依田健吾のセックス、いいちこ、ロックンロール

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  妖怪ウォッチ

  定時でサッと帰るので、「妖怪ウォッチ」を初めて（少しだけ）見たのだが正直なところ何が面白いのか大人には分かりかねる内容だった。一ついえるのは、「ポケモン」でいうところの「ピカチュウ」にあたる主役級の妖怪「ジバニャン」が「地縛霊」なのにあちこち移動できるのはおかしい、ということだった。「地縛霊」はご存知のように「その土地に縛られた霊」であるが、たいていの霊は一定の場所で出現するような気がするのだがどうか。「車を追いかけてくる幽霊」というのもいるにはいるが、原則的に出現する場所は決まっている。ということは、「地縛霊」は幽霊のスタンダードなのではないだろうか。これを野球とか車に例えたら立派なOYAJIなのだが、残念ながらどちらにも詳しくないので割愛する。あまり霊の話をると寄って来る、というので、今日はこの辺で。とりつかれたい★送料無料★　妖怪ウォッチ とりつきカードバトル モテマクール】 第一弾 【BOX 開封未使用品】【シングルカード】【デッキパーツ】★送料無料★ モテマクール レア 妖怪ウォッチ とりつきカードバトル 【第一弾】yw01-008 【妖怪ウォッチ とりつきカードバトル】【メダル・カードゲーム・グッズ】【BOX 開封未使用品】【シングルカード】【デッキパーツ】

  2014.07.25

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  居酒屋

  肝臓の数値がまともに戻ってきたので、最近は酒を解禁している。 久しぶりに居酒屋に行って驚いたのが、生肉にまた規制がかかったのか、軒並みメニューから消えていること。近所の居酒屋から、とりわさがなくなっていた。 聞くと、かつての職場近くの居酒屋からもコブクロ刺が消えたとか。最早我々は、馬刺しか食べられないのだろうか。そんな世界は嫌だ。寿命が縮んでも構わないから、俺に生肉を食べさせてくれ！ と、今日は携帯からのエントリーなので短めに。食肉文化について調べたら、きっと面白いんだろうな。誰か詳しく書いてある本を知っていたら教えて下さい。

  2014.07.10

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  オカルト現象

  いつものようにネットをやっていたら、突然部屋の中にお線香のような、加齢臭のようなにおいが充満しました。一分ほどで消えたのですが、あれは一体何だったのでしょうか。我が家には仏壇などないので、当然お線香などありませんし、私自身加齢臭を発しているとも思えないので（まぁ自分では気付かないものですが）、大変不思議です。故郷の祖父でも亡くなったのでしょうか。是まさにオカルト。霊感など全くない私ですが、過去に二度ほどこの世のものではない方からアピールされたことがあります。最初の体験は小学校六年の時。友人たちとのお泊り会で、怖い話を披露しまくっていたときに突然とまらなくなった震え。霊の話をしていると霊が寄って来る、と言いますが、あの時は確実に私のところに霊があつまっていました。二回目の体験は六年ほど前。前に住んでいたマンションで深夜に一人、あるオカルトサイトを見続けていた時にやって来ました。ベランダの柵（金属製）が鳴り出したのです。ちょうど、小学生がかさで柵をカンカン鳴らしながら歩くのと同じような感じでした。それがもっとゆっくりになったと思って下さい。当時住んでいた部屋は三階なので、外部の人間によるいたずらというのはありえないのです。私が窓を開けると音は一旦止むのですが、窓を閉めるとまたしばらくして鳴り出す、という感じでした。怖かったのでその日は電気をつけて寝ました。それ以来、オカルトサイトを見るときは深夜を避けるようにしています。今回の出来事が何だったのか、後日報告出来ればと思うのですが、「何でもなかった」というのが実は一番怖いのではないでしょうか。ゾンビ & アンデッドモンスターFILE / オカルト雑学研究倶楽部 【単行本】

  2014.07.05

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  Cigarette in your bed

  雨のせいか分からないが、書きかけのブログが二度も消えてしまった。なのでもうやる気がない。いつもないけど。「雨」といえば森高千里な世代ぎりぎりなのだが、あまり彼女の歌を知らない。でも中学生の時は彼女にドキドキしたものである。さて、私は現代社会において忌み嫌われる「喫煙者」だ。マナーを守っているつもりではあるが、どうしても煙とにおいは出てしまいますごめんなさい。大量に納めている税金の使い道を公開してくれれば少しは報われるのに、といつも思う。タバコといえばライターである。私が吸っている銘柄は「Peace」だが、今回はそのノベルティのコレクションをご紹介。どれも懸賞で当てたのではなく、ネットオークションで安価に購入。まずは右のZippo。1999年10月製。真ん中はオイルマッチ。「AQマッチ」という名前で一般にも販売されている。左のオイルライター。「SAROME」製だったような気もするが不明。ただのオイルライターかもしれない。今回確認のためにネットオークションで検索してみたのだが、Zippoは比較的入手がしやすいようだ。ただ、私が手に入れたときよりだいぶ相場が上がっている印象。オイルマッチは一個もヒットしなかった。レアなのだろうか。何気に機密性が高く、オイル切れしにくいオイルマッチは便利。角が立っているデザインが少々ポケットの収まりが悪いのだが、けっこう優秀である。二度も書きかけの記事が消えたため、もうやる気が起こらないのでこのへんで。次はタバコを入れているケースをご紹介したいと思っている。ではまたぐら。タイトルの曲はこれで聴けます。　【中古】輸入洋楽CD my bloody valentine / ep’s 1988-1991［輸入盤］【10P13Jun14】【画】

  2014.06.25

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• さようなら、ブルー・マンデー

  こんばんは、生まれてこのかた「努力」というものをしてこなかった男、依田です。月曜日であるからして、いつもに増してやる気がありません。努力しない人間の「やる気がない」という状態がどれほどのものかと言うと、座ってパソコンに向かうことすら面倒です。なので今、私は床に寝そべって左手人差し指のみでキーを打っております。タイの寺院によく寝ている仏様がいますが、あれと同じ姿勢です。なもので、キーのスピードは当然遅く、また打ち間違いも多い状況です。多分私は５分あれば書ける内容の文章を３０分もかけて書くことでしょう。これというのも、月曜日から金曜日まで働いて残りの二日が休み、という生活サイクルがよろしくないのです。私は今年転職をして、長年いた小売の世界から一転、土日祝日休みとなったわけですが（配属先によってはこの限りではありませんが）、これがどうにも馴染めないのです。五日間も連続で労働するというこの過酷さ、小売とは別の苦しみです。水曜日あたりに一日休みを入れてもらわないとやっておれません。なぜ、政府は「ハッピーマンデー」などという制度を設けたのでしょうか。週の真ん中にポコッと中休みがあるほうが楽なのに……。なるほど、まとめて休みをとった方が、遠出をしたり趣味に打ちこんだりするにはいいかもしれません。また、週末にみんなが休みだとスケジュールを合わせやすい面もあります。それはもっともな話なのですが、私には向いていないようです。なので、同じ年間休日数で、休日の取り方を選べるようにしてはどうかと思うのです。一般には、年間の休日数は１２０～１２５日が多いかと思います。つまり、一年のうち３分の１が休みなわけです。つまり、「二日働いたら一日休み」というサイクルを延々と続ければ、連続勤務の苦しみもなく、また土日にショピングモールに人が殺到して大変、ということも減ると思うのです。また、こうすることで土日も役所や銀行が営業を行うことが出来て、普段なかなか出来なかった手続きが出来ると思うのですがどうでしょう。どうしても連休がほしい時に有給を使う。土日に休みたい人は休む。これで上手く事が進むと思うのですが、これをごらんの皆様はいかがでしょうか。寝た姿勢でキーを打つのも疲れたので、後半は座って両方の手でキーを打ちました。なんだかんだで、指一本と十本の間には大きな開きがあります。私にとっては、「土日休み」と「シフト制」の間にも大きな開きがある気がしてならないのです。平日休みの開放感を知る小売・飲食業界の方にはこのアイデア、分かって頂けると思うのですがどうでしょうか。

  2014.06.23

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  キモノ・マイ・ハウス

  「○○してもらってもいい（ですか）？」という言い回しにはもはや慣れてしまったが、代わりに「○○的な」という言い回しに殺意を覚える私だ。言葉は世の中の状況によって変わっていく。いまや「すごい」の後に形容詞が付くことはごく当たり前だし、「ほっこり」のように語感だけで意味合いを全く変えられてしまった言葉も存在する。「全然○○ない」という言い方もかつては誤用だったというし、自分の方に意識の変化を求められているのかもしれない。ただ、マスコミや編集者といった「送り手」は、常に「正しい使い方」に意識を持っていてほしいなとは思う。例えば、会いたくて会いたくて震える西野カナの詩について詳しくはないので私は何も言えないのだが、おそらく「今」の言葉を敏感に察知して表現しているのだろう。「LINEが『既読』なのに返事をくれない」みたいな歌詞も既に存在しているかもしれない。歌は時代を表すものなので全く問題ないのだが、今から17年前、1997年に発表された吉川ひなのの「ハート型の涙」にある「ベルが入るたびときめいて/期待するたびに外しちゃう」という歌詞は当時でも微妙に遅かったし、今となってはいったい何のことやら、と振り返りもされないだろう。「今」を捉えるということは、それだけ大きな賭けに出る行為だ。考えてみればファッションもこれと全く同様で、カジュアルウエアのほぼ全てのアイテムが「本来の用途」から離れたところで用いられている。それを誰も咎めはしないし、仮に問題視するのであればジーンズは穿けないB.D.シャツは着られない、で大変なことになってしまいそうだ。「正しい着こなし」とは一体何だろうか。考えさせられる事実である。「歌は世につれ、世は歌につれ」という言葉があるが、もはや成熟しきってしまった社会においては、ポストモダン的にごった煮にした文化しか提示出来はしない。私たちはせめてそれを肯定的に受け止め、微妙な「差異化」を繰り返していくしかないのだろうか。それでも、私は「○○的な」という言い回しは嫌いだが。【中古】 問題な日本語 どこがおかしい？何がおかしい？ ／北原保雄(編者) 【中古】afb安い

  2014.05.21

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  「ゼロ年代」とは何だったのか

  2010年代も半ばにさしかかり、市場では80年代ブームから90年代へとリバイバルのトレンドが移行しつつある。少し気が早いようにも思えるが、もはやほとんどの大学生が90年代生まれなのだ。当時の文化を新鮮に感じるのも当然である（同時に、90年代に青春を送った世代が流行を作り出す側に立ち始めた、というのもあるだろう）。さて、今回のテーマは「ゼロ年代」である。ファッションで言えば、エディ・スリマンのショートJK×スキニーパンツに度肝を抜かれ、「トゥルー・レリジョン」をはじめとするセレブデニム、それに伴って「リアル・クローズ」などという言葉も生まれた時代だった。トレンド全体が何となく「日常的」だった印象が強い。なぜ、「ゼロ年代」は「日常」がテーマだったのか。それはコミュニケーションツールのあり方がリアルでより小規模だったからではないだろうか。私は「日本における『ゼロ年代』の始まり」を「mixi以前/以降」で考えたいと思っている。2004年あたりから急速な勢いで普及した「SNS」は、自分の半径数メートルの友人のコミュニティをバーチャル化し、同時に芸能人やミュージシャンといった層の人をより日常化した。ネットにあまり詳しくないのだが、メールのやりとりにみられる単一的な相互行為（コミュニケーション）から、集団によって運営される相互行為への変化が、90年代とゼロ年代を大きく隔てているように思う。このあたりはファッションや音楽も踏まえ、より考察を深めていきたいところである。なお、10年代（「スタジオヴォイス」が「テン年代」と呼んでいたが定着していない気がする）は「LINE」の「既読機能」によってこの相互行為がよりややこしいものになってしまっている。ここから出発するコミュニケーションがどういう風に進んでいくのか、がこれからの10年を決定付ける、と考えて間違いないだろうな、と思う。※90年代の若者の青春を綴った「もっともケータイ小説らしくないケータイ小説（自称）」「ソニック・ユースケ」、「ベルベット・オーバーグラウンド」公開中です。よろしくお願いします。500円でわかるフェイスブック 安心して交流できる・ていねいな解説

  2014.05.05

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  たまたま見た「Mステ」のAKB48はさんざん引っ張ったあげく「メドレー」なのに2曲しか歌わなかったのはさすがの秋元商法でありました

  インテリアが自分の中でまた面白くなってきている。直接の理由は最近引越しをしたことなのだが、同時に長年使ってきたインテリアがOver30には安っぽく見えてきたのだ。断捨離ブームでモノも少なくなり、またいい加減服や本やレコードばかり買うライフスタイルでもなくなってきたので（専ら図書館で借りている）サイクル的にちょうどいい頃合なのだと思う。最近購入したのはこの二つ。【送料無料】ボールクロック ジョージネルソン ウォールクロック デザイナーズクロック 掛け時計ボールクロック ジョージネルソン George Nelson ウォールクロック デザイナーズクロック ミッドセンチュリー 掛け時計【送料無料】【smtb-F】【ポイント倍】【マラソン1106P02】2011年新作☆羽根径30cm、5枚羽根のリモコン付きデスクファンプラスマイナスゼロ ±0 扇風機　テーブルファン ベージュ　/XQS-V020(C) 【あす楽対応】送料無料【smtb-TK】【10P13Jun11】【20110519_pmax4_02】【ポイント10倍セール】詳しくはレビューを書いたので「shopping list」を見ていただければと思う（実は先ほど書いたばかりなのだが、それで疲れ果ててしまったのだ。要するに手抜き）。本と洋服を置いている狭い部屋（日当たりが悪く風通しがいい＝日焼けしにくい）はエレクターを駆使した「90年代の古着屋」みたいだが、リビングはとりあえず全体的に白っぽい感じで統一した特徴のない部屋。今のところミッドセンチュリーにも北欧にも転べそうだが、まぁあまりコスプレ的にスタイリングしても窮屈だし、テレビなどどうにもならないものもあるので「あくまでセンスよく」ぐらいにとどめる方向に行くと思う。そう言いつつも、ジョージ・ネルソンのボールクロックを購入した私は「あの頃」（ミッドセンチュリーが盛り上がり始めた裏原初期の時代）を思い出し、「ジラルドのカーテンが欲しい！」と猛烈に思っているのだが、まだ新しいカーテン（北欧風といえば北欧風、50～60年代風といえば50～60年代風）を捨てるわけにもいかないので当分先になるであろう。それよりも学生の頃から使っているソファ（安い合皮）が経年劣化でヒビ割れてきたので、次はソファだろうか。前に住んでいた部屋は70年代初頭（正確な築年数は不明）、その前は1967年築の公団（分譲賃貸）だった。それはそれでアジがあったのだが、いかんせん機能的ではないし、「昭和」の風合いが現代の家電とケンカしてしまっていた。新しい住居に移ってみて分かったことだが、全てを調和させるには最新の建築が最も優れている。まぁ「昭和っぽさ」も大好きなんだけど。もう一度団地に住んでもいいかなぁ。ほぼ例外なく駅から遠いんだけど。ところで今日の「Mステ」に出ていたAKBの誰よりも、テレ朝のアナウンサーの方がかわいいと思ったのは私だけだろうか

  2011.06.10

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  ○ックス、浦霞、ロックンロール

  最近の迷惑メールは凝っていて、怪しい内容だと気付かれにくいような演出がなされている。特に目に付くのが企業の採用担当者を装ったもので、就職、あるいは転職活動を行っている人は思わずクリックしてしまいそうな感じだ。今日もそうした企業の採用担当者を装った迷惑メールが私のノキアに送られてきたのだが、まあなんというかどうしようもないものだった。「震災の影響で欠員が出たためご連絡いたしました」・・・どうなのだろうか。「不謹慎、不謹慎」と口にすることはやめよう、と思っている私でさえ思わず「不謹慎！」と叫びたくなる内容である。これがまた、同棲中の彼女の故郷である被災地に行き、お土産にくれた地酒を飲もう、と思っていた時に送られてきたものだから余計にたちが悪いのである。昼の暑い中、「炎天下でビールを飲みたい！」という衝動を抑え（日本酒を飲むときははじめから日本酒、が一番おいしいと思う）、刺身を購入して望んだ今日の日本酒開封日。震災ネタのスパムを送り続けてくる輩を気にしている場合ではない。友人が買って来てくれた地酒は、宮城の有名銘柄「浦霞」。720ミリリットルで2000円以上するという高級品。東京の居酒屋では例外なく高いので飲むのはこれが初めて。日本酒に明るくない私だが、味わいは米特有の甘みがありつつもスッキリとしていて非常に飲みやすい。ついついたくさん飲んでしまいそうである。刺身を食べ終えて、明日が日曜日なのをいいことににんにくをホイルで包み、オーブンで焼けるのを待ちながらこの文章を書いているのだが、フルーティなのでチーズをつまみに食べるのもいいかもしれない。ブログのタイトルがアレなのでついでに「ロックでも聴こう」と思ったのだが、ガチャガチャうるさい音楽よりはしっとりした音楽のほうが一人飲む酒には似合うように思う。といいつつRIDEの曲を聴いている。だが今夜ならドナルド・フェイゲンの「ナイトフライ」のよさを理解できるかもしれない。あとで挑戦してみよう。そういえば、一時期迷惑メールが問題となっていた時期に、タイトルに「広告」と入れなくてはならない、というルールが出来たのは一体どうなったのだろう。「パケットし放題」みたいな料金プランが出来てうやむやになったのだろうか。【宮尾酒造】〆張鶴　純　純米吟醸　1800ml 10P24nov10一番好きな日本酒はこれ

