『エイプリルフールズ』を観た
4月1日に合わせて放映された1年前の映画を観た。○ストーリーある4月1日に語られた嘘。それはある人を傷付け,けれども別のある人を勇気付ける。そうして歯車は回り人々は・・・-------------フジテレビと東宝の資本の映画で,『リーガル・ハイ』のスタッフが製作していることも話題になった。そちらは全く知らないが,『キサラギ』の脚本の古沢良太と聞くと,なるほど,と思う。2015年では,わざわざ4月1日に公開したらしい。なにしろ”4月1日,エイプリルフール”をテーマにした,嘘が嘘を呼ぶ群像劇だからだ。-------------物語は,複数のエピソードに分かれていて,それが並行して語られていく。「42年ぶり涙の生還」:42年間行方不明になっていた男が発見された。それは幼馴染の女性が捜索を続けていたからだった。だが・・・「僕は宇宙人」:いじめで不登校になっていた中学生の少年が,「やり残したこと」をするために登校する。彼はいじめていた同級生を殴り倒し,好きだった同級生にキスをする。そして・・・「ある大学生の行く末」:ルームシェアをしていた2人の男子大学生。1人がエイプリルフールのギャグで相手に告白をする。すると・・・「不器用な誘拐犯」:小学生の女の子が誘拐される。一度は警察が子供の家に詰め,誘拐対策本部を設立するが,誘拐犯の似顔絵から,犯人が離婚した実の父親のヤクザ者であることが分かると解散となる。父親が誘拐に踏み切ったワケは・・・「占い老婆の真実」:不吉な占いをして,除霊のお札を売りつける商法の老婆を,刑事が取り調べる。だが,その老婆の能力の真相は?・・・「ロイヤル夫妻の休日」:庶民の生活を体験しようとタクシーで都内を観光する櫻小路夫妻。だが彼らは逆に騒動を起こしてしまい。さらに・・・「イタリアンレストランでの大惨事」:ハンサムな医師と美人のCAが食事をしているところに,パジャマを着た妊婦が現れ,子供を認知しろと迫る。医師が断ったので,妊婦は拳銃を取り出して乱射を始める。そしてついに・・・-------------さて僕が『リーガル・ハイ』を観ていなかったからだろうか?キャストに有名俳優が驚くほど起用されているのは分かるけれど,だから???という印象で,盛り上がりに付いていけない。そして『キサラギ』でも気になった,過剰な演技。まあ,特に両方に出演している俳優さんだけれど,その漫才のような演技にゲッソリしてしまった。いつもは平気なんだけど,あまりにもくどかった。群像劇と言うから,きっとそれぞれのエピソードが密接に関わっていて,ドミノ倒し,バタフライエフェクトのように,最後に衝撃の事実がーーーっ,と期待したのだけれど,実はそれぞれがあまり関わらない。たぶん豪華キャストを起用した反動で,スケジュール調整が難しくて,それぞれのパートを別々に撮っているんだろうなあ。悲しいほどぶつ切りだった。観終えると,やはりそこが不満だ。最後にきゅっとまとめてもらいたかったのに,全く別のオチに逃げている,という印象ばかり残った。-------------勝手な感想ばかり述べたが,ちゃんと小学生に見える子役を起用したら,〈ロイヤル夫妻〉をここだけ浮いたエピソードにしなければ,〈イタリアンレストラン〉をもうちょっと落ち着いた物語にしたら,そしてそれ以外をばっさりと切り捨ててスリム化したら,けっこういい映画になった気がする。うーん,まだまだ三谷幸喜には勝てないね。