055217 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

きっとどこかの物語

ただの言葉

日記ログです。
つーか詩です。
たまに気が向いたり思い出したら更新します。








_____________________________________


崖の下で


ほんとに
これで
終わりなのかよ

「さよなら」

突き放された手は
みるみるうちに遠くなった
そのうち消える
そうわかっていた
だけど

足がすくんだ
怖いんだ

何故彼女が死ぬべき人だったのか
何故彼女が生きる人じゃなかったのか

今じゃもうわからない

だけどいつかまたあえるよね
バラバラになった君の死体と
あの
崖の下で


END はいグロイ(爆死)








_____________________________________





地球という


押し付けられた世界に嘔吐する少年たち
暴れもがき 心だけ殺された

そうか
ここが
地球という世界なのか
生々しさにぞっとする
そうか
ここが
地球という世界なのか

少年たちは何も言わなくなった
言っても通じない
言っても何も終わらない
暴れもがき 心だけ殺される
生きていても 心だけ死んでいる

誰がこんな世界にしたんだろう
誰が こんな世界にしたんだろう

ああ
そうか
もとからここは
地球という世界だった









_____________________________________





明るい夢の中で


明るい夢の中で走っているときに
誰かが僕にいった
「この世は、暗いものばかりだ」
そのひとことから
世界の暗さをじわじわと味わうことになった

震えるほど握る拳も
くだらない
なんの価値もない怒りに見えた

振り下ろせなどできない
ただの無意味な拳

暗い悪夢の中でつったっているときに
誰かが僕に蹴り掛けた
「何やってんだ。死ぬ気かバカ、クソが」
ソイツの声が
すごく切なくて
すごく惹かれて
無意識のうちに走り出していた

震えるほど握るこぶしも
くだらなくない
なにかの価値がある怒りに見えた

明るい夢の中で生きていたあの頃には戻れない
だけれど
ここは
新しく切り開かれた
明るい夢の中の道











_____________________________________








まっすぐな道


ごめん。
誘惑のクスリで
まっすぐな道をぐにゃぐにゃに曲げてごめん。

もう、曲げないから
見ていてください。
僕のまっすぐな道。













_____________________________________













天才の称号


天才になりたかったんだ。
青年は言った。
天才と言われる、青年は言った。
少年は首をかしげた。
でも貴方は今、天才じゃないか。

昔はとんだバカでね。
何をするにも、やる気はあったんだが、てんでだめで。
みんなに笑われてばかりだったんだよ。
それで、見返すために、天才になってやろうとしたんだ。
それが、いけなかったのかもしれない。

青年は少年に淡々と話した。

僕はついに、天才という称号を勝ち取った。
色んな面ですぐれていて、オールマイティとまでいわれた。
だがね、気づいてしまったんだ。
天才と、何でもできるといわれたとき、
天才になった無意味さにね。

青年は少年に背を向けた。

ただ、天才と言われるだけ。
ただ、すばらしい人材だと言われるだけ。
そして世間の重い仕事につかされた。
それのどこに快感があるのか。
全く、わからなかった。
天才になっても、ただ、それだけのことだったんだ。

青年は少年に振り返った。

天才にだけは、ならないほうがいい。
青年の笑顔は、どこか疲れていた。








_____________________________________






異様な道


今思えば
僕自身の通ってきた道は異様だった
デコボコ道でもない
曲がりくねった道なんかでもない
トゲのついた針の道でもない
ただただ
まっすぐな道

普通の人だったら
きっともっと屈託のある道を通るんだろうけど
僕は

どうしてだろう
いつもいつも人とは違う道ばかり通ってきたと思って
絶対に人よりくねくね曲がった道だと思っていたのに
どうしてこんなに
綺麗なんだろう

エゴだな
エゴだ

・・・・・




ところどころコケた跡を発見








_____________________________________




二重人格


迷いつづけた迷彩の道
貴方は よわい私がいたからでてきたんですね
ありがとう
もう
本当に大丈夫だから
見守っていてください

暗いものしか見えない
俺は そういう馬鹿なおまえがいたから出てこれた
ごめん
もう
出てこないから
見守っているから

本当は邪魔な存在
だけれどそれは
自分が生み出した

ごめんなさい
消えてください

ありがとう
いさせてくれて

ありがとう
よわさを隠してくれて

ごめんなさい
出てきて

さようなら
さようなら
もう 大丈夫だから




_____________________________________





恋心(たまにはのほほんとしたのもいいかなって(まて))