  2011.05.21

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  マッド・シティ

  ゴールデンウイークに消化出来なかった休日を平日に連続で取得した。人の少ない繁華街とはなんて素晴らしいんだろう。心置きなくニンニクを口に出来るということもあって、私は松戸のラーメン二郎に行ってみたのだった。常磐線で金町を過ぎ、江戸川を渡った瞬間に田園風景が広がる。ものすごく分かりやすく「千葉」だ。この落差は何なのか。学生時代に一度だけ乗り換えで立ち寄った松戸だが、相変わらず何もない。歩き回れば何かあるかと思ったのだが、薄暗い街の雰囲気がいかがわしくて歩き回る気になれない私であった。わき目も降らずに店を目指し、オープンより少し前に二郎に到着。二回目のロットで出された初の松戸二郎は個人的に大満足。行列の流れを崩さぬよう気を使ったおかげで買えなかった「黒烏龍」を求めてすぐそばの「ダイエー」に向かい、目の前の公園で一気に飲む。公園内に親子連れの姿はなく、なぜか果物やバッグを売る露天が軒を連ねるフリーマーケット状態。恐らくイリーガルなビジネスを行っていると思われる（いくらなんでも祭りでもないのに公園に店を出すことを許可する自治体があってたまるものか）。昼間からアルコール漬けの老人と休憩するサラリーマン、そのほとんどが灰皿がそこにないことなどお構いなしに煙を吐き出しているフリースタイルの街、松戸。松戸市民の方に言い訳させていただくと、このサイトのイメージが先にあるのです。きっといいところだと思うのです。ダイエーの5階に古着屋がある、という情報を事前に得ていたので期待せずに行ってみた。「ツーハンズ」という名古屋発祥の店で、値段が安いのが売りのようだ。9割がレディス、あるいはキッズで、メンズを含めノーブランドがほとんどだがごくまれに混じっているブランド物も安い。例えば、ラングラーのレギュラーデニムやステューシーのTシャツが500円、ティンバーランドのチノが700円など。「NO CONCEPT BUT GOOD SENSE」なんていう懐かしいものも混じっていた。そんな中で私が購入したのが、「Pearl Diver」のB.D.シャツ。あまり置いているところのないブランドだが、日本製でしっかりした作りなのに安くてなかなかいいブランドである。デザインがあまりにベーシックなのと、レプリカほどにはこだわっていないのが不人気の要因だろうか。とにかくこちらのシャツを500円で購入。ここのシャツはフリーサイズのものしか見たことがないのだが、いちいちサイズが小さく作られているのである。このシャツも同様で、メンズでいうと明らかにSサイズ。袖なんかはかなり細身で、古着のラルフのボーイズXL（表記18とか20とか）を思わせる。というか剣ボロの処理とかエリ、裾のラインを見る限り、ラルフからパターンを起こしたとしか思えない雰囲気あ漂っています。もう一軒、ラーメン二郎のそばに古着屋さんがあったのだが、不定休で営業時間が14時～という。駅前の「ブックオフ」で間違えてシングルとして売られているインディギターバンドのアルバムを105円で救出するなどして頑張って時間をつぶしたのだが、結局二時まで持たず松戸をあとにしてしまった私である。残念。ラーメンもおいしかったので、また足を運ぼうと思う。その後ニュースで児玉清の死を知ったのだが、「アタック25」に関しては彼の司会よりもシャバダバ全開のオープニングテーマの方が思い入れがあるので正直どうでもいい、というのが私の感想だ。もっと言うと、学校に通っていた時期を通してまったく優等生ではなく、どちらかというとだめな存在として認識されていた私には、彼が「お堅い教授（もしくは教頭先生）」にしか見えずどうにも苦手なのだ。もちろん彼の人となりは知らない。が、その風貌からどうしても「権威」のにおいを感じ取らずにいられないのである。彼がいなくなったことで、私は初めて「児玉清を好きになれない理由」に気付いたのだった。アタック25《その東リ？！》の銘ぜりふを残して頂きました！切り絵の趣味が、高じて製作されたマットです。【児玉　清　デザイン★代引き決済可】東リ★ラグマット　洗える　最終　最新作品

  2011.05.19

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  3年B組金八先生

  遅ればせながら、録画していた「3年B組金八先生」のファイナルを見た。教員ものという性格上、定年退職という形で終わりがくるのは当然なのだが、きちんとそうした形で終わらせる必要性がある作品、というのはつくづくすごいと思う。4時間という長丁場ではあるが、その中で過去を振り返りつつ生徒の問題を解決して卒業式にこぎつける、という流れは正直なところ多少の強引さはあったが、ファンを楽しませつつ物語を成立させたスタッフの方々は本当に頑張ったと思う。私が「金八」と出会ったのは中学2年の頃、「第1シリーズ」と「第2シリーズ」を夕方立て続けに再放送していた時期（私の住んでいた地域で）にまとめて見たのが最初だ。初めて見た回がかの有名な「14歳の母」の最初の回で、母親と見始めたとたんに浅井雪乃（杉田かおる）が倒れ込むという気まずい出会いだったが、それでも見続けたというのはやはりドラマとして魅力的だったのだろう。学生運動など全く知らない当時の私も第2シリーズのクライマックスは大きなインパクトを与えた。ドラマの内容については控えるが、この「3年B組金八先生」、第1シリーズで世田谷の中学校から転勤してくるところから話が始まるらしい。ご存知の通り舞台は一貫して足立区（学校の所在地は東武伊勢崎線の堀切駅そば、周辺の繁華街として北千住）なのだが、この設定が今にして思えば絶妙だったと思う。当時は校内暴力など少年少女の非行化が全国的に問題化していて、それこそ世田谷区でも暴走族が存在していたようだが、都内西側や多摩エリアのターミナルを舞台に選んでいたなら、このように長く続けることは無理だったのではないだろうか。いや、その時代時代の社会問題をテーマに挙げるだけなら不可能ではないのだが、他社との関係が加速度的に希薄化していくエリアではどうしても物語の進行に無理が生じるだろうし、周囲の大人が協力して地域全体で問題を解決していくという、本来当たり前の流れ（そしてファンとしてはうれしい「過去の登場人物との再会」）も難しかったに違いない。さて、そんな「3年B組金八先生」のファイナルだが、シリーズを締めくくるという主旨のため、主役級の生徒を除くと個人のキャラクターにクローズアップする場面がほとんどなく（一応「優等生席」「美人席」などの定番は押さえている模様）、ファンの醍醐味の一つである「生徒一人一人のエピソードに共感する」ということは期待出来ない。まぁ仕方ないか。放映から一週間を経ているためネタバレを承知で書くが、最後の一時間は「卒業式が終わったあと、過去の3Bが一同に会して金八先生の卒業式を行う」という内容である。第2シリーズの生徒（だった人たち）の「マジ泣き率」が異様に高いことが、いかにこのシリーズが重要だったかを物語っている。再放送で見た自分も、子供ながらに異様なテンションを感じたものなぁ。蛇足ではあるが、私にとって鮮明に記憶にあるのは第4～第6シリーズあたりなのだが、このあたりの出演者がもっとも「大人になった」ということを強く感じさせる。「えっ、こんなに綺麗になるの！？」と女の子にドキッとしたり、「ずいぶん男前になったなぁ」と驚かされたり、そんなことを感じる私はやはりおっさんなのか。逆に当時「かわいこちゃん担当」だった子が微妙だったりすることもあり、「目鼻立ちがはっきりしている人は大人になると損だ」と学ばされたりもした。そんな中で第6シリーズの赤嶺繭子こと佐藤めぐみは別格の美しさだった。完全に忘れていたけど、あれから現在まで継続して芸能活動をされていたんですねそれにしても、諸事情によりその場にいることが出来なかった生徒に関して「なかったこと」にするのはいかがなものか。上戸彩とかジャニーズの面々とか、事務所の都合もあるだろうが「鶴本さんは、今アメリカで暮らしています」とか適当でもいいから（？）元クラスメイトからの近況報告を挟んで欲しかった。それが出来たら、より3Bの結束の強さを印象付ける形になったと思うのだが。内容はとにかく、「男はつらいよ」や「釣りバカ日誌」のようなルーティンに陥ることなく（教師ものなので現実的には不可能だが）、きちんと終わらせたことを評価したい。当然「毎年秋になると放映されるドラマ」としても本作は生き延びることが出来ただろうが、そうならずに視聴者それぞれの「思い」を真空パックしたことが重要であろう。劇中、終始「第3シリーズ」が無視され続けていることにぼんやりと「大人の事情」を感じていたのだが、調べてみたらこのシリーズだけは舞台が桜中学じゃないんですね。61％OFFセール!!［100円便OK］【新品】【PS2】3年B組 金八先生 伝説の教壇に立て!【YDKG-u】

  2011.04.03

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  金は天下の回り物

  世の中全体が自粛ムードだが、別に自粛しようと思って更新を怠ったわけではなくてただ単に「めんどくさいから」という理由で日記を書かなかった私である。電力の使用はある程度控えた方がいいのだろうが相変わらずネットには接続しているし、経済を回すことを考えたら「何もしない」のが一番よくないのは自明のことである。そういえば友人の彼女がまさに被災地出身で、同棲を始めたばかりのマンションに家族が避難してきたのだそうだ。「籍を入れていない場合、三世帯住宅になるのかな」と彼は語っていたのだが、そういうことを言える気持ちというのが大事だと思う。予期せぬ形でご両親とご対面、となった彼が幸せかどうかはともかく、いい話を少しでも作るというのは大いに賛成である。残念ながら完売してしまったようだが、ZOZOTOWNでチャリティTシャツを販売していたので2枚購入した。見つけたときには既に2億の売上があって欲しい色が完売していたのだが、この企画のすごいところは「利益を募金」ではなくサイトに参加している企業にも負担してもらって「売上全てが募金になる」ということだった。ただ単に募金を行うのではなく、製造業や流通業、あるいは広告業といった周辺の業界にきちんとお金が回っていき（当然雇用も確保される）、そしてそれを着ることで思いを供給出来、またその時の思いをモノとして残すことさえ出来るのだ。これはZOZOTOWNのように多数のブランドを顧客に抱えるサイトだからこそ出来た形態である。数百のブランドと共同であれば一企業あたりの負担も少なく、また広告効果もある。まさに「Win-Win」のビジネスモデルだ。穿った見方をすれば、東北のような地方はネット通販ビジネスにとっては上顧客であり、今後のビジネス展開を考えれば宣伝広告と考えた場合非常に費用対効果の高いものだったわけだが、そういう性格の悪いことは考えないことにしよう。残念ながら受付終了となった今回の企画だが、生産ラインさえ確保できればまた続けて欲しいと思っている。もちろん今回のように「全額寄付」は難しいだろうが、価格を上げるか原価を差し引くかすれば可能ではないだろうか。当然「第二段」のデザインを用意してほしいところだが。誰か新しい工場を立ち上げて、東北で失業した人を受け入れて生産してくれないか、とも思う。と言うか、これで「中国生産でした」というオチだったら本当に怒るよ【送料・代引手数料無料】【東北地方太平洋沖地震チャリティー】【限定】【レディース～メンズ】【送料・代引無料】【4月中旬入荷予定】html(エイチ・ティー・エム・エル) Japan Unity S/S Tee Charity Limited楽天ではこんなのも見つけた

  2011.03.31

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  ユー・ガット・メール

  中国語で「手紙」と言ったら「トイレットペーパー」のことを指す。確か中学校の教科書にのっていたと記憶しているが、そうでなくても誰もが一度は耳にしたことがあるように思う。私は何も言語や文化のことを語りたいわけではなく、最近来た変わった手紙のことを書きたい。手紙と言っても「電子メール」所謂ケータイ（とあえて現代的に表記）の「迷惑メール」である。迷惑メールはPCアドレス、携帯アドレス共によく送られてきて、大抵見もせずに削除するのだが、今回私のノキアに送られてきたメールは迷惑メールと分かっていながら思わず受信（メールは一旦サーバーから通知を受け取り、受信の有無を決めるようにしている）してしまった。概要は以下の通りである。「（株）ドリーム採用担当」と名乗るアドレスから、「新規採用に応募してもらい、採用となったので電話したが不在だった。以下のURLに必要事項を記入して、こちらからの電話を待て」という「連絡」（もちろんビジネス文書としてきっちりした文体）。アドレスもしっかり「（株）ドリームの採用専用アドレス」（ドメインも含め、送信元はいくらでもいじれると聞いたことがある）を名乗っている。迷惑メールといえば、大体が「出会い系」とおぼしき内容か「楽して儲かる」、あるいは「コピーブランド売ります」「あなたが当選しました！」といった分かりやすいものが主流の中、このメールの主はなかなか面白い手を使ったものだと思う。もちろん私はどこの企業の募集にも応募していないのですぐに迷惑メールだと分かったのだが、もしかしたら、就職、あるいは転職活動中の人は思わずクリックしてしまうかもしれない。不景気をうまく利用したやり口である。以前、友人と「迷惑メールなんか送って効果なんてあるのかね」と話したことを思い出した。事情通の彼によると、「1000人にメールを送りつける手間が、一人客をつかまえれば余裕でカバーできる」という世界らしい。街頭のティッシュ配りと同じ理屈だ。それもパソコンに慣れていない中高年が騙されやすい傾向にあるという。わけも分からず素直にリンクを開いてしまうことが多いようだが、人名を騙って送られてきたメールの場合、友達が出来るかも、という勘違いをするケースも多いようだ。映画「ユー ガット メール」（私は見ていないが）の世界を信じているのか。あるいは彼らの意識が未だ当時の牧歌的なネット事情のままなのか。迷惑メールは英語で「スパムメール」あるいは単に「スパム」と呼ばれている。その名の通りサーバーに負荷をかける「迷惑な存在」だが、ランチョンミートの「SPAM」はわが国の沖縄をはじめ世界中で愛されている。迷惑メールを「スパム」と呼ぶことをメーカーは文字通り「迷惑している」ようだが、ランチョンミート自体がひき肉を加工した食品で、誤解を恐れずに言うならばその存在意義の一つに「普通に使えない部位をどうにかする」という意味合いがあるように思う。その意味では絶妙な名前というか「どっちもどっち」な気がする、というと言いすぎか。ちなみに私はノザキの「コンミート」をよくツマミにしているが、子供の頃母親に「そんな肉のカスを集めたものなんて」と言われたのをよく覚えている。「よくないもの」（栄養的でも道徳的でも）というのは、やっぱり魅力的なのだ。【33%OFF！】ユー・ガット・メール 特別版 【WARNER THE BEST ￥1500】(DVD)

  2011.02.27

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  POISON IVY

  電車でベンチシートの窓側に座れるほどに暖かくなってきた。2月は寒さのピークだというが実際どうなのかは知らない。いずれにせよ、今年の冬は寒くてあまりPENNY'Sのハンティングジャケットを着なかった思い出がある。さて、電車と言えば中吊り広告を見るのが楽しみ、という人も少なくないだろうが、最近一番私が気になっているのが「富士急アイランド」の広告である。絶叫マシンが売りの富士急だけにそれをアピールした内容なのだが、モデルの学生風のカップルがもろに80年代なのだ。残念ながら公式サイトでその広告の画像を見つけられなかったのだが、その内容は「平均的な学生カップルが絶叫マシンに乗って怖かったけどすごく楽しい」という何の変哲もない状況の再現である。だが、彼らの髪型が「思い切り80年代」なのが特徴的なのだ。恐らく、絶叫マシンの風圧にやられて髪型が乱れた様を表現しているのだろうが、男の方は「JESUS&MARYCHAIN」、女性の方は「グラムロックを拡大解釈したようなハードロック」のそれなのだ。これは狙っているのか偶然なのか、恐らく広告代理店やヘアメイクかそのあたりに80年代への思い入れがあって「さりげなく」それっぽくしてみた、というのが正解だろうが、いくらなんでもこんな髪型の奴はいないだろう、と言いたくなるほどリアル80'sな出で立ちである。何だか中途半端なまま「これが熱い！」といわれ続けている80年代ブームへの一つの回答だろうか。広告戦略に長けた富士急らしいといえばらしい手法である。深読みしすぎかもしれないが。「富士急」といえば、個人的にはWEEZER目当てで行った第一回の「SUMMER SONIC」のことしか思い入れがない。しかもフェスに夢中で、チケットに遊園地への入場券がセットになっていたにも関わらず全く出入りしていない。なので富士急に関して有益な分析など出来るはずもないのだった。Coasters コースターズ / Coasters / One By One 輸入盤 【CD】

  2011.02.22

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  邪馬台賦

  家にある「聴いていないCD」「見ていないDVD」をどうにかしようと日々少しずつ鑑賞している。私の「断捨離」は続いているのだ。そんなわけで最近「パンダコパンダ」を見た。日本に初めてパンダが来てブームとなった頃に作られた作品である。「パパンダがトトロに似ている」とかそんなありきたりな話はウィキペディアや公式サイトに任せるとして、私は「70年代の千葉はこんなに田舎だったのかなぁ」と思わずにいられなかった。それはなぜか。舞台が千葉県の習志野市（みたい）だからである。作品には明記されていないが。宮崎アニメの特徴として、過去と未来が独特にミックスされた世界（ファンタジー系アニメは今や大体そうだけど）ながらも70年代当時のファッション感覚が随所に（特にインテリア）感じられる本作だが、ミミ子が住む街は「北秋津」という駅が最寄で、「秋津」という地名は習志野市に存在する。JRの津田沼駅から南に2キロほどの地域で、近隣に「谷津」駅があるのでおそらくそこがモデルであろう。そうなると遠くに見える繁華街は津田沼か？ただそうなると動物園（通勤のシーンで常磐線への乗り換え案内が背景に表示されているため上野動物園で間違いない）を「会社」と呼んで通勤するパパンダは京成線の上野駅か。今はなき「博物館動物園」駅を利用するのがスジであるが、作中の「公園前」駅で山手線のラッシュに押し込まれるパパンダの姿が登場し、北秋津駅に着く頃には「赤電」と呼ばれる当時京成で主流だった赤い電車に乗り換えているのが不思議といえば不思議である。調べてみたら東村山市にも「秋津」という地名があるのだが、こちらは黄色い電車がトレードマークの西武池袋沿線なのでパパンダが池袋乗換えをしているとは考えにくい。というか動物園を抜け出したパンダが電車の乗換えなど出来るはずもないので京成線に乗って成田方面に向かい、「いい竹林」が見えたので下車してみた、というのが本当のところだろう。などと勝手な妄想を膨らませた私であるが、サーカス団の部下（？）のモッズっぽくてルパンっぽいところ、特に裾の処理（なんかブーツインしているようにも見える短めの足元）やら佐藤允彦が手がけたグルーヴィな音楽に対してアニメの動きが妙に少ないところに不思議な安心感を感じてしまうなど、70年代の懐かしさが心地よい私はやはりもうおっさんなのだな、と感じずにいられない。60～70年代がブームだった10代の頃はそうした雰囲気が新鮮だったのだが、年齢と共にノスタルジーへと向かうものなのか。それにしても一貫して作中に漂う脳天気さは一体何なのだろう。街が雨で沈んでしまう場面はムーミンにもあったが、まったく危機感が感じられない。それほど、製作者達は本作を作ることに喜びを感じていたのだろうか。パンダコパンダ(DVD)●ジブリグッズプレゼント●

  2011.02.03

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  一度でいいから新宿アルタ前で飲み会の待ち合わせをしてみたかった、なんて思っていないのだが

  「たこわさび」という、ほとんどどこにでもある居酒屋の定番メニューに疑問を抱いている。名前の通りの「タコのわさびあえ」みたいなおつまみだが、確かに値段は安いがタコが細切れで（なので非常に食べにくい）、量も少ないので実はそれほど安いメニューではないのかもしれない。その上、素晴らしくおいしいかといえば実際にはそれほどでもないように思う。ならば、なぜ誰もが居酒屋で思わず注文してしまうのか。たこわさびの人気の最大の秘密は、実は味などではなくてその「居酒屋らしさ」にあるのではないだろうか。私と「たこわさび」との出会いははっきり言って覚えていないが、おそらく大学の頃のアルバイト先で仕事の後に行った「魚民」あたりだろう。おいしくて感動した、という思い出はまったくなく、「いつも気が付いたらそこにある」という地味な、しかし確固たる存在感でいつしか私の中に居座っていたのだった。大学のサークルだったり職場だったり、人にはそれぞれ「居酒屋デビュー」を飾る瞬間があるのだろうが、その多くは「誰かに連れて行かれる」という状況だろう。そこで先輩が頼む「たこわさび」や「鶏のナンコツ揚げ」はおそらく多くの家庭で食卓に並ばないメニューであり、「これが居酒屋かぁ」という思いを若者に抱かせ、「習慣として注文する」という行動が伝播されていくのではないだろうか。それと関係があるのかどうか分からないが、この二つのメニューが並ぶテーブルは必ず若い客のような気がする。ナンコツ揚げは酒の味を覚える年齢になると身体が受け付けなくなるだろうから当然といえば当然だが（個人的には、つまみに揚げ物を頼む人間はメンソールのタバコを吸う人間と同じ「本物の味を知らぬまま雰囲気を楽しんでいる」と思っている）、たこわさびに関しては中年好みの味付けにも関わらず若者にしか食べられていないように思う。要するにナントカの一つ覚えみたいに「たこわさび！」と口にし、それによって「通」を気取れるメニューがたこわさびが定番たる所以なのだ。「居酒屋に行ったら『たこわさ』と『ナンコツ揚げ』は頼む」と刷り込まれているのだ。文句を言う者は基本的にいない。その安心感も重要だ。だからどうした、と言われるかもしれないし、本当に「たこわさび」が好きな方には申し訳ないのだが、私がよく訪れる個人経営の居酒屋にはどこも「たこわさび」をメニューに置いていないことからも、「人気があるけれど実は愛されていないつまみ」なんじゃないかと気付いたという単なる備忘録。【とれとれ厳選】たこわさび（140g）

