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カテゴリ:BAR!BAR!BAR!
BARってところは客の出だしが遅いことが多いから、早い時間にひとりででかけいき、馴染みのカウンターだというのに今更ながらカッコをつけて、ミントが1葉浮かぶスティンガーなどすするのは、何事にも代え難い至福の時間だ。 うまい。思わず口元が緩んじゃう。 バーテンダーは、 「いかがですか」 などと一応おうかがいをたてるかもしれない。答えを聞くまえから僕がすっかり満足しているのを知っているくせに。意地悪な奴め。 そして少しずつグラスの液体を減らしながら、バックバーを眺めて、次の酒を探す。 「おや、新しいボトルが入ったんだね」 デュワーズの古いボトル。濃いめの水割りは、体液と同じ浸透圧なのかと思うくらいにすんなりと粘膜に染みこんでいく。ただでさえアルコール分子は吸収がはやい。
BARでは常に同じような幸福感を味わえるとは限らない。 その時の体調やバーテンダーのリズムや酒の選択でも気分は変わるし、店内に流れる音楽と氷の音の共鳴、光線の変化など意識しない環境も関わっているのであろう。
それは、美しい風景を発見した時に似ている。例えば、夕焼けはいつもきれいだけど、特別な夕焼けに出くわした時にはピンクが紫からさらにブルーになるまで時間を忘れて眺めてしまう。 そして、そんな夜には、同じように寒~い帰り道でも幸せな気分で歩けるものだ。
などということを、またカウンターで酒を飲みながら考えているのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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