「たまに思うんだよ」
「何が?」
「俺、人間じゃないんじゃないかって」

馬鹿みたいな会話だった
いきなりあの天才が、こんなこというから驚いた。

「完璧人間が何いってるのさ」
僕が言うと、
「完璧だけど、完璧じゃない」
「どこがさ」

「中身」

「は?」
「悲しいとか、優しいとか、わからない」
「…」

風がゆっくり流れていった。
「好きとかいうのも」

僕はドキっとした。
バレてるのか?
「分かりやすいんだよ、おまえ」
バレバレだった。
「…」
「ごめん。さっきのウソ」
「は?」
「わからないっていうの、ウソ」
「…」
「ちなみに俺は、完璧な人間じゃない」

「ろくに言葉も伝えられない馬鹿だから」





_____________________________________





負けないという誠心


少年は強く笑った
「負けねえから」

何度も叩き潰され 踏みにじられた相手の前に
高々と振り上げた剣は勇気だったのかもしれない
強さだったのかもしれない

滴りおちる血が物語っていた限界を
少年は越えていった

まだやれる
まだやれる
負けて、たまるか

また殴り飛ばされた
ただ遊ばれているように
少年は転がっていった

それでも 負けられない

傷が激痛に変わる
負けて、たまるか

少年は大きな声をあげて
起き上がった

強くなりてえんだ

強くなる
必ず

少年は強く笑った
「負けてたまるか」







_____________________________________








人の強さ


「強くありなさい」
それが母の言葉でした
それだけ僕に言って
死に逝きました

本当に
人って強いですね
死ぬときまで
大切な何かを心配して
本当はそんなことしている場合じゃないのに
本当に
人って
強いですね

彼は、私の前で涙を流しました。
僕だったらとうていそんなことできない。
彼は、そう言いました。
私も、そんなことは、きっと出来ない。
そう、思いました。

人は、本当に強いんです

天国なんかないと、心の中でわかってはいても。
それが最期なのだと知っていても。
いえ、それだからこそなのかもしれません。

強く、死ぬ。

人はとても、強いんですね
人は、とても、強いんです









_____________________________________








フォーエバー


君は、どうしてここにいるの?

海の中で出会った貝殻が僕に聞いてきた。
僕は、どうしてここにいるんだろう。

海の中を漂っていた。
今まで見てきた世界とは違う、澄んだ世界。
息苦しいけれど、ここは、外の世界とは違う。
さっき、最期にこんな光景が見られてよかったなんて、
心の中で思ってた。

君は、どうしてここにいるの?

僕は、どうしてここにいるんだろう。

空気もない。食べ物もない。水と魚と海藻と・・・。


死にたかった


おぼれて死んでしまいたかった。
空気を吸えなくなりたかった。
食べ物を食べれなくなりたかった。
人間のいない場所にイきたかった。

君は、どうしてここにいるの?

僕は、どうしても、ここにいたいんだ。

君は、ずっとここにいるの?