  2011.01.15

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  八卦当らぬも八卦

  昨夜のことである。冷え切った駅のホームで電車を待っていると、ベンチに座る私の隣に60代とおぼしき女性二人組みが腰掛けた。特急の次の停車駅であるK駅に向かうらしく、どの電車にするか話し合っている。先に来るのは各駅停車。5分後に特急。各駅だと途中で通過待ちを行うため、後発の特急より5分から最大10分程度遅く到着する。暖房のきいた車内でゆっくり行くか、駅でしばらく寒さに耐えて早く目的地に到着するか。私にもそういう選択を迫られる場面がないことはない。二人は互いに「どちらを取るか」よねぇ、と考えていたが、一人が「ねぇ、『アレ』出してよ」といった意味のことを口にした。私は二人の会話を真剣に聞いていたわけでもないが、たまたまその日はiPodを忘れてきており、また持ってきていた本にもあまり集中出来ずにいたため何となく耳にしただけ、という程度だったのではっきりとは分からないが、大体そんな感じである。『アレ』をだすよう命じた方の女性がなにかをいじりだし、「○○」と指示を出すと、もう一人がぼそぼそとつぶやく。それまで私は気にとめていなかったのだが、「じゃあ、次は後の特急ね」と言った時にふと彼女の方を見ると、手の平に入るほどの大きさの箱を振っていた。箱を開けた彼女がまたつぶやくと隣の女性が『アレ』をみてまたつぶやき、二人が結果を話し合った。というよりは箱を振っていた女性が『アレ』を持つ方の女性にレクチャーしている、という雰囲気も感じられた。どうやら『アレ』を友人に勧めていて、ちょうど友人が興味を持ち出した時期のようだ。気になって『アレ』を覗き込むと、様々な記号に細かい字で解説が書かれている。紙の右上に「六十四卦なんとかかんとか」と書かれていた。何がどうしたのかは分からないが、二人は各駅停車を見送って特急を選んだようで、「これがお導きなのよ」といった風のことを語っていた。ぼんやりと「そういう占いなんだろうな」というのは理解しつつも若干のカルト臭がしないこともないその光景を見ていた私の心は「それが何か」よりも「頼むからそれを見ず知らずの俺にまで押し付けてこないでくれ」だったのだがそんなことはなく、調べてみると中国の古い占い（「卦」という名前で予想はついたが）だったので少し安心した。私は男性ということもあってあまり占いを気にしないし、電車の各駅と特急でそんなに人生が変わるとも思えないのだが（熱烈に恋をしていたり探している人がいたりして「どの電車を選ぶか」が突発的に重要な立場の人は除く）、「自分が納得すること」というのは彼女たちのような方法であっても人生に有効な気がする。というのも、会社の上司が初詣に行った帰りに転倒し、手にケガを負ったのだが同僚の「神社に行ったからそのぐらいで済んだんですよ」というフォローを聞いて間もなかったからである。何が起きてもプラスに捉えるポジティヴな姿勢はストレスをためない秘訣かもしれない。先天的に出来ない人は、占いでもスピリチュアルでも使えばいいのだ。例えば階段の上を歩く女子高生がスカートの下にジャージを穿いていても、「きれいなふくらはぎのライン集中できた」と考えればいいのである。全国の男性たちはそうやって生きて下さい私も努力します邪気を追い払い・運勢を上げるために使います。【風水】八卦アイテム・風水八宝こういうのを使っていたのだろうか。ところで八×八で六十四なんですよね？

  2011.01.12

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  「x-girl」を着ている女の子はみんなソニック・ユースを聴いていた

  渋谷の「シネセゾン」が閉館することになった。ミニシアター文化の終わりを云々、と言いたいところだったが、僕（今回はあえて「私」でなく「僕」と書きたい）自身このニュースを見た時に「『シネセゾン』ってどの映画館だっけ」と思ったほどなので、何かを語る資格などないのかもしれない。僕が大学生の頃は、まだミニシアターに勢いがあった。「映画の日」には学校のあと渋谷に出て、レイトショーまで２、３本観るのは当たり前だったし、それがきちんと「ファッション」として成立していた。そこ頃の最大のヒットは「トレインスポッティング」だったが、もう今の学生はあの有名なポスターを見ても何の映画だか知らないだろう。そもそも、雑貨屋で売られているのだろうか。1999年をもって六本木の「シネ・ヴィヴァン」がクローズしたのは単に地域の再開発の事情だと思っていたし、その後も2000年代前半には「アメリ」「チェブラーシカ」などミニシアター系作品がそれまでにないほど一般に認識された。だが、僕たちはその時に気付くべきだったのだ。六本木が「お金持ちのファッションビル（であると同時に成功の象徴）」に変わり、女性達が「与えられた文化」としてミニシアター系映画を消費し始めたことに。否、あるいはぼんやりと感じていたからこそ、自然と足が遠のいたのかもしれない。「週刊少年ジャンプ」からドロップ･アウトした文科系男子がその知識で「non-no」や「JJ」に行けない夢見る女の子と楽しく世界を築くという行為が幻想、もっと言うならそれ自体が「与えられた選択肢としての文化」であったことに。「あの頃はよかった」なんて絶対に言わない。ただ、ツイートすることも知らなかった僕たちはその足で、手探りで居場所を探し、それがリアルに感じられた。2万円のプレミア価格で並ぶエイプのTシャツは、買えるかどうかも分からない商品のために授業を休んで原宿に並ぶことの代償としては高くはなかった（僕は買わなかったけど）。何が真実なのかは分からないけど、「若さ」で片付けることの出来ない経験をしたことだけは確かだ。【送料無料】【smtb-u】【中古】洋画DVD 限定 ゴーストワールド(’01米) ((株) アスミッ)【画】

  2011.01.08

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  アルキメデスと宮崎あおい

  個人的に忙しかったり忙しくなかったり、日記を書き換えていたら間違えて消してしまったりとブログから足が遠のく今日この頃である。思うとことはたくさんあるが日々泡のように消えていく（このフレーズはJUDY AND MARYの「オーバードライヴ」ではなくもちろんＢ・ヴィアンの小説なのだが宮崎あおいファンとしては「CUT」での連載タイトルを思い浮かべるのが正しいだろう）。そういえば宮崎あおいは今月末に25歳になる。ということは四捨五入したら三十歳なわけで、私が「ソニック・ユース」のアルバムに自作をなぞらえる自意識過剰な青山真治の「ユリイカ」で彼女を知ってから10年がたつということなのだ。それ前後の彼女が「Pure　Pure」とかいう今だったら完全に槍玉に挙げられているようなローティーン雑誌に出ていたことはその頃もちろん知らない。先ほど青山監督を「自意識過剰な」と書いたがそれは決して貶めているわけではなく、むしろ褒め言葉だというのを分かってくれる人はどのくらいいるのだろうか。「ユリイカ」のタイトルが当時ポストロックとオルタナティヴをつなぐような位置づけにいたジム・オルークの最新作から拝借したのかどうかは知らないが（ジム・オルークは後にソニック・ユースに加入するので、偶然としては出来すぎだと思う）、そうした一連の「影響を表に出す」という行為は鑑賞者にとって作風を知る手がかりになるし何より共感を得ることが出来れば思い入れも増すというものだ。「○○の影響が色濃く出た」なんていう評価も同じで、作品を鑑賞するのに貴重な時間と金を使わざるをえない一般庶民にとってはありがたい言葉であるし、作家によっては「これ、元ネタはあれだよなぁ」というレベルで「出てしまった」影響もなんだかかわいくもあり、またそれを表現として出せてしまうことにうらやましささえ感じてしまう側面もある。大学の同学年で今も付き合いが続いている数少ない友人が、一緒にバンドをやっている時にこう言った。「ジャズでは他人の曲を演奏してもいのに、それ以外のジャンルだと評価されない。もっと純粋に音楽を楽しめばいいのに」この言葉がそのままあてあまるとは思えないが、どうも人々は「オリジナリティ」を絶対的な価値基準にしすぎているように思えるのだ。表現の原点は「（そうしなければ）やりきれない思い」と同時に「これが好き！」という気持ちが重要だと思う。鑑賞者の側にも、そうした広い心を持つことが必要なのではないか。だからどうした、と言われるかもしれないが、あらゆる作品には愛情をもって接したいと思うし、「パクり」（この言葉にはかの半島の方々への差別的意識が元になっているのであまり使いたくないが）も「先人への愛情」という広い心で接し、過去、そして未来へつなげたてほしいと思う。まぁ、明らかに著作権を侵害しているものはなくすべきだと思うけど日々の泡

  2010.11.14

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  プラダを着た悪魔

  学生時代の後輩（現在大学院生）の不満がメールで届く。「ファッション論を語るのが結局外部の人間で、もっと上手く語れる人がいるはず」というのが主旨だった。それは全くその通りで、わが国のファッション批評はファッションに関係のない「文化人」によって行われている、と言っても過言ではない状況だ。「批評家＝作家の意図を翻訳する役目」を目指して挫折し、結局サラリーマンになってしまった私が言うのもおこがましいが、批評界というのは非常に（今風に言えば）「上から目線」な印象がある。「時代」「社会」と言ったキーワードで、的外れな論評を難しい言葉で正当化し、エンドユーザーの気持ちを無視して「これがいかに『アート』であるか」ばかりを語っているように思えるのだ。その対象が「ファインアート」ならまだいい。問題は、ファッションという「身につけるもの」ということだ。ファッションはご存知のように「身につけて」表現するものである。例えば「聴いている音楽とファッションは別物」という人もいるだろうが、「ライフスタイル」という観点で考えた場合に個人の生活様式は何かしらの文化から影響されるものだし（例えば服装に感心のないマンガファンは、逆にどこかしら「マンガ的」な合わせ方をしてしまう）、そういう要素を踏まえてこそ庶民レベルでファッションを語れるように思うのだ。後輩の言葉を借りれば「建築家がギャルソンを語る」状況は、結局は「産業、あるいは『良妻賢母の育成』」をベースとしたファッション業界に対し「（ファッションという形で）文化、あるいは時代を楽しむ」ということが抜け落ちている。それは結果として「モード」と（一般人が触れる）「ファッション」を隔絶することにつながっているのではないだろうか。「俺は服が好きで好きで、結局『語る側』になっちまった！」という人が見られないのはファッション業界にとって大きな損失である。逆に言えば、ファストファッション（もはやこれも時代遅れか）にストリートやモードが食われてしまうのは、「服オタク」によって新しい世界が開かれるということがなく「ファッションは難しいもの」という先入観が与えられていることにも原因があるのではないだろうか？いい加減よっぱらってしまったので上手く表現出来ない。ただ、ファッションは「着てナンボ」「楽しんでナンボ」なので、それをしない輩に敷居を高くする権利は全くないのだ、とは思うのである。　【中古】【DVD】プラダを着た悪魔 特別編洋画

  2010.10.15

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  Asian dub foundation

  近所の居酒屋が閉店した。私の地元は駅の構造上（？）駅前の「メインの商店街」というものが存在せず、住宅地に商店が点在しているエリアで（そのためバスやタクシーのロータリーというものも存在しない）、しかもそうした昔ながらの店が地元常連客をしっかり掴んで離さないためか飲食店に関してはチェーン店の進出を許さない状況である。もちろんチェーンの飲食店も「これが食べたい」と思った時に選べるくらいにはあるのだが、こと居酒屋に関しては有名チェーンの10倍以上の個人店が存在し、むしろ学生街でもないのにチェーン店が潰れないことが不思議なほどである。とはいえ不景気の世の中においては削られる出費の筆頭に挙がるのが外食費で、冒頭にあるようにこの二ヶ月ほどの間に徒歩3分以内の居酒屋が二件潰れた。そのうちの一つである焼き鳥屋さんは、以前職場にいたアルバイトのお兄さんの友人が経営していたということもあって時折顔を出していただけに残念だ。居酒屋のレベルが非常に高いエリアのため、実際そこが「おいしい店か」と言われると「おいしい」と断言出来ないところではあるが、「創作料理なんてやらねぇよ！」硬派な店が多いエリアにあって、串焼きのバリエーションが多いのは重宝していた。チューハイがただの「焼酎の炭酸割り」だったのは納得出来なかったけど。「飲食は粗利7割」と言われていたのはとっくに昔の話で、今や外食産業も人件費を抑えるか商品原価を下げるかのどちらかを選択しなければ生き残れない時代なのは周知の事実。そうなると、賢い消費者としては人件費がかからず、かつフットワークの軽さを生かした個人店、それも家賃のかからない「自宅で開業」な個人店をつい選んでしまうのである。それに該当する居酒屋の主人達は異口同音に「喜んでもらえればそれでいい」と口にする。もちろん必要最低限の収入を得る必要はあるが、自分やその家族、せいぜいアルバイト一人程度で経営している店で暴利を貪るよりも、安くても末永く愛してもらうことを選ぶというのが共通認識のようだ。何よりも、彼らはそこで客と楽しい時間を過ごし、満足してもらうことに喜びを感じている。「お通し」などというわけの分からないもので利益を得ることすらプライドが許さないようだ（一部「お通し」を出す店もあるが、それは「メニューに加えても恥ずかしくなく、かつ『いいものが手に入ったから食べて欲しい』という思いから選んだもの」で、素人の私が見てもとても儲けが出ているとは思えない代物だ）。前置きが長くなったが、食品でも何でもその出自に危機感が持たれ、安全・安心なものを求める傾向が強まっている中、「服オタク」の私は「身につけるなら国産かアメリカ製でしょ」という思いを強めていた。いや、別にアメリカ製に限らず、そのブランドが創業した国で頑なに作られている製品を愛したい、そう思っていたのだ。アメリカでいえば「ブルックス・ブラザーズ」のポロカラーシャツのような「大雑把だけど、それが絶妙な味わいになっている」もの、イギリスなら「Barbour」のオイルジャケットのような質実剛健なトラッドアイテム、そしてわが日本なら伝統の藍染で仕上げられた職人技のデニムがそれにあたるだろう。著名なデザイナーも影響を受け、インスピレーションの源になっている。こうしたアイテムは、衣類を「道具」にし、同時に「『わび･さび』的な芸術品」に高めてくれる。そして着る人の個性を存分に引き出し、着るほどに説得力を高めていくのだ。ただ、こうした「定番信仰」の危険性が指摘されているのもまた事実、だ。これら所謂「定番」は、ほとんどの場合自国での生産を頑なに守ることでステータスを保っている。だが、その「メイド・イン・○○」が単に「最終工程を○○でやりました」であったり、あるいは「国内の工場で生産しているのは事実ですが、実際にミシンを踏むのはアジアの出稼ぎ労働者です」という事実がある、という指摘がなされているのも事実だ。そうしたことを確かめる術は私にはないし、単にネット上で騒がれている噂にすぎないのかもしれない。だが、私のように「定番」に真実を見出し、「普通」を身にまとうことで個性を演出したり、労働力も含めて「使い捨てでない、生き方としてのファッション」を追求する層にとっては重大な問題である。労働力の搾取など本来あってはならず、貧しいながらも「富の平等な分配」が行われるべきなのだ、この世界は（倒置法）。衣服でさえ嘘をつく世界で、私は何を信じればいいのだろうか？まずはネットの情報を鵜呑みにしないことなのだろうが、信憑性があるのが辛いところ、だ。【送料無料】【smtb-u】【中古】ゲームウォッチ DONKEY KONG MULTI SCREEN「日本の技術」で最初に浮かんだのがなぜかこれでした

  2010.10.03

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  ボーリー牧師館について

  友人が結婚した。それはそれでおめでたい話なのだが今回の話とは関係なく（友よ、すまん。でもおめでとう）、彼（仮にNとしよう）の経験した「がっかりした話」を紹介したいと思う。Nは、南関東の某所から大学入学と同時に上京し、東京都S区にアパートを借りていた。就職してもしばらく同じところから通勤し、昨年（だったかな？）後の伴侶となる女性のマンションで同棲するまで足掛け8年ほどそこを借りていたのだそうだ。23区の西側ということで家賃は当然それなりだったようだが、先日Nはふと思い立ってネットで自分が住んでいたアパートをネット検索してみたそうだ。そうしたら、なんと自分が住んでいた頃よりべらぼうに家賃が安い賃貸情報がヒットしたという。「更新料を払って、相場より高い家賃を取られていたなんてひどい」と彼は言っていたが、全くその通りである。その話を聞いて、私も自分が大学生の頃住んでいたアパートを検索してみた。残念ながら検索に引っかからなかったが（大学と独占契約し、新入生をうまく入居させるシステムだったからだろう）、向かいのアパート（間取りはほぼ同じ、日当たりはそちらの方がやや勝る）が当時私が借りていた家賃より2万円も安いではないか。地価が下がり続けている、というのはぼんやりと耳にしていた気がする。だが、学生向けアパートがここまで値下げしているとは驚くばかりだ。そのアパートの家賃は、大学のある駅から更に3つほど下った、神奈川県の「各駅停車しか止まらない」駅の家賃相場より安くなっていたのだから（当時、別の友人が安さに惹かれてかそこに住んでいた）。住宅というのは土地の価値の他に、住宅自体の価値、というのも存在している。固定資産税を基準とすると、わが国においては建物の価値は20年でほぼゼロになる、という考え方である。また、長引く不景気で学生の親が経済事情を理由に多少遠い程度では子供に一人暮らしをさせずに自宅から通わせる傾向にあるという（地方出身者への仕送りは15年連続下落している）。それにしても、家賃というのはそんなに下がるものなのだろうか。試しにそのエリアの地価を調べてみたら、バブル全盛期に坪600万円ほどまで上がったのをピークに、近年は坪110万円まで落ち込んでいる。私が大学に入った頃がちょうど「バブル前夜」の85年と同じ坪220万円程度なので、確かに単純に15年間で地価は半額になった計算だ。建物の築年数による価値低下を考えれば、月１～２万程度の下落はもしかしたら良心的なのかもしれない。だが、「家主」という存在は未だ戦後の住宅難を基準にしているフシがある。東日本独特の「礼金」制度は未だなくなっていないし、やっぱり「都会の家賃は高い」と思わずにいられないのだ。私の幼馴染みの親が自宅そばでアパートを経営しているのだが、家賃は当時でも都内の半額以下。建物を建てるのにかかる初期費用は全国的にそう変わらないはずなので、いかに土地の価値を上乗せしているかが分かるというものである。私のマンションにも、連日不動産の案内が折り込みで入ってくる。どんな時代になっても、やはりこの国では「固定資産を持っている」人間が有利なのだろうか。中国の富裕層が日本の不動産を買い漁っているという。少なくとも、自分の住む土地がスラム化しないよう目を光らせるのは必須みたいだ。Dr．コパの風水マンション塾ルームシェアをしていた学生時代、「コパによると君の部屋が一番いい」と友人に力説されたのをふと思い出した

