がやわらかい炎となる。油量の調節比は1:10程度で、広範囲の調節が出来る。燃焼時に騒音を発生する欠点がある。<低圧空気式バーナー>噴霧媒体には空気を用い、バーナー入口空気圧力は普通数kPaである。非連動形は、霧化用空気は理論空気量の30~40%程度が適当で、あまり多過ぎるのは燃焼上好ましくない。連動形は、普通、比例調節式バーナーといい、自動燃焼制御が容易で、油量の微量調節が出来る。油量の調節比は1:8程度である。火炎の形状は、比較的狭角で短炎。一次・二次空気で変化できる。油燃焼の管理(ア) 霧化状態を良好にすること。(イ) 燃焼用空気は普通、バーナー周囲から供給するが、適切でないと着火が悪く、火炎が不安定になる原因となる。(ウ) 燃焼用空気の供給方法と量の変化のより火炎の状態はかなり変化し、少な過ぎると火炎が伸びる。一般に空気過剰量は10~20%程度が適当である。(エ) 火炎の不安定が、燃料中のスラッジ、水、その他の浹雑物による噴霧の継続、油圧の変動、霧化用空気又は蒸気の不適正、燃焼用空気の過多による炉内温度の低下などの原因となることがある。(オ) バーナーチップへの炭化物その他の異物の不着は、不完全燃焼、チップ閉塞の原因になることがある。特に油圧式バーナーに起りやすい。(カ) 燃焼室側壁への炭化物の不着は、バーナーの霧化不良が原因であることが多い。