僕は、ずっ・・・・







_____________________________________





殺してあげる



殺して あげようか

母さん


死にたいのなら

苦しいのなら


殺してあげる


殺して あげる







さようなら





_____________________________________








ボロボロな世界


歩き疲れて
朽ち果てる大人たちよ
それで もう 本当に歩けないのか
弱音を子供に見せる大人たちよ
それで もう 本当に死ぬのか

もっと大きく胸を張って歩け
それが出来ぬなら 前になど立つな
曲がった背筋を伸ばして歩け
それが出来ぬなら いっそうのこと――

歩き疲れて
ボロボロになった大人たちよ
さらにボロボロになれ
それが 前に立つおまえらの仕事だ
小さきモノを守りぬけ

もっと大きく手を広げて守れ
それが出来ぬなら 前になどたつな
曲がったひじを伸ばして守れ
それが出来ぬなら いっそうのこと 子供を殺してしまえ

ボロボロな世界で生きていくには
ボロボロになるしかないのだよ
ボロボロな世界で死ぬために
ボロボロに成り果てるしかないのだよ









_____________________________________










少年の罪


もしコノ世界に
罪などという言葉が生まれなければ
少年は助かっていたのだ
少年は安らかに眠れていたのだ

体中のあざや傷
やけどのあとや縫いあとさえも罪にならなかったのに
少年の存在自体は罪になった
牢獄に入れられた

親を殺し
自分も死のうとした
どんなに残酷な親でも
やはり親を
本当に憎んではいなかったから
血が繋がっていたから
自分も憎むことになってしまうから
自分の血を

死にきれなかった
判決は無期懲役

もしコノ世界に
罪などという言葉が生まれなければ
少年は助かっていたのに
少年は安らかに眠れていたのに











_____________________________________









それだけで 逢えるのなら


もう一度 君に触れるなら
天国へでも地獄へでも
迎えに逝く
手を切ってでも首を切ってでも
逢いに逝く

それだけで 逢えるのなら

「さよなら」の意味を理解しなかった
それが本当の「サヨナラ」だったなんて
分かるはずがなかった

バカだから
能天気だから

気づけなかった
死に逝く人に
死に行く君に

手を切ってでも首を切ってでも
それだけで許されるのなら
それだけであえるのなら
君に逢いに逝く







_____________________________________






死なないで


もう 死なないで
誰も 死なないで

そんな怖い顔しないで
死なないで
泣かないで
もう誰も 僕の前で死のうとしないで

生きる価値なんか 見つけなくていいよ
ただ それでも 死なないで

苦しそうな顔しないで
死にたそうな顔しないで
生きる価値なんか 見つけようとしないで
一層死にたくなるから

包丁なんか持たないで
僕に殺してとせがまないで
涙ぐんで手を震わせないで
悲鳴をあげないで
怖がらないで
絶望した顔しないで
死のうとしないで
死のうとしないで

じゃないと僕が
貴方を殺しそうになる





_____________________________________









完璧に何もかも捨てた人


何もかも捨てた者が
荒野にヒザをつかせた
絶望の中に立っていて
もう疲れた
もう何も考えたくない
そう
何もかも捨てた者が
荒野にヒザをつかせていった

優しさも
悲しさも
全て
消し去りたい
この血さえも
肉体さえも

これでもう動かなくていい
何も思わなくていい
苦しまなくていい

全てを捨てる

何もかも捨てた者は
今まで苦しんできたことを全て捨てた
だからこそ
だからこそ
その者は泣いた
全てを捨てたからこそ
その者は涙を流した

今まで苦しんできたこと全てを捨てるには
あまりにも
自分が弱すぎた





_____________________________________






自由な鳥たち


孵る前に死んだ雛
これから空を飛ぶはずだった

束縛された
この空を

大きな大人の鳥たちが
空を舞う
優雅に舞うその姿は
人間たちに自由を見せた

そして空を飛びたいなどという望みを生ませた

よく考えてみればいい
地面を捨て
空を選んだ鳥たちが
休めるのはどこなのかと

地面を這いつくばる人間たちが
木を削り
地面を厚く硬め
その上には絶え間なく車が走る

戒めの空
鳥たちにとっては
空を飛ぶことは
地面を追い出された戒めなのか

束縛された空
戒めの空

誰がいつ どこで
自由な鳥を見たと言うのだろう






_____________________________________







思い出せない名前


町の、今は灰色に見える町の真中で
背を向けて立っている少年。
今の時代には似つかわしくない
薄汚れた、ポロシャツを着ている。

どうしても、どうしても、
その子の顔が見たくて
どうしても、どうしても、
その子の背中には、
呪いの文字しか浮かび上がらなくて。

雨も降っていないのに、
頭の中にノイズが広がる。
昔の映画のフィルムをまわしているように、
音とともにかすれる映像。

少年を呼ぼうと思って口を開いたけれど、
少年の名前を知らなかった。

ちがう、少年の名前が、出てこなかったんだ、

思い出そうとしても思い出せない。
考えれば考えるほど、頭に激しい痛みが襲った。
思い出して。
思い出して。
出てきて。

急に目の前が低くなって、視界が薄れた。
少年がそれに気づいたのか、こちらを向いた。
薄気味悪い笑みを浮かべて、こちらを見下していた。
タスケテ クレナカッタヨネ
・・・ああ、そうか。
おまえだったのか・・・・






_____________________________________







変わるのは一人


もうあれから
一年経つんだ
久しぶりだね

変わらない笑顔で笑ってる
おまえらが見れてよかったよ
変わらないでいてくれて
ありがとう
優しくいてくれて
ありがとう

ごめん

「かわってねえな」っていったら
怒られた
「かわらないほうがいいんだけどな」って
小さく言った言葉は聞こえなかったみたいだ

ごめん

変わるのは俺だけで十分だ
おまえらは
笑っていて
笑わなくならないで
笑えなくならないで
変わるのは俺だけで十分だ


END













_____________________________________

イジメ


ケガをしても
どんなに血を流しても
戦わなくちゃならない

誰が傷ついても
誰が死んでも
かまっていたら
自分が殺られる
それがコノ世界ですむ掟

見てみぬフリをしろ
そう教えられてきた
助けたいとは思った

けれども
自分が殺されるから――

ごめんなさい

そうつぶやいて
殺されゆく人に背を向けた
みんなが背を向けた

ごめんなさい

人はどうして人を傷つけるのか
人はどうしてサディストなのか
お願い 気づいて
無意味なことだと

そんなに人を追い詰めてどうするの?
殺して どうするの?