  2010.09.26

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  Obsesshon in blue

  気がつけば10日ほども日記を更新しておらず、その間何をしていたかというと特に何もしていない。というか普通に過ごしていた。数日間眠くて眠くてたまらない日があったりなかったり。とにかく、脅迫観念で意味のないブログを更新することだけはすまい、と思っていたのだが、本当にネット社会というのは厄介だと思う。「いつでも都合のいい時に連絡が取れる、あるいは情報を取得できる」というメールをはじめとするネット社会の利点が、いつしか「常に最新の情報を得ていないと不安」という構造に変化してしまっているのだ。否、移動体通信の初期的インフラである「ポケベル」の時代からこうした流れはあった。そう、渋谷のチーマーを中心にポケベルがコミュニケーションツールとなり始めた頃からである。今や、職場で休憩時間に携帯を一度もチェックしないのは私ぐらいのものだ。他人のツィートをフォローし、ブログや掲示板の更新状況を確認することに追われる人生。目の前の同僚との会話よりも重要な情報というのは一体何か？根本的に間違っているような気がしてならない。ブログを更新しなかったことに対する言い訳には全くならないが、正直、こんなところを見る暇があったらもっとやるべきことがあると思いますよモニターの前のあなた。そうは言っても、毎日「今日も更新しなかった」と思っていた私も「同じ穴の狢」だろうが・・・。こんなことを言いたくなった背景には、楽天の某ショップのタイムセールを待って待って待って待って、結果エラーが出て買い物が出来なかったことに対する怒りが込められている。今日（9/26）の午前0時にはじまったあるショップのセールで、私はインナーをまとめ買いしようと思っていた。ところが、購入しようと先に進むと「商品の販売期間外のため、現在は注文を受付けておりません。」のエラー表示。要するに、前回のタイムセールから情報が更新されないままなのだ。頭にきたので、メールで店舗に「これとこれとこれを取りおきしておいてくれ」と連絡。月曜日の朝にならないと店舗の方でもどうにも出来ないだろうから、月曜日以降の対応を待つしかない。楽天側のミスか店舗のミスかは知らないが、この店は確実に今回の対応で店舗レベルを問われるだろう。よい対応をしてくれたら私は褒めちぎる。だが、そうでなければ・・・さすがに某巨大掲示板に書き込みはしないだろうが、さてどうしようか。VENUS　PETER／Obsession・epそういえば、「ケータイ」を爆発的に普及させたPHS(Personal handyphon system）のサービスが開始されてからもう15年が経ったのか

  2010.09.25

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  Nurse with wound

  病院に行くと思う。朝っぱらから行列を作る老人達である。法的に今までどういう保障があったのかは知らないが、とにかく午前中の病院は「老人の社交場」となっているのが常だ。受付開始前からドアの前に陣取り、井戸端会議にいそしむオババたち。一見それはほほえましい光景であるが、実際は「サラリーマンの出社時間」や「主婦が子供を幼稚園に連れて行く時間」を犠牲にしているのである。これが単に「早い者勝ち」ならいいのだが、ご存知の通り現代の若年層は「払っただけの年金がもらえない（と言われている）」世代である。支払った以上にもらった年金で、それを現実的に支えている若者やその先を担う子供を差し置いて医者にかかるとは何事か。それも、おそらく「朝早く目が覚めるから」という理由で。これが「11時までに高血圧の薬をもらわないと危険」というなら話は分かる。だが、ざっと見た限りではそうではないのだ。「既得権益が全て」という政治の一端を見た気分である。学校の社会科で習ったように、我々はこれまでになく高い比率で高齢者を養う時代に来ている。だが、その「養う」ための行為である「労働」を年寄りの気まぐれでそがれ、かつ国に納めた年金が自分の代では今ほど支給されない、というのはどうなのか。細かい政治的話は省くが、この現状は「ニート」の若者（平均年齢が30歳を越えたらしいが）が「勝ち組」という一部ネットの意見が正しいと言っているようなものである。「親の財産で生きている」といった主旨で「ごく潰し」の扱いを受けるニートだが、国家の資産分配という観点に立てばむしろ彼らの方が正当な権利を行使しているように感じてしまうのだ。無論、憲法にあるように国民には「勤労の義務」が課せられている。その意味では「ニート」は罪だ。だが、そうした義務を果たしている層が国民の権利である衣料を受けるために当面の所得を削っているのはおかしい。国は「急を要する事態」でない限り、現時点での国への貢献度によって衣料の優先順位を忌めるべきではないか。もしくは、今、もしくは未来において貢献する（可能性のある）影響度の順に診察を受ける順番を決めるとか。これは過激な意見なのか？Nurse With Wound / Drunk With The Old Man Of Themountains 輸入盤 【CD】ステレオラブとのコラボアルバムは当時相当聴きました

  2010.09.16

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  蒲田行進曲

  某巨大掲示板で、偶然「変形学生服」のスレッドを見つけて一生懸命読んでしまった。私は「ボンタン」「短ラン」といった変形学生服の流行が終わりつつある時代の世代なのであまり詳しくはないのだが。読み進めてみると、やはり時代ごとに流行があるようで、都市と地方とのタイムラグはあるようだが年代別の傾向を調査したらなかなかファッション研究として面白いテーマになりそうな気がする。学生服のアレンジが日本独自の文化なのかどうかは勉強不足で分からないが、暴走族のバイクと同じ歌舞伎的なセンスはアニメにも通じるデフォルメ感覚だろう。それにしても書き込みをしている人たちの記憶力は素晴らしいもので、愛用していた制服のモデル名やスペック（例えば「怒髪天」とかそんな名前で、ワタリ幅と裾幅が『38－19』みたいな感じで表記されていた。また、ポケットのスリットやループ、タックなんかも細かく差別化されていた）をうれしそうに思い返している。確かに、週のほとんどを制服で過ごす中高生にとって、制服は一番費用対効果の高いアイテムだ。腰ばきでそれっぽく見せればどうにかなる（しかも服が安いので私服に投資できる）現代と違い、当時は「制服での差別化こそ全て」だったのだろう。私も、地方都市のせいで「渋カジ」の波が訪れるまでは制服メーカーのカタログを一生懸命見ていた記憶がある。個人的な話になるが、私はどちらかというと真面目で大人しい部類に入るタイプだったので「本気な」変形学生服を着ることはなかった。ただそれでも「目立ちたい」とかそういう中ニ病的な思いはあったので、「セミ短」と呼ばれていた標準服より若干短い上着に、標準のパンツで一番太いワンタックのものを合わせ、ボタン、及びチェンジボタンを変えて詰襟から見えないタイプのカラーをつけていた。ベルトはもちろん制服メーカーのロゴが入ったものである（書いていて非常に恥ずかしい）。当時「ヤンキー文化」には翳りがみえていたものの、ヤンキー世代の兄弟を持つ者を中心にそうした価値観が受け継がれていたため（また先生たちもその意識が抜けなかったため）変形学生服に対してはそれなりに規制されていたのだが、幸い私は素行もよく、成績もまぁそれなりだったため一度も注意されたことがなく（「この子が違反をしているはずがない」と思われていたのだろう）、よく「お前は何をやっても見つからないからいいよな」と同級生から言われたものである。実際、タバコの煙で真っ白になった友人の部屋で「特攻の拓」を回し読みしていた私だが、そこにいた友人達の中でいつも怒られる順番は成績の低い順だった。まぁ私は根が文科系だったので他校とのケンカ（地方だと平成になってもそういうことがまだあった。チーマー的なそれではなく）に参加したことはなかったし、酒やタバコといったイリーガルな行為に手を出すこともなかったのでささいな服装違反なんて取るに足らなかったわけだが。それでも大人は不公平である。中学三年になって、さぁ、上の人を気にせず好きに出来るぞ、という頃にちょうど「Nirvana」がブレイクし、それまで「X」とか聴いていたヤンキーの中から「時代が変わった！」という声が囁かれ、一気にその手の文化が廃れだしたのをよく覚えている。「東京ではもうこんなのは流行っていないらしい」と急にきれいめの渋カジ的な着こなしに制服まで変化していったが、その流れを作ったのは「ヤンキーだけど成績がいい」要領のいい生徒だったように記憶している。ちょうど洋楽を聴き始めた私は勘違いしつつもその流れに乗ることに成功し、おかげで渋谷系的ば文化と出会って90年代を謳歌できた。卒業までヤンキーを引きずっていた同級生たちとは当然進路が異なったのでどうなったかは知らない。そった眉毛は無事に生えただろうか。こうして思い返してみると、衣服のディテールにこだわったのは制服メーカーのカタログを一生懸命見ていたこの時期で、「ベント」をはじめとしてメンズファッションの細部について学んだのは変形学生服だ。戦車のプラモデルにはまって軍服のかっこよさに目覚めた小学校高学年から、より細かく学んだことを思えば「ヤンキー文化」に感謝しなくてはならないが、あの時あれだけ細かいところにこだわった人たちは今どうしているのだろうか。日々「虎壱」を着ているか、あるいは（格好だけ、のライトなヤンキーも多かったので）量販店のスーツに休日はユニクロ、みたいになっているのだろうか。他人のことは知らないが、自信を持って言えるのは当時の変形学生服の究極は「ズーティーズ」か「テディボーイ」であり、自分のキャラクターに合うのはノータックの細身のパンツだ。そういえば、当時母親（アイビー世代）が「私はノータックが一番かっこいいと思うけど」と言っていた。それが正解だったみたいだ。ファミコン ビーバップハイスクール （中古・ソフトのみ）こんなのが出るくらいヤンキー文化はポピュラーだった

  2010.09.08

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  Naked lunch

  明日着ていく服に毎日悩む。服ヲタとしてはそれが楽しくもあるのだが、30代となった今、力の入ったファッションは少々痛々しく、かといっていつも同じ服ではいけない。自意識過剰かもしれないが。住宅事情、および収入を鑑みると、私は明らかに「服を多く所有しすぎている」状態だが、趣味の充実あっての人生だと思うのだ。だが、そのための努力をしているか、と問われれば答えは「ノー」である。フランス語なら「ノン」、ドイツ語なら「ナイン」、ロシア語なら「ニェート」。さて、中国語では何と言うのだろう？どの位動き、どこに行くのかによってまず靴の種類（スニーカーとか革靴とか）が決まり、その中で靴のローテーションによってその日の服装が決定されるのが常であるが、いい加減にカバンや靴を増やすのは止めよう、とも思うのでまた悩むのである。「上質なものを少し」というのは正論だが「合わせやすいから」という理由でのモノ選びは非常にネガティヴで、そしてその日会う人に「この間と同じ」と思われるのは嫌だ、というおそらく誰も気にしていないことで過去の服装を思い出そうと必死になるという無駄な努力を行っているのが私である。大学の後輩にSという男がいた。ぶっ壊れた仮定に育ち、放浪を経験していたので二歳年上だった。彼はビートニクを地でいくタイプで、バロウズに倣って害虫駆除の仕事もした、という逸材だ。彼の話は面白いのでほかに機会を見つけて書こうと思うが、当時オーダーメードのモッズスーツで徒歩15分の大学に通っていた私に衝撃を与えたスタイルを二十歳そこそこで確立し、服装を気にする自分を逆にみじめな気分にさせたのが彼である。リーバイスの初期復刻ビッグEを「根性穿き」（洗わずに穿き続けること。色にメリハリをつけたいマニアに好まれるが、生地が傷むので賛否両論である）し（初期の復刻リーバイスは「ただ赤耳がついているだけ」のもので、いい色落ちをしないのが定説であったがこれがまた本物のヴィンテージと見間違えるほどの色に育っていた）、勉強道具は常にコンビニのレジ袋に入れていた。カバンを持たない理由を尋ねると、「その日の服装に合う、合わないで迷うのはバカらしい。コンビニの袋ならどんな服装で持っていても自然だから」という答えが返ってきた。彼の実家は親が事業に失敗し、普通の学生のように遊びや服に金をかける余裕などなかったし（大学進学が遅れたのもそれが理由だと思われる）、美術系だったので一度画材を持ってきてしまえば教科書など持ち歩く必要はない。だが、その大胆かつ完成された浮浪者的スタイルにただ私は感心し、このレベルのスタイルにはとても行き着けない、と感じたのである。私は自分が純粋に服が好きだということを差し引いても、「自分のスタイルを確立し、かつ常人にない雰囲気を持つ人」こそが服に気を使わなくても真に「おしゃれな人」であり、自分はそうでないからこそ足りない部分を服で埋め合わせているのだと自覚しているのだが、それを無意識のうちに悟ったのがこの瞬間だったと思う。1998年の夏、ちょうどバロウズが死んで一年が経った頃である。そう、私が日々の服装に時間を掛けて悩むのは、私が平凡な人間だからだ。そしてそれは、十代の頃の、ぼんやりと「自分は周りの人間とは違う」という根拠のない自信を捨て切れていないことに起因している。この、教室の廊下側でマンガやゲームの好きな「オタク」層にさえなじめず、一人「サブカル」にアイデンティティを見出していた人間に特有の感情（90年代後半には、それがファッションへと昇華されたがあれはクリエイター志望のフリーターを増加させる結果に終わったように思う。儲けたのはインディーズレーベルと人件費を削りたい「おしゃれショップ」の経営陣だけだ）。三十路で同じ気持ちでいる人が、多分クラスに一人は未だにいる。それが多いか少ないかは私には判断出来ない。とにかく、私は今夜も酒で足元のおぼつかない身体でクローゼット（和室なので本当は「押入れ」）をあさるのだ。　【中古】単行本(小説・エッセイ) 裸のランチ確か「ブックオフ」で買ったはずだが思い出せない。まだ町田店はオープンしていなかったように思う

  2010.09.05

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  ＬＯＶＥ　ＩＮ　ＶＡＩＮ

  「考えるな、感じろ」という言葉がある。私はどうも好きになれずにいた。「難しいことを考えずに、素直に感動しろ」という意味合いなのだろうが、結果として思考停止を引き起こし、その作品が作られた背景、あるいはそこに至るまでの歴史といった、「作品以外の世界」に想像力を広げることを妨げているように思う。もちろん全ての事例がそうではないだろうが、例えばある音楽を気に入ってそのアーティストのルーツである音楽を聴いたり、ファッションを真似たりすることで新しいものに出会う、ということをしない人があまりに多いのではないか。また、あまりに感情に素直であるが故に、メディアによって都合よく作られたものに対し無批判に受け入れてしまうという弊害も含まれているように思う。音楽でも映像作品でも、「愛」は嫌というほどテーマとされているし、それはもちろん大事なことなのだがあまりに安易に「泣かせどころ」をピンポイントで突く作品が多く、またかなり多くの人が（正直に言えば私も含め）それには無条件に心を打たれてしまうのでやっかいだ。ちなみに最も卑怯な「お涙ちょうだい」は、「動物ネタ」だと個人的に思っている。かわいいじゃないか、動物。それが不幸な目にあっているのを見せられたら。ああ、本当にやめて欲しい。話がそれたが、「感じる」ことは大切だがあまりに人はそのことに対し素直すぎると思うのだ。職場にいる、アルバイトの学生がこう口にした。「洋楽は、何を言っているか分からないからよさが分かりません」この言葉で、私はほとんどの人が「感じる」以前に「考え」て、それが「分かりやすい」がゆえに好む、というプロセスを経ているのだと確信したのだった。かき鳴らされたギターの余韻や、無名のデザイナーが血を吐く思いで紡いだ衣服、そうしたものがことごとく無視され続けるのは、全てこうしたことによるのだろう。何を叫んでいるか分からなくて、でも切実な思いが伝わってきて胸を揺さぶられ、いてもたってもいられなくなりネットで歌詞を調べて、自分のつたない英語力で翻訳してやるせない気持ちになる、それが真に「感じる」ということではないか？あるいは、そうした「感じ方」自体が今やハードルの高い行為かもしれない。製作者の意図が存分に発揮されたものほど、そのエゴの大きさゆえにポピュラリティを獲得できず、一般人の目に触れにくい場所でそっと叫ばざるを得ないからだ。レコードなら西新宿のインディ専門店、映画なら渋谷のミニシアター、洋服なら青山のセレクトショップで、ひっそりと波長の合う受け手を待つ運命にある。考えようによっては、それは決して悪いことではないかもしれない。考えることも感じることも拒んだ大衆に迎合することを拒んだ表現者はただ純粋に感じてもらうことを望むし、そうした大衆からはじかれた私達はそうした場所とそこにある「本物」を求めればいいのだから。ただ、そこにアイデンティティを見出してスノッブになって居心地よく過ごしてはいけないし、一人でも多くの人にそうやって感じてもらうことに目覚めてもらう努力はやめてはいけないのだ。ブルースは確かに弱者の居直りだが、決してそこに安住しなかった。我々もそうでなくてはならない。【135ポイント付】俺と悪魔のブルーズ 1-4巻 全巻 【ポイント×5倍】いつになったら次が出るのさ

  2010.09.04

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  「キン肉マン」のカレクックの得意技「相手の傷口にカレールーを塗ること」だった気がする

