家事事件(その2)<遺産分割調停にフォーカス>の写経revised
★(その1から続く) H20年の司法統計によると、当事者間の合意を目指す乙類調停事件(全体の8%を占める)の審理期間は5.1月と、甲類審判事件1.1月に比べて長いが、近年 短縮化傾向にある。 乙類調停の約18%を占める、遺産分割調停は全体の1.4%である。遺産分割調停の審理期間は平均約12月で、うち6月以内が37%、うち1年以内が 2/3を占める。 調査命令を要したものが12%(H24年も同じ)であり、調査命令なしが88%と圧倒的である。「調停成立」が64%(H24年63%)と高い反面で、「取り下げ」に至ったものも26%(H24年24%)あり、 調停外で和解に至り、取り下げたものと推定される。★ 呆けの小生には、調停に持ち込む前には、感情的になり解決出来ない案件でも、調停に持ち込んだ後では、客観的な視点が両者に介在して、理性的に解決しようとするのであろう、と思う。それが、「取り下げ」に繋がるのだろう。 性善説に立てば、肉親の間で相続のことを争いたくない気持が家裁に持ち込むことで芽生えるのだと思う。家裁に持ち込めば、単独または、弁護士の厄介になるかも知れないが、親切な裁判官達が介入するので、理性的になる効果が高まるのを期待したい。ちなみに、H24年の遺産分割事件での弁護士関与は65.1%である。 ★ 1. 家裁事件の分類と平均審理期間 (データはH20年、 <>内はH24年)事件種類事件件数平均審理月(←比較H11年) 甲類審判事件 579,828件( 79.9%) <649,199件 (80.1%)> 1.1月←1.1(H11) 乙類審判事件 15,108件( 2.1%) <21,385件 (2.6%)> 5.4月←9.5(H11) 乙類調停事件 57,745件( 8.0%) <71,352件 (8.8%)> 5.1月←5.9(H11) 乙類以外調停事件 72,802件( 10.0%) <68,452件(8.4%)> 4.3月←4.2(H11) 合計 725,483件(100.0%) <810,388件(100%)> 遺産分割調停 10,202件( 1.4%)<11,737 件(1.4%)> (乙類調停の17.7%) <同16.4%> 同上弁護士関与 <7,638件(同上比 65.1%)> (資料:「司法統計」年報など、以下同じ) 2. 遺産分割事件の審理期間 (データはH20年、<>内H24年)遺産分割事件の審理期間件数構成比(%) 6月以内3,776件<4,603> 37.0% <39.2%> 6月超1年以内3,134件<3,610> 30.7% <30.8%> 1年超2年以内2,234件<2,457> 21.9% <20.9%> 2年超3年以内 679件< 688> 6.7% < 5.9%> 3年超 379件< 379> 3.7% < 3.2%> 合計10,202件<11,737> 100.0% 平均審理期間 12.2月 3. 遺産分割事件の終局区分別分類と 調査命令有・無 (データはH20年、<>内H24年) 遺産分割事件の終局区分別件数構成比(%) 調停成立6,485件<7,397> 63.6%<63.0%> 調停をしない 53件< 49> 0.5%< 0.4%> 取り下げ2,643件<2,803> 25.9%<23.9%> 当然終了 16件< 35> 0.2%< 0.9%> 認容 960件<1,394> 9.4%<11.9%> 却下 37件< 47> 0.4%< 0.4%> 分割禁止 8件< 12> 0.1%< 0.1%> 合計10,202件<11,737> 100.0% 調査命令 あり1,254件<1,456> 12.3%<12.4%> 調査命令 なし8,948件<10,282> 87.7%<87.6%>(その3に続く)