_____________________________________






戻るべき場所


子供が笑った
大人が笑った
みんなが笑った

苦しかったよね
辛かったよね
誰も笑わない世界に いたんだよね

戻ることができた

笑いながら人を傷つける場所じゃ
ないんだよね

子供が笑った
大人が笑った
みんなが 笑った
幸せそうに 笑った

もう誰も傷つけなくて良いんだよね
戻ってこれたんだよね
コノ世界に
コノ場所に

幸せな場所に
戻って来れたんだよね

もう
人を殺さなくていいんだよね








_____________________________________








よりみち


塾からの帰りだった
テストも終わったし
少年は気晴らしに
いつもとは違う道を通った

人気のない
だけれど電灯がしっかりとついていて
それなりに家がたちならんでいる
遠くの方から
何か聞こえてきた

「・・・クズがっ・・・おま・・なんか」
遠くの方だったからよく聞こえなかった
少年は少し自転車を飛ばした

段々 大きな物音が聞こえてきた
なんだ・・・破壊音か?
ダン ガシャ  ズダン
「お前は人間のクズだ! 死ね! 死んでしまえ!」

絶句だった
世界を垣間見たような気がした
少年はさらに自転車を飛ばした
男の人の声だった
怖い
こんな声を出せる人がいるのか

息を切らして
少年は自分の家へ入っていった
二度と あんな声など聞きたくない

少年は
二度とよりみちはしないでおこうと肝に銘じた









_____________________________________






ちょっとだけ ほんのちょっとだけ 世界の描写


雷が空気を貫いた
雨は 視界をさえぎる
それでもまだ
歩かなくてはならない
安らぎの場所へ
いかなくてはならない

少年は傘も差さず
どこまでも続く
砂漠のような道を歩いた
雨が振っているはずなのに
どうして
どうして地面はこんなに
干からびあがっているのだろう

どこまでも続くこの砂の道
本当に
コノ場所に
安らぎがあるのだろうか
安らぎが あるのだろうか

どこまでも続いているような気がする
どこまでも どこまでも
雷が落ちつづけ
雨が降りつづけるような気がする

歩き続けた足は
ボロボロになり
いつしか
くずれるのだろう

ここで 安らぎの場所を求めろと
誰が言ったのだろうか









_____________________________________







天命の仮面芸人


笑った仮面をかけて
人を笑わせていた
少年は それが生きがいだった
少年は それだけが生きがいだった
「これが天命だからさ」

だけれども 誰も気づかない

笑った仮面をかけて
人を喜ばせていた
少年は それが楽しみだった
少年は それだけが楽しみだった
「これが天命だからさ」

だけれど 誰も気づかない

笑った仮面をはずして
人を殺していた
少年は 殺していた
少年は 泣きながら殺していた
「これが天命だからさ」

笑った仮面をはずして
月を見ていた
少年の目には涙が
少年の頬には涙が
「これが、天命だからさ」






_____________________________________









さようなら


いなくなった
これで いいんだ
涙は流れるけれど
きっとそれは 嬉し涙だ

もう殴られないですむんだね
もう死にたくならないですむんだね
さようなら

くつばこから くつが消えた
アナタに聞こえるだろうか
聞いちゃいけない
優しいアナタはきっと戻ってきてしまう
醜い嗚咽など聞いてはいけない

今までありがとうございました
感謝しても 感謝しきれないでしょう
今までありがとうございました

くつばこから くつが消えた
アナタは振り返っちゃいけない
この場所をもう一度見ようとはしちゃいけない
自由に 生きてください

弱いアナタは こんなところじゃ死んでしまう
自由に 生きてください

さようなら

母さん











_____________________________________






冷たくなりたい


怖くなんかない
悲しくなどない
ただ
冷たい感情が欲しいだけ
夜眠れる時間が欲しいだけ

夜中に目を覚ますと 罵声の中だった
その罵声に悲鳴がかえってこない
悲鳴をあげるのも どうでもよくなっているんだな

きっと死にたいのだろう
きっと消えてしまいたいのだろう
そんなことを思いながら
布団をぎゅっと抱きかかえた

彼女は子供を愛している
それが純粋に まっすぐな愛仕方だということは
十分承知だった
だけれど
どうか
どうか

ドウカ 僕らを捨ててください
ソシテ ここから逃げてください
ニドト 涙を流さないでください

怖くなんかない
悲しくなどない
ただ
冷たい感情が欲しいだけ
夜眠れる時間が欲しいだけ
母さんの涙を見たくないだけ










_____________________________________






こうやって大人に


子供を貶す大人
分かっているフリをして
本当は――本当に考えているのだろうけれども――何も知らない

そんな大人が憎かった
何もわかってない
昔とは違うんだ
そんなことで
絶えられる環境じゃないんだ
今と昔は
社会の感覚も違うし
ボロボロの服を着てて平気な顔なんてしてられない
むしろ
それだけで死にたくなる