  １９９０年代のブリットポップ全盛期に、「コーナーショップ」というバンドがいたのを覚えているだろうか。インド系イギリス人のグループで、「カレー屋を襲撃したジーザス＆メリーチェイン」というコピーが当時つけられていたと記憶している。その言葉どおり、だらしないディストーションギターにシタールを多用したサウンドは今聴いてもなかなかかっこよく、「色物」として片付けられないものがある。わが国の「国民食」と呼ばれているのはご存知ラーメンとカレーライスだが、どちらも外国の料理を独自に発展させたものだ。自国に資源を持たず、専ら加工貿易によって発展した日本らしいといえばらしい話だが、海外のものをリミックスしてオリジナルを超えてしまう、というのは食べ物も音楽もファッションも同じだなぁ、と思わずにいられない。以前も書いたのだが、３０歳を過ぎてカロリーが気になりだした私は出来るだけラーメンを避け、代わりにカレーを食べるようにしているのである。本当ならそばを始めとする和食がいいのだが、ラーメンの代わりにカレーが選択肢に挙がるところが庶民らしくて微笑ましかったりする。日本におけるカレー文化はイギリス経由でもたらされたと言われている。インドはイギリスの植民地であり、明治維新以降の日本は西洋文化の多くをイギリスに学んだのでその一部であろう。ちなみに、車の「右ハンドル」もイギリスに学んだことがきっかけで、現在右ハンドルを採用しているのは日本とイギリスとインドぐらいのものらしい。ファッションの世界も同様で、ジッパーが身頃の右につくのはアメリカをはじめとする「左ハンドル」の国、左につくのは日本やイギリスのように「左ハンドル」の国。ジッパーは車でいうと「クラッチ」だろうか。とにかく、植民地であるインドの料理をアレンジしたイギリスを経由して上陸したカレーは軍用食として採用されたことでわが国に普及する。当時札幌農学校の教員だったクラーク博士が米不足を補うためにジャガイモを入れることを提唱したのがきっかけで「ゴロゴロ野菜入り」のスタイルが確立して、「ビフテキ」や「ハヤシライス」といった「洋食」という「ハイカラ」な食べ物として―やがて実用的なメニューとして―定着する。そんな「カレー」は本当に人気の食べ物で、私の住む「ただの住宅街」にも本格的なカレーを出す店があるし、両隣の駅周辺をあわせれば一週間違う店で食べ続けられるほどカレーの店が密集している。インドカレーにはじまり、タイやベトナムなど東南アジア全域で独自の文化に根ざしたカレーが存在し、それを手軽に食べられるのがカレー王国（？）日本のいいところだ。インドに行ったことがないので事実かどうか知らないが、日本は世界一おいしいカレーが食べられる国だという。何でも、本場のあちらでは庶民に手が出る価格では良質な香辛料が使えないのが理由らしい。確かに中世のヨーロッパでは香辛料を巡って戦争になることもあったというし（現在の「株式会社」の原型である「東インド会社」も香辛料を得るために作られたという）、おそらく本当のことなのだろう。で、私が行ったのは都内某駅近くにあるインドカレーの店。ランチタイムに500円で本格カレーが食べられるところだ。猛暑に心地よいインドカレー。胃がもたれない、という点で、つけめんよりはるかに日本向けの食べ物である。そこで私はふと思った。日本のカレーは、どちらかというと「冬の食べ物」だということに。そう、わが国のカレーは、「煮込み料理」なのだ。なにも「片栗粉でとろみをつけているから」ではない。軍用食として、あるいは米が高級であったために、野菜を追加して手っ取り早く栄養を得るための工夫がそうさせたのだろうが、「シチュー」と同じポジションにいるように思える。雪が降る町を歩き、明かりの灯る我が家に戻るとそこには愛する家族とカレーライス。そんな光景が目に浮かぶのが日本のカレー事情である。ウィキペディアの「カレーライス」の項目によると、日本でカレーライスが定着したのは「日本の伝統食である『ぶっかけ飯（汁かけ飯）』の系譜にカレーライスが連なったため」とのことだが、私はそれに加えて冬の風物詩である「鍋」の要素が重要ではないかと思えてならない。とにかく日本人の食文化に欠かせないカレーであるが、もう少し本格的なカレーを「いつでも」楽しめるようにならないか、と思うのである。日本でカレーを外食で食べる場面といえばランチタイムがほとんどで、そうでない場合はチェーン店で「日本風の煮込んだカレー」を食べるしかない。本格的カレーを出す店はどこもディナータイムは居酒屋っぽい雰囲気に様変わりし、酒を飲みながらタンドリーチキンや何かがセットになったコース料理で食べなくてはならない、という風潮がある。スパイスを煮込む手間がかかるのかもしれないが、ほとんどの店で「カレーだけ食べて帰る」というのが許されない空気をかもし出しているのはどうにかならないものか。そもそも飲酒の習慣が世界的にみてもあまりないインドの料理だ。酒を提供して利益を得るよりも、高回転で客数を稼いだ方が長期的にみたらいいのではないだろうか。消費者はいつだって身勝手なのである。そして、こんなことを書いていてまたカレーが食べたくなった時に例外なく営業していないカレーショップは、ラーメン屋を見習うべきだと思う。よこすか海軍カレー 　1人前　200g

  2010.08.31

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  おしゃれ泥棒

  アルバイトの男子学生が「かわいい女の子とお近づきになりたい」というようなことを言っていたので、どういうタイプがいいのか聞いてみたら「代官山で買い物していそうな子」とのことだった。未だにそういう価値観があるのだなぁ、と感心した。ファッションも音楽も「そっちの文化」を全く知らない彼のようなタイプが「カフェ文化」とかそういうものに幻想を抱いているのだろう。私の幼馴染みも、ギャル系の女子が大好きで、「女の子のファッションはこうあらねばならん」だの何だの言っているが、本人は車にしか金をかけないので肝心のギャルが好みそうなメンエグ系とかB系の服など一着も所有していないのだ。よく「結婚するなら年収がいくら以上で身長は何センチ以上」と条件をつける女性を揶揄する言葉が聞かれるが、男も女も身の程知らずという点では同じなのだ。まぁ女性の方が現実的で、男の方が幻想に支配されているというのは異なっているが。なんといっても女性は高収入の男性なら水子を10人背負っていても、場合によっては人を（間接的にでも）殺めていても平気なように思う。そのあたりの割り切りは潔い。結婚した場合、相手にユニクロを着せて自分は優雅にブランド物を着てママ友と幼稚園近くのカフェでおしゃべり、っていうのが理想的な生き方だ。エレガンスのかけらもないが。それはともかくそのバイト君は結局は「non-no」あたりを読んでいるような女の子と恋愛をし、いつか代官山に意気込んで向かうのだろう。ディズニーランドに行くような感覚で。もし本気でそういう女の子と付き合いたいのならいくらでもレクチャーするし、彼もそれをわかっているだろうがそうしては来ないような気がする。それは本当に正しいことだ。ライフスタイルにおいて無理をしても結局破綻するに決まっているのだから。ネットによる情報が乱立した上にアパレルや音楽業界の構造が変化して、苦労しなくても「それなりに」おしゃれに見せることは容易になったわけだが、その分「偶然これに出会って人生が変わった」というような出会いは減っているだろうし、何だかんだで「普通」のラインにいる人の構造は変わらないというのが最近の印象である。「マニアックを気取っている」人が減った分、本当に何かにこだわっている人にとっては過ごしやすい状況かもしれない。それにしても、未だに「アート」とか「カルチャー」とか言ってモノにこだわっている（私を含めた）おっさんって、正直言ってちょっと気持ち悪いな。「スタジオヴォイス」は休刊して当然かもしれない。　【中古】少女コミック 1)代官山呪い屋st. / 浜田翔子【10P17aug10】「代官山」で検索して最初に出てきた（値段が一番安かった）のがこれ。ちょっと読んでみたい

  2010.08.22

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  フリーターは自己責任

  受験予備校の広告にはかわいこちゃんが使われていることが多い。「男よりは女の方が無難」という理由だろうが、それにしてもその大半が美少女にも関わらずどこの誰だか全く分からないのは「予備校」という業態ならではだろう。中途半端に名の知れた芸能人を起用してしまうと、「合格率」という重要項目とのギャップが生じてしまうからだと個人的に思っている。その点、「東進予備校」は潔かった。というよりただの人選ミスだろうが、東大合格者の数を売りにしているにもかかわらず、イメージキャラクターであった鈴木杏は和光大学に進学してしまったのだが（和光の名誉のために言っておくと、同大学は元ジャックスの早川義夫を皮切りに個性的なアーティストを多数輩出しており、「偏差値云々」ということを除けばわが国でも屈指の個性的な学校として評価できる。特に渋谷系の人脈において和光学園は必要不可欠な存在だ）、下手に有名な人をモデルにするとその人の高校卒業後の進路まで明るみに出てしまうという反面教師的な例であろう。偏差値、および学校のブランド至上主義であるわが国の大学事情はそれはそれで合理的だとは思うのだが、大学というのは「そこで何を学んだか」が問われるべきだと思う。別に新宿アルタ前に集まって飲み会をしているばかりの学生を揶揄するつもりはないが（今風に言えば「リア充」。ちょっとうらやましくもある）、聞けば名の知れた大学でも卒論のないゼミもあるそうで、そうしたところを要領よく見つけてのんびり「一流大学卒」の称号を得るものと、無名ながらも優れた指導教授の下で真剣に自分のやりたいことをやってきた学生が就職する時に学校名だけで差をつけられるのはおかしいと常に思うのだ。全ての人を時間をかけてみることが出来ないのが採用の常ではあるし、「要領のよさ」＝「仕事の段取りの能力」という基準を設けざるを得ないのも理解できる。だが、「大学」が「学問の場」である以上（それ自体怪しくもあるが）、「そこで学んだこと」を単にサークル活動でなく純粋に学問の面で見ることも必要だと思うのだ。確かに、高度な教育レベルで大学教育を受けた人間の方がより高度な学識を持ち、高度な研究が可能かもしれない。それに、体育会系の学生の方が御しやすいというか、より安い賃金で言うことを聞く人材になるかもしれない。だが、「好きこそものの上手なれ」ではないが、自分が置かれている状況に対し真剣に喜びを見つけられる存在というのはそれだけで希少ではないだろうか。国の借金が（国民に発行した国債とはいえ）1000兆に達するこの時代、目先の利益に向かうのは当然かもしれない。だが、「自分さえよければそれでいい」という考え方では結局中国に負けてしまうだろう。経済のことなど微塵も分からないが、とりあえず身内だけでもしっかりしなくては、と思う私であった。それは単に有能な社員、という意味ではなく、アルバイトも含めて将来的に自分達に得な選択を出来る、という意味である。「100円ショップで買い物をしてばかりいたら自分の身が危ない」と理解できるような人間、これこそが日本を救うんじゃないのか。「鳥人間コンテストに出た」という経歴で採用された同期は、（今は）仕事が出来ないがこういうことをよく理解できている。それを評価した会社も、そして彼自身もこれからの時代生き残っていく素質がある、と思うのは身内を評価しすぎなのだろうか。20年後ぐらいに答えが出るだろう。酔っ払っているのでこんな感じで許してください格差社会をこえて

  2010.08.12

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  中村晃子がキュートすぎる件

  近所のスーパーにいるレジ打ちの人がかれこれ半年以上ずっと「実習中」の札をつけているのがいよいよ気になりだした。名前からすると中国から来た方で年齢は二十代後半ぐらい。主に夜の時間帯にいるので留学生か。あるいは主婦かもしれない。日本語も仕事も問題なさそうなので、本人も含めて札を外すのを忘れてしまっているものと思われるが、それはいかがなものか。毎日毎日毎日毎日ひどく暑くて、Tシャツではまったく快適に過ごせやしない。かといってシャツはアイロンがけが面倒だし、アロハにいたっては洗濯の時点で気を使うという状態だ。我々は一体どうしたらいいというのか？涼しげに過ごすならやはりボサ・ノヴァがいいと思う私だが、ジョアン・ジルベルトとか王道を聴けばいいのにYou Tubeで聴くのはどこかどんくさい60年代の日本のボサだ。ファズギターがききまくったB級GSのガレージサウンド同様、アンダーグラウンドな雰囲気ムンムンなのに立派な歌謡曲。渋谷系だ何だとか騒がれた90年代に「渋谷発・世界同時進行」と謳われて、日本のポップ・ミュージックがようやく世界レベルにまできた、みたいな流れがあったが、サンプリング的センス云々よりもミュージシャンの技量が問われた当時の方が音楽的には完成度が高かったことを感じずにいられない。なんと言っても「渋谷系」以降お茶の間レベルになったのは「R&B」「ヒップ・ホップ」「レゲエ」のしかも「分かりやすい悪っぽさ」だけで、シューゲイザーなんかは完全に無視されている状態だ。ヴィジュアル系でもEXILEでも何でもいいんだが、なぜあれだけ過激なルックスで謳っている内容が恋愛ばかりなのか。「湘南の風」は「レゲエ」と言い張っているが、なぜあんなに暑苦しいのか。「ファミリー」を大切にするのはあちらの被差別階級にとって大切だが、深夜に「ドン・キホーテ」にVIPカーで繰り出すライフスタイルとは少々ギャップがあるように思えてならない。「郊外化」と「格差」が進んでいるが、圧倒的に西洋と異なっているのはそれに対し怒りを感じるでもなく自ら進んでそちらに向かっている印象が感じられる点だ。寝苦しい夜に日本のレア・グルーヴからそんなことを思ったのだった。さて、明日は何を着ようかJポップな日本語

  2010.08.07

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  都市まえん

  東京の繁華街は数あれど、個人的に最もなじみがないのは池袋である。何度行っても慣れない。上京して14年、ようやく街の構造を理解できたのだが長時間いようという気になれない場所だ。そう、この街には「文化」がないのだ。戦前は庶民の拠点が浅草、高級な繁華街が銀座という住み分けがなされていた東京の繁華街。知的階級の移住と共にそれは新宿から中央線、あるいは私鉄を通って西へ移動したのは周知の通りだが、学生運動やアングラ演劇の舞台となった新宿、あるいはそうした流れが飛び火していった渋谷や下北沢、吉祥寺なんかと比較しても池袋には文化的な要素が希薄である。立教大学をはじめ大学も周辺に多数あるが神田界隈のような雰囲気でもなく（強いて挙げるなら「ジュンク堂」だけは書店としては立派だ）、ファッションも音楽も「ここにしかない」ものが存在しない。非常に中途半端な街なのである。そもそも歴史的に東武東上線や西武池袋線が開通して、「埼玉県民にとっての東京の玄関口」として発展したという流れがあるので仕方ないのかもしれないが、東北から東京に流れるターミナルである上野が闇市を経由してインポートショップのメッカという地位を築いていることと比較すると、やはり少々寂しい感もある。高度経済成長を支えた「金の卵」のパワー（成り上がり精神）と「あこがれのマイホーム（でも職場から二時間）」のホワイトカラーの違いだろうか。とにかく池袋はそんな街である。周辺の学生も専ら酒を飲むときにだけ利用している、そんな印象があるがあながち間違っていないと思う。「ビームス」をはじめセレクトショップも大手は全部あるが売場面積的にどれも中途半端、というのもそれを物語っている。さて、そんな池袋に足を運んだのは、先日紹介した501XXをリペアに出すためだ。場所は原宿や高円寺、下北沢といった古着激戦区から離れた場所で長年営業している「レッドクラウド」。ここを選んだ理由はそれなりにアクセスがいいこともあるが、リペアの値段が安そうだったことと、何より待ち時間が短い（HPによると通常三日で仕上がるとのこと）ことだ。以前「下北ならよく行くから」という理由で下北沢の「ベアーズ」に依頼したことがあったのだが、けっこう待たされたのと料金がちょっと高かった印象があったので変えてみようと思ったのだ（「ベアーズ」の名誉のために言っておくが、仕上がりは素晴らしいし対応も非常に親切なので下北沢の近くに住んでいるならおすすめである）。ここは以前三越（今はヤマダ電機になっている）の近くに店を構えていたのだが昨年移転しており、移転後は初の来訪。HPでざっくりと場所を認識してそこに向かう。「P'PARCO」の前を線路に沿って大塚方面に歩いた先にあるのだが、一歩入ると飲み屋と風俗店しかないような非常に下世話な場所。特定の住居を持たない人の脇をすり抜けて５分ほど歩くと移転前の半分ほどの店舗が見える。間違えようのないルートだが「本当にここでいいのか？」と不安になる距離、そして場所。ヴィンテージに強い店で知られる同店だが、売場を縮小したためかヴィンテージは少なめ。「言われたら出す」というスタンスか。店内のレギュラー古着に目もくれずカウンターの店員さんにリペアを依頼。股の補強で2500円は高いのか安いのかよく分からないが、二日で出来るということで満足して店を後にする。この手のショップにありがちだが、名前と連絡先を聞かれるだけで伝票の類は一切作成してもらえない。手元に残るのはレシートだけ。少々不安にはなるが、老舗なので大丈夫だろう。いざとなったら、店を出るときに入ってきた（おそらく）広告代理店の営業のおばさんが証人になってくれると思う。なんていう会社の人か忘れたけど。何度来ても「自分はよそ者」と思われているように感じる街なので、パルコのセレクトショップを軽く流して帰った。7月も終わりだというのにセール品を置いているのが景気の悪さを象徴しているように思えてならない。それだけではなく、「セレクトショップを信頼する層は30代以上、置いてある商品は若者向け」というギャップも原因の一つではないかと思う。いっそのこと「ビューティー＆ユース」は全部「ディストリクト」に、「ジャーナルスタンダード」は「J.S.Homestead」に変えた方が儲かるのでは？と勘ぐってしまうのだがおっさん世代は中国製じゃ納得しないのでそれでは客単価は上がっても粗利が取れないのだろう。ファストファッションは落ち着いたがアパレル全体がマクドナルドと化すのはどうもなー、と思う私である。何と言っても、好きなように金を使えるのは学生だし、国内の産業、及び雇用を維持するのはホワイトカラーとその予備軍である学生なのだから。ちなみに、ちょっと時間があったので、興味本位で「街娼が客引きをしていることで有名な」北口の喫煙所で一服してみたが時間が早かったせいかそんな光景は見られなかった。「周りの人が全員買春目当てに見える」という風景は新鮮ではあったが、よくよく考えると自分もその一部に見られていたかと思うとちょっと心外ではある。複雑な気分。【中古】【古本】池袋ウエストゲートパーク／石田衣良もうワンコインで買えるみたいです

  2010.07.30

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  Yukata Magic

  このブログを通じて友人になった盟友チキンピッカー氏がツアーで関東に来られるということで、張り切って予定を合わせようとしたのだが失敗した。急遽仕事の予定が変わってしまったのだ。「全身ヴィンテージか、それともちょっとこじゃれた感じにするか」とアレコレ悩んだのだが（それが楽しい）、結局氏のスケジュールに合わせきれなかったのは本当に申し訳なく思う。次の機会には有給を取得してでもどうにかしたいところだ。現代社会において、ファッションの役割は究極的には「自己のプレゼン」なのではないかと思っている。身体保護であったり身分や政治的な役割の表現であったりというところから離れれば、結局は趣味の表現なわけだ。それを互いの尺度で判断するのが「おしゃれ/ダサい」の基準なのだが、それよりも大事なのは「その日会う人のために見た目に気を使い、礼節を尽くすということのように思う。そんなことを思うのは服や小物の力を借りなくてはならない私のしょぼさもあるのだが、ファッショニスタなら分かってくれると思う。ところで今日、仕事が終わって駅に降りたら浴衣姿の女子が数人いた。部屋に着くと窓から花火。夏である。それにしても、ギャルの浴衣姿は日本の伝統的エロティシズムとは異なった魅力があるのが興味深い。木下優樹菜が出演するイオンのコマーシャルに顕著であるが、チラリズムとかそういうレベルではないポップさは若さが大爆発しているとしか言いようがない。その隣にいる男子のオールドスクールなチンピラ風作務衣やただのカジュアルの、なんと女性を引き立てることか！これは現代のダークスーツである。ただ、靴の汚れを落とすとか、シンプルでも上質なものを着るとか、もうちょっと気配りが出来ればいいのに。 【送料無料】【ポイント2倍】木下優樹菜カラコン♪14.5mm　『QUEEN EYESクイーンアイズ 　ヘーゼル14.5mm（度なし）』4582303340527  

