隙間
降り立った新千歳空港は、気温1℃。思ったより暖かく、ホッとする。そして、飛行機での睡眠で、少しはねた後ろ髪をトイレで直す。鏡に映る冴えない顔を、両手で叩き、引き締めた。相変わらずのアウェイ感を肌で受けながらも、予定のミッションを終えて引き返す。帰りのフライトは、いつも窓側。誰が見ているのかな?って、いつも思うけど新千歳空港の地上スタッフが飛び立つ飛行機に手を振っている。「ご苦労様!」と小さく呟いた後、飛行機は上昇した。何処からか入ってくるすきま風。案外気持ちがいい。疲れだけが残る、今回のような仕事は、この会社と僕の距離に少しずつ隙間を開ける。埋めたほうがいい隙間と、放っておけばいいもの…がある。どんどん離れていく隙間は、止めようもなく、気が付くと隙間でなくなる。すっかり人の居なくなった羽田空港。スカスカの心に、身体の疲労が覆い被さり、空いたベンチに崩れ落ちた。