そんな大人になりたくなかった

「きもい」「うざい」「きしょい」
みんなそういった
誰かのことを みんなそういった
あわせないとウダウダ言われるので
自分も言った
本当はいやだったけれど
いいまくった

いつしか感覚が消えた
人を貶す感覚が消えた

ああ、こうやって
大人になっていくんだな












_____________________________________







アンドロイド製作の結末ってこうなるんじゃないかなあなんてさ


今からずーっとさきにね
アンドロイドが作られたんだって
アンドロイドはね
全身が機械で出来ているんだって
全身が機械で出来ているからね
壊れても大丈夫なんだって
壊れても大丈夫なのは
今からずーっとさきのことだから

人間機械工学は発達した。
最先端の技術を駆使し、人間機械(別名アンドロイド)が作られた。
人間の心臓にあたる部分にはICを。
人間の脳にあたる部分には思考判断能力色彩判断能力識別装置を。
人間の腕にあたる部分には筋状筋力組織を。

放って置かれたの
大事な
人間の心にあたる部分が
だからね
だから
泣かないし
歌わないの

だからね
だから
人間をみんな
殺しちゃったの







_____________________________________





前へ進むこと


足が前に進んでくれない
進もうと思ってる
だけれど だけれどね
周りのみんなだけ進んで
僕だけを置いていこうとしているんだ

どうすればいいのかわからない
どうして動かないのかわからない
何か原因があるのかと思い足元を見れば
太い鎖が巻きついていた

これが僕を進ませないようにとしている
憎たらしいなあ
壊したいなあ

コノヤロウッ

涙が出てきた
なんで俺だけこんなんついてんだよ
なんでみんな前にすすんでんのに
なんでなんだよ
お願いだから、進ませてくれよ・・・・

鎖の先には大きい錘
こんなん誰がつけたんだよ
ケンカ売ってんのか
・・・前に進みてえんだよ

足をぐいっと前に突き出したら
意外にも軽かった
僕はきっと
外見の重みに気を取られて
前へ進むことをしなかっただけなんだろうな









_____________________________________








アナタは崩れていったわ
綺麗に崩れていったわ
ガタガタみすぼらしい音は立てなかったわ
ただね
サラサラと綺麗に 崩れていったわ

ほんと
この両手に
とってみたいくらい
アナタは この世界の無情さに崩れていった
私はただそれを見て
綺麗だなって思っただけ
崩れている人間がどうして綺麗なのか
そのとき 人間の本心を取り戻したからだと思うの
アナタは この世界に生きて
やっと本心を見つけたのね
怖い 生きたくない コロシテクレ
アナタはそう叫んだわね
そして大切な人まで貶して
怖かったが十分伝わった
人間の本当の声だったわ

アナタは崩れていったわ
綺麗に崩れていったわ
ガタガタみすぼらしい音は立てなかったわ
ただね
サラサラと綺麗に 崩れていったわ
ほんとうに 綺麗なの
アナタはほんとうに 綺麗な人


風が吹いたわ
・・・・アナタが吹かれてどこかに逝ってしまったわ





_____________________________________





天才少年


クラスで一番の大バカもの
それが彼の異名だった
いつもテストで0点ばかり
いつもクラスのみんなを笑わせて
バカっぽく笑う少年

明るいスポットライト
目のくらむような 木製の舞台
綺麗な背景

顔に化粧をして
着物の肩を出して
少年は踊り始めた
高い笛や 派手な太鼓の音に合わせて
優美な踊りを
その壮大な音に劣らず
そして勝る
大きな舞いを

そこにはバカらしさもまるでなかった
この小さな少年が今
この舞台の全てを包んでいた
少年とは思えない 大きな舞い
全ての空間を 自分のものにした

少年は舞台の上にたっているときだけ
クラスで一番のバカの称号はまるでなくなる
そして 違う異名が与えられる

その華麗で優美な そして強い舞いは
この年齢の彼には不似合いな異名
人々は 彼を天才少年と名づけたのだ

_____________________________________


© Rakuten Group, Inc.