  2010.07.27

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  ガール

  帰宅してネットをすることもなく寝る、という生活が続いている。原因は仕事の忙しさではなく、暑さのせいだとおもう。消耗するのだ、体力を。職場でネットを立ち上げるととりあえず表示されるヤフーのトップニュースで知ることは村崎百郎の死だったり徳沢直子の結婚だったり全く脈絡がない。個人的な感想を言えば、村崎百郎なんて90年代にサブカルにはまった一部の人意外は知るはずもない人物で、今回死をもって過去最大級のメディア露出を果たしたのではないだろうか。彼の書く文章と、その鬼畜ぶり（捨てられたゴミから、その人の生活を分析する、というのがお家芸だった）からセキュリティに対する意識が備わった私は、追悼の意を込めて当時の雑誌連載でも見返そうと思う。徳沢直子に関しては、多分2001年ぐらいだったと思うが当時のセブンティーンモデルで一番素敵だったのを記憶している。骨みたいな鈴木えみ、「遅れてきた不思議ちゃん」が今のブレイクぶりからすると信じられないほど痛々しかった木村カエラに囲まれて地味ながらも正統派の美少女だった彼女の出身中学は私が前に住んでいたマンションからその気になれば歩ける場所だった。なぜそんなに詳しいかと言えば、当時の私は書店でバイトしていたからであって決して「女子高生ハァハァ（AA略）」な変態ではない。説得力全くなし。21世紀も10年目になり、村崎百郎にせよ徳沢直子にせよ当時のことなど誰も顧みないのであるが、まぁそれはそれでいいのかとところでネットでドゥニームのデッドストックを手に入れた。LEVI'S 501XX 大戦モデルのワイドなシルエットを踏襲！DENIME 5 POCKET WIDE STRAIGHT ドゥニーム 5ポケット ワイド ストレート505タイプのやつだ。ドゥニームは66を一本所有しているがシルエットが綺麗で色も上品、レプリカらしくないところが気に入ったので、フルカウントと迷って日常用に購入。思ったより細くないのがよかった。ネットオークションを中心に66XXが高騰しているが、本当にそこまでの価値があるのかは不明。日常的に穿けるデニムが一番なんじゃないかと思うのだがどうなのか。マニアはたかがレプリカなのに定価以上のプレミア価格で購入して普段穿きにするのか。理解出来ない。結局、何もかもが失われて初めてその価値に気付く、という原則から外れることはないのだろう。アイドルもデニムも、そしてそうしたものと触れていた若き日の自分も。ノスタルジックな気分に浸るのもアレなんで寝ます

  2010.07.24

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  東京

  不況の中好調だった「餃子の王将」がついに減収だそうだ。王将といえば、You Tubeで研修風景が話題となった企業だが、そんなことはどうでもい。今日、偶然見たテレビのニュースで放映された王将の下北沢店、商店街をカメラがグルリと一周して店舗が映し出される、そのわずか2、3秒の景色で「あっ、シモキタだ」と気付いた自分に驚いたのである。下北沢駅の南口からまっすぐ商店街を下り、「本多劇場」の入り口がある通りとぶつかる場所に「餃子の王将」があるのだが、まぁシモキタの中では特徴的な場所とはいえ、それが染み付いているというのはどうなのか。「サブカル大好き旧世代」丸出しではないのか。老舗古着屋「シカゴ」の下北沢店や、お好み焼き「かどまえ」（おいしい）があるこのエリアに、数年前まで「昼間は古着屋、夜は居酒屋」という不思議なテントの店があったのを久しぶりに思い出した。経営者が同じだったのかどうかは知らないが、古着屋は「Once upon a time」という名前で、夜になると服を裏に片付けてテーブルが出てくるという不思議な場所であった。今思うと一度ぐらい食べてみればよかたのだが、服を見ていると食べ物目当てのゴ○○リがよく散歩していたのでどうにも踏み切れなかったのである。その後（2004年ごろだったと思う）その土地はビルが建ち、古着屋はライブハウス「屋根裏」のすぐ下に移転したが今はどうなったか分からない。そういえばそのすぐ隣には日本未発売のレアなスニーカーばかりを集めた小さな小さな靴屋があり、それもけっこう安かったのでいつも人が入りきれないほど賑わっていた。今はその二箇所とも、女の子向けの激安雑貨の店になっている。シモキタの「王将」は「Club Que」の上にあった「ファーストキッチン」と並び、ライブを見に行く時（あるいは自分がライブをやる時）に休憩する場所として使っていた。普段は色々な店を試すのに、なぜかライブの日だけはそれ以外の選択肢がなくなるのである。不思議なものだ。最後に利用したのはいつだったか。現在、下北沢は戦前に計画された54号線（環状6号線）の今更の復活で揺れている。それと呼応してかどうかは知らないが、小田急線の複々線化事業でついに「駅を地中に埋める」工事が本格化した。予定では現在駅がある場所はバスロータリーを含めた駅ビルを作る予定になっているらしい。一体どうなってしまうのか。バリアフリーが推進され、踏み切り待ちがなくなるのはいいことかもしれないが、住民もあそこに遊びに来る人間も、今の街の状態になじんでいるように思うのだが。ラッシュ時に「よく人が落っこちないな」と感心させられる激狭のホームの風景も、いつかノスタルジーになるのだろうか。吉見俊哉（著） 「21世紀の都市社会学 都市の空間 都市の身体」初版 1500円：楽オク中古品曽我部恵一BAND / キラキラ! 【CD】下北沢の開発に反対している人たち。曽我部バンドには大学時代の友人がサポートメンバーとして参加しているようです

  2010.07.12

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  こちら葛飾区亀有駅前ラーメン

  久しぶりに葛飾・亀有のラーメン屋「豚喜」に行った。ここは「ラーメン二郎」のインスパイアでもかなりの人気店で、実際非常においしい。「二郎」の看板を掲げている店の中でも上位にくるのではないか、というほどである。少なくとも、個人的には「しょっぱい小岩店」「妙に甘みのある亀戸店」より好きである（あくまで「好み」なのを前提にしていただきたい。上記二店も決して悪くはないのだ）。今年初めてではないか、というくらい久しぶりに行ったのだが相変わらず大満足で（「汁なし」にすればよかったかな、とも少し思ったが）店を後にして、北口の古本屋に向かうとロータリーが警察に占拠されていて報道陣と野次馬で歩道が埋め尽くされていた。バス停に車が乗り上げていて、どうやら事故らしい。あとで知ったのだが、ガス会社の営業車が（ギアをニュートラルにしたつもりがそうなっておらず）無人の状態でバス待ちの列に突っ込んだのだそうだ。幸い死者は出なかったようだが、何が起こるか分からないということを身近に感じた出来事だ。それにしても、亀有というのは不思議な魅力のある街だ。葛飾区としては新小岩と並ぶ繁華街だが都市としては北千住（足立区）の影に隠れ、観光地としては柴又の方がメジャーで、「こち亀」のイメージだけでもっている地域である。が、実際便利な街だし、若者向けのショップがないかといえばそこそこにあるし、でも周辺に大学をはじめとする学校もないからそんなに若者でにぎわう感じでもない。ラーメンと激安風俗がその道のマニアには有名らしいが、実際生活するには最高の環境だろう。ちなみに私が人生初のアロハを激安で購入したショップは実は亀有のある地味な商店街で営業している。お隣の金町をはじめ、城東地区の再開発が進む昨今であるが、亀戸、亀有、金町は今や「３Ｋ」と呼ばれ、今後注目の生活圏となっているようである。リーマンショック以前に江東区および南千住（「明日のジョー」の舞台！」）が注目されたのは正直なところ驚いたが、「イメージはいいが坂だらけだし通勤も大変」な多摩地域の評価が下落した今、サラリーマンが賃貸から脱出するのには実際このあたりが限界なのだろう。小田急沿線で学生時代を送り、下北沢に思い入れのある私には未だ「東京の西側」に価値があるように感じるのだがどうやらそれは古い価値観のようだ。調べてみると、片道の運賃は500円かかるが、地価・家賃相場共に同等の町田市鶴川あたりと比較しても下北沢への所要時間は15分程度しか変わらない（原宿や青山だったらむしろ亀有の方が近くて安いし電車も空いている）。だったら、都心に近い亀有の方がよくはないか。どう考えても物価は安いし、駅前が猥雑で「ガラが悪そう」なのを我慢すれば圧倒的に得だ。「治安が悪い」というイメージのある城東地区だが、実は粗暴犯を除き空き巣や車上荒らしといった犯罪の数では圧倒的に多摩地区より数が少ないのである。多分「金を持っている奴が少なそう」というのが要因だろうが、総合的にみて「下町、よくないか？」と思うのである。古くは岡崎京子、最近では浅野いにおのマンガに描かれる世田谷～三多摩の「サバービア感」は確かに90年代に青春を送った世代にとって魅力的だが、時代は確実に西から東へと移行しているのだ。久しぶりに亀有を歩いて、そんなことを思ったのだった。本当は時系列で「都市と郊外」について語りたかったが、例によって酔っ払ってしまったので無理だすまん全商品 送料無料！ポイント5倍【漫画】こちら葛飾区亀有公園前派出所（1-170巻　最新巻）漫画全巻ドットコム【smtb-u】 【全巻セット】 【新品】【PC家電_167P5】05P02jul10これは欲しい

  2010.07.06

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  The break up

  ねばってねばってねばってねばったら、職場近くのレコード屋がついにFleeting Joysのファーストオリジナル盤を三割引きに下げたので購入した。国内盤再発より少し高い、という程度の3000円ちょっと。半年前なら10000円のプレミア価格だったので（それもたまにネットオークションに出品される程度で、現物を見ることはなかった）、モノの値段というのは本当にあってないようなものだなぁ、と感じる私である。You Tubeで断片的に聴いていた「マイブラ『ラブレス』の再来」とまで言われた名盤が、とうきうきしている（けど、その入手困難ぶりで話に尾ひれがついているような気がしなくもない）。Fleeting Joys / Despondent Transponder 【CD】（こちらは再発）早速iPodに入れて、でも聴くのをガマンして通勤の楽しみにしようと思っているのだが、今回の私の「どうせ買うならオリジナル」という行為が、また音楽産業に悪影響を与えたのでは、という思いが心に残っていてどうにもすっきりしない。HMVがツタヤ（C.C.C.）に買われてしまうほど、新品の音楽ソフトが売れない状況だ。ライトユーザーはレンタルかダウンロード。一定以上の年齢のマニアは「とにかくレアな廃盤を」という流れだ。しかも洋楽が輝いていた（そして邦楽の質も上がった）最後の時代である90年代に青春を送った私の世代は音楽を聴かなくなっているらしい。なにせ半数近くが非正規雇用の年代だ。学生時代みたいにほしいものばかり買ってもいられない。思えば、2000年代半ば以降、私自身買い物をするのは大抵ネットで、その半数はオークションを利用した個人売買だ。若さを失うと共に若者向けの店から足が遠のき、またじっくり商品を見る気力も体力も失ったこともあるが、対面で行う小売はこのままいくと絶滅するのではないかとさえ思わずにいられない。それに対し「C to C」と呼ばれる市場は成長を続け、ネットオークションも業者向けアカウントのインフラが整備されている状況である。ここで問題となるのは、「じゃあ日本の雇用はどうなるの」という話である。工業化によって若者、特に地方の裕福でない家庭に育った者を中心に第二次産業で「金の卵」と呼ばれ、やがて製造業が海外に拠点を移すことであぶれた層はサービス業へ移行した。「あきらかに接客業に向かないフリーター店員」はどこの街にもいるが、ネットで買い物が出来るようになればそれさえも需要が減っていく。まして、留学生をはじめとする外国人は増える一方だ。少子化だから少ない人数で商売する、とでもいうのか。若者が減ったら「ムダなもの」ほど売れなくなっていくのは明らかだ。2020年頃には、ツタヤもブックオフも20坪くらいの店舗でデータ化されたコンテンツを貸したり中古で売ったり、という時代になっているかもしれない。「電子書籍云々」で騒ぎが続いているが、メディアで報道されるのは「本はなくなるのか」「出版業界はどうなる」という、マスコミ側の視点ばかりではないか。もっと、現場レベルで考えると恐ろしいことが起こりつつあるような気がするのだが。たかがシューゲイザーのCD一枚でブルーになる私であった。まぁ、明るいシューゲイザーというのも何だかアレだが。

  2010.07.03

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  お前もか

  もう明日の朝には次の号が発売される、という今更な時期になんだが、雑誌「BRUTUS」の30周年特集が面白くてじっくりと読んでいる。若者にカジュアルな「ファッションとしての文化」を持ち込んだ「POPEYE」の兄弟誌として日本のカルチャーを牽引し続ける本誌の過去、これまでの歴史の中で文化が分野ごとにどう変化してきたか、が盛りだくさんの内容なのだ。そうそうたるメンバーが寄稿している刺激的な文化論（？）の中で特に印象に残ったのが、宇野常寛のサブカルチャー批評だ。ざっくりとまとめると、90年代半ばの「渋谷系」あたりまでは「都市」と「文化」が密接な関わりがあったが、「秋葉原」以降、ケータイ小説にしてもマンガ、アニメにしても、地理性から分断されている、という指摘だ。その後も「それ以前」「以後」での差などが論じられていくのだが、この文章を見てなるほどなぁ、と思ったわけだ。90年代当時、既にカルチャーシーンにおいて東京と地方の格差はかなり少なくなっていた。渋谷系によって「東京」の新たな魅力が再発見され、岡崎京子の作品などで「憧れの対象」として成立していた東京であるが、実際その頃にはちょっとした地方都市なら東京と同じものがほとんど全て手に入る状況ではあった。ネットがなかったので多少のタイムラグはあったが、カルチャーがファッション化することによって高校生でもレアなレコードや古い映画のことも知ることが出来たし、買うことが出来た。1996年のブームの頃には「エイプ」や「アンダーカバー」なんかは地方のセレクトショップにかなり卸されて売られていたように思う（少なくとも私の地元、新潟では手に入った）。クラブイベントだって当たり前にオールジャンル入ってきていた。ただライブハウスやミニシアター系の映画に乏しいことと、例えば渋谷のセンター街と公園通りでファッションが異なる、というように母集団の数による住み分けが地方では不可能だったために文化としての「ストリート」が存在しなかったことだけは決定的な違いだったように思う。だからこそ東京に価値があったし、それが最後の砦だったのかもしれない。宇野が指摘するように秋葉原系オタクカルチャーには特定の都市に根ざした文化的表現は見受けられず、You Tubeやニコニコ動画で同時多発的に共有可能な文化が主流になった今、まさに（言い方は悪いが）「ルサンチマンとしてのファッション」ひいては「ファッションとしての文化」の必要性は薄れてきている。だって、学校のクラスで相手にされなくても「２ちゃんねる」や「ニコニコ動画」で注目されることだって出来るのだから、わざわざ例えばこっそりDJの練習をして、家を抜け出してクラブで遊ぶ、なんていう必要はないのだから。そうやって「ああでもない、こうでもない」と言いたがる姿勢自体が古いカルチャーの中で生きてきた人間なんだな、と自分でも思うのだが、今回の「BRUTUS」を読みながら愕然としたことがある。未だにどうにか「東京だけは特別」な存在である文化、例えば下北沢の芝居とかライブとか渋谷のミニシアターとか、そうしたものをもはやここ数年追いかけていない自分自身に、だ。東京にいる必要性がまったくない、どころか、自分の生活にとって「文化」とは何か？何それ、強いの？みたいな状態ではないのか。こうして人は大人になっていくのだった。BRUTUS (ブルータス) 2010年 6/1号 ［雑誌］

  2010.05.31

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  夜は静か、通り静か

  久しぶりに中村一義の「金字塔」を聴き、その実験的な内容に感動したのだが、同時に音楽は個人の人生は変えても世の中を変えることは出来ないのだな、思った。「犬と猫」は60年代なら間違いなく放送禁止になっているような過激な内容なのだが、彼の言う「同情で群れ成して、否で通す」状況は今も結局変わっていないのだから。音楽に限らず、駅や町内会の注意書きの看板にしたって、本当に対象となるべき相手に限って気付かないものなのだ。例えば、私の職場に同い年の女性アルバイトがいるのだが、彼女はゴールデンタイムのテレビ番組に出てくるミュージシャンしか知らないし、元アパレル（とっても量販店にいたことがある、という程度だけど）ということで得意気にファッションを語るのだが、そのくせ私が着ている某有名セレクトショップの名前も知らない。そうした輩が大手を振って歩く社会に私達は生きているのだ。だが、そこには単に「マジョリティが正解となる」ということだけではなく、自分にも突きつけられる課題が山のようにあるような気がするのだ。酔っ払っているので（健康診断が終わったので酒解禁）うまく言えないが。かつて、私の母親は「頭のいい人ほど周りがかしこくみえる」といっていたが、一言で言えばそういうことなのだろう。「身の程を知る」というか、世界の広さを知れば自然と自分の立ち位置がセグメントされてくるものなのだ。私は常々「ファッションは『何を着るか』と『どう着るか』という二つの方向性において差異化を行う」と考えているが、「センス」「雰囲気」という数値化できない、あるいは絶対的な価値を除けば、結局は知識の差がその全てを決定する。10のブランドを知っている人と、100のブランドを知っている人では圧倒的な差があるのだ。そして、そこには同時に私の友人が口にしていた「ファッションはハイクラスのもの」という言葉が重くのしかかる。「メイド・イン・チャイナ」の服しか着ない人にとって「おしゃれな服」は駅前のショッピングセンターにあるものだし、パリコレデザイナーの発表するものは自分とは無関係のものだ。だが私が庶民である以上、その基準によって「おしゃれ度」が測られることから逃れられない。（いささか旬は過ぎた気はするが）「ゴヤール」でオーダーした財布より、「ドン・キホーテ」で買った「グッチ」の方が「庶民にとっての分かりやすさ」において「おしゃれ」と判別されてしまうのが世の常、だ。そんな状況で服装に気を使うのも無駄遣いでしかないのだが、大学時代の恩師がよく口にしていた「いい物を知ると、そこから基準を下げられなくなる」という言葉が今でも耳に残っている。彼は大学の教員になりたての頃、月給より高いフルオーダーのスーツで出勤し、「若造のくせに生意気な」と言われたそうだ。だが「いい物への欲求」は止められない（個人的には、周囲の人間がそれを「生意気」と見抜ける審美眼を持っていたことがうらやましくもある）。何が言いたいのかだんだん分からなくなってきたのだが、私のような人間がネットを使って何かを主張するのはどうなのか、というお決まりの結論にいきそうになる。ただ、そうなると専門家以外の意見は全て「ダメ」ということになるから難しくもあるのでどうなのか。「社会」だの「文化」だのと言うならその定義をはっきりしろ！的な空気が苦手で大学院をドロップアウトしたところもなくはないので、なんだかかんだか。所詮は庶民、ということなのか。否、やはり庶民なりに「突っ張っていこうじゃん（「高校四年」＠バロン吉元）」！黒い鷲（黒いわし）　全4巻★初版★　バロン吉元/作

  2010.05.28

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  ダウンタウン・ブギウギ・バンド

  アメ横は永遠にアメカジ天国！なのである。誰がなんと言おうとそうなのだ。おしゃれキッズ垂涎の「メイド・イン・U.S.A.」が日本一、いや、世界一と言ってもいいくらい揃うのが上野の「アメヤ横丁」なのだ。空（Ku U.S.A.）を運営する上野の老舗セレクトショップ「BEAVER」でMANASTASHのショートパンツを購入した。クライミングパンツの王道ブランドであるGRAMICCIと穿き比べて、よりすっきりしたシルエットだったのが決め手だ。どうでもいいがGRAMICCIを「グラミチ」と呼ぶのは90年代当時のアウトドアブームの世代で、今の若い人は「グラミッチ」と呼ぶらしい。BEAVERの店員さんも「グラミッチ」と言っていた。しかもイントネーションが違った。語尾を上げる呼び方だった。それが2010年というものだ。その後隣のヒノヤに行ってデニムを試着。何年も気になっているシュガーケーンの砂糖黍デニムを試そうと思ったのだが、デニムのコーナーに着くなり店員さんに「お兄さんみたいな体系だったら、こういうタイプがいいですよ」と違うデニムを試着させられる。私のように貧弱な体系の場合、彼の言うように尻から腿にかけてもたついてしまい、シルエットがファッショナブルではなくなってしまうため「前股上と後ろ股上の差が少なく」「股上が浅めのパターン」がいいらしい。ショップオリジナルのデニムを試着してみて納得。腰回りはすっきりしているのに、しっかりヴィンテージ風のゆとりあるシルエットで窮屈さを全く感じない。やはり次に買うデニムはバーガスプラスの770≪最高のジーンズ作りました。≫BURGUS PLUS　バーガスプラス　Lot.770　ONE WASH　770-1201なのだろうか。オリジナルの507XX（所謂リーバイスの「セカンド」）を着ていたせいか、全くレプリカデニムの素人相手の接客をされたことが気になりつつも非常に親切だったことに満足。最近東洋から出たCAT'S PAWのワークパンツCAT'S PAW WORK CLOTHING　by 東洋エンタープライズ　キャッツポウ ワーククロージング　WORK PANTS　CP40850　≪新商品！≫も気になったが、この手のパンツは今　穿いているチノがダメになった時に考えることにする。その頃、まだこれがあればいいなと、ここまで備忘録上野というのは、完全に「置いていかれた」繁華街である。金町だの西新井だの南千住だのと、東京東部の開発が進み「平均的なサラリーマンがマンションを買える限界」の地域最大のターミナルにも関わらず、上野には「昭和の香り」が強くただよってしまうのは運命だろうか。なにより、「上野の109」的な立場であるファッションビル「ABAB」のなんと埼玉くさいことか。江戸城があった日本橋を中心に、隅田川周辺までが生活地域だった江戸時代から、今の文京区あたりを「山の手」とし、上野以東を下町とする風潮は100年以上変わっていない。「ハレ」の場は銀座、「ケ」の場は浅草、というのが昭和初期までの東京の繁華街だが、同時に知的階級は本郷（いわずもがな、東大がある場所）を中心とした文京区周辺から渋谷、目黒あたりに（第二山の手）居住圏を拡大し、戦後は世田谷、杉並といった第三山の手へと広がっていった（このへんのデータはベストセラーとなった三浦展の新書「下流社会」を参照して欲しい）。中央線、京王線、小田急線、東急線といった沿線のターミナルである新宿、渋谷がそれに伴って発展していくが、それに対し上野、浅草周辺の地域は北陸、東北地域から集団就職で上京してきた「金の卵」のための街としての性格を強めていく。高度経済成長期にはそれが東京都下にまで拡大し、アッパーミドルのホワイトカラーが居住する地域といえば「新百合ヶ丘」「たまプラーザ」「聖蹟桜ヶ丘」周辺の「第四山の手」と呼ばれる地域、という認識が当たり前になった（実際、サラリーマンが居を構えられるのはその周辺にある駅から徒歩15分の公団なのだが）。厳密にはわが国には階級制度はないが、社会階層は再生産が行われる傾向が強いので、「両親が高学歴で、当たり前に大学に進学する人たち」の住む山の手地域と、「自分は中卒なのでせめて高校に行けば」な下町との格差が出てくるのは当然である。かくして、60年代後半には新宿が文化の中心となり、上野は取り残されていった。1980年代の大学の郊外への移転も当然そうしたアッパーミドルの地域に集中し、地方出身の団塊ジュニアも結局は上京後そうした山の手的なサバービアを東京の風景として認識するようになる（私もその一人）。そうこうしているうちに埼京線の終点が池袋から新宿、渋谷と伸び、最終的には「湘南新宿ライン」として品川や横浜方面にまでつながっていくのだが、これが前述の「『ABAB』が埼玉くさい」につながっているように思えて仕方がない。大学に進学する層は例え埼玉県在住でも池袋や新宿方面に流れ（大学の多くがこれらの駅を起点とする沿線に所在するので当然だ）、そうでない層は幼少期に親に連れてこられた上野へと流れてくるのだ。私は高校生の頃に60年代、70年代ブームの洗練を受け、その中でもスカした渋谷系よりも昭和レトロな雰囲気に魅力を感じたので上野にまったく抵抗がないが、やはり大半の若者はたとえ千葉や埼玉に大学があっても上野ではなく新宿を選んでしまうのだろう。それは仕方のないことだが、少々さびしくもある。年末年始のアメ横の混雑が年々ゆるやかになっているのには景気の後退やネットの普及もあるのだろうが、実はこうした知的階級の生活圏の変化による若者の都市意識の変化も関係しているように感じる。今、下町で開発されているマンションに居住している団塊ジュニアはおそらく大卒だろうが、彼らが上野をないがしろにせず、もう一度この街を盛り上げてくれはしないか、と目下改装中の「娶楽」を見ながら思ったのだった。アメ横の戦後史読んでないけど

  2010.05.15

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  TELEVISION

  近所のラーメン屋で昼食を食べながらぼんやりとテレビを見ていると、成海璃子が自分の部屋を公開していた。棚に並ぶCDから紹介されたのは高田渡、はっぴいえんど、スターリン、INU。あと何だったかは忘れたが、70～80年代の「そんな感じ」のグループばかりだった。ついでに「好きなマンガ家は古谷実」と言うその隣には浅野いにおの「おやすみプンプン」が並んでいたり、まぁ今時ながらも「学校で友達と話が合わないだろうな」と思うほどには彼女はサブカル少女だったのが判明したのである。これまで「『書道ガールズ』といえば山下リオだろう」と思っていたのだが、その瞬間訂正した。若い頃、思い描いていたけど周りに存在しえなかった女子、それが成海さんだったというわけだ。プレスリーの「好きにならずにいられない」がきこえてくる。そう、「美少女＋サブカル」は、80～90年代を生きた文科系男子にとって永遠のトラウマなのだ。女の子がどうこうという年齢でもないがやっぱり宮崎あおいは魅力的だし、川島海荷は「『怪物くん』のお姉さんって20代OLじゃないの」と心の中に秘めつつ見つめてしまう。が、宮崎の「作られた」文化のにおいや、川島のやはり「作られた」ピュアネスに失われた時を求めるよりは、成海璃子と音楽の話をすることを想像する方がなんだか現実的な気がしてしまう。（モテない言い訳としての）「人間は顔じゃない、中身だ」を「見た目もいいけど、中身がよかった」と言えたらどんなにか素敵かと思う。そんなことを夢見ても仕方ないのだが。果たして、私の生活圏内に「はっぴいえんど」を聴く美少女はいるのだろうか。いないだろうな【送料無料選択可！】マーキー・ムーン / テレヴィジョン

  2010.05.08

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  長距離走者の孤独

  「金曜日、明日は休み」というフレーズは大学生の就職が最悪だった時期に脳天気に「日本の未来は世界がうらやむ」と歌ったモーニング娘。の歌だが（アイドルやアニメといった非現実的世界は確かに言う通りになったが）、私が子供の頃はまだ世の中が完全に週休二日にはなっていなかった。「はなきん」という言葉は80年代後半の言葉で、私の親世代には「はなの土曜」という言葉が当たり前だったようだ（当時の流行曲にこのフレーズが出てくるが、曲名を失念してしまった）。最近亡くなったアラン・シリトーの代表作に、「土曜の夜と日曜の朝」という作品がある。60年代のイギリス労働者階級の日常を描いた（シリトー自身はエリートだが）本作は、以下の文章に全てが詰まっている。だって土曜日の夜じゃないか。一週間のうち最高の、いちばん心はずむ陽気な晩。一年三六五非の重苦しいでかい輪のなかに五十二回しかない息抜きの晩。どうせぐったり寝て暮らす安息の日曜日への凶暴な序曲。つもりつもった激情が土曜の晩に爆発し、工場の単調な重労働の一週間の残りかすが全身から一気に、底抜けの善意となってほとばしる。今書店で手に入る彼の代表作は「長距離走者の孤独」だが、こちらが「感化院に入れられた若者が足の速さを買われて長距離ランナーとして選ばれるが、最後に反抗してしまう」という分かりやすい内容で、サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」同様、「まぁ、十代のうちに読むと割とぐっとくる作品だよな」なわけだが、世間と折り合いをつけつつもどこか納得し切れていない中二病患者としては、労働者のいい加減な日常、いい加減な恋愛、その結果として傷を背負って大人になる（本作においては「結婚」がそれにあたる）、という「土曜の夜と日曜の朝」の方が心に響く。なんというか、「さらば青春の光」に通じるものがあるのだ。そう、シリトーはいわゆる「本好き」からの評価は低く、その代わり音楽やファッションに深い関心を持つ層に認知されている作家なのだ。二作品ともモッズのバイブルとして（服好き、音楽好きに）知られているが、要するに「モダニズム」「大衆消費社会」の文脈において「『自分』とは何か」を追及した作品であり、そうした時代を真の意味でリアルに捉えているのである（だから純粋に「言葉の美しさ」を重視する層にはいまいち分かってもらえないのだろう。このあたり、ケルアックも同様である）。現代の芸術作品が国境を越えて愛されるのは、宗教的な「美徳感」から自由な立場で「『美しさ』あるいは『感動』とは何か」を追及出来る環境にあるからである。カラヴァッジョの「聖マタイの招命」は確かに誰が見ても素晴らしいが、その背景には聖書の世界があり、キリスト教徒でなければ理解出来ない部分がどうしてもある。そうした垣根を取り払い、まさに「芸術に国境はない」というテーゼを成立させたのは20世紀のダダ、大衆的にはビート以降の作家だろう。そうしたポップカルチャーの流れを把握しているのは、案外「芸術」から除外されているファッションの分野にいる人間のような気がするのだ。「演劇は『総合芸術』」とよく言われるが、それは間違いでないにしても劇団員のファッションセンスを見る限りは（貧乏、という状況を差し引いても）独りよがりにしか見えないことが多いし、バンドをやっている連中も同様だ。絵描きなんか本当に「世間ズレ」という意味でヒドいし、最終的に色んな分野の知識をもち、それぞれのつながりを冷静に見据えているのはファッションの分野のような印象がある。これは何も私が大学院でファッション研究をしていたから身内がよく見える、ということではなく、よくも悪くも「時代」「利益」という問題に直面し、必然的に異分野と連携せざるをえない状況にあったことが大きいだろう。相変わらず酔っ払っているので上手くいえないが、あらゆる表現は他の分野との「つながり」を絶たない形で進化してほしいな、というのが私の思いなのだ。それぞれの文化が成熟しすぎて、「それだけで事足りる」という状況はいかがなものか、と少し心配だ。長距離走者の孤独

  2010.05.07

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  人類の進歩と調和

  連日上海万博の様子が中継されているが、技術はまさに21世紀なのになんとも1970年の大阪万博と同じにおいを感じるのは私だけだろうか。アジア人の平ぺったい顔が出てくるから、ではなく、やはり経済の発展の象徴としてのイベントにかける意気込みというのは一定の型にはまってしまうのだろう。上海の街の豪華さは東京の非ではないほどのように語られているが（実際映像で見てもそうだ）、少し郊外に出るとそこは山谷や西成のようなスラム的な町が大部分のような印象がある。実際北京オリンピックの時にも「見えるところだけは徹底的に」とやって、結局外国人観光客が訪れないような地域は置き去りにされたようだ。日本の経済成長と中国のそれとの唯一最大の差は、国民全体のレベルで見た場合、所得格差が拡大し、大半の庶民が生活水準の向上を実感出来ないまま国力が向上している点にある。例えば、大阪万博の1070年には日本では既に二人以上の世帯の9割がテレビを所有しており、うち3割近くはカラーテレビを所有している（内閣府「消費動向調査」より）。1973年にはカラーテレビが白黒テレビの普及率を上回るので、ちょうど万博を機に買い替えが進んだのだろう。たとえそうでなくとも、消費に対する意欲が国民全体にあったことは間違いない。一方、中国の場合上海周辺だけで2億人といわれる農村からの出稼ぎ労働者はマンションどころか間借りした部屋での生活（それも一家揃ってだったりする）を強いられており、また大学進学者が急増しつつも新卒の受け皿がなく就職率は7割弱にとどまっていて「大学は出たけれど」な状況が続いているようだ。（穿った見方ではあるが）大戦後二度の戦争を利用してのし上がったところのあるわが国の人間が言うのもアレだが、中国の経済発展は世界経済の動きに呼応していないところに問題があるのは自明である。観光客のニーズによって一時的に潤う部分はあるかもしれないが、基本的には（技術力云々でなく）先進諸国のアウトソーシングによって雇用が維持されている状態なので、ごく一部のホワイトカラーを除けば労働者はこの先も労働者のまま、という状態で経済が発展しているという非常に歪んだ状態に思える。私は中国に行ったこともなければ経済状況について専門的知識もないので印象の域を出ないが、例え中国の偉い人に「これが21世紀の発展の形だ」と言われても納得出来かねる。というのも、経済学でいう「トリクルダウン」（富裕層が富めば貧しい者にも富が浸透する、という理論）が今や理想論でしかないことが実証されてきているからだ。例えば2000年代のバブルは、結局富める者（富を得た者）が自分のところで富を止めてしまったことで国全体としては何も変わらずに終わった。むしろ一生懸命働いた結果が「株価」という形で評価され、不当なものに終わりモチベーションが下がった人も多かったかもしれない。要するに、2000年代以降は「景気のよさ」が共有されることのない時代に突入したのである。なにも「昔はよかった」的にノスタルジーにひたるつもりもないし、そもそも素人の感想という域を出ていないので何ともいえないが、とにかく「自分さえよければそれでよし」はどうなの、っていうお話。最終的に（周りの治安とかを考えて）国全体がよくなるように、出来るだけお金はきちんと使おうと思う私であった。大阪万博ところで、今のキッズは60、70年代ブームも知らないので、大阪万博（やマーク・ボラン）を浦沢直樹の「20世紀少年」でぼんやりとイメージすることしか出来ないのだろうし、「みんな平等に豊かに」みたいな考え方はピンとこないのだろうが、やっぱり色んなことに無駄にお金をかけて色々学んでほしいなぁ、と思うのである。

  2010.05.05

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  川向う本所深川も江戸のうち

  「川向こう」という言葉がある。かつて墨田川を隔てた下町地域を指した言葉で、東京の中心である神田から浅草あたりまでの地域に対し、少々落ちる場所、という意味合いで用いられた。東武スカイツリー（正式名称はこう）のおかげで墨田区が注目され、亀有、金町、あるいは西新井といったかつての「江戸の果て」が再開発でマンションの注目エリアとなっている昨今だが、実際今サラリーマンが家を買うとなるとこのあたりが限界なわけで、大方は千葉や埼玉に暮らしているのである。関係ないが「葛飾」というのは千葉西武から埼玉東武にかけての地域の古い名称で、葛飾地域でも端の端である東京都が区にその名をもらったのはどういういきさつなのか私は知らないが興味深い。東京は意外にも（？）川のおかげで水が豊富な地域であるが、現代においても東京での暮らしにおいて川は重要である。隅田川を境とした「川向こう」という概念は風化したが、東側なら江戸川、西側なら多摩川が一つの文化的な基準であろう。特に大学の移転ラッシュが起こった80年代以降、多摩川以西の地域に暮らし、通学する学生（あるいはそのまま就職しても周辺に暮らす社会人）にとって多摩川は「東京との国境」ともいえる役割を持っているように感じられる。西武・東武はともかく、JR中央線、京王線、小田急線、東急線（田園都市線と東横線）、そしてJR京浜東北線と京急といった沿線は大学も多く、その中で京浜東北線と京急を除いた沿線の多くは多摩川を隔てた地域に大学のキャンパスを擁している。地方から出てきた学生は必然的にその周辺に住むことになるが、遊びに行くとなると必然的に新宿や渋谷になるわけで、そのたびに多摩川を越えていくわけだ。故郷を想起させる（？）多摩丘陵の山が途切れた瞬間に現れる多摩川の鉄橋の音を聞きながら「ここから東京に入る」と感じる学生は少なくないだろう。私もその一人だった（中央線だと立川の手前で多摩川を越えるので違うかもしれない）。90年代以降、それまでサブカルの聖地だった中央線は徐々に存在感が薄れ、代わりに渋谷・下北沢の文化が脚光を浴びるようになるが（これは多摩地域の開発と共に、核家族化による「都市」のあり方に対する捉え方の変化も起因しているように思う）、そこへのアクセスという意味で特に小田急線が「文化的な路線」と目されていることに異論を唱える人は少ないと思う。学生にとって東急は少々気取りすぎているし、何より「渋谷系」を牽引したミュージシャンがこぞって小田急沿線の和光学園出身だったことも大きい。で、そうした中で、「東京と地方の境界線」としてのアイコンとなっている建造物が存在するのをご存知だろうか。このマンション、小田急線の登戸駅と和泉多摩川駅の間、東京都側の川沿いに鎮座して若者を見下ろしているのだ。その名も「パークハイム狛江」。狛江は厳密には東京23区ではないが、市外局番は「03」なので立派に「都内」なのだ。むしろ、市外局番が「042」の武蔵野市に所在する吉祥寺より格上かもしれない。このマンション、実は隠れた有名スポットで、数々のマンガ作品に登場している。学生時代を登戸で過ごした魚喃キリコの「短編集」、大ヒットした矢沢あいの「NANA」、最近では浅野いにおの「ソラニン」（主人公は和泉多摩川在住）。いずれも「地方から出てきて都会で格闘」し、「夢と現実に悩む」多くの若者の共感を呼んだ作品である（もしかしたら他にもこのマンションをバックに使用した作品があるかもしれない）。矢沢だけは兵庫出身→大阪の学校を中退、という経歴だがいずれも地方から東京に出てきており、東京のカルチャーを必死に吸収しようとあがく若者を描いている。その中で、いずれもこのパークハイム狛江が「超えなくてはならない壁」のように映ったのではないだろうか。単に「景観としての美しさ」ではなく。「ダサい」という言葉が生まれて30年、「チバラギ」という言葉もすっかり廃れてしまった感があるが、現実には若者は多摩地域に流入を続け、多摩川という巨大な国境を乗り越えて成長している。「文化」というものを語るならば、ぜひともこの「パークハイム狛江」を神奈川側から眺め、その偉大さを感じていただきたい。ソラニン ぬいぐるみマスコット ブルー［セブンツー］《発売済・在庫品》

  2010.04.25

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  Friends again

  最近ブログの管理画面を開くと毎回「フレッツ光」のバナー広告が表示されるので見入ってしまう。「ユリイカ」の頃の宮崎あおいから「大人に対するひねくれ」を抜いたような川島海荷の屈託のない笑顔がそれはそれは眩しいのだ。だが鼻がペチャっとした女子が好みの私にはどうしても踏み切れないものがある。あるいは彼女のもつ純粋さと、宮崎あおいのような「サブカル感」のなさに生きている世界の違いを感じてしまうのかもしれないが。ちなみに川島海荷は時折小・中学校の同級生である桐生君（男）を想起させる表情を見せるのでなおのことやっかいだ。桐生、元気かな、と思いにふけってしまう。母校の先生がブログを開設した。私が院生時代に別の研究室に常勤で入られた方で、直接指導を受けることもなく、また年齢が近いということもあって当時から（個人的には）友人のような気持ちでお付き合いをさせてもらっているよき人生の先輩である。研究室がファッション関係のところだったので、中退後も色々と情報をいただいたり、研究に参加するきっかけをいただいたりしたのだが、仕事の都合でろくに返事もせず大変申し訳なかった。だが、それでもかわいがってくれる彼にはただ感謝である。楽天ブログで「Old Fashioned Funks」というブログを書かれているので是非目を通していただきたいのであるが、「誰もが知っている」有名大学の大学院で博士号を取得し、少子化のこの時代に常勤の研究職のポストを得ただけあって知識量や頭の回転は半端ではなく、それでいてきちんと時代の流れを捉える能力もある稀有な存在である。まだ日記の数は少ないし、ブログの内容はやわらかいが、それだけ見ても幅広く楽しめることはまちがいない。この場を借りてお願いします（宣伝）。「友達少しいればいい」と言ったのはゆらゆら帝国だが、いわゆる「リア充」でなかった私にとってこの言葉は重要で、人間関係はとにかく「狭く深く」なのである。自分をうまく売り込み、成功するには全くダメなのは分かっているが、美術科の学生時代、美術や音楽の話題がとにかく「知識自慢」（それによって相手のレベルを測る）だったのに辟易していた私は、基本的にとりとめのない話が出来て、かつ純粋に知識や経験は互いの「糧」と出来る関係が大切だと思っている。ついでに言えば、（これは彼の日記にインスパイアされ、コメントさせてもらったのだが）モテない「中ニ病」的な「ルサンチマン」を抱えていることも重要である。学問でもファッションでも、あるいは音楽やアートと言った芸術的表現でも、根底にあるのは「モテたい」だと私は思っている。学問はそもそも生命維持の原則である狩猟において「力のないもの」が地位を得るために「いかにして効率よく獲物をとるか」を追求したところから始まっているだろうし、アートも「狩りの力」も「狩りの方法」もない人間が生存するためのスキルとして発展したものだろう。そうしたところから目をそらすことなく、「モテないから本を読んだ」と堂々と口にする彼は本当の男だと思うし、それを「医者になる」とか「官僚になる」といった安易な方法ではなく、好きな分野を追求し続けているのには頭が下がる思いだ。気持ち悪いほど褒めてしまったが、単に友人の紹介でなく、このブログの根底にある思いも同時に表現出来たように思う。よかったら私の「お気に入りブログ」から覗いてみてください。清潔感がモテるキーワード。ニオイの元、落ちにくい毛穴のアブラよごれを洗浄する！クリアケースはイメージです。メール便送料無料！＜初回限定＞ワキや汗・足のニオイなどの体臭対策や加齢臭対策に人気のフォーミュラBソープのお試し用ミニタイプ。お一人様1個限り！（代引不可）ヘルシンキ・フォーミュラ　フォーミュラBソープ 21gそういう意味で彼はやはり私の数少ない友人なのだ。

  2010.04.24

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  神曲たち

  ようやくネットが復旧した私であるが、何のことはない、ルーターの調子が悪かっただけであった。電源を入れなおしたら一発で快調何かと話題のAKB48について、私は何も知らない。秋元康が過去の遺産でまた儲けている、ぐらいに思っているのである。大方の人は同じ気持ちなのではないだろうか。だがファンの暴走は止まらない。ジャニーズのファンもなかなか無茶苦茶なようだが、こちらは歴史が長いせいかルールが出来上がっていてアイドルとファンの間にきっちり線が引かれており、それ以上のことをしなければ叩かれることもない（その代わり掟破りには厳しい罰が待っているそうだが）。しかもたちが悪いことに、女性アイドルファンである男性たちは、少なからず本気で「アイドルとお近づきになりたい！」と思っているフシがあるのだ（新宿・大久保のライヴハウス「ロフトプラスワン」が一時期「地下アイドルイベントの聖地」になっていたのもこの心理を巧みに利用したからだろう。AKBの「会いにいけるアイドル」は、まさにこれを応用したものである）。アイドルはポップ・ミュージックの文脈ではなく、大衆芸能の流れで捉えるべきであると常々思っている（たまたま松本隆のような優れた才能が集中しているためそうした分野と混同されてしまうのではないか）私であるが、ジャニーズやヴィジュアル系が歌舞伎の流れを汲んでいるとすれば、女性アイドルはどうなのか。私は、女性アイドルは現代の「芸者」であると考えている。芸者とはご存知のように宴席を盛り上げる職業であるが、「教養としての洗練」を持ちつつ男性をたて、楽しませるところに彼女達の真髄があるわけだが、男性を楽しませつつ「もしかしたらいいことあるかも」と期待させるところに芸者とアイドルの共通点を見出せるように思えるのは私だけか。明治期には人気の芸者のプロマイドも売られていたというからあながち間違っているとは思えないのだが。「それがどうした」と言われてしまえばそれまでだし、こじつけのような気もしないではないが、ジャニーズファンの女性と比較してアイドルファンの男性が一般に「キモい」と思われがちなのは、この「芸者遊び」という遊びが近代化によって「（ある種）知的な大人の遊び」から「だらしないもの」に変化したことと無関係ではないように思う。かつての「芸者遊び」というのは接待の一環であったり、「いき」という当時の教養の尺度に基づいたものであったわけだが、明治以降のそれは「金はあるがだらしない男の楽しみ」へと意識が変化してしまっているように思う。それが何をもたらしたかというと、一つには恋人や妻（あるいは正式に契約した愛人）以外の女性に入れ込む行為自体がアンダーグラウンドなもの、という立場になり、もう一つにはそうした行為が現在の風俗同様「金さえあれば（その場だけでも）楽しませてくれるもの」になってしまった、ということだ。「いき」という言葉の通り、芸者遊びには日本流のダンディズムがあり、「遊び方を知っている＝教養、あるいはセンスがある」と見られていたのが崩壊してしまった。女性の側からしても、「金を落としてくれる男を無下には出来ない」となったのだろう。結果、「遊び」と同列で語られていた身なりや立ち居振る舞いといった要素がスポイルされ、「異性と楽しい時間を過ごす」ことだけが重要視されてしまったのではないだろうか。要するに、アイドル文化というのはわが国に江戸時代から存在し、かつ正統な「男の遊び」だったのだが、時代の流れと共に社会的に容認されなくなり、「キモい」存在になってしまった、と私は解釈している。これに照らし合わせればAKB48が大所帯なのは不思議でも何でもなく、キャバクラ（芸はないが、現代の芸者みたいなものだろう）の人気店が「在籍200人！」とか謳っているのと同じで「たくさんいればあなた好みの女性もいますよ」ということだろう。「俺だけの○○」という心理も狙っているのかもしれない。AKB48はアイドルを大量生産しているのではなく、アイドル「ファン」を量産、もっというとアイドル全盛期である80年代のイメージを用いることによってアイドルファンの拡大再生産を行っているのだ。これが芸者遊びを再び「いき」に変えるとは思えないが（売り手も買い手もあまりにフェアじゃない）、日本人の根底にこうした「異性を利用した日常からのちょっとした逸脱」への願望があることは無視してはならないように思う。ちなみに九鬼週造が「いきの構造」の中で定義している「いき」の本質、「諦めと媚態」という概念自体が「芸者あそび」とまさにドンピシャで、私はこの古典の素晴らしさをAKB48によって再確認させられたのだった。【中古CD】【5000円以上送料無料】★50％OFF！★AKB48 神曲たち／AKB48【中古】［☆5］購入特典乱発の結果、中古は早くもこのお値段です

  2010.04.19

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  東京ガールズブラボー

  近所の中学校が入学式で、朝からなんともいえない気分にさせられた。別に悪い意味ではなく。長い付き合いの友人から貴重な意見をもらった。要約すると「『90年代は文化があった』というような物言いをしてしまうと、『俺達の若い頃は』と言っている団塊世代と同じになってしまう。ケータイ・ネット世代にも、それに合った文化がきちんとあり、そこをきちんと見るべきではないか」といったものだ。深く反省した。一つには、自分のスタイルがある程度出来てしまったことの弊害として、他の文化（ウェイズ・オブ・ライフとして、の意）を見ようとしなくなってしまったことが原因だろう。「昔はよかった」的な生き方に落ち着くのと「スタイルがある」ことは別だ。「あの頃の僕らが笑って軽蔑した、恥ずかしい大人にあの時なったんだね」（中谷美紀「砂の果実」）ということか。次に、新しいものを見る力が圧倒的に衰えてしまっているのだ。これは大学院を出るときに恩師に言われたままである。私は修士課程でストリート・サブカルチャー研究を行っていたのだが、「君は現象を捉える能力に長けている。だがそれは年齢とともに必ず失うから、それまでに道を作っておくように」という言葉を思い出した。そんなわけで、私の青春時代の思い出話はほどほどに、現在の文化、及び自分が所属しない他の文化も今まで以上に肯定していきたいと誓った次第であるが、それにしてもケータイ・ネット世代の文化は不透明である。ブログ、Twitter、SNSといった極めてミクロなコミュニケーションが主流なことが大きいだろう。90年代に宮台真司が語った「タコツボ化する社会」「メインなきサブの横並び」という状況がいよいよ本格化しているということだろう。この状況下、逆に埋もれてしまっている素晴らしい文化もあるだろうし、また我々と近似する姿勢をもつ若者も確実にいるはず、だ。そこを見ていく（努力をする）ことをやめてはいけない。しかし、何だかんだ言っても、いつだって「普通の若者」が全体の9割を占めているのだし、私にしてもそこまで先鋭的だったかと言われると疑問が生じるのである。岡崎京子の「東京ガールズブラボー」について「あのような80年代を生きていないのでよく分からない」という指摘をしていたのは誰だったか。でも、そこに描かれているサブカルチャーも結局は「選択肢」の一つだったんだ。まとまりがないが、とにかくそんな感じだ。　【中古】その他コミック 上)東京ガールズブラボー / 岡崎京子【10P07apr10】

  2010.04.07

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  Tomorrow is another day

  総武線某駅でトイレに入ったら、小便器に茶色い物体が。何かと思ったら、キウイだった。理由はまったく不明。その時の状況が知りたいがどうにもならず悶々としている（ウソ）。ところで、1月の有効求人倍率が0.46倍と、多少回復したとはいえまだまだ不景気が続いている。新卒の求人も全体の8割程度しかないという話で、私が大学生の時も「就職氷河期」と言われていたがそれと同等かあるいはそれ以上の厳しい状況のようだ。そんな時勢を反映してか、若者のライフスタイルも堅実化している印象がある。10年前の学生は「氷河期」と言われていても悲壮感はそれほど感じられなかった。派遣やフリーターに対する抵抗も少なかったし（それが結果として悲劇を招くことになるのだが）、何よりまだ「一発逆転」というぼんやりした幻想があったように思う。「三十歳までに何とか」みたいな思いで「今」を生きることが出来たのは幸福だったのかどうか分からないが。リーマンショック以前の若者には音楽や芝居といった定番の「夢」だけでなく、「ファッション」や「デザイン」といった分野で、それも正攻法でないやり方でのサクセスストーリーという選択肢が存在していた。ご存知のように「裏原系」と呼ばれるファッション文化や、「グルーヴィジョンズ」に代表される所謂「デザイン集団」のような実態のあやふやなクリエイションだ。これらに共通しているのは、友人同士の「ユルい」つながりの中で「やりたいことだけをやって、そして成功する」という図式があることである。そしてその行為や結果がクラブであったりカフェであったり、比較的等身大のまますぐ近くで触れることが可能であった点にあるのではないか。例えば「ロンドンナイト」に行けば「BOUNTY HUNTER」のヒカルが当たり前にDJをしていたし、代官山の「オーガニックカフェ」でモデルやミュージシャンと隣同士になるのも当たり前だった。きっかけさえあれば自分もコネクションが出来るかもしれない、という事実が勘違いを増長させた。「自分の（クラブ）イベントをやる」というのが大学生の目標だったのは今思えば80年代大学生のサークル活動と何ら変わらないのだが、「文化」の香りが漂うととたんにチャラチャラした感じがなくなるのが不思議といえば不思議だ。ちなみにこうした幻想は90年代には比較的先鋭的な若者に共有されていたが、2000年代には割と当然のものとなってくる。特に郊外、及び地方都市で、地元情報誌（フリーペーパー含む）の隆盛と共によりミクロなレベルで「ローカルな（クリエイションの）有名人」が脚光を浴びたことがその主な原因だろう。都市としての機能とサバービアの雰囲気（駅から5分歩けば住宅地なのだから当然だ）を併せ持つベッドタウンが、渋谷と代官山の両方を包括する「プチ・カルチャースポット」となり、若者の地元回帰が話題になったのは2004年頃で（例えば関東エリアなら町田、柏、大宮、宇都宮あたりがその代表格か）、矢沢あいのマンガに感化されて上京してきた専門学生なんかが「私の時代！」と思い込んでいたことが容易に想像出来る。がこれは決して若者を馬鹿にしているのではなく、自分もそういう若者だったことへの反省およびノスタルジー、なのだ。さて、冒頭に書いたように、不況の真っ只中である。完全失業率も5％近い状況で、真っ先に削られるのはこうした若者の文化であることは言うまでもない。事実、大学生の仕送りは当時と比べ3割減、学生はケータイ（あえてカタカナで表記）でのSNSやTwitter、あるいはゲームに時間を費やし、服装はファストファッションという状況だ。堅実な生活はもちろん大切だが、若者が「明日を考えない暴走」を試みる時代は終わってしまったのだろうか。　【中古】洋楽CD バードランド / 暴走のロックンロール(廃盤)【10P26mar10】【PC家電_136P10】あっという間に消えたロンドンパンク焼き直しバンド。全く心に引っかからなかったけど、今思うとバカっぽくていいよね

  2010.03.28

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  ミート・イズ・マーダー

  暖かくなってきて、「冬用のアウターをもう少しねばって着るか、それとも早く春物を着るか」で迷っているのは私だけではないだろう。残り少ない冬（服）を惜しむか、来るべき春を先取りするか。いつだって悩むのである（それがまた楽しい）。ところで昨年話題になった「肉食系女子」「草食系男子」というのはもう下火なのだろうか。肉食女子は話題先行で、全国のホルモン焼き店に女性グループが訪れていたようには思えない（少なくとも私の地元では見たことがない）ので結局はバブル期の「オヤジギャル」同様、マーケットによってセグメントされたごく一部の流れだったということなのだろうが、草食男子は携帯でネットをちまちまやる時代には本当に少なくない人数があてはまるように思える。「草食系」に関して今更説明するのもアレだが、世間一般では「文科系」とにアリーイコールで結ばれているような印象がある。まぁ大きく外れてはいないだろう。ただ大事なのは、「文科系＝アーティスティック」と捉えてはいけないことだ。少し前に大ヒットしたマンガ「デトロイト・メタル・シティ」は一見まさしく「草食系」に見えるがそうではない。いつも女の子のことを考え、じたばたし、時に我を忘れて表現にのめりこんでしまう。そう、アートの類はそれ自体は文科系の分野でも、それを「やる人」は肉食的要素がなくてはいけないのだ。ロックなんてそもそもほとんどスポーツだし、「これが好き」から「これをやる」に至る原動力にリビドーが大きな割合を占めることがほとんど自明だからだ。対して肉食女子はどうか。女性の自立だとかなんとか言うが、結局自分勝手なだけじゃないのか？オブラートに包むなら「やりたいことを正直にやる人」。まぁ昔ながらの「大和撫子」を求める時代でもなし、むしろこんな時代だから本能のままに生き抜こうという意思が感じられるのはいいことかもしれない。まぁ肉食でも草食でもどちらでもいいんだが、「自分はどちらか」を考えているような人とはあまり仲良く出来ないだろうな、というのが正直なところだ。まぁ、肉食女子のおかげで「シロコロ」が普及したのはいいことかもしれない・・・あっ、これって自分もメディアにいいように操作されている？【ポイント10倍】\2000以上で全国送料無料!!※代引き手数料を除くミート・イズ・マーダースミス

  2010.03.15

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  さらば恋人

  新しい革命に挑戦を始めた。「収納に入りきらない量のモノは持たない」20世紀の物質文明、特に1990年代の「レア物を持つものがおしゃれ」「文化の知識が差異化の要素」という流れにどっぷり浸かっていた私には相当困難なミッションである。だが、時は21世紀。ちょっとした調べ物はネットで済むし、カルチャーに対する知識が役に立つ時代ではなくなった。何よりも、部屋を覆うモノたちを維持するのに金をかけるのもなあ、というのが時代の気分だ。そんなわけで遅ればせながら取得した年末年始休暇を消化した私は出番のない衣服を取り出し、あまり聴いていないCDをHDDに保存して、いよいよ手放すことにしたのだ。ギャルソンとかギャルソンとか10枚売って11000円、CDアルバム100枚売って12000円。まぁこんなものだろうな、という結果である。それぞれ専門店に持ち込めばもう少しいったのだろうが、そんな暇はないのだ。本もそうやってブックオフに一冊10円とかで引き取られていくのだろう。寂しいような気もするが。今回モノを処分するにあたり一番ポイントとなったのは、「それなりに（一般的な）価値のあるものを手放す」ことだ。「高く買ってもらえるから」ではない。「今後も出会える」からだ。別に売ってしまったものを買い戻すつもりはないが、要するに例えば音楽であれば「名盤」とされるものはツタヤで借りることも出来るし、You Tubeで聴くことも出来るのだ。逆に全く評価されなかったものは年々枯渇していく。そんなわけで私のCD棚は「思い入れのある名盤」は「他人にとってはゴミ」という両極端なラインナップになってしまったがこれが私の行き方なのだろう。「レアだけど価値はない」これってすごく面白くないか？ちなみに、洋服ではセント・ジェームスのカットソーが姿を消し、ノーブランドの古着が残った。そうした一枚に、日本のどこかの量販店で売られていたボタンダウンシャツがある。下北沢の老舗「シカゴ」で10年以上前に700円で買ったこのシャツ、驚くべきことにブルックス・ブラザーズを完全コピーしているのだ。画像がなくて申し訳ないが。胸ポケットの形、ボタンのない剣ボロにギャザーを寄せたカフス、何より絶妙に繊細さとざっくり感を併せ持った衿のロール。一体どこのメーカーが、そして工場がこれを作ったのだろうか（残念ながら品質表示はもう読めない。かろうじて購入当初「国産」という文字が読めたくらい）。これこそ「レアだけど価値はない」服ではないか。・・・いかん、ファッションの奥深さについて考えるとまたアーカイヴ（と思っているのは自分だけ）が増えてしまう。それにしても、古着屋はともかくとして中古CD屋はこれからどうやって生き延びていくのだろうか。音楽産業が縮小し続け、かつソフトの存在自体が脅かされているこの時代、レコードどころかCDさえもマニアのものに日々近づいている。アナログ盤が消える前夜のように値崩れを起こして「どれでも10枚で1000円!」みたいに処分される（子供の頃近所の電気屋さんがやっていた）運命なのだろうか。寂しいようだが、世の中の流れには誰も逆らいきれないのである。私も大人になったものだ。Thelonious Monk　セロニアス・モンク / Solo Monk 輸入盤 【CD】今回売った中で一番値がついたのはこれ。ボーナストラック一曲入りで580円也

  2010.02.19

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